ぷかぷか日記

2018年9月

  • メッセージの発信が、人と人との新しいつながりを作り、社会を少しずつ変えつつある
     先日の首都圏ネットワークでは立教大の学生さんとやった「哲学対話」と北九州でのぷかぷかの蒔いた種の広がりを取り上げていました。  昨年暮れに北九州で上映会とトークセッションをやったとき、大概は「いい映画だったね」「いいお話だったね」で終わるところを、 「北九州にもぷかぷかみたいな所を作ろうよ」 という話が飛び出し、そうだそうだ、の声に押されて人々が動き始めました。  何年か前、北九州の西山さんから突然メールが来ました。西山さんは障がいのある子どもを産んだことで自分を責めていました。でも 「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ」 というメッセージに出会い、 「私も生きてていいんだ」 と思ったそうです。 「生きることがとても楽になりました」 とも。 ぷかぷかのメッセージがそんなふうに受け止められたのは初めてでした。  それから2年くらいたって一家でぷかぷかにやってきました。 「私もぷかぷかとの出会いを振り返りながら、壮馬をさずかった意味を考え、たどり着いた今をストンと受け入れて進んでいる自分を感じています。ぷかぷかの空気にふれて、自分を自分で責めていた部分を許せたと言うか・・まるっと受け入れられた、そんな感じです。」 といったメールが来ました。  そういったつながりの上で昨年暮れに北九州で上映会とトークセッションをやりました。北九州にもぷかぷかみたいな所を作ろう、という呼びかけに対して、すぐにあちこちから反応があったようです。 ・北九州の戸畑区で、障がいのある方と直に接し、様々なセミナーも開催されている就労移行支援事業所のスタッフの方から、「先日の西山さんの投稿みて、ぷかぷかさんが気になってブログを拝見しました。是非私も参加したいです。告知もお手伝いさせてくださいね。」とのメッセージを頂きました! ・八幡東区でNPO法人として就労支援をされている代表の方からは、「ぷかぷかさんのプロモーションビデオ見ましたよ〜いいですねぇ。私の所(事業所)でもプロモーションビデオ流して見たりできるので、ぜひ」と、お声をかけ頂きました! ・ 八幡西区にお住まいで、小さく生まれたお子さんやそのご家族のサポートをされている団体の方にも、プロモーションビデオを見て頂きました。「いいですね、北九州にはこんな場所無いですもんね。シェアさせて頂きます」と言って頂きました! ・昨夜は、放課後等デイサービス事業所の方達が集まる研修会で、ぷかぷかさんの事をお話させて頂きました。いち保護者が、専門職の方々大勢を前に喋るなんてこと滅多にありませんから緊張しましたので、とにかく、ぷかぷか、ぷかぷかと口が動いていたと思います。 ・大きな集まりでなくても、ちょっとづつぷかぷかの種まきをして、先づはお一人お一人がプロモーションビデオを見てくださるように、繋げていけるといいなぁ、と思いました。  ぷかぷかの蒔いた種がこんなふうに広がっていくんだ、とうれしくなりました。  北九州で映画を見たひとが先日、筑豊で上映会をやってくれました。福岡で映画を見たひとが今度、障がいのある人たちと企業の人たちを結ぶワークショップをやります。大館で映画を見たひとが北秋田でなんと70人も人を集めてワークショップをやりました。 「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ」 というメッセージの発信が、人と人との新しいつながりを作り、社会を少しずつ変えつつあるのだと思います。  あなたの町でもぜひぷかぷかの種を広げて下さい。
  • 時計の読めないぷかぷかさんが、読めなくてもちっとも困ってない話
     昨日特別支援教育で学ぶ障がい児とぷかぷかさんがどうしてちがうのか、といったことを少し書きましたが、その続きです。    ぷかぷかさんの中には時計が読めない方がいます。ですからお昼休みがいつ終わるのか、よくわからないようです。でも、そのことですごく困っているわけでもなく、その人なりにうまくやっています。時計が読めなくても、私たちが思うほど困っていないのです。ひょっとしたら時計がない時代の時間感覚で生きているのかも知れません。そこには私たちがいつも思う  「早くしなさい」 という感覚がないのだろうと思います。いろんなところで時間に追われている私たちよりも、豊かな時間を過ごしているのではないかと思います。    時計は読めないよりは読めた方がいいとは思います。「発達障害」のために時計が読めない人に、読み方を教えるのが特別支援教育だろうと思います。そのためにものすごくいろんな工夫がされています。  時計が読めるようになれば、その子の世界が広がります。それはすごくいいことだと私たちは思います。でも、その子にとって、世界が広がることが本当にいいことなのかどうか、という一番大事な問いは、問われないままです。  時計の読めないぷかぷかさんが、読めなくてもちっとも困ってなくて、楽しい人生をおくっていることを考えれば、私たちが思う、これができた方がいい、という価値観は本当に絶対的なものなのかどうか、という疑問が出てきます。      友人の花岡千恵さんは昔熱心な「療育ママ」だったそうです。療育にものすごいお金をつぎ込み、hanaちゃんにいろんなことができるふつうの子どもになって欲しいとすごくがんばったそうです。でもお母さんが思うほど、hanaちゃんはなかなか変わりません。お互いの関係がすごくしんどくなったそうです。  あるとき、療育が目指していることを、hanaちゃん自身は望んでいるのだろうか、という根源的な問いにぶつかったそうです。たとえば一人でごはんが食べられるようになることをhanaちゃん自身が望んでいるのか、という問いです。  一人でごはんが食べられるようになることを望んでいるのはお母さんだけで、hanaちゃん自身はちっともそんなことを望んでいないことにあるとき気がついたといいます。そして「療育ママ」をそのときやめたそうです。  nahaちゃんとの関係がものすごく楽になり、hanaちゃんのすべてを受け入れられるようになったといいます。 pukapuka-pan.hatenablog.com    特別支援教育で学ぶ障がい児とぷかぷかさんがどうしてちがうのか、の議論は、なんだかものすごく深い議論になりそうです。    
  • 特別支援教育で学ぶ障がい児とぷかぷかさんはどうしてちがうのか
     先日NHK首都圏ネットワークでぷかぷかのことが紹介されたのですが、おもしろいなと思ったのは、最後のあたりで下の写真が使われていたことです。   パン屋のお店で、営業時間にこんなことをやっているのがぷかぷかです。二人で何をやろうとしたのかよくわかりませんが、なんともおかしい写真です。それでいて、どこかホッと心安らぐものがあります。この空気感がぷかぷかです。番組を作った人は、最後にこの空気感を伝えたかったのかも、と思いました。  ツジさんのお母さんが  〈 存在感で勝負!こんなに「生産的」なことって他にないのでは?〉 と、コメントしていましたが、写真の二人、まさに存在感で勝負しています。それがぷかぷかの空気感を生み、ファンを増やし、売り上げを作っています。まさに「生産的」なのです。  彼らは、「あれができない」「これができない」ではなく、ただいるだけで「生産的」である、ということ。それをぷかぷかは実証してきたと思います。  そしてそのことを発信し続けてきました。その発信が人のつながりを作り、新しい動きを作っている、というのが首都圏ネットワークの映像だったように思います。  立教大学の学生さん達の表情の変化がとてもよかったですね。学生さん達はぷかぷかさんと「哲学対話」をしにやってきました。これは立教大教授の河野先生が以前からぷかぷかに注目していて、昨年立教大であった哲学プラクティスに私が参加し、河野先生にお会いしたとき、じゃ、今度学生連れて行きます、という話になり、今回の企画が実現しました。  「哲学対話」というとなんだか難しそうですが、対話を通して関係を作っていく、対話を通していろんなことを見つける、ということです。ぷかぷかさん達に何かやってあげるのではなく、彼らと「対話をしよう」とフェアな姿勢でやってきたのがよかったと思います。うまく対話ができるのかどうか、私もよくわからなかったのですが、それでも対話を重ねる中で、あるいはぷかぷかさん達が醸し出す空気感にふれる中で、はじめは硬かった学生さん達の表情がどんどん和らいでいきました。 ここは見ていて気持ちのいいくらいでした。  こんな顔をしておつきあいできる関係が、この場でできたことがすごくよかったと思います。ここでぷかぷかさん達と出会ったことを手がかりに、自分の中にある障がいのある人のイメージを今一度見直してくれたらと思います。  学生さん達は文学部教育学科の人たちなので、教師になる方もいらっしゃると思います。教師になるのであれば、なおのこと、彼らとの出会いは大きな意味を持つと思います。  教育学科ですから、特別支援教育もあります。一般的には特別支援教育で学ぶ障がい児は発達の遅れている子ども達であり、「あれができない」「これができない」子ども達です。何よりも支援が必要な子ども達です。  ぷかぷかさんは障がいのある人たちですが、支援が必要というよりも、一緒に生きていった方がいい人達です。社会を耕し、社会を豊かにする人たちです。社会になくてはならない人たちです。  短い時間でしたから学生さん達がどこまでぷかぷかさんのことを受け止めてくれたのかはわかりません。ただ彼らの笑顔を見る限り、  「一緒に生きていった方がいいかも」 くらいは思ったのではないかと思います。  そうなると、特別支援教育で学ぶ障がいのある子ども達とはかなりイメージが異なります。そのずれを、ぷかぷかさん達と「哲学対話」をやった学生さんは、どのように解釈していくのだろうと思いました。  「哲学対話」をやった学生さんの一人が8月4日のぷかぷか上映会に来ました。第一期演劇ワークショップ記録映画を見て、すごくいろいろ思うことがあった、と話していました。多分自分の中の障がいのある人のイメージがゆさゆさと揺さぶられたのではないかと思います。  機会を見つけてまた学生さん達とお話ししたいと思っています。特別支援教育で学ぶ障がい児とぷかぷかさんはどうしてちがうのか、といった話です。  私は教員になってから夏休みの研修で横浜国大の特別支援教育の講義を何度も受けたのですが、そこで教わる障がい児と、私が毎日おつきあいしていて惚れ込んでしまった障がい児がどうもずれているというか、どうして彼らのいいところをもっと話さないんだろうってずっと思っていました。いろいろ大変な子ども達でしたが、それを超えるいいものを彼らは持っていました。そのいいものこそもっと教えて欲しいと思っていました。  学生さん達とそんな話ができれば、と思っています。  ぷかぷかの情報発信が、こんな話にまで広がっていくのが面白いですね。  番組の後半は北九州の話があったのですが、これについてはまた後日書きます。
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