世田谷の羽根木公園でおこなわれる雑居祭りの案内が今年も来ました。
1980年代初め頃、雑居祭りで演劇ワークショップにはじめて出会い、なんともいえない開放感と表現の自由さを味わいました。養護学校の子どもたちといっしょにやったら、今までにないなにかおもしろいものができあがるんじゃないか、そんな予感がしました。養護学校でとてつもなくおもしろい子どもたちに出会ったのですが、学校の「指導する」という関係では、彼らのおもしろさを思うように活かせていない気がしていたのです。
当時養護学校の子どもたちと地域の人達で「あそぼう会」というのをやっていて、月一回公園であそんでいました。そこに演劇ワークショップを持込み、芝居を作って発表会までやったのです。「指導する」とか「やってあげる」という上から目線の関係ではなく、どこまでもいっしょに、言い換えれば彼らとフラットな関係で新しい新しいものを作りだすということをやったのです。
最初、彼らのために何かやってあげる、という思いで集まってきた地域の人達が、何回かワークショップをやるうちに、彼らに何かやってあげる、というより、私たちの方が彼らに支えられているんじゃないか、ということに気づきます。これは障がいのある人達との関係をひっくり返してしまうほどの大きな気づきだったと思います。
彼らに何かやってあげるのではなく、いっしょに生きていった方が豊かなものが生まれる、ということにワークショップを通してみんな気づいたのです。この気づきは、社会を変えるほどの意味を持った気づきであったと思います。
ワークショップに参加していた障がいのある人達は、「何かやってあげる」関係から、「あなたがいないと困る」関係に変わっていきました。彼らがいることで、ワークショップの場の独特の楽しさが生まれていることにみんなが気づいたのです。彼らがワークショップの場の中心になり、ワークショップという場をしっかり支えてくれる存在になったのです。
障がいのある人達に向かって「あなたがいないと困る」って言える関係って、なんか世の中ひっくり返るみたいでちょっと楽しいじゃないですか。その関係がこれからどんな社会を作っていくのか、すごく楽しみです。