したたかに生きていくために
昔、学校で一緒に給食食べながら 「金稼いだら、飲みに行こう。俺がおごるよ」 なんていっていたタクちゃんが、今日、カフェに遊びに来ました。4年ぶりの再会でした。今日は作業所の所長、仲間二人といっしょにやってきました。 「おう、タカサキ、元気か?」 なんていったりして、相変わらず生意気な口ききながらも、本当にかわいいやつです。かわいくてかわいくて、頭抱えてぐりぐりしてやりました。 カフェはパンが食べ放題。食事が運ばれてくる前に、5皿くらい平らげ、びっくりしました。ラタトゥイユの赤い色が口の周りにべっちゃりつき、それを手でぬぐったりするので、余計に口の周りに広がったりして、悲惨な顔になりました。 「ったくしょうがねぇなぁ」 とか言いながらティッシュで拭いてあげたのですが、学校にいた頃と全く変わらず、こうやって周りの人たちに顔を拭いてもらいながら、したたかに生きているんだなと思いました。 思わず拭いてあげたくなるような雰囲気を作ってしまうって、人の手を借りながら生きていくためのしたたかな能力ですね。 「ところで、学校で一緒に給食食べながら、お金稼いだら赤提灯に飲みに行こう、俺がおごってやるよ、って言ったの覚えてる?」 「ああ、覚えてるよ」 「え?すごいじゃん、そんなこと覚えてるの?」 「ああ、覚えてる」 「作業所で働いて、しっかり稼いでいるみたいだし、赤提灯、行こう!」 「………」 「ん?よく聞こえないよ」 「………」 「ん?なんだって?」 「じゃぁ、帰るから」 と、さっさと席を立ったのでした。