ぷかぷか日記

演劇ワークショップで、号泣するほどの関係が

 昨日は北九州から二人も見学に来られました。いろんなお話をしたのですが、その中で、ぷかぷかは福祉事業所をはじめようと思ってはじめたのではなく、養護学校の教員をやっているときに、障がいのある子どもたちに惚れ込んでしまい、彼らといっしょに生きていきたいと思ってはじめた。共生社会を作ろう、とか、ともに生きる社会を作ろう、なんてことは全く考えてなかった。ただ彼らといっしょに生きていきたい、その方が絶対楽しい、そう思ったから彼らと一緒に働く場を作った(詳しくは『ぷかぷかな物語』を読んでください)、というような話をしました。

 見学に来た方のFacebookに、そのときの言葉がすとんと自分の中に落ちた、とありました。

「共生社会を作りたくて始めたわけではない!
  この言葉はストンの僕にもおちてきました。」

 

 ぷかぷかに、いわゆる福祉臭さがないのは、この、「いっしょに生きていきたい」「その方が楽しい」というぷかぷかの出発点にあります。そしてそれが何を生み出したか。

 ぷかぷかさんたちが働くお店の楽しさです。ホッと一息つける雰囲気です。そしてたくさんのファンの人たち。ぷかぷかさんたちがいなければただのパン屋、お惣菜屋、食堂であり、なんのおもしろみもありません。彼らがいることで生まれる楽しさ、おもしろさ、ホッと一息つける雰囲気こそ、彼らが社会にとって必要な理由です。

 お店の運営以外のいろんな企画もします。パン教室とか、演劇ワークショップとか。ぷかぷかさんといっしょにやったら、絶対楽しいからです。パン教室にしても、演劇ワークショップにしても、彼らがいることで、楽しさが何倍にもなります。

 30年前に始めた演劇ワークショップで最初に見つけたのはこのことです。

「彼らが加わると、楽しさが何倍にもなる」

ということ。その楽しさの中で

「あなたにいてほしい」「あなたが必要」

と、切に思いました。

 あれができないこれができない、社会のお荷物、と彼らを排除する社会にあって、そんな風に自然に思える場はとても貴重です。

 「共生社会を作ろう」とか「ともに生きる社会を作ろう」というところからは、そんなふうに思える関係は、多分生まれません。

 なぜなのか。

 この問いに丁寧に答えていってはじめて、「共生社会」とか「ともに生きる社会」が具体的に一歩前に進むのだと思います。

 

 第五期演劇ワークショップでは、最後に号泣するほどの関係が生まれました。

 栃木から新幹線に乗って演劇ワークショップに参加した親子がいました。

 《 やっていくうちに腹の底から楽しくなってくるのです。初めの頃は照れやちょっと取り繕いながら、自分を隠したりカッコつけたりしていたけど、だんだんと弱いところもさらけ出しながら、自分が表現豊かになっていくように感じてくる。回を重ねるたびに新しい発見がありました。

Aと質問したら、Bと返ってくるだろうという今までの人生観では全く歯が立たず、私の予想をはるかに超えてくる。そうくるか、そういうのもありやんね、そりゃそうだ、ごもっとも。みたいな、そんな感動体験が私をいつまでも惹きつけてはなしません。それにみんなすごく素直で思ったことをストレートに表現するから、リアルで人間味があってとても魅力的に思えて、私はぷかぷかさんの大ファンになっていました。私にとってそこは自然と笑顔になれる場所で、優しい空間でした。そんな彼女、彼たちと一緒に立った舞台。やり切った感、ハンパなかった。ぷかぷかさんたち一人ひとりとふれあった思い出が頭の中で駆け巡り、みんなで頑張った喜びと終わってしまった寂しさとが複雑にからみあって、涙がこぼれ落ちてしまいました。》

《 私が最後に泣き崩れてしまったとき、ボルトくんが背中を支えに来てくれました。彼はずっと大丈夫?と声をかけてくれていました。私が落ち着くのを待って手をはなそうとする時も「もう手をはなしても大丈夫かな?」「放すよ、いいかな?」って言って自分の席にもどられました。今まで生きてきてこんなに優しい言葉をかけてもらったことがあったかいなと、やさしさが心に響いて本当に癒されました。彼のやさしさに心から“ありがとう”と言いたいです。誰かと心で繋がれることって何よりも力になる。私も人の喜びや悲しみにそっと寄り添えることができる人間になりたいと思います。》

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 楽しいからやることは、本物を作り出すのです。だからこういった本物の言葉が出てきます。

 

  8月3日(土)みどりアートパークで開かれる上映会には、この第5期演劇ワークショップの記録映画も上映します。演劇ワークショップの場で、どんなことが起こったのか、しっかり見てください。

 

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入場料無料ですが、参加人数を把握するために入場券をpeatixでお求めください。

https://peatix.com/event/876796

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