ぷかぷかの映画に込める思いをまた書きます。
映画でいちばん伝えたいのは、ぷかぷかにただよう「ほっこりしたあたたかさ」です。この「ほっこりしたあたたかさ」とか「空気感」といったものは、文章ではなかなか伝わりません。やっぱりこれは映像だからこそ伝えられるものだと思います。このあたたかさはもちろんぷかぷかのメンバーさんのあたたかさ。
彼らが彼ららしく振る舞っていることで生まれるあたたかさです。
なんでもない会話が、どうしてこんなに心をあたためてくれるんだろうと思います。こういう会話を交わす時間こそ大事にしたいと思うのです。
こんなふうに彼ららしく振る舞って、それでいて仕事が成り立つところがぷかぷかです。
セノーさんは養護学校にいる頃、実習にいって、仕事をしないからと一日で実習を断られたことがあります。確かにセノーさんはふつうの感覚でいう仕事はしません。それでもセノーさんと一緒にいるとすごく楽しいし、心があたたまります。なによりも今一緒にいることの幸せを感じます。
工房と事務所を結ぶ「セノー宅配便」は毎日のようにどこかでストップしています。道の途中で動かなくなったり、トイレに閉じこもったり、ロッカーで寝てしまったり、いつまでも休憩していたりで、ほとんど毎日のように捜索の電話が事務所にかかってきます。それでも上の動画のように仕事をやりながら、毎日ほっこりしたあたたかさをまわりに振りまいているのです。「セノー宅配便」が運んでいるのは荷物だけではないのです。
それこそが今の社会に必要なものじゃないかと思うのです。
こういう人はほんとうに社会の『宝』だと思います。こういう人がいるから、私たちは心が潤い、自分の中で人間を保つことができるのだと思います。心がすさむと、人間であることを忘れてしまいます。
昔、養護学校で彼らに出会ったころ、そのほっこりしたあたたかさに包まれて「人間ていいなぁ」って、しみじみ思ったことがあります。それまでふつうのサラリーマンやっていて、人としてのあたたかさにふれるような機会が全くといっていいほどありませんでした。そんな私に彼らは人のあたたかさというものを思い出させてくれたように思うのです。なんて素敵な人たちなんだ、この人たちと一緒に生きていきたい、素直にそう思いました。
映画でね、そんなことが伝えられたら、と思っているのです。
近々プロモーションビデオ制作のプロデューサーが、私の思いをくみながら映画制作の企画書を作ってくれます。世の中に通用するプロ仕様の企画書です。
企画書ができたからといって、それで映画ができるわけではありません。いちばんの問題はなんといっても制作するためのお金です。どういう作り方をするかによりますが、プロデューサーの話だと、1時間程度のドキュメンタリー映画で、1,000万円から1,500万円は考えていた方がいいだろう、ということでした。
ぷかぷかにはとてもそんなお金はないし、そんなの無理無理、っていってしまえば、この話はここでおしまいです。でも、おしまいにするには惜しい映画だと私は思っています。私の思いに共感し、映画の企画書を書きましょう、といってくれるプロデューサーも現れました。映画の夢がほんの少しですが確かな形で前に進んだように思っています。
こんな映画を作りたい、って思い続けること。その思いを発信し続けること。そうすれば、きっと誰かが受け止めてくれて、新しい何かが動き始めると思っています。そう思いながらわくわくどきどきの夢を追う新しい一年が始まります。
今月半ばにはプロモーションビデオ制作の絵コンテとドキュメンタリ−映画の企画書ができあがる予定です。楽しみにしていて下さい。