ぷかぷか日記

社長さんたちが研修に

 印刷業界の社長さんたちが、北は北海道から南は九州まで11名もぷかぷかに集まって研修会をやりました。昨年の秋、印刷業界のCSR情報誌で「障害者雇用」を特集した際に、ぷかぷかしんぶんの記事「生産性のない人が社会に必要な理由」が載ったことが発端で、研修会がもたれました。

 CSR情報誌にはこんなことが書いてありました。 

 

特集 戦略的障害者雇用

横浜市緑区で、カフェベーカリー、総菜店、アートスタジオなどの障害者施設を運営するNP O法人ぷかぷかが発行している『ぷかぷかしんぶん』8月号に載ったコラム。タイトルは「生 産性のない人が社会に必要な理由」。ぷかぷかに通い、毎日郵便局に売上金の入金に行く仕事を している「セノーさん」が地域で果たしている役割について書かれている。産業革命以来、ひ たすら生産効率の向上を求めてきた近代社会。そのような価値観のもとで経済社会から排除さ れてきた障害者。しかし今、その障害者への差別を禁止し、雇用を促す方向に社会は進んでいる。 経済発展と障害者との共生。一見矛盾する命題への挑戦が始まっている

 ………

障害者 雇用はもはや福祉の文脈で語るのではなく、 企業の「戦力」として活用できるか、その人 材活用のノウハウを持つことができるかどう かという人材戦略の文脈で語るべきであろう。

「生産性」だけの議論に陥ることなく、視野を 広げ、多様な人材がそれぞれの個性を活かし て活躍できる場を創造していくことは、日本 が世界をリードする真の先進国として発展し ていくことにもつながっていくだろう。

ぷかぷかしんぶんのコラム「生産性のない 人が社会に必要な理由」は、経済社会におけ る障害者との共生への具体的道筋を教えてくれているようだ。

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 障害者雇用について、素晴らしい見解だと思います。

 ぷかぷかでの研修会では、映画『Secret of Pukapuka』を上映したあと、私はぷかぷかのことをいろいろしゃべりました。障害者雇用を考える社長さんたちにとって、何かヒントになるようなものが見つかればいいなと思いました。

 

 障がいのある人を雇用した方が、職場の人間関係がよくなったり、みんなが働きやすくなったり、部品倉庫が整理され、在庫の無駄がなくなったりして、データの上では企業の業績が上がるそうです。

 でも、業績が上がるから雇用するのではなく、私はやはり障がいのある人たちとのおつきあいの中で、いろいろ苦労しながら、

「やっぱりいた方がいいよね」

ってみんなで思えることが大事な気がします。そう思うところから障害者雇用が始まるのだと思います。

 おつきあいは、慣れないうちは多分いろいろ苦労します。苦労は、でも、人間を磨きます。苦労は、ですから職場の財産になるのです。苦労は職場を豊かにします。

 障害者雇用の達成率だけで障害者雇用が語られることが多いのですが、障がいのある人たちとのリアルなおつきあいが何を生み出すのか、というところで、もっともっと語ってほしいと思います。

 この「何を生み出すのか」が見えてくれば、生産性ではない新しい価値がここから見えてきます。

 

 ぷかぷかでは「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ」「その方がトクだよ」と言い続けています。この「トク」は、企業の業績が上がる、という意味ではありません。「トク」は生産性とは違う価値観です。生産性が上がるわけではないけれども、人間が生きていく上で、明らかにプラスと感じられるものを「トク」という俗っぽい言葉で表現しています。

 人間が生きていく上で、明らかにプラスと感じられるものを、生産性と同じくらい価値あるものとして、企業活動の中に位置づけることができれば、単なる雇用率達成ではない、障害者雇用が生み出す豊かさが見えてくると思います。

 

 この「トク」という感覚は、障がいのある人たちとのおつきあいの中から生まれてきます。「何かやってあげる」とか「支援する」とかの上から目線ではない、フラットなおつきあいがあって、ようやく「トク」という感覚がわかってきます。

 短い時間でその感覚を体験できるものとして「すごろくワークショップ」があります。 

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 こういうすごろくゲームを障がいのある人たちと一緒にやります。これをやるだけで、思いのほか、お互いいい関係ができます。

 昨年暮れ、青葉区役所の人権研修会でこれをやりました。人権についての抽象的な話ではなく、人権問題の当事者と実際に楽しくつきあってみよう、ということでこれをやったのです。短い時間ですごくいい出会いがありました。
 

pukapuka-pan.hatenablog.com

 

 障害者雇用の前に、こういうことを企業の中でやると、すごくいいきっかけ作りになると思います。

 青葉区役所での人権研修会は映像の記録を撮り、もうすぐプロモーションビデオができます。ホームページ上に公開しますので、やってみたい企業がありましたら連絡下さい。045−453−8511  もしくはinfo@pukapuka.or.jp  担当:高崎

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