今年はぷかぷかが始まってなんと10年になります。なんだか、あっという間の10年でした。え?もう10年?という感じ。
しっかりした事業計画があったわけでもなく、本当に行き当たりばったりの、頼りない運営でした。それでも、今、すごい広がりが生まれていて、これはなんだったかなぁ、と考えています。
それはやっぱり、障がいのある人たちに惚れ込み、
「彼らとはいっしょに生きていった方がいいよ」
「その方が絶対トク!」
と、様々な形で、しつこく言い続けてきたことだろうと思います。
いろいろ苦しいときがあっても、ここの部分だけはぶれなかったこと。そこが大きいと思います。
「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいい」
を様々な形で発信し、それに共感する人が少しずつ、少しずつ増えてきました。
そしてそれを一番支えたのが、ぷかぷかさんたちのありのままの姿の魅力だったと思います。
「社会にあわせるのではなく、ありのままのあなたが一番すてき」
という人間観であり、価値感です。障がい者は社会にあわせないとだめ、という価値観が蔓延する社会の中で、
いや、そうじゃない、
「ありのままのあなたが一番すてき!」
という人間観、価値観は、当事者、家族の方はもちろん、社会にあわせることが優先し、自分を見失いかけている多くの人を楽にする画期的なものだったように思います。
何よりもそれを前面に掲げることで、ありのままの彼らの魅力に出会ったたくさんの人たちが、ぷかぷかさんのファンになりました。
「障害者はなんとなくいや」「近寄りたくない」という人たちの多い世の中にあって、「ぷかぷかさんが好き!」というファンができたことは、全くの想定外でした。ファンができたことは、いままでにない新しい気づきを生みました。
「ぷかぷかさんたちは、社会を耕し、社会を豊かにする存在」
という気づきです。
「いっしょに生きていくことの意味」
が、更に明確になったように思います。
いろんなことができないとか、生産性が低いとか、何かとマイナスの価値で語られることの多い障がいのある人たちが、ぷかぷかではプラスの価値で語られるようになったのです。
まさに「いっしょに生きていった方がトク!」なのです。
そういった今までにない新しい価値を作り続けてきたこと、それがぷかぷかの10年ではなかったかと思います。
こういった新しい価値が、ぷかぷかの事業展開にはずみをつけました。たくさんの物語が生まれ、『ぷかぷかな物語』という本にまとまりました。今年は更にぷかぷかの10年をまとめる分厚い本ができあがる予定です。心がぷかぷかして、わたしも一歩踏み出そうって思えるような映画も作ります。
ぷかぷか10年目を楽しみにしていてください。
タカサキは今年の4月、なんと71才になりますが、まだまだ元気です。年賀状も、31日になって文房具屋に版木を買いに行き、夕方から彫り始め、晩ご飯もちゃんと作り(ほうとう、無水ナベの肉じゃが、ターサイのオイスター炒め)、そのあと夜中の3時まで彫り続け、今朝もひたすら彫って、昼の3時頃完成。きちんと下書きを書いて彫るわけでもなく、どこまでもテキトーなので、途中で、ひっくり返した文字がどうなるのかよくわからなくなることが度々あって、こりゃだめかな、と思いつつ、下書きなしで彫る文字は限りなく自由で、楽しくて、今年もなんとか完成しました。
「ことしも はしる」です。71才にして、尚も走る。老後はのんびり、どころか、ぷかぷかを始めてからはずっと走ってきたように思います。走って走って、今年は何が生まれるのか、すごく楽しみです。