ぷかぷか日記

でんぱたスタッフからこんにちは

はじめまして。

わたしは5月から「でんぱた」で働きます。

ついこの前まで、わたしは障がいのある方の通所施設で20年近く働いていました。

わたしは、そこで働く利用者さん(そこでは障害のある皆さんをそう呼んでいます)のことが大好きです。

わたしは彼らがとても素敵だと感じていました。

とても豊かであると感じていました。

彼らのことを多く人に伝えたい、想いをともにしたいという強い気持ち(欲求)を持ちながら、

でもそういった想いを人に伝えたり共有することの難しさを感じながら(悩みながら)そこで働いてきました。そして、わたしなりに想うところがあって、「でんぱた」というあたらしい生活介護事業所に関わることになりました。

 

でんぱたがスタートします。

ここでなにかが生まれ、なにかが動きだす。

そのことにわたしはとてもワクワクしています。

でもその前に少しだけ、障がいのある方たちとともに過ごしてきた、わたし自身の振り返りというか整理をしたいなあと思うのです。

そしてここから、仲間とともに後ろではなく前を向いてすすんでいきたいと思っています。

これを読んでいただいた皆さまには、わたしが「でんぱた」をやりたい!と想ったその想いのようなものを、少しでもお伝えできると嬉しいです。

 

わたしは20年近く最重度といわれる障がいのある方の通所施設の職員をしていましたが、その間にたくさんの利用者さんの受け入れをしてきました。新たな仲間として迎え入れる出会いの喜びもたくさん経験しました。

しかし、「そこに入りたい」という切実な想いを全部、叶えることができたわけではありません。ご本人も親御さんもギリギリの状態のなかで、そこに入ることを切望されていたご家族の涙を私は忘れることができません。

 

その施設のような場所を必要とする人たちはたくさんいます。今後ますますそうなっていくと思われます。ですが、この時代において、グループホームも運営するその施設がこれ以上の受け入れをしいていくことが大変であることを、内側で奮闘してきた一人の職員として誰よりもわかっているつもりです。

1人の方を受け入れることは、その方の人生を受けいれることであり、そこには大きな責任が伴います。たった1つの施設が、同時にたくさんの役割を担うことには限界があると感じています。

 

今もこれからも、その施設には、その施設にしか出来ない役割があると思っています。そして今後のことは後輩職員がしっかりやってくれると信じています。

 

そしてわたし自身は、これからはもっと、障がいのある彼らのことを多くの人に伝えたい、想いをともにしたいと思っています。
彼らは、とても変わっていたり人と違っていたりします。特異な才能やとても一途なところ、特殊な能力があったりします。そうやって一般の括りを超えた多様な世界を教えてくれます。
そして、この社会と人の意識のなかに何か足りていないものがあるすれば、

それが何であるかを彼らが教えてくれている。

わたしは一緒にいてそのように感じています。

しかし、そういった想いを人に伝えることは難しいことです。

自分が彼らを豊かと感じるからといって、それを人に押し付けられるものではありません。

(重度の)障がいのある彼らが人に伝える目的で自らを表現することも少ないでしょう。

そしてわたしには彼らのことを豊かな表現で伝えるための武器(技能や才能)がありません。
それでも彼らの豊かさを人に伝えたい、ともにしたい。

まだ彼らを知らない人が、彼らのことに気がつき、その豊かさに触れてほしい。

 

その施設で働いている時感じていたことですが、私たち職員は彼らのすぐ近くの距離にいるようで、かえって彼らのことが見えづらいところにいるような気がしていました。職員は、いわゆる問題行動を頻繁におこす重度障がい者である彼らと、毎日畑で一緒に仕事をします。でも、そうやって毎日を繰り返すなかで、私たちのなかで薄らいでいってしまう何かがあるように私は感じていました。職員がリスペクトとは逆の感情に支配されてしまっている場面もよく目にしました。

一方で、彼らの笑顔に心が洗われたり、一緒にいるだけでうれしかったり、彼らを好きだったりするのが私たち職員です。そうやって、多くの職員がプラスマイナスの状態の間で揺れ動いていました。

 

職員と利用者という関係性における、支援という行為が繰り返され、彼らと一緒にいるという喜びも薄くなり、でも大好きな彼らと離れることはできず、私たちは苦しみます。

わたしは施設職員として、彼らの本質の光りを、もっと日常的に気がつき、知り、触れることができるような方法や状況をどうすればつくることができるのか、ずっと考えてきました。

意図的に、組織や仕組みとしてどうすればいいのかを、考えてきました。

しかし最近になって、その答えは、もっとシンプルな何かであるような気がしています。

これからは、彼らと一緒に過ごし活動するなかで、そのことを何らかのかたちであらわしていきたいと思っています。

新しい事業所は、野良しごとと手仕事やアートを中心とした、土くさい(私それしかできませんので)

場所にしていきたいと思っています。

そこにいろいろな人に訪れていただけるようにしたい。

そのなかに障害のあるメンバーさん達が自然にいるような場所にしたいなあと思っています。

そこには小さな社会があるような、障害のあるなしに関係なく、いろいろな人が集ってほっとできる、心のあたたまる場所にしていきたいです。

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