ぷかぷか日記

彼らの生み出す価値をどう見せるか、という演出

 先日第一期演劇ワークショップの記録映画を作った宮沢あけみさんがぷかぷかに来ました。久しぶりだったのでいろんな話をしたのですが、NHKのドラマのカメラマンをしていた旦那さんが早期退職した際、退職金を巡って

「タカサキみたいに家をほったらかしにして全部ぷかぷかにつぎ込むようなことは絶対やめて」

と頼んだそうで、笑っちゃいました。私にしてみれば、家をほったらかしにしたのではなく、家のことを忘れてただけというか、ぷかぷかのことで頭がいっぱいで、家のことまで頭が回らなかったということですが、ま、かみさんから見れば同じことですね。

 それでも、あのお金をつぎ込んだおかげで、今のぷかぷかができたことは確かなわけで、あのお金を銀行に預けていれば、何も生まれませんでした。ですから、お金を銀行に預けるというのは、何もそこからは生まれないので、社会の損失なのかも、と思ったりします。

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 ぷかぷかは今までにないたくさんの「新しい価値」を生み出してきました。

 「障害者が作ったものだから買ってあげる」というところに寄りかかるのではなく、「おいしいから買う」商品を作ろうと現場が頑張ってきました。結果、ほかのお店に負けないような商品ができ、パンにしてもお弁当にしても焼き菓子にしても、地域でも評判のお店になっています。

 商品がよく売れるから現場で働くぷかぷかさんたちのモチベーションも上がります。笑顔が増えます。その笑顔を見て、またお客さんが増えるという好循環を生んでいます。

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 ぷかぷかさんたちがデザインした帯をお弁当に巻き付けると、一気に楽しいお弁当になって、お弁当の価値がぐんと上がります。お弁当の価値が上がるだけでなく、障がいのある人たちがいることの意味が、理屈抜きにストレートに伝わります。これは彼らの生み出す価値をどう見せるか、という演出が効いています。

 障がいのある人たちは「あれができないこれができない」「社会の重荷」といったマイナスのイメージが多いのですが、演出の仕方ひとつで、そんなマイナスのイメージを一気に超えるものを創り出すことができるのです。

 ぷかぷかのお弁当を食べた人は、多分障がいのある人たちのイメージが変わります。ぷかぷかさんのファンになった方もたくさんいます。ぷかぷかはお弁当で、障がいのある人たちにとって居心地のいい社会を、少しずつ作っているのです。

 ぷかぷかは設立の時、法人の設立目的として

「障がいのある人たちの社会的生きにくさを少しでも解消する」

ことをあげています。お弁当は、その目的を達成する具体的な方法の一つです。

 

 ぷかぷかは創設以来

「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ」「その方がトク!」

と言い続けています。お店の活動は、そのことの意味を具体的に伝えてきました。お弁当もその一つです。

 彼らといっしょに生きると、私たちの暮らしが豊かになります。お昼に楽しいお弁当、おいしいお弁当に出会えるなんて、暮らしの豊かさそのものです。

 ぷかぷかのお弁当は、障がいのある人たちにとっても、私たちにとっても、とても意味のあることをやっているのです。今までにない新しい価値を作り出すお弁当なのです。

 

 障がいのある人たちは社会にあわせないとダメだなんていわれていますが、ぷかぷかでは社会にあわせるのではなく、そのままのあなたが一番魅力的、といっています。ぷかぷかの心地よさ、魅力は、社会にあわせないそのままのぷかぷかさんたちが自然に作り出したものです。これもまた今までにない新しい価値といっていいと思います。

 日常的にあるこんな一コマがお客さんの心を癒やします。

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 家をほったらかしにして作ったぷかぷかです。でも、そのおかげで今までにない新しい価値を生み出したのですから、ま、よしとしましょうよ、ねぇ、宮沢さん。

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