ぷかぷか日記

タカサキ日記

  • 旅行に行きました
     8月30日、31日に、ぷかぷかのみんなで旅行に行きました。行き先は静岡方面です。メンバーさん、スタッフ合わせて今年は45人もの大所帯でした。集合場所の地区センター前の広場にわらわら集まったみんなを見ながら、ぷかぷか設立当初(メンバーさん10人、スタッフ7人)にいた元スタッフは、ちょっとびっくりという感じでした。私自身、4年前はこんなにたくさんの人たちと一緒に旅行に行くなんて想像もしませんでした。  なんにもないところから始まって、今こうして45人もの人たちが一緒に旅行に行くような関係ができたこと、このあたりが本当におもしろいですね。歴史というのはこんなふうにダイナミックに変わっていくのだと思いました。   45人の中にはスタッフの子どももいます。以前は仕事場に子どもが来ることはよくないことという雰囲気がありましたが、子どもに親の働く姿、特に障がいのある人たちと関わる姿は見せた方がいいと思い、昨年の旅行からは子どもも一緒に参加していいことにしました。子どもたちに小さな頃から障がいのある人たちに関わる機会を提供することは、とても大事なことだと思います。ぷかぷかの大事にしているメッセージ「障がいのある人たちと一緒に生きていった方がいいよ」を、子どもなりに共有して欲しいと思っています。そして子どもたちが大きくなって社会を担うようになったとき、そのメッセージを社会の中で実現して欲しいと思うのです。  バスの中ではメンバーさんたちはひたすらカラオケでした。歌にはその人の思いが見えます。あ、あの人はこんなことを思っているんだ、こんな思いで生きているんだ、と、ふだん見ることのできないメンバーさんたちの思いにほんの少しふれることができ、お互いの関係がまた少し豊かになった気がしました。  今回の旅は大井川鐵道のSLに乗る、というのがいちばんの目的で、途中立ち寄った観光地は、ついでに立ち寄った感じだったので、余り印象に残りませんでした。それでもメンバーさんたちは仲間と一緒に観光バスに乗ったり、おしゃべりしたり、おいしいものを食べたり、といったこと自体が、すごく楽しかったようです。  私自身はなんといっても大井川鐵道の蒸気機関車に惚れ込みました。「ブォー、ブォー、さぁ、行くぞ!」と、気合いの入った汽笛、「ブァーッ、ブァーッ、ブァーッ」と腹の底まで響くような蒸気の音と共に、古い車両がガタンと音を立てながらゆっくり動き出す様は、なんとも人間くさくて、もうしびれましたね。  蒸気機関車も機械ですから、「一生懸命」といったことはあり得ないのですが、それでもその「一生懸命さ」を感じさせるところがすごいと思いました。昔の機械は侮れないですね。メンバーさんの中の鉄道ファンと一緒にまた大井川鐵道に乗りに行こうと思いました。   メンバーさんの楽しそうな笑顔はぷかぷかの財産です。 
  • 4歳の子どもを将来「ぷかぷか」で…
     ぷかぷかで働きたい、という方の面談をしました。カフェに何度か食事をしに来た方で、カフェで働いているメンバーさんたちの明るい笑顔に、いつも元気をもらって、また行ってみようって気持ちになるんですよ、とおっしゃってました。  パン教室に来たときも、メンバーさんたちと一緒にパンを作る作業が、本当に楽しくて、とてもいい一日でした、とおっしゃっていました。  料理が好き、ということでしたので、ぷかぷかでメンバーさんたちと一緒に働きませんか?と誘ったところ、え?いいんですか?といいながら、今日面談に来ました。  下のお子さんに軽い障がいがあって、療育センターに週一回通っているのですが、将来、ぷかぷかのようにメンバーさんが笑顔で働いているところで働けたらいいな、って思っています、とおっしゃいました。ご希望があるのでしたら、どうぞぷかぷかに来て下さい、というと、 「え?ほんとですか?わっ!うれしい!」 と、そばにいたお兄ちゃんが 「え?何?どうしたの?」「ねぇ、どうしたの?」 と、しつこく聞くくらいの喜びようでした。  お子さんはまだ4歳。そんな小さな子どもを将来「ぷかぷか」で働かせたい、というお母さん。カフェで見たメンバーさんたちの生き生きと働く姿、笑顔、メンバーさんと一緒にパンを作ったときのなんともいえない楽しさが、そんな思いを生んだのだろうと思います。  十数年先の子どもの進路にわくわくできるお母さんて、すてきだなって思いました。そして何よりもそんな風にぷかぷかを見てる人と出会えたことが、今日の大きな収穫でした。    
  • したたかに生きていくために
     昔、学校で一緒に給食食べながら 「金稼いだら、飲みに行こう。俺がおごるよ」 なんていっていたタクちゃんが、今日、カフェに遊びに来ました。4年ぶりの再会でした。今日は作業所の所長、仲間二人といっしょにやってきました。 「おう、タカサキ、元気か?」 なんていったりして、相変わらず生意気な口ききながらも、本当にかわいいやつです。かわいくてかわいくて、頭抱えてぐりぐりしてやりました。  カフェはパンが食べ放題。食事が運ばれてくる前に、5皿くらい平らげ、びっくりしました。ラタトゥイユの赤い色が口の周りにべっちゃりつき、それを手でぬぐったりするので、余計に口の周りに広がったりして、悲惨な顔になりました。 「ったくしょうがねぇなぁ」 とか言いながらティッシュで拭いてあげたのですが、学校にいた頃と全く変わらず、こうやって周りの人たちに顔を拭いてもらいながら、したたかに生きているんだなと思いました。  思わず拭いてあげたくなるような雰囲気を作ってしまうって、人の手を借りながら生きていくためのしたたかな能力ですね。   「ところで、学校で一緒に給食食べながら、お金稼いだら赤提灯に飲みに行こう、俺がおごってやるよ、って言ったの覚えてる?」 「ああ、覚えてるよ」 「え?すごいじゃん、そんなこと覚えてるの?」 「ああ、覚えてる」 「作業所で働いて、しっかり稼いでいるみたいだし、赤提灯、行こう!」 「………」 「ん?よく聞こえないよ」 「………」 「ん?なんだって?」 「じゃぁ、帰るから」 と、さっさと席を立ったのでした。
  • ソーシャルビジネスー2
     先日朝日新聞の記者が、ソーシャルビジネスについて取材に来たことを書きました。就労支援の事業をビジネスとしてやるメリットは?と聞かれ、 1,市場で売れるものを作るので、クオリティの高いいいものを作ることができる。(当たり前のことですが、市場で売れるかどうかは、品物がいいものであるかどうかで決まります。) 2,いいものを作ると、売り上げが伸び、利用者さんの仕事のモチベーションが上がる。 3,ビジネスという本物の仕事をすることで、仕事が楽しくなり、利用者さんの人生が充実する。 4,利用者さんが楽しく仕事をする様子を見て、お客さんが増える。 といったことをあげました。    日々、売り上げを増やすにはどうしたらいいかを考えているのですが、売り上げを増やすことはお客さんを増やすことです。お客さんが増えるということは、お店に来て障がいのある人たちと出会う人が増えるということです。  NPO法人ぷかぷかの設立目的は「障がいのある人たちの社会的生きにくさ(社会的な課題)を少しでもなくしていく」ために「街の中に障がいのある人たちの働くお店を作る」ということでした。それは、彼らの生きにくさは、彼らのことをよく知らない、ということから生じている、と考えるからです。街の中に彼らの働くお店を作ることで、街のたくさんの人たちに彼らと出会ってほしいと思いました。  お店に来るお客さんが増えることは、障がいのある人たちと出会う人たちが増えることであり、それはそのまま、社会的な課題が少しずつ解決していく、ということにつながっていきます。  ビジネスがうまくいき、売り上げが増えることが、そのまま法人設立の目的である社会的課題の解決につながる、というのは、ソーシャルビジネスそのものです。    もう一つ。今日、たまたま区役所から、先日の霧ヶ丘第一小学校跡地の利用についてのヒアリング内容の確認のメールがありました。  「事業内容」「事業方式」「地域貢献」の三つの項目があって、「地域貢献」の項目には「アートスペースの地域開放は可能」とだけ書いてありました。そういうことは確かにしゃべったのですが、いちばんの地域貢献は、お店を地域に出すことで、障がいのある人たちと地域の人たちの出会う機会を提供することではないかと思っています。  彼らと出会うことは、心が豊かになることだと思います。地域の人たちの心が豊かになることは、立派な地域貢献ではないかと思うのです。「アートスペースの地域開放」といったことよりも、もっと深い意味を持った地域貢献です。    先ほど、ぷかぷかの売り上げが増えることは、NPO法人の設立目的の社会的課題の解決につながる、と書きましたが、売り上げが増える、お客さんが増える、彼らと出会う地域の人たちが増える、それはそのまま地域貢献にもつながります。  となると、就労支援の事業をビジネスとしてやるメリットは、先に挙げた4つに加え、社会的な課題が解決していく、地域貢献にもなる、ということ考えると、まさに一石六鳥のずいぶんお得感のあるソーシャルビジネスをぷかぷかはやっているんだと思いました。
  • すばらしい食べっぷり
     毎日のようにぷかぷかのパン屋にやってくる子どものお客さん。たいていクリームパンですが、今日はチョココロネ。あまりの食べっぷりにIphoneで撮り、Road Moviesで簡単編集。子どもたちに見せたら大喜びでした。こういう食べっぷりを見てると、ただそれだけで幸せな気持ちになります。 [http://]
  • こうやって回り道するのが
     ナベさんの実習が終わり、今日はその反省会。実習は5日間。毎日場所を変え、いろいろな仕事を体験しました。初日はカフェ、2日目はパン屋、3日目はお惣菜の厨房、4日目は工房でラスク作り、5日目はアートの実習をしました。毎日仕事が違うので、とても新鮮な5日間だったようです。  いちばん楽しかったのはパン屋。いちばん辛かったのは工房。でも、その辛かった工房にはちょっとかわいい女の子がいた、とうれしそうに話していました。  実習に来る方はだいたい緊張して、かわいい女の子がいるかどうかなんて、見回すゆとりはありません。それを、仕事は辛かったけど、かわいい女の子がいた、とうれしそうに言うあたり、なかなかの大物だと思いました。  「じゃあ、かわいい女の子もいるので、明日からぷかぷかで働きますか?」 と聞くと、 「いや、明日からはしばらく休みます」 といい、このあたりがナベさんのよくわからないところ。お母さんはここで休んでしまうと出てくるのがおっくうになるので、休ませずに明日から働かせたい様子。  あの手この手で明日から来るように誘いましたが、どうしても休むと言って聞きません。ナベさんはとても頑固です。 「ナベさんの気持ち、よくわかりました。やっぱり実習で疲れているので、明日はゆっくり休みましょう。で、明後日から働く、というのはどうですか?」 「ああ、そうですね。そうします」 と、意外とすんなり乗ってきました。  その1時間後。帰りの会の直前になって、 「あの〜、明日から来ていいですか?」 と、突然言いだし、 「ええ、もちろんいいですよ、どうぞ来て下さい」 こんなことなら最初に、明日から来ます、といえばいいのですが、こうやってぐるっと回り道するのがナベさんなのだろうと思いました。  明日から楽しみです。    
  • 動画っておもしろい
      動画を作るセミナー「百聞は一動画にしかず」に行ってきました。  セミナーを受けたのは、私が動画を作って、それがきっかけで最近元気がイマイチの映像作家ツンさんをなんとか引っ張り上げたいという思いが強かったのですが、そんなことはすっかり忘れてしまうくらいおもしろいセミナーでした。  iphoneのアプリを使うと8回タップするだけで、簡単に動画ができてしまい、びっくりしました。適当に3秒のコマを8コマ撮り、映像の雰囲気と音楽を選択すれば、それだけで24秒の簡単動画ができてしまうのです。映像をたとえばセピア色に変え、音楽をかぶせると、自分が撮った映像とは思えないくらいの作品になります。シナリオと映像がしっかりしていれば、それなりの作品があっという間にできてしまうというわけです。  午後にはグループでシナリオとどういう映像を撮るか話し合い、macbookに入っているimovieを使って作品を作りました。私のグループはコーヒーメーカーがテーマでした。たまたま朝、セミナーが始まる前に出された熱いコーヒーがびっくりするくらいおいしくて、 「え?こんなところ(きれいなセミナールームではなく、倉庫のような雰囲気の会場でした)で、どうしてこんなにおいしいコーヒーが出るの?」 と思ったことがきっかけで、しゃれたコーヒーメーカーを紹介する、というシナリオです。デザイン的にものすごく凝った製品で、そのデザインのすばらしさも伝えたいと思いました。それと倉庫のような雰囲気。iphoneで撮ったので、ピントが合ってなかったり、手ぶれしたりで、いろいろ問題はありましたが、それでも約1分半のおもしろい作品ができました。   [http://]    動画っておもしろい!と素直に思いました。パンのすてきな物語ができたら、パン屋がもっともっと楽しくなる気がしました。  
  • 郵便局で「善光寺!」
     ケンさん連れて郵便局に入金に行きました。お金を預けて待っている間、電車の本を見ていたら、突然「善光寺、善光寺!」と言い、両手を合わせて拝み始めました。たまたま電車の本に新幹線の長野駅の写真が載っていて、それを見つけたケンさん、長野→善光寺と結びつけて、拝み始めたのですが、郵便局の人も、居合わせたお客さんも笑ってしまいました。  ぷかぷかはパン屋です。ふつうのパン屋はパンを売るだけですが、ぷかぷかでは障がいのある人たちが働いています。彼らが働くことで、ぷかぷかはただパンを売るだけでなく、そこからいろんな物語が生まれています。  パンの売り上げを入金しに行っただけなのに、電車の本見ながら突然「善光寺、善光寺!」と大きな声で言いながら両手を合わせて拝み始める、というのはいかにもぷかぷかのメンバーさんらしく、楽しいなと思います。その楽しさを地域の人たちとも少しずつ共有できてきたかなと思っています。言い換えれば、ぷかぷかは地域社会の心を柔らかく耕している、といっていいと思います。  私一人で入金しに行けば、ただ入金するだけで終わってしまいます。おもしろくもなんともありません。でもメンバーさんと一緒に行くと、いつもなんだか楽しいやりとり、物語が生まれます。そこがぷかぷかのおもしろいところだと思います。おいしいパンとおいしい物語のお店です。      
  • つまらない動画ですね
     ぷかぷかのホームページのソフトを作っている会社から動画のセミナーの案内が来ました。うちには動画は関係ないな、と思っていたのですが、そのセミナーで参加者が作った「感動のじゃがりこ物語」が、なんだかおかしくて、そうか、ぷかぷかのパンを使ったこんな短い物語を作れば、ひょっとしたら、お客さんが、こんなどうでもいい、でもちょっと楽しい動画を作るパン屋なんて、よほどヒマなんだ、とおもしろがって来るかも、なんて思ったりしました。  短い動画は作者のセンスが出ます。ぷかぷかのドキュメンタリー映像作家のツンさんは、すばらしい映像のセンスを持っているのですが、最近作る映画はとても難解で、正直なところよくわからなくなってきました。自分の世界にだんだん閉じこもってきたのかなぁ、という感じです。私としては、みんなに伝わるような映画を作ってほしいと思っているのですが、そういう思いがなかなか伝わりません。  で、その動画のセミナーで私が1本短い映画を作ってきて、それをツンさんに見せ、 「つまらない動画ですね」 なんて評価すればしめたもの。 「じゃあ、ツンさん作って下さいよ。ツンさんのすばらしいセンスで、ぜひ!」 となって、センスあふれるすばらしい動画ができれば最高、と思っているのですが、とてもそんな風にうまくはいかない気がします。多分。  以前、3分の軽快なジャズの音楽にぴたっと合わせたすばらしい映画を作ったことがあります。あのセンスで30秒くらいの「感動のぷかぷかパン物語」を作ってくれたら、またおもしろい広がりが出てくるんだけどなぁ、なんて密かに期待しているのです。「よくこんなつまらない動画作るよな、見るに耐えん!」という思いが、ツンさんの創作意欲に火をつけてくれれば、と思っています。  
  • みんな悪意がないんだよね
     第3回目のワークショップがありました。  進行役の「せっちゃん」と、ワークショップの中で、まだまだみんな自由になりきれてないというか、自分を表現しきってないね、といった話をしていて、その仕掛けをどうするか考えていました。そんな中で、コミュニケーションゲームで進行役の「ぱっつん」が、今日はみなさんにいろいろ質問したいと、好きな季節毎に別れたり、好きな野菜ごとに別れたりしていたのですが、「今度は私が質問したい」「僕がします」という人が次々に出てきました。お菓子であったり、漫画やディズニーランドのキャラクターだったりしました。  おもしろかったのは、「げんさん」、「じゅんちゃん」、「ぱっつん」、「あみちゃん」のうち、いちばん好きは人は?、というタケちゃんの質問でした。「げんさん」は自分のお父さん、「じゅんちゃん」はお母さん、「ぱっつん」は進行役、「あみちゃん」はピアニストです。で、どういうわけか「げんさん」は自分を放棄して(?)、ピアニストの「あみちゃん」が好き、というグループに入っていて、みんな笑ってしまいました。  こういう思ってもみない質問がぽ〜んと飛び出すところが、彼らといっしょにやるワークショップの楽しいところです。質問そのものは、なんだか答えにくいなぁ、と思っていたのですが、「げんさん」が「あみちゃん」が好きというグループに入っていた結果がすばらしくおもしろかったと思います。  もちろんタケちゃんはそこまで考えて質問したわけではありません。「あなたはどの季節が好きですか?」の質問は、みんながただ四つのグループに分かれただけでした。でも、あなたは「げんさん」「じゅんちゃん」「ぱっつん」「あみちゃん」のうち、誰が好きですか?という質問は、みんなが思わず笑ってしまうような結果を生みました。ここがおもしろいと私は思うのです。彼らの言葉を丁寧に拾い集め、それを生かす工夫をしたいと思いました。    『森は生きている』のお話を使いながら、その中で彼らの発想をどのように生かすか、そこが今回のワークショップのいちばんのテーマです。  体を使って、物や場所を表現することにはかなり慣れてきましたが、「お話」を作ることにはまだ慣れていないので、今回はパン屋で好きなパンが焼き上がるところを体で表現したあと、そのパン屋に、夜、パンの大好きな巨大なドブネズミが勝手口から入ってきました。さて、どうしますか?というテーマで「お話」を作り、体で表現しました。  おなかいっぱいにして眠らせる、とか、激辛なカレーパンを作って、びっくりさせるとかいろいろなアイデアが出ました。        こんにゃく座のオペラ『森は生きている』の中で、4月の神さまが、冬の神さまたちから1時間だけ時間をもらい、冬のさなかにマツユキソウを咲かすシーンがあります。舞台いっぱいに真っ白なマツユキソウが咲く、思わず「おおっ!」とうなってしまう場面で、マツユキソウを探しに来た娘と4月の神さまがデュエットで歌う歌があります。  「一瞬の今を、千秒にも生きて、このうれしさを胸に、胸に、胸に、きざもう」というところが私は大好きなのですが、この「一瞬の今」をぜひ舞台でみなさんに体験してほしいと思っています。ワークショップはですから、新しい生き方を見つける可能性をも秘めた場でもあるように思うのです。      季節ごとに神様たちが集まり、森にやってきたわがままな女王たちをどうやってやっつけるかという作戦を練ってもらいました。進行役サイドの話の投げかけ方にも問題はあったのですが、物語にするにはかなり物足りない気がしました。    「やっつける」という気持ちがなかなか見えないというか、はっきりしない感じでした。  そのことについて、今回のワークショップのあとの反省会でピアニストのあみちゃんが 「みんな、悪意がないんだよね」 とぼそんと言い、だから、女王をやっつける、などという、いわば悪意の上に成り立つ物語が作りにくいのではないか、というのです。  「森は生きている」の物語をなぞってみようと、みんなで簡単な芝居をやったとき、わがままの女王と並ぶわがままな王様をやったコンちゃんは、娘から取り上げた大切な指輪を、娘から返却を要求されると 「いいよ」 と簡単に返そうとします。物語がよくわかっていない、ということはもちろんあるのですが、本質的にはやはり「悪意がない」ということなんだろうと思います。人が大切にしている物を取り上げてしまうとか、返さない、といった悪意ある発想がないのではないかと思うのです。  ふだん彼らと接する機会のない「あみちゃん」の新鮮な感想は、彼らの本質を突いていると思いました。  悪意のない彼らと、どうやって悪意ある物語を作っていくのか、またまたむつかしい問題が見えてきました。              
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