ぷかぷかさんたちが社会に必要な理由が、また一つ加わった気がします。
第5期5回目の演劇ワークショップがありました。 ほら熊学校の校歌を歌いましたが、 歌いながらあらためて なんでもいいから いちばんになれ なんでもいいから いちばんになれ なんでもいいから いちばんになれ ということばが目指す世界のむなしさを思いました。はじめはこのことばを超えるものをぷかぷかさんと一緒に作りたいと思っていましたが、彼らといっしょにワークショップをやっていると、なんだかムキになって作るほどのものでもないように思えてきました。 一番のきっかけは3回目のワークショップでした。そのときのブログにはこんなふうに書いています。 歌詞に「なんでもいいからいちばんになれ」とあるので、「大金持ちになるには、どうしたらいいか」を提案しました。「大金持ちになる」というのは、すごくわかりやすいと思ったのです。 ところがその目標に興味を持った人はほぼゼロでした。もっとほかのことで一番になりたいというのです。お金こそ一番価値があり、みんな共感してくれると思っていた私の浅はかさに、初っぱなから気がついたというわけです。 生産性はお金をどれだけ生み出すか、で測られます。お金こそ一番の価値であると社会のみんなが思っているからです。でも、ぷかぷかさんはそうじゃありませんでした。世の中、もっと大事なもの、大事にすべきものがあるんじゃないか、って。「大金持ちになる」という提案を、全然興味ないよ、っていわれて、あらためてぷかぷかさん達が提案する「価値」にこそ耳を傾けようと思いました。 南青山で児童相談所の建設に反対する人たちは「土地の価値が下がる」などといってますが、なんだかなぁ、とむなしくなります。なんでもいいからいちばんになれ、と、がんばってきた人たちのことばです。彼らは何を守ろうとしているのでしょう。何を大事にしようとしているのでしょう。 そういう価値観とは全く関係ないところで生きているぷかぷかさんたち。だから彼らの周りには、ホッとするような空気感にあふれているのだと思います。 舞台では目の青いミツバチたちが、「なんでもいいからいちばんになれ」というほら熊学校の方針とは全く関係なく、ぶ〜んと飛び回っています。 この目の青いミツバチこそ、「なんでもいいから いちばんになれ」と追いまくられている社会にあって、マイペースで生きるぷかぷかさんたちではないかと思います。 「こんなに素直に生きてていいんだ、と気づくことができました。」 は、ぷかぷかさんといっしょに演劇ワークショップをやった学生さんの感想です。ほんの1時間程度のワークショップでしたが、学生さんはぷかぷかさんと出会い、自分の人生を振り返る機会になりました。 南青山の人たちも、ぷかぷかさんのような人たちと出会う機会があれば、もう少しちがうことばが出てきたのではないかと思います。 ぷかぷかさんたちが社会に必要な理由が、また一つ加わった気がします。 演劇ワークショップの発表会は来年1月27日(日)午後2時からみどりアートパークホールで開かれる「表現の市場」で行います。