ぷかぷか日記

日経ソーシャルイニシアチブ大賞

やっぱり社会は障がいのある人たちが必要

 日経ソーシャルイニシアティブ大賞に今年も応募しました。今日締め切りで、先ほどメールで送りました。

 以下の三つの要件を満たすように書いていったのですが、まとめとして、やっぱり社会は障がいのある人が必要、ということが見えてきました。

 

1. 社会性  社会的課題の解決を事業のミッションとしている

2. 事業性  ビジネス的手法を用いて継続的に事業活動を進めている

3. 革新性  新しい事業モデルや社会的価値を創出している

 

 問題となるのは「社会性」と「革新性」です。ここが一番評価されます。書くのに一番むつかしくて、一番楽しいところです。今年は少し切り口を変えることで、ぷかぷかがやっていることを再評価できたように思います。

 「事業性」については、日々の「ぷかぷか」の活動そのものなので、あらためてここでは書きません。

 ちょっとびっくりしたのは「直近1年間のトピックについて」という項目で、あらためてこの1年、ずいぶんいろいろなことをやってきたんだなぁ、と思いました。

 

社会性について

事業の目的:障がいのある人たちが生き生きと働ける職場を作る。

ミッション:障がいのある人たちと一緒にお互い気持ちよく生きていける社会を実現する。 

解決を目指す課題:障がいのある人たちの社会的生きにくさ

 

 障がいのある人たちは「理解力が低い」「仕事が遅い」「なに考えているかわからない」といった理由で社会の中で疎外されることが多い。このマイナス方向の評価が障がいのある人たちの社会的生きにくさを生んでいる。この問題の解消のためには、障がいのある人たちに対するマイナス評価を超えるプラス方向の評価を作り出すことだと思う。「ぷかぷか」がやってきたことは、事業を運営していく中で彼らに対するプラス評価をたくさんのお客さんと共有してきたことだと思う。 

 障がいのある人たちが社会の中で生きにくいとき、いいかえれば社会の中で受け入れる人間の幅が狭くなるとき、私たちもまた窮屈になり、生きにくい社会になる。障がいのある人たちを排除する社会は、だんだん豊かさを失っていく。いろんな人がいること、それが社会の豊かさだからだ。彼らが生きやすい社会は、誰にとっても生きやすい社会であり、それが社会の豊かさといえる。「ぷかぷか」はその豊かさを社会に取り戻そうとしている。

 「ぷかぷか」は「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ」というメッセージを、日々ホームページやFacebookページ、ぷかぷかしんぶんなどで発信し続けている。このメッセージは、「ぷかぷか」代表の高崎が養護学校で教員をやっているときに、知的障がいの人たちに惚れ込んでしまい、「彼らと一緒に生きていきたい」「一緒に生きていった方が得!」と思ったところから始まっている。

 「一緒に生きていった方が得!」と思ったのは、障がいのある人たちにとても豊かなものを感じたからだ。もちろんいろいろできないことがあったり、問題を抱えていたりすることも多い。でも、それらを超える豊かなものを彼らは持っている。彼らとおつきあいすることは、私たち自身の人間の幅を広げ、人生を豊かにすることだ。

 定年退職後、街の中に彼らの働くお店を立ち上げたのは、彼らと一緒に生きていきたいと思ったことと、街の人たちに素敵な彼らに出会って欲しい、彼らの持つ豊かさに出会って欲しいと思ったからだ。それはそのまま「プラス方向の評価」をたくさんの人たちと共有することであり、彼らの社会的生きにくさの解消につながっていく。

 実際に彼らの働くお店を開くと、パン屋、カフェ、お惣菜屋など、にぎやかで、それでいてホッとする雰囲気の中で彼らと出会い、「ぷかぷかが好き!」という人がどんどん増えてきた。福祉事業所を応援する、というのではなく、単純に「ぷかぷかが好き!」なのだ。障がいのある人たちの魅力に出会ったということだろう。「ぷかぷかが好き!」という言葉は、彼らへの素直な「プラス評価」だ。「今までなんとなく嫌だなって思っていたけど、彼らのことを知ると、なんだか素敵な人たちね」とお店で彼らと出会った人たちは言う。

 「なんとなく嫌だ」が「ぷかぷかが好き!」に変わったことはとても大きな変化だ。障がいのある人たちの社会的生きにくさを生んでいる彼らへの「マイナス評価」が、お店に来ることで「プラス評価」に変わったということだ。

 「ぷかぷか」は障がいのある人たちが生き生きと働くことのできる場を運営しながら、障がいのある人たちに「プラス評価」をするお客さんを増やし、地域社会を少しずつ豊かにしている。

 

 

革新性について

 空気を読んだり、まわりに合わせることばかり考える社会は息苦しく、窮屈きわまりない。知的障がいのある人たちは、空気を読むことも、まわりに合わせることもあまりしない。そういったものからとても自由。「ぷかぷか」は、そんな彼らが、ありのままの自分でいられる場所になっている。そして、ありのままの彼らを、利益を生み、社会を豊かにする「新しい価値」としてうまく事業に取り入れている。

 「ぷかぷか」のスタッフは、障がいのある人たちと「一緒に生きていく」というスタンスを取っている。だから彼らに対し、管理的な立場は取らない。彼らが「ぷかぷか」でありのままの自分でいられるのは、そこから来ている。

 ありのままの彼らを大事にしたいので、接客マニュアルは使わない。それを使うと「彼ららしさ」がなくなるからだ。マニュアルがないので、決してうまいとはいえない接客だが、一生懸命さだけはしっかり伝わる。みんなの思いがお客さんの心にストレートに届く。それがお客さんにとって、とても心地いい。

 お店に来て、ありのままの自分で働く彼らの姿を見ると、「なんて自由な人たちなんだ」と心が癒やされるお客さんが多い。社会がだんだん窮屈になり、その息苦しさの中で、ふっと出会った彼らのとんでもない自由さととびきりの笑顔。ホッとして体の力が抜けたのだろうと思う。救われた気持ちになった人も多い。そうやって「ぷかぷかが好き!」「ぷかぷかのファンです」という人が増えていった。

 障がいのある人たちは、社会に合わせることを求められることが多い。そうしないと社会の中で生きていけないと思われているからだ。「ぷかぷか」では、彼らを社会に合わせるのではなく、彼らに社会を合わせようとしている。だから「ありのままの彼ら」を大事にし、それで仕事をしてきた。結果、「ぷかぷかが好き!」「ぷかぷかのファンです」というお客さんが増えてきた。

 「ありのままの彼ら」が収益を生み、お客さんに豊かなものを提供している、ということだ。これは今までなかった「新しい価値」と呼んでいいと思う。みんなの心をぽっとあたたかくする「新しい価値」。息苦しさの増す今の社会だからこそ、両手で包み込みたいほどに大事にしたい「新しい価値」だと思う。

 社会はだから、障がいのある人たちを必要としているのではないかと思ったりする。彼らの作り出す「あたらしい価値」は、息苦しさの増す今の社会を救う手立てを示しているのかも知れない。

「ぷかぷか」に彼らがいなかったら、ただのパン屋でしかなく、これほどすばらしい物語は生まれなかった。彼らはやはり社会に必要なんだと思う。

 

 

直近1年間のトピックについて

5-1 みんなでワークショップ

ぷかぷかで働く障がいのある人たちと地域の人たちで演劇ワークショップをおこない、その記録映画ができあがって5月に上映会をおこなった。

記録映画を見た人たちの感想。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/05/24/020839

2015年9月からスタートした第2期みんなでワークショップ

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/11/25/002448

 

5-2  大きな絵地図が区役所のロービーに飾られることになった。

緑区民まつりで地産地消のブースを「ぷかぷか」がデザイン、制作し、テントの横に地産地消サポート店の大きな絵地図を描いて展示した。その絵が高く評価され、緑区役所のロビーに飾られることになった。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/10/18/234919

 

5-3 人権研修会

緑区役所で人権研修会があって講師を頼まれ、ぷかぷかで働く障がいのある人たちも講師になって参加。今までにない画期的な人権研修会になった。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/12/23/013407

 

5-4 プロモーションビデオ

ぷかぷかのプロモーションビデオを作ることになった。ぷかぷかの宣伝というより、ぷかぷかのほっこりしたあたたかさを社会に広げるようなプロモーションビデオ。「一緒にいると、心ぷかぷか」がタイトル。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/12/24/011608

 

5−6 読売福祉文化賞

演劇ワークショップが読売福祉文化賞を受賞した。多様な文化の発信が評価された。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/12/10/001827

 

5−7 未来を豊かにする子どもたち

パン教室は未来を豊かにする子どもたちを育てている。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/12/06/231742

 

5-8 子どもたちにオペラをプレゼント

子どもたちの心を豊かにしようとオペラをプレゼントした。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/07/20/001020

 

 

 

日経ソーシャルイニシアティブ大賞

social.nikkei.co.jp

 

 

 

 

 

 

 

こういうことこそが新しい福祉を作っていく

日経イニシアティブ大賞2016の募集がありました。

social.nikkei.co.jp

応募の条件は以下の三項目です。

 

1. 社会性  社会的課題の解決を事業のミッションとしている

2. 事業性  ビジネス的手法を用いて継続的に事業活動を進めている

3. 革新性  新しい事業モデルや社会的価値を創出している

 

 なかなか手強い項目です。2年続けて落選していて、これにチャレンジするだけの新しい視点も見当たらず、今年はもうやめようかと思っていました。正直なところ、かなりしんどかったのです。

 ところが昨日パン教室の話を書きながら、「社会は障がいのある彼らが必要なんだと思います」という言葉を見つけ、そうか、今年はこれでチャレンジしてみようかと、ふと思ったのです。(全く懲りない人だと自分であきれています)

 「ぷかぷかが好き!」という人たちは、「ぷかぷか」にしかない新しい「価値」を見つけたんだと思います。その「価値」を軸に据えた「ぷかぷか」は新しい事業モデルになるのではないか、という仮説を展開しようというわけです。その仮説の展開の先には「社会は障がいのある彼らが必要なんだと思います」が来ます。

 ま、これも書いてみないと、どんなふうに話が展開するのか、なんともわからないのですが、あえてこうやって公表することで自分にプレッシャーをかけます。

 

 福祉事業所が、こういうことにチャレンジすることに意味があると思っています。三項目と向き合うことで自分が磨かれます。どの項目も福祉事業所が今まで取り組んでこなかったことだと思います。でも、こういうことこそが新しい福祉の世界を作っていくのだと思います。

 

 締め切りは1月31日。また寝不足の日が続きそうです。

 

こういう人は社会に絶対に必要だと思うのです。

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お金が創り出す新しい価値

 2年ほど前、日本財団のセミナーで、団体に助成金を出す時は、助成金を出すことで、その何倍もの新しい価値をその団体が生み出すかどうかをしっかり調査するという話を聞きました。たとえば100万円の助成金を出したとき、100万円以上の新しい価値を生み出すかどうかが、判断の材料になるというわけです。100万円出して、100万円の価値しか創り出せないようなところには助成金を出さない、助成金は返さなくていい代わりに、助成金以上の新しい価値を創り出しなさい、というわけです。

 お金の使い方について、目が覚めた思いがしました。お金はその使い方次第で、何倍もの新しい価値を生む、ということに情けない話、はじめて気がついた、というわけです。

 そういう考え方を以前はしていなかったので、ぷかぷかを立ち上げる時、資金面でとても苦しい思いをしました。どこからも援助がなかったので、自分ですべて工面しました。ほとんどは自分の退職金です。

 ぷかぷかを立ち上げる計画は自分で言い出したことなので、退職金を使うことも、しょうがないなぁ、と考えていたのですが、実際に設備費934万円、改修工事費1,345万円、あわせて2,279万円と、見積書が上がってくると、退職金がほんとうに全部飛んでいくんだ、とじわっと冷や汗が出てきました。

 当時はこのお金を使うことで、何倍もの価値あるものが生まれる、といった考え方は私の中にありませんでした。「投資」をする(明るい未来を創るためにお金を使う)ことの意味が全くわかってなかったとも言えます。パン屋が絶対にうまくいく、という自信もなく、「下手するとお金はもう戻ってこないかも」と思っていました。

 それでも、前へ進むしかありませんでした。明るい展望のないまま、前へ進むのは本当に辛いことでした。でも、前へ進まなければ、展望も開けません。

 自分の家に、一銭も入れないまま、先がはっきり見えないことに大金をつぎ込むことは、二重にしんどいことで、この頃の精神状態は最悪でした。

 そんな私を救ってくれたのは利用者さんのひとことでした。

 今まで何度か書いたのですが、ぷかぷかを立ち上げて2年目、どんな時にどの程度の介護が必要か調べる介護認定調査がありました。

 「最近どうですか?」のケースワーカーさんの質問に「以前はうつむいていましたが、今はまっすぐ前を向いて生きています」と応えた利用者さんのひとことは、ぷかぷかでの仕事が利用者さんの人生を支えるほどのものになっていることに気づかせてくれました。視点を変えると、ぷかぷかに注ぎ込んだお金が創り出している新しい価値というものに気づいた、ということでもありました。

 知的障がいのある人には単純作業が向いている、などといわれることがまだまだ多い世の中にあって、彼らの人生を支えるほどの仕事が創り出せたことは、ほんとうに価値あることだったと思います。毎日毎日同じ仕事を繰り返し、みんなうつむいて仕事をしている福祉事業所が多い中で、利用者さんたちが笑顔になれるような仕事を創り出したことは、新しい価値ある仕事を創り出したといっていいと思います。

 

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 自分がぷかぷかに注ぎ込んだお金が創り出している新しい価値というものに、その利用者さんのひとことがきっかけでようやく気づきはじめた、というわけです。以来、そういう視点でぷかぷかを見てみると、たくさんの新しい価値=物語をぷかぷかは創り出していました。日経ソーシャルイニシアティブ大賞に応募できたのも、そうやって創り出した新しい価値のおかげです。

 

pukapuka-pan.hatenablog.com

 

 お金が生き、様々な新しい価値を生み出している日々は、そのままぷかぷかが成長している日々だなと思います。

 

 

  

 

 

 

 

日経ソーシャルイニシアチブ大賞

 日経ソーシャルイニシアチブ大賞の原稿を書き上げ、先ほど送りました。疲れましたが、楽しい作業でした。ぷかぷかがやっていることをあらためて見直すいい機会になったと思います。

 以下、原稿載せます。またいろいろご意見いただければうれしいです。

 メールアドレスは pukapuka@ked.biglobe.ne.jp

 

社会性について

1−1,事業の目的

  障がいのある人たちの就労支援

1−2,ミッション

 ①障がいのある人といっしょに、街の人たちみんながお互い気持ちよく生きていける社会を実現する。②健康な命を未来に引き継ぐ。

 

1-3,解決を目指す社会的課題

(1)知的障がいのある方には、できないことがいろいろある。人との関係がうまく作れないとか、場の雰囲気が読めないとか、お金を上手に使えないとか、ひとりで生活できないとか、普通の人が普通にできることが、同じようにはできない。そのため、生産性を求められるところでは、普通の人と同じように仕事はできないとして、なかなか仕事をさせてもらえない。そのため、障がいのある人たちの一般就労、社会参加はとてもむつかしい。

(2) 障がいのある人たちと日常的におつきあいする機会がないと、彼らに対し「なんとなくいやだ」「怖い」「何するかわからない」といった先入観,偏見を持ってしまう。その先入観、偏見は彼らを地域社会から締め出してしまう。彼らを地域社会から締め出してしまうとき、私たち自身も地域社会で窮屈な思いをして生きることになる。許容できる人間の幅が、彼らを締め出した分、狭まるからだ。

 

1-4 社会的課題をどう解決するか

(1)「ぷかぷか」は障がいのある人たちの日々を支えるものとして「仕事」を考えている。だから売れても売れなくてもいいようなものではなく、きちんと売れるパン、街の中で勝負できるくらいのおいしいパンを作ってきた(ビジネスとして事業を展開)。そういう本物の仕事を彼らに提供することで、彼らは本気で、真剣に仕事をしている。彼らのそんな働きに、ぷかぷかは支えられている。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/01/24/230747

(2)障がいのある人たちへの「先入観」「偏見」をなくすには、彼らとおつきあいする機会を作ることがいちばんいい。ぷかぷかはそのために障がいのある人と街の人たちが出会える場として、パン屋とカフェを街の中に作った。パン屋はいつもにぎやか。このにぎやかさがいい、というお客さんがたくさんいる。パン屋、カフェに来ると、なぜかホッとするというお客さんも多い。おいしいパンを作ることで、お客さんは徐々に増えている。お店に来るお客さんが増えるということは、彼らと出会う人が増えるということで、それはそのまま社会的課題の解決につながっている。

 

1-5,サポートしている人数 現在ぷかぷかを利用している障がいのある人は35名。

 

事業性について

2-1 事業の実績

(1)利用者数の増加 2010年4月、就労継続支援A型事業所としてスタート。パン屋「カフェベーカリーぷかぷか」とカフェ「ぷかぷかカフェ」を運営。利用者数10名、スタッフ7名。2011年7月,就労継続支援B型事業所に変更。利用者数17名、スタッフ11名。2014年6月、お惣菜屋「おひさまの台所」オープン。定員30名、スタッフ20名。2015年2月、「アート屋わんど」オープン。定員40名。スタッフ25名

(2)情報発信 ●手作りのホームページ(http://pukapuka-pan.xsrv.jp)は《障害のある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ》というメッセージを様々な形で発信している。現在アクセス数は72,000を超え、1日のアクセス数は100を超える。ブログhttp://pukapuka-pan.hatenablog.comのアクセスは更に多く、多い日は1日250を超える。

(3)取材 2014年8月にはソーシャルビジネスの先駆的事例として朝日新聞の取材を受けた。http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2014/08/06/191927

   http://pukapuka-pan.xsrv.jp/index.php?朝日新聞ソーシャルビジネス

   http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2014/08/27/213257

 

(4)イベント 社会的な課題解決のために、地域の人たちとの関係を深めるために月一回、ぷかぷかの利用者さんと地域の人がいっしょになってパン教室をやっている。今まで42回実施し、地域の方の延べ参加人数は500人を超える。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2014/09/21/150218

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/01/18/021138

http://pukapuka-pan.xsrv.jp/index.php?パン教室

 

2-2 事業の規模 現在利用者35名、スタッフ25名。店舗3軒、事務所兼工房1軒。

 

2-3 収支状況 昨年度売り上げ 約7,160万円(就労支援事業収益2,060万円、福祉サービス収入5,100万円)

 

2-4 成長率 平成25年度就労支援事業収益 約2,060万円。平成24年度就労支援事業収益 約1,460万円。成長率(前年比) 141%

 

 

革新性について

3-1 モデルの特徴

 モデルとして毎週木曜日の昼休み、パンの外販に行っている瀬谷区役所をあげる。ここは始めた当初売り上げは4,000〜5,000円だったのが、5年たった今、時々5万円を超えることもあり、売り上げが10倍になっている。これはパンがおいしいことはもちろんあるのだが、スタッフだけでは多分これだけののびは達成できなかったと思う。どうしてこんな驚異的な伸びが実現できたのか、その理由と意味を考えてみたい。

3-2 ハイタッチで始まるパン屋

 外販はスタッフ1名、利用者さん4名でおこなっている。お客さんの何人かは、やってくるとまず顔見知りの利用者さんと「やぁ!」と楽しそうにハイタッチする。パン屋でお客さんがお店に来て店員とハイタッチするなんてことは、普通はあり得ない。これは、お客さんとぷかぷかの利用者さんがどういう関係であるかを明確に物語っている。そんな関係が売り上げの大幅増加を生んでいる。そしてその関係は利用者さんの魅力によってできた関係だ。

3-3 ここには社会の希望がある

 毎週木曜日、彼らのにぎやかな声が聞こえると「あっ!来た来た!」とわくわくしながらお店に行きます、と以前語ってくれた区役所の方がいた。「なんとなくいやだ」「怖い」「何するかわからない」といった先入観で地域社会から締め出されることが多い現状を考えると、わくわくしながら彼らと会うことを楽しみにしている人たちがいる、ということは、ほとんど奇跡に近い、と思う。ここには社会の希望がある気がする。

 しかもそれは「ぷかぷか」の側から、利用者さんとのおつきあいの仕方とかをいろいろ説明したわけでもなく、彼ら自身が作ってきた関係だ。これは地域社会から締め出されているという社会的な課題を彼ら自身の手で解決しつつあるということだ。そういう社会の希望といっていいものを地域社会から締め出された彼ら自身が作りだしている。

3-4 地域社会を豊かに

 パンを買いに来たときに、彼らとひとことふたこと言葉を交わす。そのとき、「あ、こんなすてきな人がいたんだ」って気がつき「パンもおいしいし、また行ってみよう」って思った人がだんだん増えて、今のように行列のできるほどのお店になったのだと思う。外販のテーブルの前には毎週木曜日、行列ができる。

 「世の中にこんなすてきな人がいた」という出会いは人生を豊かにする。だから、外販は売り上げをぷかぷかにもたらすだけでなく、お客さんの側にも豊かなものをもたらしている気がする。障がいのある人たちの働くお店が、彼らの働きぶりが、地域社会を豊かにしている、ということでもある。

 

事業者について

4-1,事業団体

 運営主体は「NPO法人ぷかぷか」。障がいのある人たちの社会的な生きにくさを解消することを目的として設立。2009年9月16日神奈川県より法人として認証。2009年9月30日法務局に設立登記。2010年4月1日神奈川県より福祉サービス事業所として指定。

 

4-2, 団体の概要

 2010年4月障がいのある人たちの就労支援事業所としてパン屋「カフェベーカリーぷかぷか」、カフェ「ぷかぷかカフェ」の2店舗を街の中に開く。街の人たちと障がいのある人たちのいい出会いの機会を作りたいと思い、街の中に彼らの働く場を作った。

 2014年6月お惣菜屋「おひさまの台所」開店。2015年2月アートのお店「アート屋わんど」開店予定。

 2015年1月現在、利用者数35名。スタッフ25名。 

「カフェベーカリーぷかぷか」:国産小麦、天然酵母のおいしいパンの製造、販売。牛乳、卵を使わないパンなので、アレルギーの子どもを抱えたお母さんたちにとってはとても貴重なパンになっている。

「ぷかぷかカフェ」:安心、安全な食材を使ったランチ、スィーツのお店。ランチにつくパンはすべてぷかぷかのパン屋で作ったもの。とても好評で、ここでパンの味を知ったお客さんがパン屋に来ている。

「おひさまの台所」:安心、安全な食材を使って命を育てるお惣菜、お弁当を作っている。

 ホームページ、Facebookページ、ぷかぷかしんぶんなどで情報発信。

 

4-3 代表者略歴

養護学校勤務30年の中で、障がいのある人たちに惚れ込み、彼らと一緒に生きていきたいと、退職金をはたいて障がいのある人たちと一緒に働く場「カフェベーカリーぷかぷか」「ぷかぷかカフェ」を立ち上げた。

 商売は全く未経験だったので、1年目は本当に悪戦苦闘の毎日。経営的にもかなり危ない状態だったが、幸いすばらしい経営アドバイザーと出会い、3年目にしてようやく黒字に転換した。

 

4-4,スタッフ 常勤 8名、 非常勤 17名

 

 

直近1年間のトピック

5-1,2014年6月お惣菜屋「おひさまの台所」オープン

 食事は命を育てるもの、という認識で、安心、安全な食材を使い、お客さんが安心して食べられるおいしいお惣菜、お弁当を作っている。今のところ店売りがほとんどだが、いずれは地域のひとり暮らしのお年寄りのニーズを掘り起こし、お年寄り向けに「お話付き弁当」「歌付き弁当」を販売したいと考えている。お話好きの利用者さん、歌好きの利用者さんが配達する弁当だ。利用者さんとお話しすると楽しい。歌も楽しい。ひとり暮らしのお年寄りであれば、楽しい時間を過ごすことができ「またあの人に来て欲しい」という関係が生まれる。障がいのある人たちへの目線が大きく変わってくるだろう。弁当の配達が,ただ単に配達したり、安否確認をする、といったことを超えて、お年寄りの方たちのいい時間を作り出し、地域社会における関係性をも変えていく。

 

5-2,2014年6月〜11月ワークショップ,表現の市場

 地域の方たちと障がいのある人たちとの更にいい出会い、よりクリエイティブな関係を作ろうと、いっしょに演劇ワークショップをやった。月一回集まってワークショップをやり、それを6ヶ月続けて、できあがった芝居をみどりアートパークのホールの舞台で発表した。障害のある人たちといっしょだからこそできるものを芝居の形で表現した。その日は「表現の市場」という形で、様々な表現活動をやっているグループも舞台で発表した。表現の持つパワーにお客さんたちは圧倒され、表現を通して障がいのある人たちにあらためて出会い直した気がした。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2014/11/26/000027

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2014/11/30/152009

http://pukapuka-pan.xsrv.jp/index.php?みんなでワークショップ 記録

 

5-3,2015年2月 「アート屋わんど」オープン予定

 利用者さんの描いた絵を使った、心あたたまるアート商品を販売する。彼らのユニークなアート作品を通して、地域の人たちとの更に新しい出会いを作る。

 壁画隊を作り、注文があれば脚立、刷毛、バケツ、絵の具を抱えて出向き、街の壁に大きな絵を描く。街のあちこちに楽しい壁画が登場すると、街は楽しくなる。藤が丘駅前の大きな自然食品店からはすでに注文が来ているので、手始めにそこで絵を描く。お客さんがたくさん見ている目の前で絵を描くというイベントになる。月一回くらいのペースで絵を描き変える。地元のマスコミに取材してもらい、絵を描いている様子を記事にしてもらう。それを見た方から、うちも描いて欲しい、という注文が来れば仕事が広がっていく。こういう仕事が広がっていけば、障がいのある人たちへの偏見は少しずつ減っていくだろう。これもまた彼ら自身の手による、社会的課題の解決になる。

 

社会的な課題と結論が見えれば…

 日経ソーシャルイニシアチブ大賞を狙って、申請書を書き始めたのですが、「事業の目的」と「ミッション」の違いがはっきりしなくていきなり初っぱなから行き詰まってしまいました。去年は「事業の目的」は「障がいのある方の就労支援」、「ミッション」は「お互い気持ちよく生きていける社会を実現する」と書いているのですが、書いた私自身が、これでよかったのかなぁ、と思ったりするくらいなので、あらためて書こうとしてもどうもすっきりしません。

 顧問契約を結んでいる社会保険労務士事務所の所長に電話し、意味の違いを聞きました。「ミッション」はどちらかと言えば、社会を変えていく、といったことまで踏み込んだ「使命」という説明でしたが、これも結局わかったようなわからないような感じでした。

 もう無理に外国語を使わないで、わかりやすく書くのがいちばん、と思い、もう一度、何が社会的な課題で、どうやってその課題を解決し、その解決の仕方の独自性をどう語るか、というところで整理してみました。

 去年の申請書を読み直すと、言いたいことがありすぎたのか、話題が多方面にわたり、これでは審査する方も途中で投げ出したのではないか、と思われるくらいでした。で、今年はとにかく話題を絞ることにしました。

 書きたいことは、以前にも書いたと思うのですが、瀬谷区役所の外販で、利用者さん自身が、社会的な課題を解決の方向に持って行っているのではないか、ということです。

 外販の収益をいちばん支えているのは彼ら自身です。彼らの人としての魅力がお客さんを呼び、収益を驚異的に伸ばしています。ここを結論とします。

 では社会的な課題は何でしょう。生産性というところから見ると、一般的には彼らは普通の人より劣るといわれ、一般の会社で働くことがきわめてむつかしい、ということがあげられます。彼らがいると生産性が落ち、収益が減る、というわけです。だから彼らは社会から疎外されることになります。彼らを社会から疎外するとき、普通といわれている人たちも、実は社会から疎外されています。そのことこそがほんとうは問題なのだと思いますが、そこまで広げていくと、また収拾がつかなくなるので、とりあえず、生産性が劣るが故に、彼らが社会から疎外されている、というところで話をとめておきます。

 生産性が劣るといわれながらも、ぷかぷかでは彼らがいるおかげで外販での収益が伸びています。彼らが働いていることは、ぷかぷかの大きな魅力になっていて、その魅力が収益を底支えしています。彼らがいなければ、ただのパン屋であり、ただのカフェで、なんのおもしろみもありません。

 社会的な課題と、結論が見えれば、あとはそれをつなぐ物語を書けば申請書はできあがりです。と書けば、ずいぶん簡単そうですが、物語を書くのは結構大変です。でもここがいちばん楽しいところ。課題解決の独自性をどこまでアピールできるかで勝敗は決まりそうです。あ〜、なんか、わくわくしてきました。

 

 

 

日経ソーシャルイニシアチブ大賞

  • 日経新聞が主催している「ソーシャルイニシアチブ大賞」にエントリーすることにしました。以下の3点を満たすことがエントリーの条件です。

 

  • 1. 社会性  社会的課題の解決を事業のミッションとしている
  • 2. 事業性  ビジネス的手法を用いて継続的に事業活動を進めている
  • 3. 革新性  新しい事業モデルや社会的価値を創出している

 

で、以下の原稿を書きました。こういうお話はわくわくしながら書くことができるので、昨日一日楽しみながら書かせてもらいました。

 

1.社会性について (事業の目的、ミッション、解決を目指す課題など)

事業の目的:障がいのある人たちの就労を支援する。(就労継続支援B型事業所)

ミッション

①障がいのある人たちといっしょに、お互い気持ちよく生きていける社会を実現する。

②健康な「命」を未来に引き継いでいく。

そのために、

①障害のある人たちと街の人たちの出会いの場として、パン屋とカフェを街の中に開く。

②「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ」というメッセージをさまざまな形で発信する。ホームページ、「ぷかぷかしんぶん」(毎月5,000部発行)

③生産の効率が落ちても、彼らといっしょに働いた方がいい、という新しい価値観を生み出す。

④「仕事っておもしろい!」と思えるような楽しい仕事を利用者さんに提供する。

⑤安心、安全なおいしいパン、食事を提供する。安心、安全な素材を厳選する。材料費が高くなるが、健康な「命」を未来に引き継いでいく、ということを最優先に考える。

 

解決を目指す課題

①口にはしないものの、障がいのある人たちのことを「何となくいやだな」と思っている人は多い。障害者施設を建てようとすると、地元市民から反対運動が起きることさえある。これは障がいのある人たちに問題があるのではなく、彼らのことを知らないことによって生じている。何となく怖いとか、不気味、といった印象は、彼らのことを知らないことから生まれる。“知らない”ということが彼らを地域から排除してしまうことになる。

 彼らの生きにくい社会、異質なものを排除してしまう社会、他人の痛みを想像できない社会は、誰にとっても生きにくい社会になる。誰かを排除する意識は、許容できる人間の巾を減らすことにつながる。社会の中で許容できる人間の巾が減ると、お互い、生きることが窮屈になる。これは同じ地域に暮らす人たちにとって、とても不幸なことだと思う。逆に、彼らが生きやすい社会、社会的弱者が生きやすい社会は、誰にとっても生きやすい社会になる。そういう社会はどうやったらできるのか。その問いへの一つの答が、街の中に障がいのある人たちの働くパン屋を作ることだった。

 

②障がいのある人は生産の効率を落とすというイメージが強いため、就職することがきわめて困難。生産の効率が落ちても彼らといっしょに働いた方がいい、という新しい価値観を「ぷかぷか」は創り出している。

 

③知的障がいの人には単純作業が向いている、と思っている人がいまだに多い。そのため、障がいのある方は、そういうむなしくなるような仕事を与えられることが多い。仕事がつまらないと、毎日がつまらない。仕事がおもしろいと、毎日がおもしろくなり、人生が充実する。

 

③添加物だらけの食べ物が多い中にあって、みんなの大切な命が深く傷ついている。そんな中で「安心して食べられるおいしいパン」「安心して食べられる食事」の提供は、未来に向けて健康な命を引き継いでいく、というとても大事な仕事だと思う

 

 

2.事業性について (事業の実績、規模、収支状況、今後の計画)

事業の実績:2010年4月パン屋、カフェ、開店。当初は利用者さん(障害のある人たち)の声がうるさいとか、うろうろして目障りだとか、色々苦情もあったが、時間が経つにつれ、地域の人たちも障害のある人たちに慣れてきて、苦情も無くなった。

 ホームページを立ち上げ、《障害のある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ》というメッセージを様々な形で発信している。現在アクセス数は38,000人を超えている。『ぷかぷかしんぶん』(毎月5000部発行。お店の周辺の家に配布)はパン屋、カフェの宣伝だけでなく、利用者さんの色んなエピソードも紹介し、毎月楽しみにしている人が多い。

 パン屋、外販の売上げも少しずつ増え、最近はカフェも含め一日の売上げが10万円を超えることもある。初めて1年目の頃は3万円くらいしかない日が続いていた。カフェは4年目に入り、毎日ほぼ満席状態で、入れないお客さんも多い。利用者さんの心のこもった接客に心打たれたというお客さんも多く、つい先日は子どもの誕生会をカフェでやったあと、利用者さんと一緒に写真を撮らせて欲しいというお客さんも現れた。始めた当初、苦情の電話に頭を悩ませていた日々を思うと、この時に撮った写真は、本当にこの1枚の写真を撮るためにこの4年頑張ってきた、という気がする。ホームページ(「ぷかぷかパン」で検索するとすぐに出てきます)の「ぷかぷか日記」1月19日を見て欲しい。

 この写真こそが、数字では表せない「ぷかぷか」の4年間の実績を、目に見える形で表現している。ミッションで掲げたものがほんの少し実現したように思う。 

 

規模利用者(知的障害、精神障害)25名、スタッフ17名。パン屋、カフェ、工房(クッキー、ラスク作り、給食、休憩室)の3カ所で仕事を行っている。外販先は区役所、養護学校子育て支援拠点など16カ所、配達先は保育園、病院など12カ所。近くのレストランへはランチに出すパンを毎日配達している。

 

収支状況:24年度の収益はパン、カフェの売上げが14,630,861円、福祉サービス報酬が44,889,698円、寄付が350,000円、イベント収益が125,498円、雑収入が2,564,463円、収入合計62,560,762円。支出は人件費が31,728,484円、経費が25,094,721、管理費1,972,460円、支出合計58,795,665円、収支差額3,765,097円            23年度の収入合計54,327,326円、支出合計53,173,830円、収支差額1,153,496円   22年度の収入合計35,621,466円、支出合計36,892,736円、収支差額△1,271,270円 

 

今後の計画:お弁当、お総菜事業、アート事業を2014年4月よりスタートさせる。お弁当お総菜の売上げは1日あたり22,100円、月に442,000円、年間で5,304,000円を目標にしている。アート事業は年間480,000円、パンは18,000,000円、カフェは2,870,000円、合計で26,650,000円を目標にしている。 また利用者さんの定員を2014年4月より20名から40名に増やす。

 

 

3.革新性について (事業の特徴、新しさ、優れている点など)        

事業の特徴:「障がいのある人たちと一緒に生きていきたい」という創業者の思いから「ぷかぷか」は始まった。だから「ぷかぷか」はまず障がいのある人たちとスタッフが一緒に生きていく場、一緒に働く場としてある。

 「ぷかぷか」は街の中にお店を構え、障がいのある人たちと街の人たちのいい出会いの場としても機能している。パンを買いに来たついでに、あるいは食事をしに来たついでに、なにかあたたかいものをお土産に持って帰るような、そんなお店だ。そのお土産には「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ」といったメッセージも入っている。このメッセージは「ホームページ」や「ぷかぷかしんぶん」でも発信しているが、あたたかなお土産に勝るものはないと考えている。言い換えれば、直接ふれあい、出会うことが一番大事、と言うことだ。

    

優れている点:①「ぷかぷか」は就労継続支援B型の福祉事業所として、県の指定を受けている。従って利用者さんがいる限り、毎月福祉サービスの報酬が確実に入る。パン、カフェの収入の倍以上あって、これが事業の安定を生んでいる。障がいのある人たちと一緒に生きる、一緒に仕事をする、ということが、そのまま「就労支援」になり、それが福祉サービスの報酬として入ってくるので、事業が安定して継続できる。福祉事業所として安定した収入を得ながらミッションを実現していく、というのは事業の継続性を考えれば、ひとつの優れた方法だと思う。

 

②「ぷかぷか」では利用者さんは仕事を楽しんでいる。介護認定調査でケースワーカーさんの聞き取り調査の時「前にいた事業所ではいつもうつむいていましたが、今はまっすぐ前を向いて生きています」と言った利用者さんがいたが、それくらい毎日が充実している、ということだと思う。仕事が楽しいと感じ、そのことで毎日が充実していないと、なかなかこんな言葉は口に出来ない。

 

新しさ:この4月から始めるお弁当事業は地域のお年寄りの方を対象にした配達に力を入れたいと考えている。配達のついでに、お話好きの利用者さんがお年寄りの話し相手になってくる。利用者さんとの楽しい会話は、お年寄りの方を元気にするような、とてもいい時間になると思う。おいしいお弁当と一緒に、そんなふうに、なにかホッとするような、あたたかいものが届けられれば、と思う。

 こういう仕事は、利用者さん(=障がいのある人)でないとできない仕事だと思う。こういう仕事を積み重ねていって、「障がいのある人とはいっしょに生きていった方がいいね」と思う人が増えてくるなら、地域社会は少しずつ変わってくる。こんなふうに考えていくと、お弁当の配達は、お互いが気持ちよく生きる社会に向けて、地域社会をデザインしなおすような、そんなダイナミックなものが含まれているように思う。 お弁当の配達だけでなく、彼らの働くパン屋やカフェが街の中にあること自体、地域社会をデザインし直しているのだと思う。そんな風な視点からパン屋やカフェを見直していくと、地域社会の中でとても大事な役割を果たしていることが見えてくる。

 

 

4.事業者について (事業団体・会社の概要、沿革、代表者略歴など)

 

事業団体:運営主体は「NPO法人ぷかぷか」。2009年9月16日神奈川県より法人として認証。2009年9月30日法務局に設立登記。2010年4月1日神奈川県より福祉サービス事業所として指定。 

 

団体の概要,沿革:2010年4月「カフェベーカリーぷかぷか」と「ぷかぷかカフェ」のお店を開く。就労継続支援A型として利用者さん10名、スタッフ7名でスタート。場所は横浜市緑区霧が丘にあるUR都市機構の霧が丘グリーンタウンの商店街の一角。  2011年7月、就労継続支援B型に変更、利用者さん17名、スタッフ12名。 新たに店舗付き住宅を借り、「工房」としてクッキー、ラスクの製造、給食、休憩スペースを作った。 2014年1月現在、利用者さん25名、

 

スタッフ代表者略歴養護学校勤務30年の中で、障がいのある人たちに惚れ込み、彼らと一緒に生きていきたいと、退職金をはたいて障ある人たちと一緒に働く場「カフェベーカリーぷかぷか」「ぷかぷかカフェ」を立ち上げた。

商売は全く未経験だったので、1年目は本当に悪戦苦闘の毎日。経営的にもかなり危ない状態だったが、幸いすばらしい経営アドバイザーと出会い、3年目にしてようやく黒字に転換した。

お金がないのでホームページも自分で作り、毎日自分の思いを書き続け、現在アクセス数は38,000人を超える。ブログは毎日更新し、こちらは開設5ヶ月でアクセス数が10,000を超えた。昨年2月には地元の社会福祉協議会主催の講演会に呼ばれ、「障がいのある人たちと一緒に生きる意味」というテーマで講演を行った。その講演を聴いた方が二人、理念に共感したと「ぷかぷか」のスタッフになってくれた。

 

5.直近1年間のトピックについて

(事業・団体の拡大・成長、新しい事業の追加などここ1年間の話題) 

 

事業の成長:①「ぷかぷか」は就労継続支援B型の福祉事業所として県の指定を受けていて、毎月福祉サービスの報酬が入るのだが、それに寄りかかることなく、パン、カフェの売上げを伸ばす努力をみんなでやっている。昨年と一昨年の12月の売上げを比較するとパンは47%、カフェは25%も増えている。これは現場スタッフ、利用者さんの努力であり、この売上げ増加がみんなのモチベーションを更に高めている。

 

②毎週パンの外販に行っている区役所では、始めた当初はお昼休み1時間くらいで5,000円ほどの売上げだったが、4年経った今、50,000円を超えることもある。売上げが10倍になるというのは驚異的な伸びだが、これはパンが美味しいこともあるが、スタッフだけで売りに行ったのでは、これほどののびはない。外販のある木曜日に利用者さんと会うのを楽しみにしているお客さんが多い。会ってなにかするわけではないが、他愛ない会話をするだけで、元気がもらえるようだ。やはり利用者さんの魅力が売上げを伸ばしている。 

 

③障がいのある人がいると効率が落ちる、と生産の現場からは疎外されることが多いが、区役所での外販を見る限り、彼らのおかげで売上げが驚異的に伸びているのであり、要は彼らの魅力を仕事における「力」としてどんなふうに生かすか、ということだと思う。 

        

④「ぷかぷか」も、スタッフだけで働いた方が、ひょっとしたらパンの生産量は増えるかも知れない。しかし、彼らのいない「ぷかぷか」は、なにかつまらないし、彼らといっしょに働いてこその「ぷかぷか」だと、スタッフたちは思っている。これはまぎれもなく「彼らといっしょに働いた方がいい」という新しい価値観ではないかと思う。効率を超える価値といっていいのかもしれない。 

                 

⑤他の事業所での実習がうまくいかなかった方が「ぷかぷか」に見学に来て、利用者さんが笑顔で働いているのを見て、ここで実習させてください、と言ってきたことがあった。そしてその方自身、毎日笑顔で実習し、明日が待ち遠しくて仕方がない、とまで言っていた。そんな風に利用者さんが毎日笑顔で働くことが出来るというのは、福祉事業所として、すばらしいことだと思う。   

                  

⑥この4月からアート事業を始める。障がいのある人たちの独特の表現を商品化し、彼らのメッセージとして社会に発信していきたい。それは彼らと社会を結ぶ新しいパイプであり、今までとは違う新しい「価値」がそのパイプには詰まっている。そういう「価値」を生み出す人とはいっしょに生きていった方がいい、とたくさんの人たちが思ってくれれば、と思う。

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