ぷかぷか日記

お金が創り出す新しい価値

 2年ほど前、日本財団のセミナーで、団体に助成金を出す時は、助成金を出すことで、その何倍もの新しい価値をその団体が生み出すかどうかをしっかり調査するという話を聞きました。たとえば100万円の助成金を出したとき、100万円以上の新しい価値を生み出すかどうかが、判断の材料になるというわけです。100万円出して、100万円の価値しか創り出せないようなところには助成金を出さない、助成金は返さなくていい代わりに、助成金以上の新しい価値を創り出しなさい、というわけです。

 お金の使い方について、目が覚めた思いがしました。お金はその使い方次第で、何倍もの新しい価値を生む、ということに情けない話、はじめて気がついた、というわけです。

 そういう考え方を以前はしていなかったので、ぷかぷかを立ち上げる時、資金面でとても苦しい思いをしました。どこからも援助がなかったので、自分ですべて工面しました。ほとんどは自分の退職金です。

 ぷかぷかを立ち上げる計画は自分で言い出したことなので、退職金を使うことも、しょうがないなぁ、と考えていたのですが、実際に設備費934万円、改修工事費1,345万円、あわせて2,279万円と、見積書が上がってくると、退職金がほんとうに全部飛んでいくんだ、とじわっと冷や汗が出てきました。

 当時はこのお金を使うことで、何倍もの価値あるものが生まれる、といった考え方は私の中にありませんでした。「投資」をする(明るい未来を創るためにお金を使う)ことの意味が全くわかってなかったとも言えます。パン屋が絶対にうまくいく、という自信もなく、「下手するとお金はもう戻ってこないかも」と思っていました。

 それでも、前へ進むしかありませんでした。明るい展望のないまま、前へ進むのは本当に辛いことでした。でも、前へ進まなければ、展望も開けません。

 自分の家に、一銭も入れないまま、先がはっきり見えないことに大金をつぎ込むことは、二重にしんどいことで、この頃の精神状態は最悪でした。

 そんな私を救ってくれたのは利用者さんのひとことでした。

 今まで何度か書いたのですが、ぷかぷかを立ち上げて2年目、どんな時にどの程度の介護が必要か調べる介護認定調査がありました。

 「最近どうですか?」のケースワーカーさんの質問に「以前はうつむいていましたが、今はまっすぐ前を向いて生きています」と応えた利用者さんのひとことは、ぷかぷかでの仕事が利用者さんの人生を支えるほどのものになっていることに気づかせてくれました。視点を変えると、ぷかぷかに注ぎ込んだお金が創り出している新しい価値というものに気づいた、ということでもありました。

 知的障がいのある人には単純作業が向いている、などといわれることがまだまだ多い世の中にあって、彼らの人生を支えるほどの仕事が創り出せたことは、ほんとうに価値あることだったと思います。毎日毎日同じ仕事を繰り返し、みんなうつむいて仕事をしている福祉事業所が多い中で、利用者さんたちが笑顔になれるような仕事を創り出したことは、新しい価値ある仕事を創り出したといっていいと思います。

 

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 自分がぷかぷかに注ぎ込んだお金が創り出している新しい価値というものに、その利用者さんのひとことがきっかけでようやく気づきはじめた、というわけです。以来、そういう視点でぷかぷかを見てみると、たくさんの新しい価値=物語をぷかぷかは創り出していました。日経ソーシャルイニシアティブ大賞に応募できたのも、そうやって創り出した新しい価値のおかげです。

 

pukapuka-pan.hatenablog.com

 

 お金が生き、様々な新しい価値を生み出している日々は、そのままぷかぷかが成長している日々だなと思います。

 

 

  

 

 

 

 

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