ぷかぷか日記

昔ガンになったときの話−2

 「精密検査の結果、悪性のガン細胞が見つかりました。」と医者に言われ、その日の午後、学校に行き、教頭に「胃にガンが見つかったので、明日入院して手術することになりました」と報告。「え〜っ」って感じで顔が引きつっていました。同僚たちにも事情を説明。みんな深刻な顔をして聞いていて、なんだか突然悲劇の主人公になったような気分でした。

 かみさんから電話。「結果はどうだったの?」「え〜と、あの〜、まぁ、たいしたことないんだけど、その、ガンなんだって」「え〜っ!ガン?どうしてそんな大事なこと早く電話してくれないの」「いや、その、あの、すんません、でも、まだ初期だから、手術すれば、すぐに治るみたいだし、それで、あの、明日から入院するんで、今日は、あの、まっすぐ帰りますから、まっすぐ帰ってきてください」と、なんだかしどろもどろ。かみさんは妊娠7ヶ月くらいだったので、あまり心配かけるとまずいと思ったのですが、といって、黙っているわけにもいかなくて、こんな話になったのでした。

 学校ではまだ会議がありましたが、もうどうでもいいという感じで、さっさと自転車に乗って家に帰りました。「ギンギンまつり」(障がいのある人たちの表現を軸にしながら、みんなでギンギンと元気になろうぜ、というまつりを中心になって準備していました)の関係者に電話しまくりました。(今なら一斉メールですむのですが、当時はそんなものはなくて、一人一人電話していました)

 かみさんが新しいパジャマやパンツを買って帰ってきました。入院に必要なものの準備で頭がいっぱいらしく、それほどめげてるふうでもなかったので、ひと安心。晩ご飯は好物のコロッケをいっぱい作ってもらいました。コロッケ食べながら、ガン保険の保険金100万円が入ったら、また海外旅行でもするか、なんて嬉しそうに話していたら、馬鹿なこといわないで、と叱られてしまいました。全くの冗談でもなかったので、ちょっとがっかりしました。

 夜、寝る前に、かみさんが涙をぽろりとこぼし、困りました。こんなに元気なんだから大丈夫だよ、といいながら、やっぱり涙をこぼされる事態なのかと、笑いながら顔が何となくこわばってしまいました。

                                   (続く)

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