ぷかぷか日記

みんなでワークショップ第2期企画書

みんなでワークショップ第2期企画書

 1)社会的な課題

 口にはしないものの、障がいのある人たちのことを「何となくいやだな」と思っている人は多いと思う。障害者施設を建てようとすると、地元住民から反対運動が起きることさえある。とても悲しいことだが、これが障がいのある人たちの置かれた状況だと思う。

 これは障がいのある人たちに問題があるのではなく、彼らのことを知らないことによって生じる問題だと思う。何となく怖いとか、不気味、といった印象は、彼らのことを知らないことから生まれる。“知らない”ということが、彼らを地域から排除してしまう。

 彼らの生きにくい社会、異質なものを排除してしまう社会、他人の痛みを想像できない社会は、誰にとっても生きにくい社会だろうと思う。誰かを排除する意識は、許容できる人間の巾を減らすことにつながる。社会の中で許容できる人間の巾が減ると、お互い、生きることが窮屈になる。これは同じ地域に暮らす人たちにとって、とても不幸なことだと思う。

 逆に、彼らが生きやすい社会、社会的弱者が生きやすい社会は、誰にとっても生きやすい社会になる。

 そういう社会はどうやったらできるのか。

 

2)課題の解決のために

 上記のような社会的な課題を解決するには、やはり障がいのある人たちを知る機会、出会う機会を作ることだと思う。そのために「ぷかぷか」は街の中に障がいのある人たちの働く場を作り、街の人たちが彼らを知る機会、出会う機会を作ってきた。そして今回はワークショップという日常よりもお互いが自由になれる場で、お互いが新しく出会い直し、そこから新しい文化を創り出すところまでやってみたいと思っている。

 

2−1)「ぷかぷか」がやっていること

(ぷかぷかは就労継続支援B型事業所で、パン屋、カフェ、お惣菜屋を運営)

 「ぷかぷか」は「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいい」という理念の元に、街の中に障がいのある人たちの働くお店を作った。お店にパンを買いに来たり、カフェに食事をしに来たりする中で、街の人たちに障がいのある人たちのことを知って欲しいと思ったからだ。

 彼らが働くことで、お店にはにぎやかで、あたたかな、ホッとする雰囲気が漂っている。たくさんのお客さんがそういった心安まる雰囲気に気がついたようだった。

 カフェで子どもの誕生会やったあと、利用者さんといっしょに写真撮らせて下さい、とリクエストしたお客さんがいた。利用者さんの接客にいつも心を癒やされるとおっしゃるお客さんも多い。利用者さんたちといい出会いをした結果だろうと思う。

 月一回発行している「ぷかぷかしんぶん」を地域に配布中、広い団地の中で利用者さんが迷子になったことがあった。地域の方がすぐに見つけ、「ああ、ぷかぷかさんね」と声をかけ、「利用者さんが迷子になっているようなので迎えに来てあげてください」と、パン屋に電話をかけてきてくれたことがあった。地域社会で「ああ、ぷかぷかさんね」とやさしく声をかけてもらえるような存在に「ぷかぷか」の利用者さんはなっている。カフェやパン屋で彼らとのいい出会いがあったからこそ、地域の方がこういう対応をしてくださったのだと思う。

 外販先の区役所では、利用者さんの人柄に惚れ込んだお客さんが多く、そのおかげで、この5年で売り上げが10倍も伸びたりしている。パンのおいしさだけではこんなにも売り上げは伸びない。これも外販を通して彼らといい出会いをした結果だろうと思う。

 

2−2)演劇ワークショップの試み

 今回の企画はワークショップというお互いがふだんより自由になれる場で、地域の人たちに障がいのある人たちと、いつもよりもっと楽しい出会いをして欲しいという思いで企画した。お互いの出会いから更に踏み込んで、障がいのある人たちといっしょに芝居を作ってみようと思っている。これは今までにない新しい文化を創り出す試みと言っていい。

 障がいのある人たちといっしょにやるワークショップはほんとうに楽しい。ワークショップをやっていると、彼らの存在がとても大切であることが見えてくる。「あなたにいっしょにいて欲しい」「あなたがいないと困る」と彼らに向かってはっきり言えるほどの関係が、ワークショップの中では自然にできあがる。

 「あなたにいっしょにいて欲しい」と素直に思えるような関係は、地域社会では考えられないような関係だと思う。

 そういう関係の中で作った芝居をみどりアートパークのホール(300人入る大きなホール)で上演する。障がいのある人たちがいっしょだからこそできる楽しい芝居だ。それをたくさんの地域の人たちが見る。舞台の芝居は、彼らといっしょに作った方がおもしろいもの、豊かなものができる、というメッセージだ。「いっしょにやると、こんなに楽しい芝居ができるんだね」「いっしょにやった方がいいね」「いっしょに生きていった方がいいね」といったことを、芝居を見に来たたくさんの人たちが思ってくれれば、と思う。

 また発表会は、せっかく大きなホールを借りるので、「表現の市場」という名前で、さまざまな表現活動を行っているほかの団体も交代で舞台に立つ。和太鼓、ダンス、人形劇など。表現を通して障がいのある人たちと地域の人たちとの新しい出会いが期待できる。

 

ワークショップの内容

 ワークショップの具体的な内容については、まだ検討中だが、谷川俊太郎の「生きる」という詩をモデルにした、参加者一人ひとりの「生きる」(みんなが生きていることをいちばん感じるのはどんなときか)を詩に書き、それを組み合わせて集団詩を作り、そこから芝居を起こしていくことも考えている。参加者の一人ひとりの人生が見えてくるかも知れない。これから進行役と話し合いを重ね、内容を詰めていく予定。

 

進行役

 進行役には「演劇デザインギルド」「デフパペットシアターひとみ」を考えている。

 「演劇デザインギルド」は、さまざまなワークショップの企画、運営、進行を専門とするグループで、ワークショップを積み重ねて舞台発表につなげている。ホームページには「演劇は人々があらたな認識を獲得するための道具です。楽しみながら、おもしろがりながら、からだを動かし、頭を働かせて、現実や自分たち自身を見直して
そこで発見されたことを表現して、他の人に伝えます。とある。

 「デフパペットシアターひとみ」は聾者(耳が聞こえない人)と聴者(聞こえる人)が協力して公演活動を行っているプロの人形劇団。人形劇が持つ「視覚的」な魅力に着目し、新しい表現の可能性に挑戦し続けている。ワークショップの中で人形を作り、それを手がかりに物語を進めていく予定。聾者の方たちとどうやってコミュニケーションをとっていくかも課題になる。

 

ワークショップスケジュール

 2015年9月から2016年2月まで月一回、土曜日もしくは日曜日にみどりアートパークリハーサルルームで行う。2月にはホールで発表会をやるため、その月だけは前日のリハーサルを含め2回行う。

 仮の日程は2015年9月19日(土)、10月17日(土)、11月21日(土)、12月19日(土)、2016年1月16日(土)、2月6日(土)、2月13日(土)計7回

2月14日(日)には、できあがった芝居を「表現の市場」の中で発表する。

(正式な日程は、演劇デザインギルド、デフパペットシアター、みどりアートパーク、それにピアニストで調整した上でホームページに載せます。)

 

参加者

 1回のワークショップに参加するのは、障がいのある人たち20名、地域の人たち(健常者)20名。7回のワークショップと発表会で延べ320名が参加。お客さんは約300名。合計で600名を超える人たちがこの企画に関わることになる。

 

情報発信

 ワークショップは企画の段階からホームページ(「ぷかぷかパン」で「検索」 http://pukapuka-pan.xsrv.jp)、Facebookページ(ホームページ左側のメニュー欄「Facebookページ」のタグをクリック。https://www.facebook.com/pages/ぷかぷか/320074611512763)で情報発信していく。毎回どんなことをやったのか、参加者はどうだったのかを写真をたくさん使ってホームページ、Facebookページで報告する。ホームページもFacebookページも現在一日100人を超える人たちがアクセスしてくるので、今回の試みはものすごいたくさんの人たちに情報が届くことになる。

 

 

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