ぷかぷか日記

音を消して見てみたら

  映画『ぷかぷか』ダイジェスト版テロップ付きができました。聴覚障害の方にも映画を楽しんでもらおう、ということで映画を制作した宮沢さんがテロップを入れました。


映画『ぷかぷか』ダイジェスト テロップ入り – YouTube

 

 音の聞こえない人にはこのテロップ付きの映画がどんなふうに見えるんだろう、と実際に音を消して見てみました。当たり前のことですが、すばらしいピアノの音や、みんなのざわめきが全く聞こえなくて、とても淋しい気がしました。いろんな人の、いろんな言葉のやりとり、大きな声、小さな声、つぶやき、みんなのざわめき、台詞が出てこない間合い、歌、ピアノ、歩く音,笑い声、などなど、世界は実に様々な音で満ちていて、それ故に豊かなんだと、音を消してみてあらためて気がつきました。

 音がある世界が当たり前、と思っている私たちにとっては、音を消した映画はやはり淋しい世界、という風に思ってしまいます。では、音の聞こえない世界に生きている人たちは、いつもこんな淋しい世界に生きているのかというと、どうもそうじゃない、音の聞こえない世界を、もっと違う形で受け止めているんじゃないか、そんな風に思いました。

 ワークショップの進行役として参加していただいた『デフパペットシアターひとみ』(音の聞こえない人たちと聞こえる人たちがいっしょに人形劇を作っている)の人たちの舞台に出会う中で、音が聞こえない世界の豊かさを私は教えてもらった気がしています。


デフ・パペットシアター・ひとみ – Deaf Puppet Theater Hitomi

 

 昨年11月におこなった『表現の市場』に登場したデフパペットシアターひとみの舞台は、表現される世界の質の高さにおいて群を抜いていました。特に宮澤賢治の人形を使った静謐な舞台は、詩と重なって、背中がぞくぞくするほどでした。プロとアマの違いはあったにせよ、聴覚障害のある人たちの創り出す世界の豊かさを見せつけられた気がしました。

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 音を消して見ると、聴覚障害の人たちの生きる世界に、ほんの少しふれることができるかも、などとYoutubeの説明に書いたのですが、なんとも浅い感覚だったと、実際に音を消して映像を見てから気がつきました。 音を消してダイジェスト版を見て淋しいと感じるような感性ではなく、音が聞こえないが故に、何か研ぎ澄まされた感覚で世界を感じ取ってるのではないかと思ったのです。

 聞こえないが故に感じ取れる世界。その世界をデフパペの人たちにもっともっと教わりたいと思いました。

 

 今年のワークショップにもデフパペットシアターの人たちに進行役としてきてもらう予定です。ワークショップで作った芝居の発表は来年2月14日(日)みどりアートパークのホールでおこなう『表現の市場』でやります。楽しみにしていてください。ワークショップは9月スタート、毎月第三土曜日にみどりアートパークリハーサルルームでおこないます。前日のリハーサルも含め全7回です。詳しい内容はホームページの『ワークショップ』のタグをクリックしてください。問い合わせなどは

   pukapuka@ked.biglobe.ne.jp

 

 

 

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