ぷかぷか日記

障害者雇用

  • 「障害者雇用が意味あるもの」として見る視点
     神奈川県印刷工業組合の理事長さんから全日本印刷工業組合連合会のCSR推進委員会の定例の委員会でぷかぷかさん達の人権研修会をやってくれないか、という依頼がありました。  〈 印刷業界ではダイバーシティ経営も進めており、「障害者とともに生きる」ということについてぜひ高崎さんはじめぷかぷかさんたちにも教えていただきたいと思っています。〉とありました。  全国から印刷会社の経営者が10名ほど集まるそうです。  〈 各地域の業界ではそれなりに影響力をもった社長たちが集まりますので、横浜から「障害者が創る新しい価値」を発信できればと思います。〉とあって、やる気満々です。  人権研修会で、何がどれだけできるのか、まだ未定ですが、とりあえずぷかぷかさん達と出会ってもらうこと、その上で、彼らと何ができるのか、を一緒に考えたいと思っています。  相手はビジネスの最前線に立つ人たちです。生産性がまず求められる現場にあって、尚も「障害者とともに生きる」ことを考えたい、とぷかぷかにやってきます。ですから、人権研修会というよりも。ぷかぷかと印刷業界とのコラボ、という感じで、生産の現場に障がいある人たちがいた方がいい理由を一緒にさぐれたらと思います。  ぷかぷかの空気感を味わってもらいます。ぷかぷかさんとおつきあいしてもらいます。ぷかぷかの映画を見てもらいます。ぷかぷかが創り出したもののお話を聞いてもらいます。  そこで感じたことを生産の現場目線で評価してもらいます。生産性の論理では語れない価値がぷかぷかにはあります。その価値を生産の現場に取り込むにはどうしたらいいのか、といった話をいっしょにします。ここがぷかぷかと印刷業界のコラボです。  「生産の現場に障がいある人たちがいた方がいい理由」が現場でも通用するほどの価値として確立できるなら、それは企業が障害者雇用を進める上で大きなチカラになります。  障害者雇用の一番の問題は、障害者を雇用する理由が語られないまま、雇用達成率のみ押しつけられている所にあると思います。だから中央官庁で障害者雇用数を水増ししたなどという恥ずかしい事件が起こりました。  そんな社会情勢にあって、生産現場に障がいのある人たちがいた方がいい理由が、現場目線で明確に語られるなら、「障害者雇用が意味あるもの」として企業が積極的に取り入れるようになります。その結果、更に多くの障害のある人たちが企業で働くことになります。すばらしいことだと思います。共生社会を作ろう、などという言葉よりも、確実に社会が変わっていきます。  この「障害者雇用が意味あるもの」として見る視点が、すごく大事だと思います。この視点こそが、社会を豊かにしていきます。    今まではいろんなことがよくできる障害者が企業に雇われ、それを障害者雇用としていました。これからは生産性に関わりなく、障がいを持ちながらも、働きたい人がいれば誰でも働けるような、そんな新しい価値観が、ぷかぷかと印刷業界とのコラボから生み出せたら、と思っています。          
  • 考え方を変える、発想を変える
      全日本印刷工業組合連合会のCSRマガジン『shin』の「障害者雇用」の特集号にぷかぷかしんぶんの記事が載りました。少し長いですが、「障害者雇用」の動きの中で、ぷかぷかの活動をどのように位置づけているかが見えます。 こちらはPDFできれいに見えます。 http://www.aj-pia.or.jp/csr/img/shin_№13.pdf 2ページから5ページにかけてぷかぷかのことが紹介されています。9ページから11ページにかけて企業の障害者雇用の取り組みが紹介されています。 すごくがんばってるなぁ、という印象です。      中央官庁が障害者雇用数を水増ししたという恥ずかしい話が飛び交っている中で、こんなふうに真剣に障害者雇用に取り組んでいる業界があるというのは、大きな希望です。こういう業界こそ、豊かな社会を作っていくのだろうと思います。    これを書いた方とお話しする機会があったのですが、生産性が求められる企業の現場で、生産性が低いとされる障がいのある人たちを雇用するには、彼らが働きやすい環境を整えるだけでなく、生産性とは違う価値観を確立しないと、やはり難しいだろうとおっしゃってました。そういう文脈の中で「生産性のない人が社会に必要な理由」というコラムを取り上げてくれたようでした。  コラムを取り上げることはできても、コラムの中で話題になっているセノーさんを実際に企業の中で雇用できるか、と考えると、かなり厳しいものがあるなぁ、とつい思ってしまいます。この、つい思ってしまう、ところこそが問題だろうと思います。つい思ってしまうくらい、私たちの考え方、発想が生産性に支配されているからです。  考え方を変える、発想を変える。そこから障害者雇用が始まるのだと思います。    前にも書きましたが、セノーさんはまわりの人と同じように働かない、生産性がない、と前にいた作業所で居場所をなくしてぷかぷかに来ました。ぷかぷかに来ても、やっぱりあまり働きませんでした。でもぷかぷかは前にいた作業所のように排除しませんでした。どうしてか。  セノーさんは働かなくても、人を癒やす雰囲気を持っていたのです。彼がそこにいるだけで、まわりの人たちを癒やすのです。この「人を癒やす雰囲気」を「一つの価値」として認める雰囲気がぷかぷかにはありました。働くことと同じぐらいの価値です。  セノーさんは飲んでいる薬の影響もあって、しょっちゅう居眠りをします。そんなとき、それを見て、 「セノーさん、居眠りするな!」 と、たたき起こすのではなく、 「あ、また寝てるよ、セノーさん、起きなよ、給料減らされちゃうよ」 みたいないい方をします。寝てるときも、みんなを癒やす雰囲気を醸し出しているからです。それをみんな認めているから、あまり強く言いません。  お客さんもその雰囲気がよくわかっていて、セノーさんの寝ている写真をFacebookにアップするだけで、ものすごいアクセスがあります。見学に来た方がセノーさんを見つけ、 「きゃー、セノーさんがいる!」 なんて騒いだりすることもあります。セノーさんは寝ながらお客さんを増やし、収益を上げていることになります。     働くことだけでなく、「人を癒やす雰囲気」も働くことと同じくらい価値あるものとしてみていく、というのは発想の転換です。  そうすることで、ぷかぷかの働く環境がすごくよくなったと思います。いつも楽しい雰囲気で、みんなの笑顔が絶えません。結果的には生産性がそのことでアップしているのかも知れません。でも、それはあくまで結果であって、生産性のアップを目標にして「人を癒やす雰囲気」を大事にしたわけではありません。    こういったことはもちろん生産性をそれほど重視しない福祉事業所だからできた、とも言えます。でも、生産性がいつも問われる企業の現場であっても、「人を癒やす雰囲気」は大事だと思います。心を癒やすような音楽が流れているとか、柔らかい光で満たされているとかは職場環境を考える上でとても大事な要素だと思います。職場環境は生産性に大きく影響します。  そこを大事にしようと考えている企業なら、生産性はいまいちだけれど、人を癒やす雰囲気を作ることに関しては誰にも負けない障がいのある人も働くことができます。その人がいることで職場の雰囲気がやわらかくなります。その人がいることで、たくさんの笑顔が生まれます。楽しくなります。  今まであれができない、これができないとマイナス面ばかり考えていた障がいのある人が、実はこんなすてきな人だったんだ、っていう発見があります。その発見はみんなの心を豊かにします。企業そのものを豊かにします。    考え方を変える、発想を変える、というのはそういうことです。そうすれば今までにない、障がいのある人との新しい物語が始まります。
  • 「障害者雇用」の意味、価値を本気で考えると、すべての人が今よりももう少し幸福に
     中央官庁で「障害者雇用」の数を水増しした、という情けない事件がありました。「障害者雇用」を本気で考えていない証拠ですね。ま、役人なんてこの程度だとは思っていましたが…  「障害者雇用率制度は障害者への差別を禁じ、就労機会を広げるのが目的」 と書かれていますが、  「障害者を雇用することの意味」 といったものは書かれていません。  ですから、現場の人間にとっては  「法律で何%以上雇用しなければならない」(国が2.5%、企業が2.2%) からやっているだけで、単なる数あわせでしかないのだと思います。  だから今回のような水増し事件が起こる。  その人にいて欲しいから雇用したのではなく、法律で無理矢理雇用させられたのであれば、雇用した側も雇用された側も、お互い辛いものがあると思います。  昔から思っていることですが、「障害者雇用」というのは、企業を豊かにするものだと思います。障がいのある人がいることは、ただそれだけで豊かなものを生み出すからです。  障がいのある人たちを雇用することで、結果的には企業の業績が上がった、という話もありますが、もう少しちがう評価、つまり「彼らの雇用は企業を豊かにする」という評価こそ、現場で共有すべきものだと思います。  養護学校の教員になって最初に受け持ったのは、障がいの重い子ども達でした。おしゃべりすることも、字を書くことも、一人で着替えをしたり、トイレの始末をすることもできませんでした。そんな子ども達でしたが、そばにいるだけで気持ちがなごみ、心がほっこりあたたかくなるのでした。  人が存在することの意味を、そんなふうに重い障がいのある子ども達が教えてくれたのです。  彼らが安心していられる社会こそ、豊かな社会です。  生産性が優先し、生産できない彼らが排除される社会は、豊かさを失い、だんだんやせこけていきます。私たち自身が生きにくくなります。  障がいのある人がいること、そのこと自体に「価値」がある、ということをぷかぷかは見つけてきたと思います。ぷかぷかさん達がありのままに振る舞うことで、ファンができ、ぷかぷかの売り上げを生んでいます。ぷかぷかさんがいること自体に「価値」があるのです。  写真の二人は何をやっているのかよくわからないのですが、でも、こういったことがぷかぷかのやわらかでほっこりした空気感を生み出しています。  ぷかぷかさんがいることの意味を一生懸命考えて考えて考えたあげくに、ぷかぷかさんがいること自体に「価値」があることに気づくことができたと思っています。  これを企業目線で考えるとどうなるでしょう。ぷかぷかは就労支援の事業所だからそんなことができた、ではなく、そういう事業所にできたことが企業にできないことはない、というふうに考えてみたらどうでしょう。企業の中で障がいのある人がいること、そのこと自体に「価値」を見いだすにはどうしたらいいか、を考えるのです。  生産性ではない、別の価値基準を持ってこないと、この問題は解決しません。たとえば、彼らがいることで生まれるほっこりしたあたたかさに価値を見いだせるかどうか、といったことです。  企業でそんなことやるのは無理、といってしまえば、そこでおしまいです。でも、どうしたらいいのか、を必死になって考えれば、そこには新しい可能性を持った未来が生まれます。  障がいのある人たちが企業にいることの意味、それを必死に考えるところにこそ、企業の豊かさが生まれるように思うのです。「障害者雇用」が生み出す豊かさとは、まさにここにあります。  生産性ではない別の価値基準が見つかれば、障がいのある人たちだけでなく、すべての人にとっても、生きることがもう少し楽になるはずです。  「障害者雇用」の意味、価値を本気で考えると、すべての人が今よりももう少し幸福になると思います。
  • 素敵になりつつある未来が、ほんの少しですが見えてきた気がします
     先日、おつきあいのある印刷会社の社長さんから  都道府県の工業組合の連合会組織である全日本印刷工業組合連合会が発行しているCSR情報誌「shin」というのがあるのですが、次号の特集で障害者雇用について取り上げます。 その記事の中で、ぷかぷかさんと、ぷかぷかしんぶん8月号の終面のコラムについて取り上げ、転載させていただきたいのですが、お許しいただけますか。  という問合せが入りました。最終面のコラムというのはこれです。 もちろんOKしました。その情報誌にはこんなことが書かれていました。 ●●● 特集 戦略的障害者雇用 横浜市緑区で、カフェベーカリー、総菜店、アートスタジオなどの障害者施設を運営するNP O法人ぷかぷかが発行している『ぷかぷかしんぶん』8月号に載ったコラム。タイトルは「生 産性のない人が社会に必要な理由」。ぷかぷかに通い、毎日郵便局に売上金の入金に行く仕事を している「セノーさん」が地域で果たしている役割について書かれている。産業革命以来、ひ たすら生産効率の向上を求めてきた近代社会。そのような価値観のもとで経済社会から排除さ れてきた障害者。しかし今、その障害者への差別を禁止し、雇用を促す方向に社会は進んでいる。 経済発展と障害者との共生。一見矛盾する命題への挑戦が始まっている  ……… 障害者 雇用はもはや福祉の文脈で語るのではなく、 企業の「戦力」として活用できるか、その人 材活用のノウハウを持つことができるかどう かという人材戦略の文脈で語るべきであろう。 「生産性」だけの議論に陥ることなく、視野を 広げ、多様な人材がそれぞれの個性を活かし て活躍できる場を創造していくことは、日本 が世界をリードする真の先進国として発展し ていくことにもつながっていくだろう。 ぷかぷかしんぶんのコラム「生産性のない 人が社会に必要な理由」は、経済社会におけ る障害者との共生への具体的道筋を教えてくれているようだ ●●●  昔養護学校で働いていた頃、一般企業の就職できる人はほんの一握りの、いわゆる優秀な、ふつうの人と同じくらい働ける、つまり生産性のある人たちでした。そういう人たちばかり雇って「障害者雇用」やってます、といわれてもなぁ、と思っていました。  学校にもよりますが、私のいた学校では、一般企業に就職できるのはせいぜい1割くらい、残り9割の人は福祉的就労、といわれる事業所に行きました。  その9割の人たちが一般企業で働くには、企業側の発想が変わらないと難しいと思っていました。つまり障がいのある人たちを雇用する理由を、ふつうの人と同じように働けるかどうか、つまり生産性があるかどうかの評価軸ではなく、その人がいることで生まれる職場の豊かさをきちんと見ていくような、そんなふうに発想を変えないと、障がいのある人たちの働く場はいつまでたっても福祉の世界だけにとどまるだろうと思っていました。  企業側にとってはもったいない話だと思います。豊かになるチャンスを逃しているわけですから。  それを考えると、今回の情報誌に載っている考え方にはとても共感を覚えます。  【「生産性」だけの議論に陥ることなく、視野を 広げ、多様な人材がそれぞれの個性を活かし て活躍できる場を創造していく 】  という言葉が、企業の側から出てきたことはすばらしいことだと思います。社会が確実に変わってきているのだと思います。  そういった発想の中で 【ぷかぷかしんぶんのコラム「生産性のない 人が社会に必要な理由」は、経済社会におけ る障害者との共生への具体的道筋を教えてくれているようだ】 と、ぷかぷかがやっていることが評価され、うれしい限りです。  「未来はもっと素敵だと思い」あるいは「自分の手で、未来をもっと素敵にできると思い」ひたすら突き進んできたのが「ぷかぷか」ですが、今ようやくその素敵になりつつある未来が、ほんの少しですが見えてきた気がします。 この人たちが、こんな笑顔で働ける社会こそ、素敵です。
  • おしゃれで粋な障害者雇用
     12月7日、青葉公会堂で「障がいのある人々と共に働く社会」と題した講演会がありました。「チームえんちか、ぷかぷかの事例から」とあって、ぷかぷかのプロモーションビデオカナダ版の上映と話をしてきました。(チラシの写真、講師高崎明とあるのにまちがえてセノーさんの写真を載せてしまい、印刷がすんでから気がつくというドジでした)  「チームえんちか」の松田さんの話は障がいのある人たちを雇用する側の話として素晴らしいものがありました。  民間企業には障害者の法定雇用率2.0%が義務づけられていて、達成しないと罰金が課せられます。月一人5万円で年間60万円です。60万円の利益を上げるのは、中小企業にとっては大変な負担です。まさに暴力的に障害者雇用を押しつけている感じです。こんなことで現場がうまくいくのかなぁと思います。障がいのある人と一緒に働くといいよね、っていう雰囲気とはほど遠い感じです。それでも、そのきつさの中で素晴らしい関係を作っている人がいた、というのが今日の松田さんの話でした。  「チームえんちか」は百貨店の売り場で誰かがやらなければならない小さいけれども大事な仕事を引き受けてやっています。たとえば入り口の案内所でお客さんに渡す袋を小さくたたむ仕事。これは「チームえんちか」がやらないと、案内所のお姉さんが案内をしながら下を向いてやることになるそうです。  小さな箱を折ったり、シールを貼ったり、緩衝材を商品の大きさに合わせて切ったり、福袋の袋詰めをやったり、目立たないけれど、売り場で欠かせない大事な仕事を引き受けてやっています。縁の下の力持ち、だそうです。略して「えんちか」。  売り場の仕事を引き受けることで、そこの人たちとのおつきあいも自然にできてきます。信頼され、頼られる存在になります。障がいのある人たちが、仕事を通して現場の人たちに信頼され、頼られる存在になるって、すごいことだと思います。  笑顔のステキな女性は、子ども達にプレゼントを渡すような仕事もするそうです。お客さんとのステキな出会いがたくさんあるようです。  松田さんは「チームえんちか」をすごく楽しんでやっている感じでした。現場が百貨店なので「おしゃれで粋な障害者雇用」を目指したいとおっしゃっていました。無理矢理法定雇用率を押しつけられる状況の中で、こんな言葉で切り返す松田さんのセンスには目からうろこでした。みんながハッピーになるような障害者雇用、ともおっしゃっていました。  松田さんは雇用した障がいのある人たちと人として出会っているんだなと思いました。社員として雇用する前に養護学校から実習に来ます。その実習生の一人に七夕の短冊にねがいを書いてもらったことがあるそうです。その時に書いた言葉が写真に撮ってあって、スライドで見せてくれました。 「一家の柱になりたい」  この言葉に衝撃を受けたそうです。その方は母子家庭で、男はその方一人だけ。学生の身でありながら、その状況を受け止めての言葉だったようです。  半端な気持ちでこの仕事はできない、とその時思ったそうです。その方が背負い込む生活の重みみたいなものを松田さんは感じてしまったのだろうと思います。障がいのある人を雇用することの意味の広がりを思いました。  障がいのある人たちと、こういう人としての出会いが「チームえんちか」の出発点になっているようでした。  法定雇用率が押しつけられる現場は、人が疎外されている気がしていたのですが、今日の話は、そんな中にあって尚も人と人との出会いがあり、それが希望を作り出している気がしました。    「チームえんちか」のあと「ぷかぷか」の話をしたのですが、持ち時間1時間のうち約半分を映画の上映に当ててしまったので、話す時間は約30分。だらだら話をしていてはすぐに終わってしまうので、映画のタイトル「The Secret of Puka-Puka」に絞り込みました。なんとなく嫌われている障がいのある人たちが、どうしてぷかぷかでは「ファン」を作りだしたのか、といった話です。  ひとことでいえば、それは彼らの魅力が作りだしたものであり、彼らの魅力が発揮しやすい環境を作った、ということだと思います。    「チームえんちか」と「ぷかぷか」では、やっている中身が全くちがいます。雰囲気もちがいます。共通点は障がいのある人たちと人としての出会いが出発点にある、ということです。その両者を結びつけた青葉区社会福祉協議会の見識の高さに感謝。      
  • てっちゃんがいない八百屋なんてあり得ない
    昨夜二ツ橋大学講座「障がい者が働くということ〜」に参加してきました。 www.facebook.com    いろんな話が出ておもしろい集まりでしたが、「障がい者雇用率」の話題については、もう少し話題を掘り下げてもよかった気がします。   障害者雇用率制度とは(厚生労働省) 身体障害者及び知的障害者について、一般労働者と同じ水準 において常用労働者となり得る機会を与えることとし、常用労 働者の数に対する割合(障害者雇用率)を設定し、事業主等に 障害者雇用率達成義務を課すことにより、それを保障するもの である。    一般企業においては2%、国、地方公共団体においては2.3%の障がい者雇用率が求められています。    この制度の致命的欠陥は、なぜ障害者を雇用するのか、という根本的な理由の説明がないことです。説明がないので、ただ雇用率を達成するために大きな企業は「特例子会社」といういびつな形で障害者を雇用し、ペナルティを免れています。  「特例子会社」は親会社とは別の会社なので、本当は障害者を雇用していることにはなりません。でも制度的に、「特例子会社」での障害者雇用数を親会社のものとしてカウントしていい、となっているので、こんないびつな形が通ってしまうのです。  これは親会社にとっても、せっかくの障害者雇用の機会を逃して、すごく損をしているのではないかと私は思います。もったいないです、これは。  障害者を雇用するとどうなるか。企業の現場がそのことで豊かになります。いろいろできないこともあるので、いろんなトラブルもあります。でも、そのトラブルを現場が抱え込むことで、現場はトラブルが起こる前よりも豊かになります。  なによりも様々なトラブルを超える、予想だにしなかった豊かさを障がいのある人たちは現場にもたらします。    昨日の集まりを主催した杉浦さんは昔八百屋で働いていました。その八百屋に養護学校の生徒を送り込んだことがあります。 「いろいろできんことが多いけど、絶対にいいことがあるから」 と、ほとんど無理矢理卒業生を送り込みました。「絶対にいいことがあるから」といわれても杉浦さんは「いいことがある」の意味が、最初はよくわからなかったようです。  でもてっちゃん(養護学校の卒業生)を雇用して、しばらくたってから、「いいことがある」の意味が納得できたといいます。  てっちゃんがいると毎日がすごく楽しいのです。笑いが絶えません。心が安らぎます。お客さんにもファンができます。だんだんてっちゃんがいない八百屋なんてあり得ない、というふうにまでなったようです。    これが障害者を雇用する理由です。現場を豊かにするのです。もちろん杉浦さん達はいろいろ苦労をしたと思います。計量をまちがえたり、仕事がゆっくりだったり、全くのマイペースだったり、そのためにスタッフ達はイライラしたり…。でも、そういったトラブルこそが、現場に障害者がいることの意味であり、それが現場の人たちに新しい気づきをもたらし、豊かにするのです。  「てっちゃんがいない八百屋なんてあり得ない」という感覚は、それまでの様々な苦労があってようやく手にした感覚だと思います。てっちゃんを雇用してすぐにそんな感覚になることはあり得ないのです。  ぷかぷかで以前、メンバーさんがいなくてもお店を開けていた時期がありました。しんと静まりかえったお店は、なんか嘘みたいでした。お客さんも 「なんだか淋しいわね」「彼らがいないと、ほかのお店に来たみたい」 とおっしゃっていました。  ぷかぷかさんがいない「ぷかぷか」はあり得ない、のです。    障害者雇用率を義務づける前に、なぜ障害者を雇用するのか、その理由を丁寧に説明すべきだと思います。国、地方公共団体においては2.3%の障がい者雇用率が求められています。ならば実際に障害者を雇用してどうなのか、をしっかり語るべきだと思います。      
  • 障がいのある人を雇用することは、お互いが豊かになるということ。
     瀬谷区役所の人権研修会で、少しお話しする機会をいただきました。障害者雇用がテーマになっていたので、それにつながるお話です。  最初に障がいのある人たちとは一緒に生きていった方が「得」だよ、というお話をしました。これはいつも言ってることですが、おつきあいすれば人間としての幅が広がること、それは自分を豊かにすること、心が癒やされること、日々が楽しいこと、だから彼らとはつきあった方が得!と。  ぷかぷかの週一回のパン販売は区役所を豊かにしている、という話もしました。区役所の売り上げは,始めて5年目の今、日によりますが、始めた当初の10倍くらい売れることもあります。売り上げはパンのおいしさ+アルファが生み出していて、ぷかぷかの場合、この+アルファの部分が売り上げを伸ばすいちばんの要素です。+アルファはメンバーさんが販売することで生まれる「なんだか楽しい」「癒やされる」「心が温まる」などの雰囲気です。ふつう仕事中はみんなまじめな顔して仕事しているので、こんな雰囲気を味わえることは幸せな気持ちを味わえる時間だと思います。だとすれば、ぷかぷかは週一回、昼休みのわずか1時間ですが、区役所を豊かにしているんじゃないか、というわけです。一日の中でぽっと心があたたかくなるような時間て大事ですよね。それがあるから、また生きていこうって思えるというか…  何よりもぷかぷかのメンバーさんとつきあえるわけですから、それだけで人は豊かになります。外販のお店にやってくると、「やあ!」ってメンバーさん達とハイタッチするお客さんが何人もいます。こんな関係でいられるって、すごくいいなって思うのです。障がいのある人たちと会うのを楽しみにしている人たちがいる、ということ。社会をざっと見渡しても、そんなふうに思う人はなかなかいません。そういう関係をぷかぷかのメンバーさん達は、こちらが何も言わないのに自分たちで作ってきました。考えてみればすごいことだと思います。外販はですから、ただ単にパンを売り買いする場ではなく、お互いが豊かになれるような「場」でもあるのです。  ぷかぷかのパン屋にはこんなに人が並びます。社会から疎外されている人たちのお店にこんなに人が並ぶのは、社会の希望だと思っています。(瀬谷区役所の外販)  仕事は人生を支えるもの、という話をしました。エミちゃんはぷかぷかで働き始めて2年目、「最近どうですか?」とケースワーカーさんに聞かれ、「以前は毎日うつむいていましたが(ぷかぷかに来る前は作業所で働いていました)、今はまっすぐ前を向いて生きています」とすばらしい言葉を語りました。この言葉をきっかけに、ぷかぷかの仕事はメンバーさんの人生を支えるもの、豊かにするものと考えるようになりました。そういう仕事を提供しているので、みんな仕事がほんとうに楽しいようです。ぷかぷかに見学に来られた方はたいがい「ここは明るいですねぇ」「笑顔が多いですねぇ」と言われます。空気感が違う、とも。  昔担任した生徒で一般就労した方がぷらっとお店にやってきたことがあります。給料がいいので、貯金を300万円も貯めているそうです。イタリア旅行にも行きました。でも貯めたお金をどんなふうに使うのかのビジョンはありません。休みの日は打ちっ放しのゴルフ場に行くそうです。「楽しい?」「いや、別に。」という返事。一般就労したのはいいのですが、いい人生送っているのかなぁ、と思いました。  ここまで来てようやく障害者雇用に必要な視点の話になります。  障がいのある人たちと一緒に生きていくことは自分を豊かにすることです。障がいのある人たちを雇用することは、職場を豊かにすることです。職場が豊かになれば、社会が豊かになります。  障害者雇用は雇用の面で「障がいのある人たちと一緒に生きていく」ということを実現するものだと思います。だとすればなおのこと、彼らを雇用すると、私たち自身が豊かになるという視点を持って欲しい、とお話ししました。  障害者雇用達成率だけが、語られる現状では、彼らを雇用することで得られる豊かさを見逃している気がします。なんとももったいない話です。彼らと人として出会って欲しいと思います。それがあってはじめて彼らとおつきあいして得られる豊かさというものを実感できます。  仕事は彼らの人生を豊かにします。彼らを雇用することは、お互いが豊かになる、ということです。そういうことが抜け落ちた障害者雇用に関する議論はなんだか淋しい気がします。    
  • 仕事が楽しいと…
       養護学校の進路担当者が見学に来ました。  養護学校で働いていた頃、校内実習というのがあって、大概はペットボトルのふたを数えたり、教材のセットを作ったり、の単純作業をやっていました。単純作業なので、大概の人は2,3日やると飽きてしまいます。飽きてもこれは仕事なんだからちゃんとやりなさい、などといっていましたが、今から思うとずいぶん無茶なことをいっていたなと思います。  おもしろくもない仕事を、仕事だからちゃんとやりなさい、というのは考えてみれば、かなり無理があります。恥ずかしい話、当時は私自身が仕事というのはおもしろくなくてもやるものだと思っていました。それが仕事というものだと。  それは違う!と教えてくれたのは「ぷかぷか」の利用者さんでした。「ぷかぷか」を始めて2年くらいたった頃、ミイさんの介護認定調査がありました。ケースワーカーさんが、いろいろ質問し、どの程度の介護が必要か調べます。4年前は何やるにも介護が必要だったそうですが、今回の調査では自分でできることがケースワーカーさんもびっくりするくらい増えていました。ミイさんの言葉を借りると  「以前はいつもうつむいて生きていましたが、今はまっすぐ前を向いて生きています」  ミイさんはクッキー作りを任されています。仕事を任されることは、仕事に対する責任があるということで、その責任故に、仕事を無事終えたときはすばらしい達成感があります。達成感は更にやる気を起こします。どんどん自分で仕事をこなすようになります。自分でできることが自然に増え、介護の度合いが自然に減ったということでしょう。  「ぷかぷか」に来る前は作業所にいたので、仕事に緊張感とか責任といったものもなく、のんびりはしていても、彼女にとっては日々の充実感もなく、うつむいて生きるような毎日だったようです。  「今はまっすぐ前を向いて生きています」の言葉には、本当にびっくりしてしまいました。目が覚めた、といってもいいくらいでした。仕事が楽しくて、毎日が充実すると、こんな素敵な言葉が出てくるのか、と感動してしまいました。  「ぷかぷか」では毎日帰りの会で「いい一日でしたか?」と聞きます。仕事に達成感があれば、いい一日になりますが、仕事がつまらないと、つまらない一日になってしまいます。かけがえのない今日という一日を「いい一日だったね」ってお互い言い合って過ごしたいと思うのです。    そんな話を見学に来た進路担当者に話しました。私自身のかつての貧しい仕事観も話しました。つまらない仕事でも、仕事は我慢してやるものだ、という仕事観で仕事を体験し、仕事ってこういうものだ、と思い込んでしまうとしたら、養護学校を卒業して社会に出て行くとき、仕事に対して何の期待も持てなくて、寂しい社会人になってしまいます。ですから養護学校でやる実習は、生徒が本当に楽しいと思える仕事をやってほしい、仕事って楽しいんだっていう発見をして欲しい、そして卒業して社会に出て行くとき、さぁこれから仕事だ!ってわくわくするような気持ちで飛び込んでいって欲しい、といったことを話しました。  
  • 養護学校で営業?
    にほんブログ村 アート部門募集のすばらしいポスター、チラシができあがり、それを持って養護学校へ営業?に行った。 余暇活動ではなく、仕事としてアートをやりたい。仕事でやる、ということは、たとえば作品を「いいね」って言ってもらえて、お金を出して買ってもらえることだ。こういうリアクションは作品作りのモチベーションを上げる。余暇活動でやる場合は、作りっぱなしで終わってしまうので、リアクションはない。 パン屋の仕事で一番人気があるのは外販だ。お客さんの反応が目の前で見られるからだ。自分の作ったパン、クッキー、ラスクが目の前で売れていく。自分の作ったものが売れると誰だって嬉しい。それが仕事のモチベーションを上げる。 アートも同じだ。売れる作品を作る。作品を売れる商品にまで持って行くにはどうしたらいいのか。アートスタッフの力量が問われる。 来週予定されている「企業とNPOのパートナーシップミーティング」向けに作ったパワーポイントのプレゼンテーションをそのまま養護学校の進路担当者に見せた。 ぷかぷかの「本気度」が伝わったと思う。 ★「ぷかぷか」のホームページは http://pukapuka-pan.xsrv.jp/      
  • まっすぐに前を向いて
    にほんブログ村      みーちゃんの介護認定の調査がありました。どの程度の介護が必要か、というケースワーカーさんの聞き取り調査なのですが、「ぷかぷかはどうですか?」の質問に「以前はいつもうつむいていましたが、今はまっすぐ前を向いています」と答え、おー、すごいこというなぁ、とちょっと感動してしまいました。  みーちゃんはぷかぷかに来る前は作業所で仕事をしていました。仕事といっても、楽しいことをして一日過ごす、という感じで、仕事の緊張感もなければ、おもしろみもありません。ですから気持ちは暗く、気分も不安定だったといいます。  介護の度合いもかなり高かったようで、何するにしても、いつも誰かがそばについているような状態だったそうです。今はしっかり自分で動いて仕事をしています。自分で判断し、動く、という、このごく当たり前のことが、以前はできなかったようです。  今は、いつもそれが求められます。だから自分が磨かれます。成長します。  ケースワーカーさんは、今回、みーちゃんから聞き取りし終わったあと、スコアを見ながら「みーちゃん、すごいね、こんなによくなったんだね。仕事が楽しいと、人はこんなにも変わるんだね。どんどん自立していくんだね」と、みーちゃんの変わりようにびっくりしていました。以前のスコアは自立度の低い右側にほとんど○がついていましたが、今回は自立度の高い左側にほとんど○がついていました。  みーちゃんは、クッキーの製造主任として、日々緊張感の中で仕事をしています。その緊張感が、日々の充実感を生み、「まっすぐ前を向いています」という言葉を語らせたのだと思います。そして、まっすぐ前を向いて生き始めると、介護の度合いまで変わって来ました。自立の度合いがぐ~んとあがったというわけです。  仕事をする、というのは、前を向いて生きることであり、自立していくことなんだ、とあらためて思った。      ★ぷかぷかのホームページはhttp://pukapuka-pan.xsrv.jp/index.php
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