ぷかぷか日記

あなたのアイデア、ぜひ聞かせて下さい。ー相模原障害者殺傷事件から6年目(その7)

マスコミの方から

「やまゆり園事件を考える集まりで、どうして『梅切らぬバカ』を上映するんですか」

と聞かれました。

 

 集まりでは事件に対し、あーだこーだ小難しい話、抽象的な話をするのではなく、具体的に私たちは何をすればいいのか、何ができるのか、といった話をしたいと思っています。二度とこういう事件を起こさないためにはどうしたらいいのかをみんなで考えます。

 事件に関わる大きな話ではなく、自分の手の届く範囲の話をします。その気になればすぐにでもはじめられるような話です。

 

 『梅切らぬバカ』にはグループホーム反対運動が登場します。この地域に障害者はいない方がいい、と主張しています。やまゆり園事件のように暴力的に排除するわけではありませんが、障害者はいない方がいいという考え方では地続きにあります。

 映画はその運動を正面切って批判したりはしません。お母さんはときどき皮肉っぽいことをいいますが、相手と論争したりはしません。隣に住むおじさんは、反対運動をやっている人に「それはまちがってるよ」とぼそっと言いますが、どこまでもぼそっとひとこと言うだけです。

 

 映画が大事にしているのは、忠さんとの宝物のような日々です。

  

ありふれた毎日の中で、

「忠さんがいてくれて、母ちゃん幸せだよ」

という言葉が出てきます。そんな風に言える関係が作る日々こそ大事にしようよ、ってこの映画はいってる気がするのです。

 

 相手を論破し、反対運動を止めるよりも、そっちを大事にする。

 

 やまゆり園事件について、あーだこーだいうよりも、障がいのある人達といっしょにいい一日を具体的に積み上げていく方を大事にしたいと私は思っています。『梅切らぬバカ』との接点はそこにあります。

 

 お互い「いい一日だったね」って言い合える日々こそ大事にしたい。

    

   

 

 身近な障がいのある人に

 「あなたといると、すごく楽しい!」

 「あなたのそばにいると、なんだか心があったかくなるよ」

 「あなたがいると、まわりの空気がゆるっとして、すごく楽」

 「あなたのそばにいたいな」

って、いうくらいなら、その気になれば誰にでもできることです。そういうおつきあいを日々続けること、ひろげることが、あのような悲惨な事件を起こさないことにつながると思うのです。

 

 8月27日(土)、トークイベントであなたのアイデア、ぜひ聞かせて下さい。

 

 8月27日(土)の上映会のチラシはこちら

www.pukapuka.or.jp

 

参加希望の方は下記サイトの「チケットのお求めはPeatix」のところをクリックして下さい。

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人を幸せな気持ちにさせるチカラー相模原障害者殺傷事件から6年目(その6)

 映画『かぐやびより』、また見てきました。

 

 何度見ても幸せな気持ちになります。なんなんだろう、これは、と思うのです。

 やっぱりあそこで働いている障がいのある人達のチカラではないかと思ったりするのです。人を幸せな気持ちにさせるチカラです。

  彼らの周りにいる人達の幸せもビリビリ伝わってきます。いろんなイベントに集まった人達みんなが幸せそう。

 映画を作った監督も、はじめてかぐやを訪れた時、やっぱりこのなんともいえない幸せを感じたのかも知れないと思いました。だから映画を撮り始めたのではないかと。幸せに説明はいりません。だからナレーションもなし。幸せがストレートに伝わってきます。

 

 そんなチカラを存分に発揮できる環境があること、それが大きなキーポイントだと思います。その環境がないから、全国に障がいのある人達はたくさんいても、幸せを感じられる場所はなかなかありません。環境は、彼らとのおつきあい、関係が生み出します。彼らとフラットにつきあう、という当たり前のことがなかなかできない人、やっぱり彼らのこと、上から目線で見てしまう人が圧倒的に多い。そこからは、かぐやが生み出すような幸せは生まれません。

  かぐやでは理事長さんがみんなからお母さん、お母さんと呼ばれ、親しまれています。「理事長さん、愛してますよ」というお兄さんもいました。そんな言葉をさらっと言える関係がすばらしいと思いました。そういう関係の中で、みんなが幸せを感じる環境が生まれているのだと思います。

 

 あの津久井やまゆり園は、そんな幸せを感じる場所じゃなかったのではないか。だから「障害者は不幸しか生まない」などといって、あのような悲惨極まりない事件が起きた。

 幸せを感じる場所じゃなかったことが事件を生む要因であったのなら、犯人を死刑にしてすむ話ではありません。むしろどうして幸せを感じるような場所ではなかったのか、を考える方が問題の本質に迫ることができるように思います。

 

『かぐやびより』は鵠沼海岸駅近くのシネコヤで上映中

cinekoya.com

 

 

 ぷかぷかは事件以来毎年映画を手がかりに事件を超えるにはどうしたらいいのかを考える集まりをやっています。今年は8月27日(土)に『梅切らぬバカ』を上映し、事件を考える話し合いをやります。あのような事件を二度と産まないために。桜木町駅前の横浜市健康福祉総合センターの4階ホールです。

 

 『梅切らぬバカ』のオフィシャルサイトはこちら

happinet-phantom.com

                        

 

8月27日(土)の上映会のチラシはこちら

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幸せな日々を積み重ねるー相模原障害者殺傷事件から6年目(その5)

 映画『梅切らぬバカ』にグループホーム反対運動が出てきます。うるさいだの、子どもの安全が守れないだの、よくあるパターンです。グループホームに入った忠さんが絡む事件が起き、反対運動は更にヒートアップします。問題を起こすような人はここから出て行け、といった署名運動まで起こります。

 障がいのある人達を地域社会から排除していこうというわけです。「この地域に障害者はいない方がいい」と。「障害者はいない方がいい」といったやまゆり園事件と地続きの社会がここにあります。

 そんな社会とどう向き合っていくのか、8月27日(土)の上映会はそれを考える集まりです。

 

 『梅切らぬバカ』は忠さんと暮らす日々の大切さを淡々と映し出します。

  映画の後半、グループホームに住めなくなった忠さんが家に帰ってきます。その忠さんを抱きしめ、お母さんはいいます。

「忠さんがいてくれて、かーちゃん幸せだよ」

 忠さんとのありふれた毎日。でも、かーちゃんは幸せだよ。そんな日々こそ宝物。

 

 グループホーム反対運動を声高に批判したりしません。ただ宝物のような日々を淡々と映し出すだけです。その日々の中に、いろいろブツブツ言っていたとなりのおじさんもやってきます。忠さんとお互い自己紹介したり、一緒にご飯食べたり。

 ただそれだけです。でもこの先のことは想像できます。忠さんとお母さんの日々は、こうやってまわりの人たちを少しずつ変えていくんだろうなと思います。

 

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 やまゆり園事件をどうやって超えていくのか。とてもむつかしい問題です。

 でも、障がいのある人達との楽しい日々を作っていくことは、その気になれば誰にでもできることです。忠さんの親子のように、そんな日々を積み重ねることこそ大事な気がします。それが事件を超えること。

 

 先日、岩佐賞に応募するために持続可能な社会をぷかぷかはどのように作ってきたかという資料を作っていて、あらためてぷかぷかが作ってきた楽しい日々を振り返る機会になりました。事件を超える社会を作ることは、そのまま、持続可能な社会を作ることなんだとあらためて気がつきました。障がいのある人達を排除する社会は持続しないのだと思います。排除した分、社会の幅が狭まり、お互い窮屈で、息苦しい社会になります。こんな社会は長続きするはずがありません。

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8月27日(土)の上映会のチラシはこちら

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一矢さん

たまたまYouTubeで、昨年7月の放映されたEテレの一矢さんの映像を見つけました。

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 あのころは一矢さん、頻繁にぷかぷかに来ていて、ぷかぷかに来るとこんないい顔していました。

かずやさんの大声に2階の方から苦情が出ているという話を聞き、「友達大作戦」を展開しよう、とかいろいろやっていました。「一矢さんの物語」と題して、25本もブログを書いています。3ページ目が出ますので、2ページ、1ページと読んでみて下さい。結構なボリュームですが、一矢さんの巡る様々な物語が展開しています。

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 ところが肝心な一矢さんが、会議が嫌になったのか、ぷかぷかに来なくなり、なんとなく関係が途切れた感じです。「友達大作戦」も、どんな風に展開していったのかよくわかりません。昨年の段階ではホームページを作って、いろいろ情報を発信する予定でしたが、それも進んでいないみたいですね。せっかく地域で暮らし始めたので、もっともっといろいろ情報を発信して欲しいですね。今日晩ご飯は何食べたとか、大声が出てしまったとか、日々のどうでもいいいろんなことを発信して欲しいです。

 「尾野一矢、ここにあり!」というメッセージです。そのメッセージが地域社会を耕します。

 8月27日(土)の上映会に来て欲しいですね。最近の様子、みなさんにお知らせして欲しいです。

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1才半

 花巻に素敵なおにーさん達がいて、毎日お母さんのFacebookに載るおにーさん達を見るのを楽しみにしています。ある日福祉事業所のお祭りで使った風船を置くところがないので処分するという話になり、もったいないから家に持って帰って飾ったところ、子どもたちが大喜びした、とこんな写真が載っていました。

 

 で、こんなやりとりがありました。

「おにーさん達、今日もいい顔ですねぇ」

「ありがとうございます。幼稚な二人なので」

「いや、幼稚なんていったらおにーさん達に失礼ですよ。風船見てこんないい顔できるなんて、いい人生だと思いますよ。」

「そうですね〜。ありがとうございます。私も幼稚なので同じ顔して喜びます(笑)」

 

 おにーさん達は重度障がい者といわれている人たちです。風船を見ただけで、こんなにうれしそうな顔をします。こんな顔を見ると、私は単純にうれしくなります。小さな子どもたちがうれしそうな顔している時も、やっぱりうれしくなりますが、おにーさん達の時とはすこーし違う気がします。

 うまく言葉で表現できませんが、やはりそれなりの人生を積み重ねた笑顔を感じるのです。だから、いい人生やってるなぁ、なんて言葉がつい出てきます。

 

 何年か前この青年のお母さんが、一人で車に乗って待っていた息子が不審者と間違えられて警察に通報され、後日警官二人が家まで来たそうです。いろいろ事情を聞かれ、本人の写真を撮られ、謝罪文書かされた、という記事をFacebookに載せていました。その記事に載っていたこの写真を見て私は「なんていい顔なんだ」と一目惚れ。30才になった今でも知的レベルは1才半、と記事にありましたが、30年のいい人生が伝わってくるような顔だと私は思いました。

      

 1才半の子どもと、いろんなことを理解する力は同じくらいかも知れませんが、それでも人生を生きるとそれなりのものが蓄積されます。30年生きた人生への自信みたいなもの、そういったものがしゅん君のこの顔からは伝わってきます。

 なんとも味のある顔。もう一目で惚れ込みましたね。この味こそが、彼らといっしょに生きた方がいい、その方がトク!の理由です。

 そんな味を生かすようなつきあいこそもっともっとしたいと思うのです。それが彼らといっしょに生きる社会を楽しくし、豊かにします。

 

 「この絵はコンドーさんの似顔絵です」と言い張る方がいました。「全然似てないじゃん!」と否定するより、「そうかなぁ」といいながら、ちょっとよりそう方が肩の力が抜けて楽しいです。

   

 

 かずまくんのお母さんは発達診断の結果が1才半と出て、こんな風に受け止めています。

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 ま、人それぞれですが、彼らとのおつきあいの仕方一つで、人生がものすごく楽しくなったり、しぼんでしまったりします。肩の力を抜いて、彼らといっしょに生きる人生楽しんだ方がトク!だと私は思います。

ここにこそ、彼らといっしょに生きる社会の希望があるように思うー相模原障害者殺傷事件から6年目(その4)

 やまゆり園事件(相模原障害者殺傷事件)から6年目です。あれだけの事件がありながら、障がいのある人達を取り巻く状況が変わったのかというと、それほど変わったとは思えません。施設では相変わらず虐待事件が繰り返され、障がいのある人達のためのグループホームを建てようとすると、地域で反対運動が起こります。

 とても残念な状況ではあるのですが、そこを嘆いていてもしょうがない気がします。というか、問題が大きすぎて、どこから手をつけていいのかわからないのです。それよりも自分たちの手の届く範囲で、自分たちでできることをきっちりやる。やり続ける。そうやって、自分たちのまわりを少しずつ変えていく。それが大事な気がします。

 

 そのためには何をするのか。まずは障がいのある人たちといっしょにいい一日を作ること、その日々を積み重ねること、そういった日々に共感し、障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいね、と思う人を自分のまわりに増やしていく。それが事件に対し、私たちができることです。それが事件を超える社会を作ることです。

 

 先日持続可能な社会を目指して活動している団体に1000万円〜300万円進呈するという岩佐賞に応募しました。応募に当たって活動の資料を作りました。10MBという容量の制限があったので、ぷかぷかの積み重ねてきた日々のほんの一部しか書けなかったのですが、それでもこうやってまとめてみるとぷかぷかのやってきたことがよくわかります。彼らとどんないい一日を作ってきたか。

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 先日ニュースウオッチ9で美帆さんのお母さんのことが紹介されました。ぷかぷかさんとおつきあいするようになってから、ずいぶん元気になられたなと思いました。歌のワークショップに参加して、ぷかぷかさん達と一緒に飛び跳ねるように歌いながら歩いていました。

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 事件で暴力的に排除された障害のある人達が、事件でいちばん辛い思いをした人を元気にしているのです。美帆さんのお母さんがはじめてぷかぷかに来られた時、「こんにちは」とあいさつしたあとの言葉がなかなか出てきませんでした。事件で辛い思いをした方にどんな言葉をかけていいのかわからなかったのです。その時、周りにいたぷかぷかさん達が「どこから来たの?」「お名前は?」と質問し、お母さんはみるみる笑顔になりました。こんなおつきあいがお母さんをどんどん元気にしていったのです。その延長に歌のワークショップへの参加がありました。

 ここにこそ、彼らといっしょに生きる社会の希望があるように思うのです。彼らのそんなチカラを、私たちはもっともっとこの社会で生かした方がいいと思うのです。

 社会で生かすために、彼らのチカラを映像化できないかと考えています。どなたかアドバイスいただけるとうれしいです。

 

 

 8月27日(土)、映画『梅切らぬバカ』を手がかりにやまゆり園事件について考える集まりをやります。ぜひお越し下さい。ぷかぷかさん達も一緒なので、多分楽しい集まりになります。やまゆり園事件について楽しい集まり、というのもなんか変な感じもしますが、彼らといっしょに生きていくと、そうなってしまうのです。彼らと一緒に楽しいひとときを過ごすこと、それが事件を超えることだと思います。

 

 上映会のチラシはこちら

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参加希望の方は下記サイトの「お求めはPeatix」のところをクリックして下さい。

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岩佐賞に応募しました。

 持続可能な社会を目指して活動しているところに300万円〜1000万円を出すという岩佐賞に応募しました。

すべての活動を書いたわけではありませんが、ぷかぷかの活動を振り返るいい機会になったと思います。活動を持続していくためにも、こういう振り返りは大事ですね。改めでいろんな気づきがありました。

写真を一枚だけ選ぶ、というのがあって、ずいぶん迷いましたが、これを選びました。こういった関係こそ未来につながると思ったのです。

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持続可能な社会を目指してぷかぷかが何をやってきたかをまとめました。

活動資料 岩佐賞

1000万円を夢見てーその3

岩佐賞の資料。ぷかぷかは具体的にどんなことをやり、それがどのようにして持続可能な未来につながるのかの説明です。

 

 ぷかぷかの法人理念は

1)障がいのある人たちといっしょに生きていく。
2)健康な命を未来に引き継ぐ。

の二つです。

 

1)障がいのある人たちといっしょに生きていく。

 ぷかぷかは、何もしなければ取り残されたかも知れない障がいのある人達といっしょに街の中でお店をやり、社会を楽しく、豊かにするものをたくさん作ってきました。理屈っぽい話抜きに、彼らといっしょに生きていくと楽しいね、いっしょに生きていった方がいいね、と思う人がぷかぷかのまわりにどんどん増えてきました。持続可能な未来がここから見えてきます。(文中の「ぷかぷかさん」はぷかぷかで働く障がいのある人達のこと)

 

ぷかぷか三軒⻑屋(右からパン屋、お惣菜屋、アートスタジオ)

 

お客さんもぷかぷかさんとのおつきあいを楽しむ

 パン屋の店先ではときどき畑班の作った大根などの野菜を販売しています。ある日、その大根のラベルに「たいこん」と書いてありました。ぷかぷかでは、これまちがってる、とはいいません。「あ、おもしろいじゃん、今日はこれで行こう」となります。

  

「大根下さい」とお客さんがきました。「すみません、今日はたいこんです」といいます。お客さんもよくわかっていて、ラベルを見て、「ああ、今日はたいこんね。じゃ、たいこんください」と楽しんでいます。お客さんとのそういう関係がぷかぷかにはあります。

 

 こんなお惣菜が出ることもあります。

 お客さんは一目で納得してこれを楽しんで買っていきます。

 お客さん達は買い物をする中で、自然に彼らといっしょに生きていく楽しさを実感しています。

 

 そんな関係がこんな笑顔を生みます。

 

子どもたちも笑顔になります。

 子どもたちが大きくなって、社会を担うようになった時、どんな社会を作ってくれるのだろう、と楽しみです。持続可能な未来を子どもたちが作ってくれます。

 

 

小学校で人権研修会

 近くの小学校から人権研修会を依頼された時は、芸達者なぷかぷかさんを三人ほど連れて行きました。太鼓の名人、ダンスの名人、暗算と記憶の名人の三人です。

 太鼓の名人は日本フィルハーモニーのチェロ奏者と共演するほどの名人で、その日はソロの演奏でしたが、子どもたちを圧倒しました。

   

 ダンスの名人は自分でダンスを踊ったあと、子どもたちも誘ってみんなで楽しくダンスをしました。

 暗算の名人が登場した時は、暗算の得意な生徒と先生に5人ほど前に出てきてもらい、トレーに乗せた10個ほどのパンの値段をぷかぷかさんと競争で暗算してもらいました。スキャンするほどのスピードで暗算するぷかぷかさんの圧倒的勝利でした。

 記憶の名人は、2年生の教科書に出てくる『ふきのとう』という作品を朗読しました。名人の年齢から計算すると30年ほど前にならった教科書です。それをついさっき習ったかのようにスラスラ朗読したのです。2年生の生徒はもちろん、先生も朗読なんかできないので、みんなほんとうにびっくりしていました。

 障がいのある人たちはいろんなことができない、だから私たちが何かやってあげないといけない、といったイメージが一般的ですが、そんなマイナスのイメージを見事にひっくり返した人権研修会でした。

 障がいのある人達との新しい関係がここから始まります。「取り残さない」といった関係ではなく、彼らからいろんなことを学ぶ関係です。持続可能な未来がここから見えてきます。

 

 

大学でワークショップ

 ぷかぷかさん達と一緒にあちこちの大学に行ってワークショップをやることもあります。感性豊かな学生さんがどんどん変わってきます。

 「こんなに自由に生きてていいんだ」と感想を書いた学生さんがいました。一緒に演劇ワークショップをやり、ぷかぷかさんの発想の豊かさに驚いた学生さんもたくさんいました。

 障がいのある人たちといっしょに生きる意味がよくわかったと思います。何かを教えるというよりも、彼らから学んだことの方が多かったと思います。社会に出たあと、この体験が、障がいのある人達と一緒に持続可能な未来を作る上で、確実に役に立ちます。

 

 

パン教室

 パン教室は楽しくパンを作りながらぷかぷかさんと出会います。

 たくさんの子どもたち、大人達が、楽しいパン教室の中でぷかぷかさん達と出会いました。「ともに生きる社会を作ろう」とお題目を唱えるのではなく、こうやって具体的に出会う場を作ることこそが、持続可能な未来を確実に作っていきます。

 

区役所で人権研修会

 あちこちの区役所で人権研修会を頼まれます。そんなときはぷかぷかさん達といっしょに行きます。人権に関する抽象的な話をするのではなく、人権がないがしろにされることの多い障がいのある人達としっかり出会う研修会です。

一緒に手をつないで走ること、それは誰にとっても楽しい時間です。たったそれだけでぷかぷかさんと出会うことができます。

 

思いっきり力を入れる中で、相手と出会います。

 

演劇ワークショップの中で、ぷかぷかさんの表現の豊かさに出会います。

ぷかぷかさん達のおかげで心と体がどんどん自由になっていきます。

 参加した人達の感想

・短い時間でしたが、一緒に泣いたり、笑ったり、とても楽しい時間でした。

・みなさんの素直に自分を出す姿が、本当にキラキラしていました。

・同じグループになった女性のメンバーに「区役所にも障害のある人はいるの?」「あなたはどんな障害があるの?」といきなり聞かれ、すごく新鮮でした。僕は歩行障害があるのですが、ダイレクトに聞かれることが年々減っていく中で、「おお!」という気持ちをもらいました。今度ぷかぷかに行ってみようと思いました。メンバーのみなさん、ありがとう!

・みなさんの屈託のない笑顔でほんわりとした気持ちになりました。

・自由な開放された気分になる瞬間がありました。

・ぷかぷかさん達の持っている想像力や素直さは自分もこれから見習っていこうと思いました。

・人権についてぷかぷかさんとふれあうことで、より身近に深く考えることができました。

・ぷかぷかさんとのワークショップが楽しかった。「いっしょにいた方がトク!」はその通りだと思った。

・いっしょに生きる、暮らすことの大切さをあらためて感じました。

・「関わってみると、世界観が広がってトク」という表現は、とてもよいと思いました。

 

 得るものの多い人権研修会だったと思います。行政の人達が変わることは、持続可能な未来を作っていく上で、とても大事なことです。今回はとても手応えのある人権研修会だったように思います。

 

●演劇ワークショップ

 ぷかぷかさんと地域の人達で演劇ワークショップをやっています。6ヶ月かけて芝居を作り、大きなホールの舞台で発表します。一目で「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいね」と思えるような舞台を作ります。

●アートワークショップ

 地域の子ども達や大人達と一緒にアートのワークショップを行います。アートを通して地域の人達がぷかぷかさんと出会います。彼らの持っている発想の豊かさ、自由さに出会います。彼らがいると、社会が豊かになることがリアルにわかります。

 

 

2)健康な命を未来に引き継ぐ。

 ぷかぷかは、健康ないのちを未来に引き継ぐことを理念として掲げています。いのちが健康でなければ、健康な未来を描けないからです。

 健康ないのちを未来に引き継いでこそ、持続可能な未来を描くことができます。健康ないのちは、健康な社会を作ります。未来を生きる子どもたちには、健康ないのちと、健康な社会を生きて欲しいと思っています。

 そのためにぷかぷかは、パン屋、お惣菜屋、食堂では安心、安全な食材を使い、みんなのいのちを傷つけないように細心の注意を払っています。

 福祉のお店によくある「障害者が作ったから買ってあげる」という関係ではなく、「おいしいから買う」という当たり前の関係をぷかぷかは作っています。「おいしい」というのは普遍的な価値であり、その価値こそが持続的な未来を作っていきます。

 

●パン屋

 パン屋では国産小麦、天然酵母でパンを作っています。天然酵母はあこ天然酵母と、干しぶどうを発酵させた自家製天然酵母を使っています。自家製天然酵母はハード系のパンを作ります。

 塩は天日製塩で作ったものを使っています。添加物は一切使いません。生地には牛乳、たまご、バターなども使いません。アレルギーの子どもにも安心して食べて欲しいからです。材料で使う野菜は、農薬を使わないぷかぷか農園、でんぱたの畑、地域の農家さんが作っている野菜を使っています。

 保育園に配達するロールパンは、小麦粉、酵母、塩、少量のきび糖、菜種油、水だけで作っています。甘いもので飾ったパンが多い中、子どもたちにはシンプルなロールパンで小麦粉そのもののおいしさを伝えたいと思っています。未来を作るのは子どもたちです。環境に負荷をかけないシンプルなパンこそ、持続可能な未来を作ります。

     

 

お惣菜屋

 食材・調味料は、なるべく生活クラブのものを使用。

 野菜に関しては、地場の野菜を使用するようにし、旬の恵みをいいただけるようにしています。でんぱた(ぷかぷかの運営する生活支援事業所。農業をやっている)、ぷかぷか農園、グリーン(農業をやっている生活支援事業所)さんのお野菜も利用しています。

 召し上がっていただく方々の健康の安心としては、出汁(椎茸・昆布・鰹節)を丁寧に取ることで、調味料を少なく薄味に仕上げることが出来るように心がけています。

 使用する味噌も惣菜で手作りをしています。

 お弁当箱に関してもSDGsの精神の元、プラスチック容器から竹バガスや麦バガスを使用した地球に優しい容器に変更しています。

 

●楽しいお弁当

 たとえば高齢者の配食サービスに持っていくお弁当の帯はぷかぷかさん達(ぷかぷかで働く障がいのある人達)が絵を描いています。 

 こんな帯があると、お弁当の時間が楽しくなります。お弁当の時間が楽しくなるって、幸せなことだと思います。ぷかぷかさん達はその幸せな時間を高齢者の方達にプレゼントしているのです。

 お弁当食べたあとも、この帯だけはちょっと捨てられないな、と思うくらい楽しい帯です。こんな絵を描く人は社会にいた方がいいよね、と素直に思えます。

 たかが弁当の帯です。でも、この小さな帯が、障がいのある人達への偏見、思い込みをひっくり返してしまうほどのチカラを持っています。障がいのある人達を「取り残さない」ではなく、「いた方がいい」と思いが前向きになります。それは障がいのある人たちもいっしょに生きていく持続可能な未来を作るチカラだと思います。

 

●焼き菓子

 焼き菓子のラベルはぷかぷかさん達が作っています。これがあることで楽しい焼き菓子になっています。おやつの時間が楽しくなります。ここからこの社会を持続させていこう、という気持ちが生まれます。

 

●区民祭り

 区民祭りでは地産地消のブースを担当し、お惣菜部門で地場の材料を使っておから煮を作り、配布しました。ブース自体もぷかぷかさん達と一緒に楽しくデザイン。地場の材料を使うレストランの地図もぷかぷかさん達が製作し、ブースの横に展示しました。この地図は後日区役所のロビーに展示されました。

 彼らといっしょに生きると楽しいね、というメッセージをこのブースを通して発信できました。何よりも、彼らがいると、暮らしが豊かになることが伝わったと思います。暮らしが豊かになることは、持続可能な未来を推し進めるいちばんの原動力 です。

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