ぷかぷか日記

本番の舞台では果たして予定している歌を歌ってくれるのでしょうか。

 発表会前の最後の練習。午前中リハーサル室で稽古したあと、ステージで稽古しました。

  舞台監督の成沢さんから説明を受けてから舞台へ。

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今年もめくりの字がすばらしい! 私たちにはこんなにアートな字は絶対に書けません。こんな字を書く人は街の宝です。

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「岩手軽便鉄道の一月」に出てくる木(さわぐるみジュグランダー、くわのきモルスランダーなど)をみんなで作りました。

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 ぷかぷかのみんなと地域の子ども達大人達で描いた大きなクジラの絵を背景画として飾りました。わんどの部屋に飾っているときはすごい迫力なのですが、舞台にあげたらどうかなと心配していました。でもこうして飾ってみると、なかなかどうして、しっかり存在感を示していました。写真では色がいまいちですが、現物はすばらしい色合いです。

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むっつりのお面をつける間、むっつりの「空気」がみんなを覆います。

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 森三成子さんデザインのむっつり大王の絵を背景に、みんなが一斉に振り向きます。

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むっつりに覆われた中、小山さんがお母さんにいつものように電話をします。

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小山さんはワークショップの終わったあと、いつもお母さんに電話します。電話口で

♩おひさま〜が りんごの〜 はっぱをとおして ひ〜かる〜♩

って歌っているのを聞いて、なんだかとてもあたたかい気持ちになって、この歌こそが

むっつりの世界からみんなを救う、という筋書きを作ったのですが、舞台の上で小山さんが歌ったのは、

♩つかれた つかれた…♩

というむっつり大王の歌で、みんなのけぞってしまいました。

こんなふうに筋書き通りに行かないところが彼らと一緒にやるワークショップの面白いところ。明日の本番の舞台では果たして予定している歌を歌ってくれるのでしょうか。

 

明日「表現の市場」です。読売新聞と朝日新聞に紹介されましたので、ひょっとしたら満席になる可能性があります。お早めにお出かけ下さい。

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この記事、あちこち拡散して下さい。 

 

 

 

 

こんな表情はふだんの暮らしではなかなかできません

 近所のおじさんことオーヤさんが感想を送ってくれました。

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 みんなのむっつりが、メンバーさんたちの会話から無くなるところは、ぷかぷかの雰囲気があって、非常に良いです。このときのメンバーさんの雰囲気が会場全体を包み、見ている人にぷかぷかの居心地の良さが伝われば、良いと思います。

 当日を含め、練習は2回だけですが、今まで練習してきたことを活かして、自分らしく、舞台に立てれば良いと思います。

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 半年前、ワークショップに誘ったときは、

「え?舞台に立つんですか?」

と信じがたいような表情をしていたのですが、今はすっかり自信を持って舞台に立つ気でいます。こういう変わりようがワークショップの面白いところです。

 最初は仕事が忙しいので、参加できない日もあります、なんておっしゃっていましたが、ワークショップがだんだん面白くなって、一日も休むことなく参加しました。

 

 初めて参加した日はこんなふうにガチガチでした。

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それがみんなと体を動かしているうちにこんなふうに変わってきました。

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こんな表情はふだんの暮らしではなかなかできません。

心と身体が自由になって初めてこんな表情ができます。

ワークショップの場では日常よりもはるかに心と身体が自由になります。そんな場で障がいのある人たちともっと深い、もっといい出会いをしたいと思って始めたワークショップでした。その出会いは、予想をはるかに超えた結果を生みました。

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2月14日(日) 表現の市場の中で第二期ワークショップで作った作品を発表します。どんな結果を生み出すか、楽しみにしていて下さい。

 

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「仮面ライダー」と「太鼓の達人」

先日、こんな格好をしていて、よくわからない人だなぁ、と思っていたのですが、

「あれは仮面ライダーをやっていたんです」

とあとでうれしそうに教えてくれました。

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 これで仮面ライダーになった気分で街を歩けるなんて、

「なんて幸せな人なんだ」

と思いましたが、そのダイちゃん、2月14日(日)の「表現の市場」では「太鼓の達人」になって舞台に立ちます。たった一人で300人も入るホールの舞台を支えるのですから、本当にすごい人です。ぜひ見に来てください。

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「仮面ライダー」と「太鼓の達人」と。その両方を持ち合わせているのがダイちゃんです。こんな人はやっぱり「街の宝」だと思います。

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表現の市場、ぜひ来て下さい。

 

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大きなチラシ

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希望のある未来を作っていく関係がここに

 第二期「みんなでワークショップ」の6回目。ようやく全体を通して稽古するところまで来ました。

 オリジナル創作劇「みんなの《生きる》」は「岩手軽便鉄道の一月」の歌から始まります。歌に出てくる「かわやなぎサリクスランダー」とか「さわぐるみジュグランダー」などの木をみんなで表現します。

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 辻さんのおだやかな表情!ワークショップはこんな表情でいられる場です。

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 谷川俊太郎の詩「生きる」をみんなで朗読します。長い詩なので、五つのグループに分けて朗読します。朗読が終わると体で形を作ります。安見ちゃんのピアノがすばらしくいいです。デフパペの善岡さんは手話で詩を表現します。

www.youtube.com

 

 三つの「私たちの《生きる》」の発表です。

 グループ詩の朗読がこんな感じで始まります。

www.youtube.com

 

グループ詩を元に作った簡単な芝居を発表し、みんなで評価し合います。ワークショップはこういう作業を積み重ねて、少しずつ芝居ができあがっていいます。

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 この芝居の中では電車の中で車掌が乗客にアイスクリームを配ったりする場面があります。こんなことはふつうはあり得ないのですが、ぷかぷかのメンバーさんと一緒に芝居を作ると、こんな楽しいことが当たり前のように出てきます。実際にこんなことができたら、世界はすっごく楽しくなるだろうなと思うのです。

 押し合いへし合いの電車の中、突然車掌が「今日はスペシャルサービスでみなさんにアイスを配ります」とアイスを配り始めたら、なんだかみんなもう笑うしかない、というか、このぎすぎすした社会にあってはこういうとんでもない提案こそが、社会の中でゆるっとした部分、私たちがホッとする部分を作っていくのだと思います。

 

 北海道から駆けつけてくれた森さんとデフパペットシアターの人たちにクジラの頭としっぽを作ってもらいました。だんだんクジラに見えてきました。

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潮も吹きます。近所のおじさんことオーヤさんががんばっています。

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 クジラの楽しい世界の中で「むっつり」が広がり始めます。「むっつり」が広がっていく不気味さをいろんな人の声を拾い集めて編集し、流します。その一つに舞台監督の成沢さんの声を入れます。成沢さんは昔「68/71黒色テント」というラジカルな劇団で役者をやっていました。30年ほど前、障がいのある人たちとの演劇ワークショップの提案を最初に聞いてくれ、今ひとつ納得してない顔でしたが、それでも何度もテントの稽古場まで高崎が話をしに来るので「しょうがねぇなぁ」とかいいながらも、東京の練馬から遠く横浜の瀬谷まできてくれたのが成沢さんと「68/71黒色テント」の仲間達でした。ワークショップの初日に、障がいのある人たちと一緒にワークショップをすることの意味を納得。その続きで今日のワークショップがあります。この人の動きがなければ、今の「みんなでワークショップ」はありませんでした。その成沢さんの声を録音しました。

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 「もっとねちっこく」とか、「もっと気色悪く」とかいろいろ注文をつけていると「高崎さんやってみたら」と演出の花崎さんにいわれ、突然声の役者をやることに。

www.youtube.com

 久しぶりに気合いを入れて声を出したらものすごくすっきりしました。芝居って楽しいなとしみじみ思いました。

 これは「むっつり」に感染しない人たちが現れて、「むっつり」がへなへなとしぼんでいくところの台詞ですが、「むっつり」が肥大していく時の台詞は結構怖いものがあります。

「フフフ、すっかりむっつり大王の天下だ。総がかりで金儲けだ。一番儲かるのは戦争だ。もっともっとむっつり、不機嫌、不満、不安をあおって、、、フフフ」

 憲法改正するんだと最近やたら息巻いているアベになった気分でした。

  午後の通し稽古で私が気合いを入れて読んだら「ひゃ〜、怖い〜」という声がいくつか上がりました。

 稽古のあとの感想を言い合うところでは

「高崎さんて、負のオーラが充満してるんじゃないですか」

なんて言った方がいましたが、そうかも知れないと思いました。

 

  「むっつり」に感染しない人たちの一人に紺野さんが登場します。紺野さんはサザエさんの話をし、波平さんに一緒にお風呂に入ろうよ、と迫ります。即興でこの場面を作り、迫られた近所のおじさんことオーヤさんはどう答えていいかわからず、困っていました。

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「むっつり」に感染しない人たちに救われた人たちは、こんなに楽しそうに踊ります。これがワークショップで作り上げた場です。障がいがあるとかないとかを超えた、希望のある未来を作っていく関係がここにはあります。

www.youtube.com

 

 ワークショップはあと一回。どんな芝居に仕上がるか、楽しみにしていてください。 

 2月14日(日) 「表現の市場」の中で発表します。 

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飯田でのあの熱い時間を思い出したのかも

 まーさん連れて「デフパペットシアターひとみ」まで行ってきました。

 (まーさんのこと知らない方はこちらをお読み下さい。

  まーさんの物語 – ぷかぷかパンの店『カフェベーカリーぷかぷか』 )

まーさんがデフパペに関心を持つきっかけを作ってくれた役者のマッキーが病気になって「表現の市場」の舞台に立てないかも知れないと聞き、なんとか元気になって欲しいと思いました。まーさんに事情を話し、マッキーといっしょに舞台に立ってみないか、と誘いました。

 「元気になって下さい」なんて月並みなメールをしても、元気になんかなれないので、「いっしょに舞台に立ちませんか?」という提案をマッキーにしてみたら、と話しました。役者なら絶対に元気になります。前はマッキーに支えてもらったので、今回はまーさんがマッキーを支えようというわけです。マッキーはかなり具合が悪そうで、舞台に立つにしてもほんの短い時間かも知れません。それでも、その短い時間でもいい、「いっしょに舞台に立ちませんか」というまーさんからの提案はマッキーを絶対に元気にすると思ったのです。

 まーさんは最近幻聴がひどく、いつも悪口を言われている、とぷかぷかには来なくなりました。ワークショップにも来てないので、舞台に立つ予定は全くありませんでした。「マッキーといっしょに舞台に立ってみないか」という提案にはちょっと驚いたようでした。「でもマッキーのおかげで飯田まででかけることができたのだし、表現の市場の舞台もマッキーのおかげでまーさんはあんなに活躍できたんだよ、そのマッキーが大変な病気なんだから、何とか元気になれるようにまーさんがんばってよ」と時間をかけて話しました。

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(飯田での熱い舞台のあとで)

 

まーさん、かなり悩んでいたようですが、一晩考えたあと、「いっしょに舞台に立ちます」と連絡をくれました。飯田でのあの熱い時間を思い出したのかも知れません。そのあとマッキーにその旨を知らせるメールを送ったようで、マッキーはすごく喜んでいましたよ、と関係者から聞きました。

 

 で、昨日、表現の市場に出す作品の稽古をしますから来て下さい、という連絡がデフパペから入り、稽古場まで出かけたというわけです。ちょい役かと思いきや、マッキーが抜けたあとをそのまま補うような大変な役です。

 「のはらうた」を手話と人形と面白いパフォーマンスで表現します。

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チョウチョを飛ばします。

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カマキリになります。やなせさんが演技指導。

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演技指導にも気合いが入ります。

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まーさん、だんだん集中してきました。 

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マッキーにカードの表示の仕方を教わります。

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ここでちょっと止める、と微妙な動きをマッキーは教えてくれます。

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 デフパペの人たちの熱心さに、なんだか感動してしまいました。マッキーはまーさんにいろいろ教えるとき、本当にうれしそうでした。まーさんも久しぶりに笑顔がこぼれました。二人が支え合って舞台に立てるといいなと思いました。

2月14日(日)「表現の市場」で発表します。ぜひ見に来て下さい。

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大きなチラシ

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福祉もビジネスも

 日経ソーシャルイニシアティブ大賞に応募した文章

やっぱり社会は障がいのある人たちが必要 – ぷかぷか日記

を読んだ方の感想が届きました。以前ぷかぷかを取材した雑誌の編集者です。

 

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たくさんの応募の中から、選んでもらえるように、文章をまとめるのは大変ですね。
ほんとうに、お疲れさまでした。
通りますように!!

特に、要件の「革新性」の部分を伝わるように書くのが、難しそうだなぁと思いました。
ぷかぷかさんの活動は、一見よくある事業所といっしょじゃないか、と思われそうなので。
(福祉施設でよくある”パン屋”さんですし、演劇ワークショップにしても、それでたとえば、演劇で全国を公演をしてまわっている、というよう な目を引く新規性はないので)

ぷかぷかさんの活動は、一目でわかる新しい、画期的な事業スキームはないですが、
じわじわ、知っていくうちに、いつの間にか、ファンになっている、お店が、そこで働く人たちの空気感が、気づいたら、クセになっている、という感じだと思うんです。

「障害のある人もない人もいっしょに生きる世界を」なんてスローガンを声高にかかげるより、よっぽど、現実的に、人を変えていくパワーがあると思いますが、それに「革新性」を感じてもらえるように、わたしだったらどう書くだろう…、と考えてしまいました。

ブログを拝見していると、やはり毎日まいにち、彼らといっしょに過ごしている人だからこそ、発見できる、書ける文章だなぁと、うらやましく思います。

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 全国の福祉事業をよく見ている編集者の目だなぁ、という感じがしました。

「福祉施設でよくある”パン屋”さんですし」なんていわれるとガッカリしてしまうのですが、ガッカリしててもしょうがないので、「よくあるパン屋」を「ここにしかないパン屋」に変えるにはどうしたらいいのか、を考えた方がいいと思いました。福祉事業所だからそこまでこだわらなくていい、ではなくて、福祉事業所だからこそ、そこにこだわりたいと思うのです。売れても売れなくてもいいようなものではなく、しっかり売れる、いいものを作りたいからです。そのためにビジネスにこだわりたいのです。

 福祉かビジネスか、ではなく、福祉もビジネスも、というスタンスです。そういう意味で、日経ソーシャルイニシアティブ大賞へトライしたことは、苦労して書いた分、ものすごくいい勉強になったと思っています。

 「ぷかぷかが解決しようとしている社会的課題とは何なのか」

 「ぷかぷかが生み出している社会的価値とは何なのか」

ということについて考えることは、ぷかぷかを更によくしていく上でとても大事な作業です。本当にいい機会だったと思います。

 

 審査の結果は3月末発表です。

 

 

ここにしかないパン屋(店先でこんな人がこんなパフォーマンスをやっている楽しい、ホッとする雰囲気のパン屋なんて、多分ここだけ)

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彼らが作る「ぷかぷか物語」

 昨日、日経ソーシャルイニシアティブ大賞の原稿を書いていて、最後のまとめに、「ぷかぷかに彼らがいなかったら、ただのパン屋でしかなく、これほどすばらしい物語は生まれなかった。」と書きました。

 ぷかぷかのホームページがこんなにも充実しているのも彼らのおかげです。彼らがいなければ、こんなに楽しいぷかぷかのホームページはできませんでした。(まだホームページを見ていない方は「ぷかぷかパン」で検索して下さい。)

 私の彼らへの思いから始まったホームページは、彼らの日々の物語が積み重なって、壮大な「ぷかぷか物語」を創り上げています。118,000人を超える人たちが、この物語を読んでいます(ま、2回3回と読んだ人もいますが)

 ここには彼らと一緒に生きていくための膨大な手がかりがあります。一緒に生きていった方がいいよね、って素直に思える物語がたくさん詰まっています。ふっと心安らぐ物語、心が癒やされる物語、心がきゅんとなる物語、抱きしめたくなるような物語、未来に希望が持てる物語、わくわくするような物語、思わずクスッと笑ってしまう物語、心にすとんと落ちる物語、新しい発見のある物語……。これはもう、社会の「財産」といっていいほどの価値を持つのではないかと思います。。昨日書いたぷかぷか日記の「社会性」と「革新性」の部分は、ソーシャルビジネスの新しい形を提案できたと思います。

やっぱり社会は障がいのある人たちが必要 – ぷかぷか日記

 

 物語は現在進行中です。ぷかぷかのあちこちから毎日のように新しい物語が生まれています。今日はこんな物語が生まれました。 

www.facebook.com

 物語は人生を豊かにします。物語があるから、人は前に進めます。明日に希望が持てます。何よりも元気になります。

 彼らに感謝!です。

 

 

こうやって毎日毎日たくさんの物語を彼らは創りだしています。一枚一枚の写真に、小さな、あたたかな物語があります。一枚一枚じっと見てください。ね、楽しい物語が目に浮かぶでしょ。この物語は社会を潤いのあるものにします。

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やっぱり社会は障がいのある人たちが必要

 日経ソーシャルイニシアティブ大賞に今年も応募しました。今日締め切りで、先ほどメールで送りました。

 以下の三つの要件を満たすように書いていったのですが、まとめとして、やっぱり社会は障がいのある人が必要、ということが見えてきました。

 

1. 社会性  社会的課題の解決を事業のミッションとしている

2. 事業性  ビジネス的手法を用いて継続的に事業活動を進めている

3. 革新性  新しい事業モデルや社会的価値を創出している

 

 問題となるのは「社会性」と「革新性」です。ここが一番評価されます。書くのに一番むつかしくて、一番楽しいところです。今年は少し切り口を変えることで、ぷかぷかがやっていることを再評価できたように思います。

 「事業性」については、日々の「ぷかぷか」の活動そのものなので、あらためてここでは書きません。

 ちょっとびっくりしたのは「直近1年間のトピックについて」という項目で、あらためてこの1年、ずいぶんいろいろなことをやってきたんだなぁ、と思いました。

 

社会性について

事業の目的:障がいのある人たちが生き生きと働ける職場を作る。

ミッション:障がいのある人たちと一緒にお互い気持ちよく生きていける社会を実現する。 

解決を目指す課題:障がいのある人たちの社会的生きにくさ

 

 障がいのある人たちは「理解力が低い」「仕事が遅い」「なに考えているかわからない」といった理由で社会の中で疎外されることが多い。このマイナス方向の評価が障がいのある人たちの社会的生きにくさを生んでいる。この問題の解消のためには、障がいのある人たちに対するマイナス評価を超えるプラス方向の評価を作り出すことだと思う。「ぷかぷか」がやってきたことは、事業を運営していく中で彼らに対するプラス評価をたくさんのお客さんと共有してきたことだと思う。 

 障がいのある人たちが社会の中で生きにくいとき、いいかえれば社会の中で受け入れる人間の幅が狭くなるとき、私たちもまた窮屈になり、生きにくい社会になる。障がいのある人たちを排除する社会は、だんだん豊かさを失っていく。いろんな人がいること、それが社会の豊かさだからだ。彼らが生きやすい社会は、誰にとっても生きやすい社会であり、それが社会の豊かさといえる。「ぷかぷか」はその豊かさを社会に取り戻そうとしている。

 「ぷかぷか」は「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ」というメッセージを、日々ホームページやFacebookページ、ぷかぷかしんぶんなどで発信し続けている。このメッセージは、「ぷかぷか」代表の高崎が養護学校で教員をやっているときに、知的障がいの人たちに惚れ込んでしまい、「彼らと一緒に生きていきたい」「一緒に生きていった方が得!」と思ったところから始まっている。

 「一緒に生きていった方が得!」と思ったのは、障がいのある人たちにとても豊かなものを感じたからだ。もちろんいろいろできないことがあったり、問題を抱えていたりすることも多い。でも、それらを超える豊かなものを彼らは持っている。彼らとおつきあいすることは、私たち自身の人間の幅を広げ、人生を豊かにすることだ。

 定年退職後、街の中に彼らの働くお店を立ち上げたのは、彼らと一緒に生きていきたいと思ったことと、街の人たちに素敵な彼らに出会って欲しい、彼らの持つ豊かさに出会って欲しいと思ったからだ。それはそのまま「プラス方向の評価」をたくさんの人たちと共有することであり、彼らの社会的生きにくさの解消につながっていく。

 実際に彼らの働くお店を開くと、パン屋、カフェ、お惣菜屋など、にぎやかで、それでいてホッとする雰囲気の中で彼らと出会い、「ぷかぷかが好き!」という人がどんどん増えてきた。福祉事業所を応援する、というのではなく、単純に「ぷかぷかが好き!」なのだ。障がいのある人たちの魅力に出会ったということだろう。「ぷかぷかが好き!」という言葉は、彼らへの素直な「プラス評価」だ。「今までなんとなく嫌だなって思っていたけど、彼らのことを知ると、なんだか素敵な人たちね」とお店で彼らと出会った人たちは言う。

 「なんとなく嫌だ」が「ぷかぷかが好き!」に変わったことはとても大きな変化だ。障がいのある人たちの社会的生きにくさを生んでいる彼らへの「マイナス評価」が、お店に来ることで「プラス評価」に変わったということだ。

 「ぷかぷか」は障がいのある人たちが生き生きと働くことのできる場を運営しながら、障がいのある人たちに「プラス評価」をするお客さんを増やし、地域社会を少しずつ豊かにしている。

 

 

革新性について

 空気を読んだり、まわりに合わせることばかり考える社会は息苦しく、窮屈きわまりない。知的障がいのある人たちは、空気を読むことも、まわりに合わせることもあまりしない。そういったものからとても自由。「ぷかぷか」は、そんな彼らが、ありのままの自分でいられる場所になっている。そして、ありのままの彼らを、利益を生み、社会を豊かにする「新しい価値」としてうまく事業に取り入れている。

 「ぷかぷか」のスタッフは、障がいのある人たちと「一緒に生きていく」というスタンスを取っている。だから彼らに対し、管理的な立場は取らない。彼らが「ぷかぷか」でありのままの自分でいられるのは、そこから来ている。

 ありのままの彼らを大事にしたいので、接客マニュアルは使わない。それを使うと「彼ららしさ」がなくなるからだ。マニュアルがないので、決してうまいとはいえない接客だが、一生懸命さだけはしっかり伝わる。みんなの思いがお客さんの心にストレートに届く。それがお客さんにとって、とても心地いい。

 お店に来て、ありのままの自分で働く彼らの姿を見ると、「なんて自由な人たちなんだ」と心が癒やされるお客さんが多い。社会がだんだん窮屈になり、その息苦しさの中で、ふっと出会った彼らのとんでもない自由さととびきりの笑顔。ホッとして体の力が抜けたのだろうと思う。救われた気持ちになった人も多い。そうやって「ぷかぷかが好き!」「ぷかぷかのファンです」という人が増えていった。

 障がいのある人たちは、社会に合わせることを求められることが多い。そうしないと社会の中で生きていけないと思われているからだ。「ぷかぷか」では、彼らを社会に合わせるのではなく、彼らに社会を合わせようとしている。だから「ありのままの彼ら」を大事にし、それで仕事をしてきた。結果、「ぷかぷかが好き!」「ぷかぷかのファンです」というお客さんが増えてきた。

 「ありのままの彼ら」が収益を生み、お客さんに豊かなものを提供している、ということだ。これは今までなかった「新しい価値」と呼んでいいと思う。みんなの心をぽっとあたたかくする「新しい価値」。息苦しさの増す今の社会だからこそ、両手で包み込みたいほどに大事にしたい「新しい価値」だと思う。

 社会はだから、障がいのある人たちを必要としているのではないかと思ったりする。彼らの作り出す「あたらしい価値」は、息苦しさの増す今の社会を救う手立てを示しているのかも知れない。

「ぷかぷか」に彼らがいなかったら、ただのパン屋でしかなく、これほどすばらしい物語は生まれなかった。彼らはやはり社会に必要なんだと思う。

 

 

直近1年間のトピックについて

5-1 みんなでワークショップ

ぷかぷかで働く障がいのある人たちと地域の人たちで演劇ワークショップをおこない、その記録映画ができあがって5月に上映会をおこなった。

記録映画を見た人たちの感想。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/05/24/020839

2015年9月からスタートした第2期みんなでワークショップ

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/11/25/002448

 

5-2  大きな絵地図が区役所のロービーに飾られることになった。

緑区民まつりで地産地消のブースを「ぷかぷか」がデザイン、制作し、テントの横に地産地消サポート店の大きな絵地図を描いて展示した。その絵が高く評価され、緑区役所のロビーに飾られることになった。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/10/18/234919

 

5-3 人権研修会

緑区役所で人権研修会があって講師を頼まれ、ぷかぷかで働く障がいのある人たちも講師になって参加。今までにない画期的な人権研修会になった。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/12/23/013407

 

5-4 プロモーションビデオ

ぷかぷかのプロモーションビデオを作ることになった。ぷかぷかの宣伝というより、ぷかぷかのほっこりしたあたたかさを社会に広げるようなプロモーションビデオ。「一緒にいると、心ぷかぷか」がタイトル。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/12/24/011608

 

5−6 読売福祉文化賞

演劇ワークショップが読売福祉文化賞を受賞した。多様な文化の発信が評価された。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/12/10/001827

 

5−7 未来を豊かにする子どもたち

パン教室は未来を豊かにする子どもたちを育てている。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/12/06/231742

 

5-8 子どもたちにオペラをプレゼント

子どもたちの心を豊かにしようとオペラをプレゼントした。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2015/07/20/001020

 

 

 

日経ソーシャルイニシアティブ大賞

social.nikkei.co.jp

 

 

 

 

 

 

 

暴走を始めるともうコントロールがきかなくなる

 ワークショップの進行役をやっている花崎さん、クジラの人形を作ってくれている森さんと打ち合わせしました。森さんは北海道から今回の人形作りのために来てくれた人形師です。人形を作る人であり、人形を使い、演ずる人であり、人形を使った舞台を作る人です。

 今回ワークショップで作った芝居には「みんなの《生きる》」のポジティブな面の象徴として楽しく泳ぎ回るクジラが登場します。

 ぷかぷかのメンバーさん、地域の人たちがいっしょに描いた大きなクジラの絵にはみんなの楽しさがぎっしり詰まっていて、それが絵から飛び出したという設定です。

pukapuka-pan.hatenablog.com

 

そのクジラの頭を森さんがデザインし、デフパペットシアターの人たちが作業場で作ってくれました。

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これも森さんの発案なのですが、何に使うかは当日まで内緒です。とても自由度の高い素材で、イメージが自由にふくらみます。 

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 ワークショップでは全員がクジラになって泳ぎ回ったりしましたが、舞台は神奈川県で一番といわれる大きなグランドピアノがかなりの場所を占めるため、みんなでクジラをやるのはかなりむつかしいかなと思っています。

 前回のワークショップでは、こんな感じになって、なんだかデモをやっているようでした。これをどうやってクジラに見せるかが、腕の見せ所。あと2回のワークショップの中でみんなで考えます。f:id:pukapuka-pan:20160128001307p:plain

 

 クジラをやっている途中で、突然一人ひとりの中のネガティブな部分がうごめきだし、瞬く間に広がっていきます。ネガティブがどんどん、どんどん肥大化し、頂点まで達したとき、仮面をかぶった全員が、ババ〜ン!と振り向きます。オペラ『飢餓陣営』のバナナン大将の歌を歌いながら観客に迫ります。

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 打ち合わせしながらも怖いなと思ったのは、このネガティブな部分が集まって肥大化するとコントロールできなくなり、暴走し始める、ということです。ナチスドイツがそうでした。ヨーロッパの歴史に詳しい花崎さんによると、最初の頃はヒットラーが人々の不満を利用しようとしたらしい(人々の側からいうと、むっつりにつけ込まれた)のですが、人々のネガティブな部分が肥大化し、暴走を始めるともうコントロールできなくなったというのです。

 「一億総活躍社会」などという威勢のいい、それでいて空疎な言葉に、それでも多くの人たちがそれについていこうとしている状況は、このネガティブな部分の肥大化が始まり、暴走が始まっているのではないか、とすら思ったりするのです。

 芝居ではネガティブ(むっつり)に感染しないぷかぷかのメンバーさんが登場し、

pukapuka-pan.hatenablog.com

彼らこそがこの暴走(息苦しい社会)を止めるんじゃないか、という思いを、その場面ではこめているのですが、それがどこまで伝えられるか、発表会まであと二回のワークショップが勝負です。

 

 できあがった芝居は2月14日(日)表現の市場で発表します。

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大きなチラシ

http://www.tokyuensen.com/resource/event/img/2016/1601_042.jpg

 

 

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