ぷかぷか日記

どこかで必死になる部分が…

 昨年、まーさん連れて飯田までワークショップをやりに行くきっかけを作ったのがこのチラシ。

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 デフパペットシアターひとみの稽古場にまーさん連れて行った時に、このチラシを見てしまったのです。それが物語のはじまりでした。

 ワークショップやって、本番の舞台にデフパペの人たちと一緒に立つ、という企画です。もう血が騒ぎましたね。だからまーさんと一緒に飯田までいけたんだと思います。

 もちろんまーさんをなんとかしたい、という思いはありました。でも、そういう思いと一緒に、私自身の中に「血が騒ぐ」ようなものがあったからこそ、一緒に舞台に立てたんだと思います。

  「舞台に立つ」って、そういうことだと思います。どこかで必死になる部分が自分の中にあること。舞台って、だから好きです。

 

 

 

パン教室、みんなすごくうまくなりました。

 8月1日(土)パン教室。暑い夏の一日でしたが、暑さにへこたれることもなく、今日も元気にみんなでパンを作りました。

 まずはパン生地をこねます。

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初めて参加したチャコちゃんも楽しそう。ぷかぷかパン教室はこんな楽しさをみんなで体験することを大事にしています。

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だらだらと締まりのないパン教室ですが、それでも回を重ねる毎にみんなうまくなって、生地のこね上がりが10時前。驚異的な進歩です。生地を発酵させている間に具材作り。肉まんの具、ピザのトッピング、あんパンのあんこ作り、ミネストローネスープ作りと休みなく作業はつづきます。それらがいろいろ指示を出さなくても、どんどん進むところがすごいと思います。

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さらちゃん、調理台が高いので、椅子にのってがんばっていました。

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チャコちゃん、指が包丁の下にあって、ハラハラしましたが、指を切ることもなく、ネギをしっかり切っていました。こういう体験が大事なんだと思います。

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さらちゃんはあんこ作り。サマになっています。

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お姉さんたちも張り切っています。

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肩車にのって参加もアリ、のパン教室です。

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みんなが具材作りに一生懸命のさなかにも、いつものパフォーマンスを忘れない辻さん

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1次発酵が終わり、生地を分割します。

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ベンチタイムのあと、成形に入ります。

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あっ、あんこ落とさないで!

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ちょっとお茶タイム

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焼き上がりを待ちます。

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できあがったミネストローネスープをお椀に

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途中お腹がすいて泣き出す子もいましたが、12時45分、ようやく「いただきます!」

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 生地のこね上がりの時間がすごく早かったので、発酵に十分時間を取ることができ、おいしいパンができあがりました。次回は久しぶりにカレーパンを作ります。ドライカレーを作る手間が入るので、すごく大変になります。でも苦労して作ったパンほどおいしいです。揚げたての熱々のカレーパンは最高ですよ。

 

 

『森と夜と世界の果てへの旅』の舞台に立つワークショップ

 9月13日(日)にみどりアートパークでデフパペットシアターひとみの『森と夜と世界の果てへの旅』の公演をおこないます。昨年夏、まーさん連れて飯田まで行き、ワークショップをやって、本番舞台に立った作品です。

 10日ほど前に、ふとそのことを思い出し、北海道に公演に行っているデフパペの制作の方に、

「今回は飯田のようなワークショップやらないんですか?」

って聞いたところ、

「ぜひやりましょう!」

という返事をいただいたので、すぐにアートパークに連絡を取りました。ところが、ワークショップのできる「リハーサル室」は8月9月は全部ふさがっていて、これは地区センターの会議室でも取るしかないか、と思っていました。

 ところが今日の夜になってみどりアートパークから電話があり、公演の前日のホールの夜の枠があいていたので、そこで公演の仕込みをやってしまい、当日の朝10時からワークショップを舞台でやろう、というわけです。すばらしいアイデアだと思いました。アートパーク、またまた見直しましたね。「やろう!」という気持ちがあればここまでできちゃうんですね。

  デフパペットシアターの『森と夜と世界の果てへの旅』はジュジュマンという飲んべえが椰子酒を求めて世界の果てまで旅をし、いろいろひどい目に遭います。最後はなんでも願いが叶う卵が割れて、世界の終わり、といった感じになります。その中でなおもジュジュマンが自分の足で前に向かってぎこちなく歩き始めます。アフリカの太鼓のリズムでぎこちなく歩き始めるジュジュマンの姿には、どんなの辛い中でも自分の足で歩いて行く、という希望があります。そのジュジュマンを支えるように、みんなで歩くのです。

 去年の夏、まーさんがデフパペの舞台に立ったときの話です。

pukapuka-pan.hatenablog.com

 

 このわずか1分20秒ほどの舞台のために3時間のワークショップをやりました。今回は10時から12時までの2時間ですから、ちょっと駆け足のワークショップになるのかも知れません。

 問題は、舞台に立つ人は『森と夜と世界の果てへの旅』の舞台を見られない、ということです。多分事前に『森と夜と世界の果てへの旅』のDVDを見ることになると思いますが、舞台を見るのとは全く違います。

 飯田では自分の出番まで、というより、出番は一番最後のシーンなので、はじめから最後まで、舞台の袖でじっと待っていました。デフパペの役者たちが汗だくになって走り回っている側で、じっと待っているというのは、結構つらいものがありました。

 でも『森と夜と世界の果てへの旅』を舞台裏から見られたことは、普通はあり得ないことなので、とても面白い体験でした。

 なによりもデフパペの本番舞台に一緒に立てる、というのは、滅多にない貴重な機会なので、舞台を見る以上の価値はあると思います。

 ワークショップの参加者募集については後日お知らせします。楽しみにしていてください。

プレゼンシート

「pvプロボノ」というプロの映像クリエイターたち(自分の仕事を持ちながらも、どこかで自分のスキルを生かした社会貢献したいと思っているクリエイターたちです)と社会的課題を解決すべく動いているグループを結ぶNPOがあって、1次審査が通り、そこのサイトにプレゼンシートをアップすることになりました。今日アップし、1週間、映像クリエイターたちのリーダーを募集、リーダー決定後、企画、演出、撮影、編集、録音などのスタッフを募集するそうです。問題はぷかぷかのプレゼンシートに手を上げるクリエイターたちがいるかどうかです。手を上げる人がいなければ、このプロジェクトは失敗です。

 以下、プレゼンシートの原稿です。

 

みんな「ぷかぷか」が大好き!

〜障がいのある人たちの働く場が地域で愛される場に〜

 

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プロジェクトについて

 横浜、霧ヶ丘にある「ぷかぷか」は障がい(主として知的障がい)のある人たちとスタッフが《一緒に》働いているお店です。「パン屋」「カフェ」「お惣菜屋」「アートスペース」の4軒のお店があります。健康な命を未来に引き継いでいきたい、と安心して食べられるパン、食事、お惣菜を提供することと平行して、SNS、HP、「ぷかぷかしんぶん」を通して「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ」というメッセージを日々発信しています。毎日笑顔で働く彼らの魅力に出会い、日々のメッセージと重なって「ぷかぷかが好き!」という人が増えてきました。そんな風にして彼らを受け入れることで、地域社会は豊かになっていきます。それを映像で伝えたい。

 

解決したい社会的課題とその解決方法

 障がいのある人たちのことを「なんとなくいやだ」「怖い」「不気味」と感じている人は多い。それが彼らの社会的生きにくさを生んでいますが、これは彼らに問題があるのではなく、彼らのことを知らないことによって生じている問題だと思います。「知らない」ことが彼らを地域社会から排除しています。彼らを排除するとき、地域社会もまたやせこけていきます。この社会的課題を解決するために、地域の人たちが彼らと毎日の暮らしの中で出会えるように、彼らの働くお店を街の中に作りました。

 

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映像制作の目的

昨年、ぷかぷかで働く障がいのある人たちと地域の人たちが一緒になって月一回、6ヶ月にわたって演劇ワークショップをやりました。友人がその記録映画を作り、先日上映会を行ったのですが、そのとき寄せられた感想は、映像だからこそ伝えられたメッセージを受け止めたものでした。「なぜ彼らといるときに、ゆるっと心地よいのか、わかった気がします。」「なんて楽しそうに笑うんだろうと何度も思いました」等々、今までよりもはるかにリアルで、幅のあるメッセージが伝わった気がしました。「彼らとはいっしょに生きていった方がいいよ」というメッセージを、ぜひ映像で伝えたい。

映像制作の条件

◎制作に必要なクリエイタースキル

制作統括リーダーに必要なスキル =企画演出
他クリエイターは、リーダ選定後、=企画、演出、撮影、編集、録音、MA

◎納期スケジュール

納品2016年3月31日

◎映像尺(時間)
5〜6分

◎映像イメージ
くにたち公民館

◎過去の映像制作経験
 知人が演劇ワークショップの記録映画を作ってくれた。

 映像の好きな利用者さんが作ったこともある。

 

◎予定している発信媒体
  ホームページ、Facebook、DVD(プレゼン資料として)

◎使用できる画像
デジタル画像多数あり

◎撮影ロケ地、希望時期、希望日数
お店の住所:横浜市緑区霧が丘3丁目25−2−203  

アクセス:(電車)横浜線十日市場駅より横浜市営バス23系統若葉台団地行き。郵便局前下車。バス停より2分(車)東名高速横浜町田インターを降り、黒澤横浜スタジオを超え約10分。

◎出演者
お店で働いている障がいのある人たち、スタッフ、ぷかぷかが大好きなお客さんたち。

◎希望予算
25万円

◎SPO体制について
決裁者 代表者 高崎明
担当者 窓口  高崎明   メールアドレス pukapuka@ked.biglobe.ne.jp

◎その他特記事項

取材の前にお店で働いている障がいのある人たちと仲良くなって、一緒にメッセージを作る感じでできたらいいです。

ホームページ(「ぷかぷかパン」で検索するとすぐに出てきます。http://pukapuka-pan.xsrv.jp)

Facebookページ(ホームページの左側メニュー欄、上から二つ目「Facebookページ」のタグをクリックすると出てきます。毎日5〜10本の記事をアップ。https://www.facebook.com/pages/ぷかぷか/320074611512763)

 

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クリエイターのみなさまへ

 養護学校で教員をやっているときに、障がいのある人たちに惚れ込み、「こんなすてきな人たちとは一緒に生きていった方が絶対に得!」と思い、退職金をつぎ込んで彼らと一緒に働くお店を作りました。毎日毎日「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ」と言い続けて5年。気がつくと「福祉事業所を応援する」とかではなく、「ぷかぷかが好き!」という人がずいぶん増えていました。パンを買いに来たり、食事をしに来たりするたびに、心を癒やされ、笑顔になり、元気をもらって帰る人が多いようです。「ぷかぷか」は今、地域社会になくてはならない存在になっています。日々地域社会を耕し、活性化し、豊かにしています。

 どちらかといえば、地域社会から邪魔者扱いされ、締め出されてきた障がいのある人たちが、どうして地域社会になくてはならない存在になり、地域社会を豊かにする存在になったのか。そのことをぜひ映像で表現していただきたいと思っています。

 

こんなところで鯉のぼり?

 先ほど日本テレビ「世界の果てイッテQ」でマッキンリー登頂をやっていました。40年ほど前ですが、ここに登ったので、とても懐かしい思いで見ました。

 クレバスやら、両側が切れ落ちたやせた尾根やら、急斜面やら、テレビを見ていても緊張するところがいっぱいあって、よくあんなところに登ったよなと思いました。25歳、若かったですね。あの頃は怖いものがなかったですね。

 テレビでは6人ものプロの登山家がつき、装備もすごいものでした。私が行ったのは40年前ですから装備も今に比べれば、実に貧相なもの。素人ばかり3人だけで登ったので、海外登山の経験もなく、若さと、度胸と、運だけで登った感じです。クレバスに落ちなかったのも運がよかったんですね。

 インターネットもスマホもない時代でしたので、天気予報もできず、その日その日の天候の具合を見ながら前に進む、というきわめて原始的な登山でした。今日の映像では危険な箇所にロープが張ってありましたが、40年前はもちろんそんなものはなく、ひたすら自分たちだけで登りました。

 綿密な計画を立て、その上で行ったわけではありません。山仲間の飲み会で、海外の山に登ろう、という話はしょっちゅう出ます。でもたいていは翌日酔いが覚めると忘れてしまいます。でもなぜかマッキンリーの時は、翌日酔いが覚めてもしっかり覚えていて、その日は会社休んで、東京は赤坂にあるアラスカ州政府事務所に行きました。マッキンリーに登りたいので、そのための資料を見せて欲しい、と。

 マッキンリーに登るためにはどれくらいの経験、実力が必要だとか、どれくらいの資金が必要だとか、といった計算は全くしませんでした。あったのは「マッキンリーに登りたい!」という思いだけでした。もちろん行く!と決めてからは猛トレーニングをやりましたが。氷壁を登る特訓もやりましたね。厳冬期の富士山の頂上付近でビバーク用の薄っぺらなテントで震えながら寝たこともあります。耐寒訓練のつもりでした。

 何かをするときは、お金が貯まったらやろうとか、力がついたらやろう、なんて思っていたら、絶対にできません。「やろう!」って思ったときに、とにかく具体的に一歩踏み出す。これが一番大事だと思います。そこから実現へ向けて全力疾走です。

 オペラ『ロはロボットのロ』を決めたときも、再演のお知らせを見て、すぐに「やります」って、手を上げました。お金のことはもちろん、どうやって公演まで持っていくのか、といったビジョンも全くないまま、手を上げたのです。お金が貯まったらやろう、とか、ビジョンができたらやろう、なんて考えていたら、多分できなかったと思います。

 もちろん失敗のリスクもあります。でもそのリスクがあるからこそ、人生おもしろいのだと思います。計画したことが計画通り行くのは、当たり前のことであって、おもしろくもなんともありません。あえてどうなるかわからないリスクを背負い込み、そこに全力を集中するところにこそ、生きていく楽しさがあるのだと思います。

 で、マッキンリーの頂上に立って何したと思います?凧を飛ばしたんですよ。ものすごい風だったので、ほんの一瞬、ぶぁっと飛んだだけでしたが、そういうばかばかしいことに賭けたというか、だから楽しかったのだと思います。一つ間違えば命すら落とすようなところで、なおも凧を飛ばすという遊び心こそ、大事な気がします。

 古い写真ですが、これがマッキンリーです。標高6,190メートル。呼吸するのが苦しい高さでした。

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鯉のぼりを持っているのが私です。なんでこんなところで鯉のぼり?それがタカサキの謎です。

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王様の発想は

 昨年のワークショップで、わがままな王様をどうやって懲らしめるかで、みんなでアイデアを出し合ったとき、どう問いかけても、なかなかいいアイデアが出て来ませんでした。終わったあとの反省会で、ピアニストのあみちゃんが

「彼らって、悪意というものがないんじゃないのかなぁ」

とぼそんとつぶやきました。悪意がないから、相手を懲らしめるとか、やっつける、という話に、どうけしかけても乗ってこなかった、というわけです。そういう発想自体がない、というか…

 相手をやっつける、なんてことは誰しも考えることだとそれまで思っていましたから、そんなこと考えたこともない人もいる、という発見はとても大きいものでした。すばらしい人たちだと思いました。こういう人たちこそが、お互い住みやすい世の中、平和な世の中を作っていくんだと思いました。

 

「相手をやっつける」という発想のないすばらしい王様

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 一方で、少し前になりますが、安倍首相はインターネットの放送で「喧嘩が強くて、いつも自分を守ってくれている友達の麻生くんが、いきなり不良に殴りかかられた時には、一緒に反撃するのは当たり前ですよね」なんて言い、「安保法制」の必要性を説きました。

 でも、「一緒に反撃するのは当たり前」という発想自体が間違っています。そんなふうに思わない人がたくさんいることを忘れているのではないでしょうか? 多くの人たちは争いを好まないのです。

 更に怖いのは、この発想自体が際限のない反撃を生み出すことです。反撃すれば、さらなる反撃があり、更にそれに対して反撃し、というふうに喧嘩はどんどん広がっていきます。これが「安保法制」の本質だと思います。

 

 ぷかぷか出身の王様が、もし総理大臣なら

「反撃するのは当たり前ですよね」

なんてことは絶対に言いません。相手をやっつけるなんて、発想自体がないのですから。こういう人こそ総理大臣になるべきです。

 「相手をやっつけない」というのは、戦争放棄を宣言している憲法第9条と同じです。王様の発想は、ですから憲法9条の発想と同じであって、彼らといっしょに生きていくことは、そのまま平和を実現することにつながっていきます。

 

 オペラを子どもたちと一緒に楽しめるような日々が続くことを願っています。子どもたちといっしょに元気が溢れる新しい朝がやってくるような日々が続くことを願っています。

 でも、願うだけでは、そんな日々が続かない時代がやって来ます。今のアベ政治に対し、はっきりと《 NO 》を表明していかないと、本当に怖い時代がやって来ます。来てから、あああのとき、ああ言っておけばよかった、では手遅れです。

                                 (高崎 明)

                                 

 「じゆうと へいわの ための きょうだい ゆうしの かい」の人たちがこんな宣言を出しています。京都大学の有志の方々です。

 

くにと くにの けんかを せんそうと いいます

せんそうは 「ぼくが ころされないように さきに ころすんだ」
という だれかの いいわけで はじまります
せんそうは ひとごろしの どうぐを うる おみせを もうけさせます
せんそうは はじまると だれにも とめられません

せんそうは はじめるのは かんたんだけど おわるのは むずかしい
せんそうは へいたいさんも おとしよりも こどもも くるしめます
せんそうは てや あしを ちぎり こころも ひきさきます

わたしの こころは わたしのもの
だれかに あやつられたくない
わたしの いのちは わたしのもの
だれかの どうぐに なりたくない

うみが ひろいのは ひとをころす きちを つくるためじゃない
そらが たかいのは ひとをころす ひこうきが とぶためじゃない

げんこつで ひとを きずつけて えらそうに いばっているよりも
こころを はたらかせて きずつけられた ひとを はげましたい

がっこうで まなぶのは ひとごろしの どうぐを つくるためじゃない
がっこうで まなぶのは おかねもうけの ためじゃない
がっこうで まなぶのは だれかの いいなりに なるためじゃない

じぶんや みんなの いのちを だいじにして
いつも すきなことを かんがえたり おはなししたり したい
でも せんそうは それを じゃまするんだ

だから
せんそうを はじめようとする ひとたちに
わたしは おおきなこえで 「やめて」 というんだ

 

                             

  

 

 

 

「死にたい」が口癖の人と一緒に舞台に立つ

 9月から始まる演劇ワークショップにかかる費用の助成金がうまく集められなくて困っています。あちこち助成金の申請をしているのですが、パソコンとかミシンといった「もの」ではなく、ワークショップといういわば抽象的なものはなかなか相手に伝わらなくて、むつかしいですね。NHK障害福祉賞というのを友人が紹介してくれたので、トライすることにしました。1等賞は50万円です。サッカー日本代表のように、優勝しか考えていません。締め切りは今月末。まだ手直しする時間があります。ここはこう直した方がいいとか、優勝するにはこういう書き方した方がいいとか、いろいろアドバイスなどいただければうれしいです。

 

 

「死にたい」が口癖の人と一緒に舞台に立つ

 

 まーさんは鬱病と知的障がいを持っています。いつも暗い顔をし、一週間に一回は「もう死にます」なんて言ってきます。人生に絶望したというわけでもなく、些細なことで落ち込み、「やっぱり死にます」なんて言って来ます。

 鬱病なので、万一のことも考えて、医者と連絡取り合いながら対応するのですが、そんなに深刻そうでないときは

「首をつると息ができなくなってものすごく苦しいし、高いところから飛び降りると大けがして痛いし、やめた方がいいと思うよ」とか「富士山の裾野の原生林は自殺する人が多いらしいから、死ぬんならあそこがいいんじゃないかな。一度一緒に見に行かない?せっかく富士山の裾野まで行くんなら、死ぬ前に富士山にも登った方がいいよ。山登りは絶対に楽しいし、もう死ぬのやめようって思うかも」とかなんとか話してると、途中で笑い出したりして、たいていは収まります。

 数年前、妹さんが亡くなっているため、その妹のところへ行きます、というときもあります。妹の後を追う話だけは、妙にリアリティがあるので、やっぱりほうっておけません。心配なので、そんなときはすぐに心療内科の先生に電話して連れて行きます。

 「下北半島の恐山に死んだ人の霊と話のできる人がいるから、先生と一緒に行って亡くなった妹さんと話をしてこない?」

といった話を30分ぐらいすると大概すっきりします。

 画用紙に「つらい、苦しい、死にたい…」と殴り書き、おいおい泣き出したこともあります。そのときもすぐ病院に連れていたのですが、画用紙を見た先生曰く

「あのねぇ、本当に死にたい人は小さな字で書くんだよ。こんな大きな字で書く人は絶対に死なないよ」

と実にうまい返し方をしてくれ、まーさん、つい笑ってしまい、一件落着でした。

 

 「気持ちが前向きになる薬を飲んだのですが、全然前向きになりません。ですからやっぱり死ぬしかありません」

といってきたこともあります。薬で人生が前向きになるとはとうてい思えません。もっと違う方法で人生前向きになって欲しいと思うのです。

 まーさんには趣味というものがありません。自分のやりたいことも特にありません。テレビを見る楽しみもないので、晩ご飯食べて、お風呂に入ったらすぐに寝てしまうような生活です。

 生きていてもおもしろいことなんかない、とよく言うのですが、そう結論づけるほどに人生でいろいろやったのかというと、そんなことは全くありません。自分のやりたいことも見つけようとせず、それでいて何かおもしろくないことがあると、すぐに「仕事やめます」「死にます」というふうになってしまいます。

 

「あっ、楽しい!って思ったことないの?」

「ないです」

「自分でやりたいと思っていることないの?」

「ないです」

「夢は?」

「ないです」

いつもこんな調子で、全くとりつく島がありません。

 そんなまーさんが、珍しく前向きなことを言ったことがありました。

「マッキー、かっこよかったね」

 ぷかぷか4周年の記念イベントで、デフパペットシアターひとみのマキノさんがパフォーマンスをやってくれました。それがかっこよかったといったのです。あんなふうに自分もやってみたい、と。

「マッキーに弟子入りする?」

「はい、したいです」

「じゃあ、マッキーが進行役をやっている演劇ワークショップに来てみる?」

「はい、行きます」

というわけで、ぷかぷかのメンバーさんと地域の人たちがいっしょにやっている演劇ワークショップに参加したのでした。

 最初は暗い顔して隅っこにうずくまっていましたが、マッキーに声をかけられ、一緒に人形作りをし、その人形を持って舞台に立つところまでやりました。

 マッキーの稽古場に行く約束もしました。

 デフパペットシアターひとみの稽古場に行ったのは夏の暑い日でした。二人で汗だくになって電車、バスを乗り継ぐこと1時間半。ふだんのまーさんからは考えられない行動でした。

 『森と夜と世界の果てへの旅』の稽古をやっていました。すぐそばで見ると、すごい迫力でした。ちょっとした動き、間合いを何度も何度もやり直します。まーさんも初めて見る舞台稽古の迫力にびっくりしたようでした。

 真剣に見入っていたので、これはもう本番を見せるしかないと思い、一番近い公演は岐阜だと聞いたので、

 「よし、まーさん、岐阜まで追いかけていこう!」

と突然思い立って言ったのですが、まーさんは

「お金がないです」

と、またいつもの調子で消え入りそうな雰囲気。

「お金なんてなんとかなるよ。行こう!」

とか何とか言っているうちに、長野県の飯田では8月3日(日)にワークショップをやり、8月10日(日) 『森と夜と世界の果てへの旅』の舞台の最後のシーンに出演できる話を聞きました。舞台を見るだけより、舞台に立った方が絶対におもしろいと

「まーさん、飯田に行こう!」

と、大きな声で誘ったのでした。

 飯田は横浜から行くにはかなり不便なところにあり、まーさんを説得するのは至難の業。でも、まーさんのこれから先の人生がかかっている気がして、なんとしてもまーさんを飯田まで連れて行こうと思いました。

 1時間ほど見て、そろそろ引き上げようかなと思っていると、マキノさんがまーさんを舞台に呼び、本番で使う人形を持たせてくれました。ジュジュマンという物語の主人公の人形です。

 音楽担当のやなせさんが「左手」を担当し、まーさんが「右手」をやると、とたんにジュジュマンが舞台を生き始めました。マキノさんがどんなふうに動かしたら人形が生きてくるのかアドバイスしていました。

 マキノさんは女性の人形を持つときは歩き方も変えるんだとまーさんに教えてくれました。恐ろしい魚の人形の持ち方も、どうやったら恐ろしく見えるかを説明しながら教えてくれました。骸骨の人形は胴体がありません。その使い方も丁寧に教えてくれました。

 実際に人形を持ってのレッスンはまーさんにとっては初めての体験であり、すごく楽しかったようでした。この体験がまーさんの気持ちを動かしたようでした。

 ワークショップをやる飯田は長野県にあります。

「え〜っ、長野?そんな遠いところまで行けません!」

と最初言っていたのが、レッスンの数日後、

「飯田まで行くのにいくらくらいかかりますか?」

と聞いてきたのでした。バスを使うと安いのですが、片道5時間もかかり、新幹線と飯田線を使うことにしました。往復で約24,000円。今までのまーさんなら絶対に乗ってこない金額です。のるかそるかの提案でした。でも

「いいです、それで行きます」

と言ったのでした。

 いつも暗い話ばかりで、毎週のように、もう仕事やめます、なんの希望もないので、もう死にます、と言っていたまーさんが、24,000円も払って長野の飯田まで行くといいだしたのです。

 

 朝、7時に新横浜で待ち合わせし、飯田まで行きました。デフパペットシアターの舞台になる会場までタクシーで乗り付け、ワークショップに参加。心と体をほぐしたあと、本番舞台で使う3拍子の歩き方の練習。

 デフパペットシアターの『森と夜と世界の果てへの旅』はジュジュマンという飲んべえが椰子酒を求めて世界の果てまで旅をし、ひどい目に遭い、最後はなんでも願いが叶う卵が割れて、世界の終わり、といった感じになります。その中でなおもジュジュマンが自分の足で前に向かってぎこちなく歩き始めます。アフリカの太鼓のリズムでぎこちなく歩き始めるジュジュマンの姿には、どんなの辛い中でも自分の足で歩いて行く、という希望があります。そのジュジュマンを支えるように、みんなで歩くのです。

 ワークショップでは、その歩き方を何度も何度も練習しました。一緒に歩きながら、まーさんが、ぎこちなくとも、自分で前に向かって歩き出してくれれば、と思いました。

 このときの映像が後日、デフパペットシアターから送られてきました。

『森と夜と世界の果てへの旅』のラストシーン、まーさんが横たわっているところから映像が始まり、アフリカの太鼓のリズムの中でゆっくり起き上がり、ひょこたんひょこたんと三拍子で歩き、あいさつして退場するまで、わずか1分20秒でした。

 この1分20秒のシーンを作るために3時間のワークショップがあったのですが、そのわずか1分20秒の舞台に立つために、まーさんはまた長野の飯田まで横浜から3時間半も電車に乗ってでかけようというのです。

 今まで何度も、

「もうなんの希望もありません、生きててもつまらないので、もう死にます。」

と言っていたまーさんが、まさかここまで来るとは思ってもみませんでした。

 舞台の持つ力というのは本当にすごいと思いました。デフパペの舞台を見るだけでは、多分ここまで変わらなかったと思います。

 私自身にとってはちょっと物足りないくらいの舞台でしたが、まーさんにとっては、また新幹線に乗って出かけるに値する舞台だったようです。

 ワークショップから1週間後の公演の日、11時からのリハーサルに間に合うように、朝5時50分に駅でまーさんと待ち合わせして出かけました。輝くような1分20秒の舞台のために。

 

 いよいよ本番の舞台。まーさんは緊張で前日眠れなかったといってました。

 白い衣装を着てリハーサル。大音響と煙の中でのリハーサルは、ピーンと張り詰めた緊張感があり、まーさんも必死に動き回っていました。ふだんの生活では絶対に味わえないこの緊張感、こんなにも密度の濃い時間をまーさんにしっかり味わって欲しいと思いました。

 そして本番。『森と夜と世界の果てへの旅』のラストシーンを舞台裏でじっと待ちました。汗だくになった役者たちが走り回っているそのすぐ側でじっと待ちました。

 合図で舞台の後ろに横たわります。希望をかなえる卵が破裂すると、大音響と共に、照明が落ちます。目くらましのライトが客席に向かってつき、煙がもうもうと立ち上がって、すごい迫力。倒れたジュジュマンがゆっくり立ち上がって歩き始める気配を感じながら、まーさんたちもゆっくり立ち上がり、歩き始めます。傷ついても傷ついても、人はまたその傷ついた体で歩き始めるしかないというメッセージ。

 「まーさん、こうやって歩くんだよ、つらくても、苦しくても、歩き始めるんだよ」って、祈るような思いでまーさんの後ろを私は歩きました。

 今までにない、にぎやかな、すばらしいラストシーンだったと思います。

 

 まーさんの1分20秒の舞台は終わりました。ものすごく緊張して、ものすごく楽しい舞台だったように思います。

 この舞台で感じた「心のほてり」が、これからのまーさんの人生にどんな影響を与えるのか、全くわかりません。またいつものように暗いまーさんに戻るのか、それとも少し違ったまーさんになるのか。

 帰りの電車の中であこがれのマッキーと撮った写真を見せてくれました。舞台のあとの心のほてりがそのまま出ているような写真です。この1枚の写真を撮るために飯田まで行ったんだなと思います。

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ただオペラを観に行っただけなのに

 歌のワークショップとパン教室に来てくれた方が、先日のオペラについてすばらしいブログを書いていました。

 

ameblo.jp

 

 あらためて『ロはロボットのロ』やってよかったと思いました。反響がまだまだ広がっていきそうですね。

 

 この方、お子さんの担任(支援級)に

「夏休みの宿題はないんですか?」

と聞いたら

「hanaちゃんが元気に過ごすことが宿題だと思います」

って言ったというのですから、いいセンスしてますね。こういう方が学校に中でどんどん増えて行ってくれると、お互いがもっともっと生きやすくなると思います。

 

 

ロはロボットのロ 収支報告

今回の収支報告です。

 収入

   チケット収入      675,000円

   ワークショップ参加費    25,500円

   寄付          303,388円

   収入合計        1,003,888円

 

 支出

   公演費用        800,000円

   ワークショップ費用   160,000円

   会場費 付帯設備     74,190円

   ピアノ調律        56,000円

   チラシ、チケット印刷代  46,400円

   雑費           23,000円

   支出合計         1,159,590円

 

          収入ー支出=ー155,702円

 

 

 たくさんの寄付が集まりました。本当にありがとうございました。この寄付こそが地域社会の希望を作り出すのだと思います。

 赤字は出ましたが、ま、銀行に眠らせておくより、こういうことに使った方がずっといいと思います。とにかく子どもたちがあれだけ笑顔になれたのですから… 

たくさんのありがとう

 オペラの公演を企画する、という大変な事業をやりながら、タカサキは肝心なところが抜け落ちています。公演のあと、うきうき気分での帰り道、みどりアートパークから電話がありました。

「お金忘れていますよ」

 公演のあと、握手会などでごちゃごちゃしていたので、30万円近いチケットの売り上げが入った金庫をアートパークに預かってもらいました。あろう事かその金庫を忘れたのです。

 慌てて車をUターンさせて取りに戻ったのですが、翌日になって、今度はアートパークに会場費を払うのを忘れていたことを思い出し、電話しました。職員の方が請求書を持ってパン屋まで来てくれたのですが、そのときになって、会場費がかなりの額が減免という扱いになっていることを知らされました。これは本当にうれしかったですね。

 昨年9月、六本木の俳優座で、『ロはロボットのロ』再演のニュースを聞き、「やります!」って手を上げた翌日、みどりアートパークの館長に電話し、すぐにホールを押さえました。そのときにこちらの趣旨(こんにゃく座のオペラを子どもたちにプレゼントしたい)を聞き、二つ返事で「みどりアートパークと共催でやりましょう」と言って下さいました。このあたりのセンスと決断力がすばらしいですね。

 みどりアートパークがただ場所を貸す、といった事業にとどまることなく、地域社会の未来を作っていくことに積極的に関わることはすばらしいと思います。

 減免にするかどうかは館長が一人で決めるのではなく、理事会のような会議で決めるそうで、ですから今回も館長が相当がんばった結果だろうと思います。あらためて感謝!感謝!です。本当にありがとうございました。

 というわけで、会場費として計上していた経費がかなり減り、最終的な赤字は55,512円になりました。寄付をして下さった方、宣伝に協力して下さった方、チケット販売に協力して下さった方、寄付金付きチケットを購入して下さった方、寄付金付きコーヒーを飲んで下さった方、公演当日の準備を手伝って下さった方、歌役者、制作の方たちの弁当を作って下さった方、そのほか私の気がつかないことをいろいろやって下さった方、本当にありがとうございました。

 協力していただいたみなさんの力は地域の未来を豊かにすることにつながっていきます。機会があればまたみんなで楽しいこと、一緒にやりましょう。

 

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