ぷかぷか日記

朝の会で詩の朗読

 朝の会で谷川俊太郎の「春」の詩をみんなで朗読しました。

 

     はなをこえて

     しろいくもが

     くもをこえて

     ふかいそらが

 

     はなをこえ

     くもをこえ

     そらをこえ

     わたしたちはいつまでものぼってゆける

 

     はるのひととき

     わたしはかみさまと

     しずかなはなしをした

 

 一人で一行ずつ読み、「わたしたちはいつまでものぼってゆける」と「わたしはかみさまと しずかなはなしをした」のところだけみんなで朗読しました。

 いつもはにぎやかな朝の会ですが、一行ずつ朗読し始めると、みんなぴ〜んと緊張感が走り、最後にみんなで朗読したときは思わず拍手がわきました。詩の朗読っていいですね。心と体が浄化されるようでした。

 明日、4周年のイベントで朗読します。

        
 
  
 
 

 

二次的な効果

 6月から演劇ワークショップをやる予定ですが、予算が最初の見積もりよりも大幅に増え、新たな助成金を申請しました。

 その申請書に事業の目的、内容のあとに

「この事業を実施することにより期待される二次的な効果」

という項目がありました。ワークショップはおもしろい作品を作り、舞台で発表することが目的であり、その作品を作る過程で、お互いの出会いがあったり、それぞれの中で新しい発見があったり、といったことが主たる目的となります。

 その目的達成のあと、期待される二次的な効果は何か、と問うているのです。サブタイトルに

「本来の事業目的とは別に期待できる波及効果、生み出される社会的価値など」

とありました。

 いい質問だなと思いました。目的を達成したところで止まってしまうのではなく、もう少し先へ進むように背中を押してくれるような質問だと思いました。

 ワークショップで言えば、たぶん最後の舞台発表は最高におもしろい作品に仕上がるのではないかと思います。300人くらい入る大きなホールで発表会をやりますので、たくさんの人たちが作品を見ます。障がいのある人たちといっしょにやったからこそできた作品を見ます。

 「そうか、いっしょにやると、こんなにおもしろいものができるのか」

って、素直に思えると思います。その思いは、地域社会での彼らへのまなざしの変化を生みます。その変化は地域社会が受け入れる人間の幅を広げます。それはお互いが生きやすくなることにつながっていきます。みんなが気持ちよく暮らせる地域社会です。

 そこまでいくにはまだまだ時間がかかります。それでも「障がいのある人たちといっしょにやった方がおもしろいものができる」という発見は、少なくとも、そういった社会に向けて、確実な一歩を踏み出すことができると思うのです。 

野菜から元気をもらって

 自然食品店「マザーズ」の社長さんのところへマクロビ弁当を届けてきました。

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メニューは

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 これを作ったあいさんは料理が大好きで、料理を作っているとどんどん元気になるそうです。それは野菜から元気をもらっているからだろうと言ってました。いい言葉ですね。

 こんな弁当、総菜と、ぷかぷかのパンを、たぶん6月頃から、たまプラーザの東急百貨店地下のマザーズのお店の一角で販売します。ジュースの並んでいるところに冷蔵のショーケースを置いて、総菜、弁当を並べるそうです。その左側の棚にパンが並んでいました。ここにぷかぷかのパンを並べたいと社長は言ってましたが、ぷかぷかでは最近注文が多く、パンの製造が限界まで来ていて、マザーズにどれくらい回せるか、不安なところです。それでも、このデパ地下でも勝負できる、とぷかぷかのパンを評価してくださった方がいるのですから、何とか要望に応えたいと思っています。

 

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ケンさんが街を歩くと

 今日もケンさんと一緒に郵便局に行きました。今日は少しテンションが高く、

「お弁当食べとき」

とか

「日清焼そばU.F.O」

とか、大きな声で何度も何度も繰り返すので、居合わせた人たちは、この人大丈夫かな、とちょっと心配している感じです。何となく引いてる感じが、ありありです。

 そのうち自分から

「静かに」

といいながら、口にチャックをするまねをするので笑ってしまいました。私とケンさんのそんなやりとりをみんな見ています。

“ケンさんはこういう人なんだ” 

“ケンさんとはこうやってつきあえばいいんだ”

“ケンさんて大きな声出すけど、なかなかおもしろい人なんだ”

“カフェの前のかわいいお天気ボードはケンさんが描いてるのね”

といった情報が少しずつ広がっていきます。

 

ケンさんが街を歩くと、自然にいろんな反応があります。その反応が少しずつ街を変えています。こんな人もいるんだよ、こんな人こそ、街にいた方がいいんだよ。こんな人は街の宝だよ、って。

 

 

 

 

 

中毒になりそうです

 先日パン職人と契約更新の面談をした際、

「利用者さんとはうまくやっていますか?」

の質問に

「中毒になりそうです」

といってました。もうぞっこん惚れ込んでしまって、中毒になりそうだ、という意味のようです。

 ホームページのトップページの上の帯に「ぷかぷかの目指すもの」というタグがあって、そこに

「ぷかぷかは障がいのある人たちといっしょに生きていこうよ、いっしょに生きていった方がいいよ、という思いでスタートしました。そのことを理念ではなく、目に見える形で提案するするために、まずはぷかぷかのスタッフ自身が彼らといっしょに働き、いろいろ非効率なことがあっても、それを超えるものが彼らといっしょに働くことにはある、ということを実感したいと思っています。」

 と書いているのですが、

「中毒になりそうです」

の言葉は、その実感そのものだろうと思います。その実感が、パン屋のにぎやかな雰囲気を作り出し、常連のお客さんの

「ここはいつもにぎやかでいいわね。これでいい、これがいい」

という言葉を生んだのだと思います。

「いっしょに生きていった方がいいよ」

というメッセージが、若いスタッフへ、そしてお客さんたちへ確実伝わっている気がします。

 

 

 

高級百貨店に利用者さんの声が

 昨日、藤が丘の自然食品店「マザーズ」にパンの販売の写真を撮りに行った際、社長にばったり会い、

 「東急沿線にある某百貨店の地下にマザーズの売り場があって、そこにぷかぷかのコーナーを作るので、パンとお総菜売ってください」

という依頼がありました。

 百貨店の地下と言えばちょっと高級な食品売り場のイメージがあるのですが、その一角にマザーズのお店があり、ものすごい売り上げがあるそうです。そこでぷかぷかのパンとお総菜を売ったらどうか、という提案です。

 利用者さんにもぜひ販売に来てください、ということでした。百貨店の地下は売り込みの声がにぎやかですが、その中にぷかぷかの利用者さんの声が混じると、どんな雰囲気になるんだろうかと思います。

 高級な百貨店は、利用者さんの社会的な位置から言えば、やはり対極に位置しているとも言えます。そこで彼らの働くお店で作ったパンやお総菜を、彼ら自身が売る、ということを考えると、いろんな意味で、なんだか痛快な気がして、いいじゃんいいじゃんと思うのです。

 高級百貨店の地下売り場に、利用者さんたちの声が響き渡り、瀬谷区役所や緑区役所のように行列ができたりしたら、それこそ、やったー!って感じです。

甘夏ジャムと甘夏パン

 オレンジブレッドはぷかぷかの人気商品です。このパンは、ぷかぷかを立ち上げる前、パン屋を始める気持ちをみんなで高めるために毎月パン教室を開いていて、そのときに使った白神酵母を使ったパンの本に載っていたものです。オレンジピールは既製品のものを使っていましたが、私は天草の知り合いから取り寄せた無農薬の甘夏の皮で作り、それをパン生地に練り込んで作りました。これは本当においしいパンでした。パン生地のおいしさと自分で作ったオレンジピールのおいしさです。

 そのパンが予想を超えて人気商品になりました。さわやかな香りがして、3月から6月の季節限定商品なので、楽しみにしているお客さんがたくさんいます。

 たまたま今年その甘夏で作ったママレードを売り出したところ、瓶のラベルは「ママレード」、利用者さんの描いたミカンの絵のそばには「オレンジジャム」、ネームプレートには「甘夏ジャム」と描いてあり、要するに担当者ごとに自分の思いで名前をつけていたようでした。

 これはまずいと、いろいろ考え、「甘夏ジャム」に統一しました。オレンジブレッドの「オレンジ」は、何となくワックスが塗ってあるイメージがあったからです。オレンジそのものには罪はないのですが…

 オレンジの名前がまずいならオレンジブレッドも、ということで、甘夏パンに変更することにしました。ストレートに材料がわかり、ブレッドよりパンの方が素朴な響きがあります。

 「甘夏ジャム」と「甘夏パン」、よろしくお願いします。

しんごっち、半年ぶりにぷかぷかへ

 しんごっちが半年ぶりにぷかぷかへ顔を出しました。

 自宅療養していたものの、具合が悪くなり、一時はもうだめかも、と思ったこともありました。それがこの4週間くらいで、奇跡といっていいほどの回復ぶりを見せました。寝たきりの状態から車いすに乗れるようになり、食事も普通にとれるようになり、3日前には自宅近くのジョナサンまで車いすで出かけてランチをし、昨日、2回目の外出でぷかぷかまでやってきたのでした。

 ぷかぷかに来ることは病院を退院したあとしんごっちの大きな目標でした。パン屋に来てみんなの歓声に囲まれてうれしそうにしているしんごっちを見ていると、よかったよなぁ、よかったよなぁ、って涙がこぼれてしまいました。

 腕まくりして注射のあとをみんなに見せ、

「ぼく、がんばったんだよ」

って、何度も言っていたしんごっち。本当に辛い治療に耐えたんだと思います。ほんとうによくがんばったよなぁ、偉い、偉い、と抱きしめてやりたいくらいでした。

 

 車いすに乗れるのは2時間ぐらい、と聞いていたので、カフェで食事をするくらいかな、と思っていたのですが、本人はパン屋、工房、カフェと全部行きたいと言ったそうで、その前向きの気持ちがすごくうれしく思いました。

 しんごっちにとって、ぷかぷかは自分を支えるものとして、本当に大切な場だったんだなとあらためて思いました。

 ぷかぷかは「就労支援」の場ですが、ここで働く人にとってはそれを超えるもっと大切な場なんだということをしんごっちに教えてもらった気がしています。

味覚の軸がぶれる

 マクロビオティックの弁当を食べました。メニューは

  ・小豆玄米とレーズン味噌

  ・菊芋とほうれん草のキッシュ

  ・人参とルッコラの花のサラダ

  ・ほうれん草と麻の実のおひたし

  ・あらめとキャベツの和え物

  ・紅芯大根の浅漬け(ゆず)

  ・カリフラワーの木の芽和え

 お弁当を作った方の話によると、たとえ味見にしても肉や乳製品を食べると

「味覚の軸がぶれる」そうです。

 すごい表現だなと思いましたが、弁当を食べて、納得しました。野菜がとにかくおいしくて、それぞれに季節の香りがほんのりして、そのほんのり香る、というあたりが「味覚の軸」なのかと思いました。これがぶれると、この「ほんのり香る」という絶妙さがなくなってしまうのかと思いました。

 

 近々「おひさまの台所」でも出せればと思っています。

 

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できないことがあるからこそ、できることがある。

 ぷかぷかのメンバーさんは、一人ではいろいろできないことがあります。でも、できないことがあるからこそ、できることがある、ことがだんだんわかってきました。

 つい先日、「ぷかぷかしんぶん」を配っていたメンバーさんが迷子になりました。迷子になったメンバーさんは、帰り道がわからなくなり、近くにいた地域の方に、帰り道がわからなくなって困っていることを伝えました。その方は時々ぷかぷかのパンを買いに来られる方で、「ぷかぷかしんぶん」も読んでいる方でした。その方はすぐパン屋に電話を入れてくれ、スタッフが迎えに行きました。迎えに行くまで、その方が、迷子になって不安になっているメンバーさんの側についていてくれました。

 今日もその方が、迷子になった方は大丈夫でしたか?と心配してくださいました。

 メンバーさんがみんなしっかりしていて、迷子にならなかったら、こんな「物語」は生まれなかったと思います。できないことがあるからこそできたことだと思います。

 

 先日ケンさんが作った郵便局の人たちとの楽しい関係を紹介しましたが、ケンさんがいろいろできないことがあるからこそできた関係です。ケンさんが普通の人だったら、お互い

「いいとも!」

なんて言い合う楽しい時間は作れなかったと思います。ケンさんのおかげで郵便局のおねぇさんたちが一瞬自由になれた、ともいえると思います。仕事中に「いいとも!」なんて、普通は言いません。言えません、といった方がいいでしょう。でも、ケンさんがいたことで、一瞬でもそういうことが言い合えた、そういう和やかな雰囲気ができたというのは、やはりすごいことだと思うのです。

 ぷかぷかでいろんな物語が生まれたのも、メンバーさんのおかげです。メンバーさんがいなければ、ただのパン屋で、いろんな楽しい物語は生まれなかったと思います。ホームページにいろんな物語がぎっしり詰まっているのも、彼らのおかげです。

 そういったことを考えていくと、支えられているのは実は私たちの方だとあらためて思います。

 いろんなことができないからこそ、いろんな人が、そのできないところを補い、そのことで新しい関係が生まれ、新しい物語が生まれたんだと思います。

 

 もう30年くらい前、なおちゃんというかわいい女の子がいました。なおちゃんには障がいがありました。お母さんはなおちゃんが小さな頃から、将来生きていく場を作る準備を仲間のお母さんたちといっしょに始めました。バザーを何度もやっていく中で地域に少しずつ応援する人たちも増え、そんな関係の中で小さな作業所がスタートしました。毎年行われるお祭りには地域のたくさんの人たちがやってきて、作業所を支えている人たちの層の厚さがそのまま出ているようでした。作業所はやがて社会福祉法人になり、今は大きな福祉事業所になっています。なおちゃんというかわいい女の子から始まった小さな物語が、こんな大きな福祉事業所に発展したのです。

 できないことはだめ、みたいな風潮がありますが、でも、できない人がいることで、新しいつながりができ、それがどんどん広がって、大きな福祉事業所に発展することもあるのです。

 できないことは、ですから、侮れないのです。

 

 

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