ぷかぷか日記

希望を感じさせる舞台

 先日、ダイちゃんが日本フィルハーモニーのイベントにチェロ奏者江原さんとコラボを組んで参加しました。「音楽図鑑」と題したリレーコンサートです。

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 リハーサルをみてびっくりしました。みんなすごい演奏なのです。ま、みんなプロですから、当たり前といえば当たり前ですが、それにしても、と思うくらいすごい演奏でした。

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 よくある「ふれあいコンサート」のような、障害者がちやほやされるようなイベントではありません。演奏するところはプロの力量全開の舞台でした。そんな舞台にダイちゃんは立ったのです。

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 江原さんはダイちゃんを紹介するとき「障害者」という言葉をひとことも使いませんでした。ふつうの太鼓奏者としてコラボを組んでいました。ここがすごくいいなと思いました。

 相模原障害者殺傷事件は障害者と健常者がもっとも不幸な形で出会いました。

 江原さんとダイちゃんのコラボはもっとも幸福な形で出会っています。ここには希望があります。その気になればこういう出会いはいくらでもできます。表現の市場のぷかぷかの舞台を見れば、そのことはすぐにわかります。要は、私たちにその気があるかどうかです。

 江原さんはワークショップにゲストとしてチェロを演奏しに来て、そこでぷかぷかさんたちと出会い、ぷかぷかとのおつきあいが始まりました。その中でダイちゃんと出会い、その結果がこの舞台です。

 本当に希望を感じさせる舞台です。その希望をこれから様々な形でふくらませたいと思っています。

 

3月って春ですよね!

2月、というとまだまだ季節的に冬を感じさせますが、3月という響きの中には春を感じる事しかできませんね。

なので今日から個人的に春を宣言させていただきます!

〔古い人間なので、好んで聴きていた訳ではありませんが、春と思い浮かべるだけで脳内でキャンディーズが歌ってくれています〕

2月最終日のメニューは鯖の塩焼き、五目豆、島豆腐のサラダ、ジャガイモの味噌汁と純和風でした。

島豆腐は木綿よりも更にしっかりとした食感でサラダにとてもよくあいます。

五目豆に入れたこんにゃくも今の季節だけ作られるものというのとで食感はぷりっというよりもほんのりやわらかめ。大豆によくあっていました。

3月もお誕生日メニューが4回ありますよ。お楽しみに♪

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セリフが歌になると

3月4日(土)1時から「うたのワークショップ」をやります。オペラ『ロはロボットのロ』に出演する歌役者さん二人がやってきて、みなさんといっしょに楽しく歌を歌います。

 オペラはセリフが歌になります。セリフが歌になるとどうなるか。

 

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 「あ、おいしい」のひとことが、セリフから歌になると、グ〜ンと舞台が豊かになるのです。突然夢の世界が広がったようですね。ひとときの夢の世界。これがオペラの面白さです。そのひとときの夢の世界を子ども達にプレゼントしたくて『ロはロボットのロ』の公演企画を立てました。「子ども達にオペラを・ゆめ基金」はそのための寄付を集めています。

 この短い動画を見て、子ども達にこんな楽しい夢のような世界をプレゼントしたい、と思った方、ぜひ寄付をお願いします。寄付箱はパン屋、カフェ、おひさまの台所にあります。

  郵便振替口座もあります。  

  振替口座は 口座記号 00260-4  口座番号 97844

       加入者名 NPO法人ぷかぷか

 

 歌のワークショップ、まだ若干空きがあります。アート屋わんど近藤までお問い合わせ下さい(045-923-0282。みどりアートパーク遠藤でも受け付けています(045-986-2441)。 

 

 

役に立つ、立たない、といった発想から自由になる

 2月27日(月)のクローズアップ現代で相模原障害者殺傷事件が取り上げられました。

www.nhk.or.jp

  相模原障害者殺傷事件で犠牲になった方々全員が匿名になるという状況の中で、その人たちのエピソードを集めたサイトをひと月ほど前にNHKが立ち上げました。そのサイトへのアクセスが16万もあったそうで、びっくりしました。事件が徐々に忘れられつつある中で、その数は大きな希望のように思えました。そのサイトを立ち上げた記者に拍手!です。被害者全員が匿名という異常な状況にあって、こういうサイトを作ろう、というアイデアがすばらしいと思いました。異常さに対する、静かな異議申し立て…

 生きた証がわずか一行しかない方もいて、障がいのある人たちの置かれた社会的状況の厳しさ、異常さに悲しくもなりました。一人の人間の生きた証がわずか一行なんてあり得ない話です。自分の人生がわずか一行で語られたら、悲しいじゃないですか。エピソードを埋めていくのは私たちなんだろうと思いました。

 役に立たない人間は生きている価値がない、と語る容疑者の発想に対し、ゲスト出演した森達也さんは「人間は役になんか立たなくていいんですよ。」とさらっと言い、「役に立つとか立たないとかいってると、結局は容疑者の発想に巻き込まれるのですよ」と言っていました。そこから自由になることが大事だと。全くそうだと思いました。

 役に立つとか立たないではなく、ただそこにいるだけでいい、と私たちがどこまで言い切れるか、という問題です。赤ちゃんのそばにいると、あたたかな気持ちになれます。ただそこにいるだけでいい、と誰しも思います。

 養護学校の教員をやっているときに障がいのある人たちに惚れ込んでしまいました。彼らのそばにいるだけで、なんだかあたたかな気持ちになれたのです。彼らのそばにずっといたいと思いました。ただそこにいるだけでいい、と彼らのそばで思いました。そんな気持ちがぷかぷかを立ち上げたのですが、役に立つ、立たない、といった発想から自由になれたのは、やっぱり彼らのおかげだと思います。そうじゃない人間の見方を彼らから教わりました。

 役に立つ、立たない、といった見方で、息苦しい思いをするのは私たち自身です。そういう発想から自由にしてくれる、救い出してくれるのは、結局障がいのある人たちじゃないかと思ったりしています。ほんとかなぁ、と思うひとはぜひぷかぷかに来てみてください。そして彼らとつきあってみてください。そんな発想を超えた人間のよさを彼らは教えてくれます。

 

 

 

 

生産しない人たちを社会はどう扱うのか

 今朝の朝日新聞「オピニオン&フォーラム」欄の「障害者が狙われて」と題した熊谷晋一郎と最首悟さんの対談が載っていました。

digital.asahi.com

  《「生産しないものには価値がない」という容疑者の考え方は経済主導の国家がはらむ問題に通じます。》

 と言う最首悟さんの発言は、私たちみんながきちんと考えていかないと、お互いがとても苦しくなります。

 私たちはただいるだけで経済をまわします。重度の障害者であっても、その人が施設にいれば、彼らをケアすることで、様々な仕事が生まれ、施設の経営が成り立ちます。相模原障害者殺傷事件の容疑者の給料だって、彼らをケアすることでもらえたものです。容疑者の仕事も、彼らがいたからこそ成立した仕事でした。彼にはそういった仕組みが見えてなかったのだと思います。

 ただ、生産する者、生産しない者、 という見方が力を持っている今の社会にあっては、そういった仕組みが見えにくく、生産しない者はどこまでも力が弱く、邪魔者扱いされます。

 障がいのある人たちの働く地域作業所ですら、生産しないものは邪魔者扱いです。セノーさんはそういう扱いの中で居場所を失い、ぷかぷかにやってきました。 

pukapuka-pan.hatenablog.com

 

《生産しない人たちを社会はどう扱うのか、いよいよ問いを突きつけられている。》

と最首さんはいいます。

 そんな中で、ほうっておくとほとんど働かないセノーさんのあり方を認め、セノーさんが安心していられる居場所をつくったぷかぷかのやり方は、最首さんの問題提起へのひとつの答えだと思います。

 

 

  

彼らといっしょに線を描けば、楽しくなる関係が生まれます

 スローレーベル主催の見学会で22人もの人がやってきました。ただぶらっと見学して帰るのはつまらないので、金子さんを呼んで、線を描くワークショップをやりました。描きにくい大きな筆を持って、自由に線を描くワークショップです。「魚を描いて下さい」ではなく、「自由に描いて下さい」と言われるとかえって描きにくいものです。この時の戸惑いが新しいもの、新しい関係を生みます。

 今日はスペースにゆとりがなかったので、ぷかぷかさんたちとはいっしょにやりませんでしたが、彼らといっしょに線を描けば、ただそれだけで楽しくなる関係が生まれます。いっしょにいて楽しくなる関係。それがアートの生む関係だろうと思います。間違っても彼らを支援するような関係は生まれません。彼らとフェアな関係が生まれるとき、そこから新しいものが生まれます。

 演劇ワークショップで生み出しているのはそういうものです。

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あんちゃんも参加しました。

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ユースケさんもいっしょにやりたそうにのぞき込んでいました。

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日本フィルの舞台に当たり前のように障がいのある人が立つ

 2月26日(日)の日本フィルハーモニーのイベントにダイちゃんとコラボをする江原さんが練習に来ました。「上を向いて歩こう」とゴーシュの中で使った「愉快な馬車屋」の2曲を練習しました。ダイちゃん、疲れていたのか、途中江原さんとカメラマンの吉田さんに肩をもんでもらいながら練習しました。いい感じで仕上がりました。

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 2月26日杉並公会堂で、午前と午後の2回、小ホールのリレーコンサートの舞台に立ちます。しっかりギャラももらえるそうで、日本フィルはすごい楽団だと思いました。

 日本フィルの舞台に当たり前のように障がいのある人が立つことをお客さんが当たり前のように受け止める社会こそ、お互いが気持ちよく生きていける社会だと思います。

 今回の舞台の評価がまた次の新しい展開に広がってくれたら、と思っています。

 26日は朝9時からリハーサルです。また報告します。

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彼らのチカラで街を元気に

 藤が丘駅前のマザーズに行って社長と壁面に絵を飾る話をしてきました。

 「あ、いいねぇ」なんて言ってました。

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 「これは障がいのある人たちの絵と言うより、アートだね」と言ってました。

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正面横の柱にも飾ってみました。

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この柱にはこの絵を飾ろうと思っています。

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 社長の方はなんの問題もなく、いっしょにアートで通路を楽しくしましょう、ということになりました。4月くらいからスタートできたら、と思っています。

 殺風景な通路がにぎやかなあたたかい通路になります。通りがかりの人も参加できる絵のワークショップもやろうと思っています。障がいのある人のメッセージがワンワンと鳴り響くような楽しい通路になるといいなと思っています。彼らのチカラで街を元気にするのです。

 こういう場を街のあちこちに作ること、それが相模原障害者殺傷事件を超える社会を作っていくことになります。

人の心のドアをノックしに行く感じの映像になれば

 昨日の日記に「心がほっこりするような映像のメッセージができたら、と思っています。」と書いたら、映像を作っている信田さんからこんなメールが来ました。

 

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タイトルに「ほっこり」という言葉を使われていますが
「ほっこり」には「ほっとする」というイメージが強いように思います。
今回の映像はもう少し見た人の心の中に「染みこんでいく」感じになれば良いなと思います。
オーヤさんや僕が体験したような「感染」を映像で起こせないかという感じで
「ほっこり」というより(そういう側面ももちろんあるのですが)人の心のドアをノックしに行く感じになれば思っています。
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 「感染」というのはぷかぷかウィルスに感染した、という意味です。
  最初に「ウィルスに感染した」という言葉を使ったお客さんの話。
 
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子供2人を連れてカフェでランチを食べていました。お客さんは私の家族と他にもう一組だったかと思います。

お天気も良く明るくゆったりとした空気の中で

「おいしいねー」

「もう1回チョコパンとチーズのパンおかわりしたい」

などと子供と話をしていました。

 そしたら厨房の小窓のカーテンが急にシャッ!と開き、ニコニコ笑顔にマスクの方が

「おいしいかい!?」

と聞いてきました。

 一瞬何が起こったのかわかりませんでしたが、とっさに

「美味しいです!」

と負けじと大きな声で答えました。

 その方は、そうだろうと言わんばかりにニコニコのまま

「フフ〜ン」

と笑い、カーテンを閉めました。

  多分10秒程のできごとでしたが、この思ってもみない楽しいやりとりで、また食べに来ようと思いました。

 ぷかぷかウィルスに感染したのは、多分この時だと思います。

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 去年プロモーションビデオを作った中島さんもウィルスの重症患者ですと自分でおっしゃってました。信田さんもぷかぷかに通っているうちにどうも感染したらしいのです。そして今回、その「感染」を映像で表現したい、というわけです。

 ますます楽しみになりました。

 

 信田さんがすごいなと思うのは、そういった映像こそが、相模原障害者殺傷事件へのメッセージになる、と言っていることです。昨年、瀬谷区で障がいのある人たちのグループホームの計画が、住民の反対運動でつぶされてしまいました。「障害者はここに来るな」と言っている人たちの心のドアをノックするような映像になるなら、それこそが相模原障害者殺傷事件へのメッセージになります。

 あらためて信田さんはすごい仕事をやろうとしているのだと思いました。

心がほっこりするような映像のメッセージが作れたら

 ぷかぷかのプロモーションビデオ第二弾を撮影中のpvプロボノの信田さんがミズキさんの歌う様子を撮影に来ました。ミズキさんは歌が得意で、月一回「ゆりの木カフェ」でお年寄りの方たちが集まって歌を歌ったりお茶を飲んだりする集まりに参加して昔のなつかしい歌を歌います。集まったお年寄りの方たちはいつも大喜びです。その様子を撮影に来ました。

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 こういう地域の人たちとのおつきあいがすごくいい、と信田さんはいいます。そういうおつきあいを作っていることこそが、相模原障害者殺傷事件へのメッセージになるのではないか、といいます。

 昨年7月の相模原障害者殺傷事件を受けて、プロモーションビデオ第二弾は事件へのメッセージを込めたいと思い、プロジェクトチームと何度か話し合いをしてきました。映像のあとにメッセージのテロップを入れる案もありましたが、言葉にすると、なんか軽くなってしまうというか、言葉だけが上滑りするような気がしました。言葉でいくらそれは間違っていると言っても、社会は変わりません。社会が変わるのは、人が変わるときです。人はどうやって変わるのか。何がきっかけで、どう変わるのか。

 そういう意味で、ぷかぷかが、お店、外販先、パン教室、演劇ワークショップ、アートワークショップ、ぷかぷかマルシェ、運動会、区民まつり、ぷかぷかしんぶんなど、様々な形で地域の人たちとのたくさんのおつきあいを作り出し、ぷかぷかのファンを作り、地域社会を少しずつ変えていることこそが相模原障害者殺傷事件へのメッセージではないのか。それを映像に収め、1時間くらいのドキュメンタリー作品にまとめるのがいちばんいい、と信田さんはおっしゃっていました。それを作るお金のないことがなんとも残念な気がします。

 今回のプロモーションビデオは見た人の心にしみこむような映像にしたいとおっしゃっていました。しみこむような感覚で伝わるメッセージです。言葉ではなく、どこまでも映像でメッセージを作りたいというわけです。それは今日ミズキさんが地域のお年寄りの方たちと楽しそうに歌っているようなあたたかな映像です。

 

 この撮影のあとセノーさんが毎朝入金に行っている郵便局に行きました。セノーさんの「ああああ…」のあいさつで郵便局のお姉さんたちの心を癒やしている様子を撮りたいとおっしゃっていたので、局長さんと撮影がOKかどうか交渉しました。セノーさんの撮影はともかく、お姉さんたちの撮影はむつかしいだろうと思っていたのですが、なんと「ああ、いいですよ」とあっさりOK ! 「撮影に来るときは事前にお知らせした方がいいですよね?」「そうですね、その日はお化粧してきますから…」と、こんな具合でした。

 いい郵便局です。これもみんなセノーさんのおかげです。セノーさんがこんな関係を作ってくれました。それを映像化したいと信田さんはいうのです。相模原障害者殺傷事件へのメッセージとして。

 

 以前描いた大きな絵地図を区役所のロビーに飾ることを決めた区政推進課の課長さんのインタビューも撮りたいということで、これも電話してみたら一発でOK。障害支援課とかではなく、区政推進課とのおつきあいの方が社会に出ていくという意味ではおもしろいと思っていたので、どんなインタビューになるのかすごく楽しみです。課長さんの心を揺り動かしたのはなんだったのでしょう。ぷかぷかさんたちのどこが気に入ったのでしょう。

 

 3月初めには郵便局の取材、オーヤさんのインタビュー、区政推進課の課長さんのインタビュー、区役所外販の取材、お客さんのインタビューと続きます。

 前回は5分ちょっとのプロモーションビデオでしたが、5分では収まらないだろうと信田さんはおっしゃってました。それくらいいろんな思いが渦巻いているのだと思います。

 

 相模原障害者殺傷事件は本当に気が重くなるような事件でした。それに向けてとんがった言葉のメッセージではなく、やわらかな、心がほっこりするような映像のメッセージができたら、と思っています。

 

   ミズキさんを撮影中の信田さん

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