ぷかぷか日記

死にたい病

 まーさんが朝から暗い顔して、体がふらふらするとか、明日から来ません、とかいうので、かかりつけの医者のところへ行きました。

「死にたい病は最近調子よくなってるんだけどなぁ」と先生。

「はぁ」

「まーさん、死にたい病だったんだ。最近はでも死にたい死にたいっていわないよね。」と私。

「そう、そうやって落ち着いてきてるからいいと思うよ。今日はのどがちょっと赤くなっているから風邪だね。大丈夫、薬飲んでおとなしくしていればすぐに元気になります」

と、先生に言われ、病院からの帰り道は、朝の暗い顔はどこかへ行ってしまいました。

「ぷかぷかのホームページの中にまーさんのページを作ってみない」

「そんなことできません」

「ちゃんと教えるから大丈夫です。まず自己紹介を書いてください」

「どんなことを書くんですか?」

「彼女はいないとか、そうそう、今日先生が言ってた死にたい病です、というのもいいと思うよ。」

「死にたい病ですか?」

「最近はともかく、以前は1週間に一度は死にたい死にたいって言ってたよね。でも今はそういうこと言わなくなりました、それはこういうことがきっかけでした、みたいなこと書くといいと思うよ。」

「そうですか」

「まーさんみたいに、死にたい死にたいっていってる人は多いと思うから、死にたい病ネットワークとか作って、死にたくなったらお互い連絡取り合いましょう、ってのはどうですか?」

「僕にはできませんよ」

「いや、まーさんは今死にたい病から直りつつあるんだから、その体験を書いていけば、それはどんな薬よりも死にたいと思っている人を救うと思うよ」

 というふうな話を車の中でして、ぷかぷかに着くなり、すぐに『まーさんのページ』の制作に取りかかりました。最初の設定だけやって、あとは全部まーさんが書き込みました。それがこのページです。

   http://pukapuka-pan.xsrv.jp/index.php?まーさんのページ

 これからもっといろんなことをどんどん書き込んでいってほしいと思います。書くことで自分を見つめ、何か前に進むきっかけになれば、と思っています。

 

 

ロはロボットのロ

 オペラシアターこんにゃく座の新作オペラ『おぐりとてるて』を観てきました。いやぁー、面白いオペラでした。中世の人たちは、かつかつの貧しい暮らしの中で、なおもこんな物語を生きていく支えとして楽しんでいたんですね。こういう物がないと押しつぶされてしまうくらい過酷な人生だったのだと思います。人生の楽しみ方が違うんだと思いました。テレビのバラエティ番組観ながらへらへら笑っているような私たちとは、人生の今を生きる姿勢が違うんだと思いましたね。

 今を生きるために物語が必要だということ。フィナーレの歌は本当に素晴らしかったと思います。

 作曲家、演出家、歌役者達の思いがびっしり詰まった2時間半、いい時間過ごさせて頂きました。

 

 頂いたたくさんのチラシの中に『ロはロボットのロ』が10年ぶりくらいに再演されるというお知らせがありました。パン作りが得意なロボット「テト」が主人公の楽しいオペラで、パン屋を始める前、もうけが出たら、そのお金を貯めて、地域の子どもたちにこのオペラをプレゼントできたらいいなと思っていました。子どもにもわかりやすい、ワクワクするようなオペラです。

 

 毎日1,000個作っていたパンが、ある日999個しか作れなくなり、その次の日は998個、その次の日は997個とだんだん減ってきて、心配になります。調子の悪いところを直してもらうために、テトを作ったドリトル先生に会いに行く事になりました。オペラはその旅の物語です。 

 魔女の支配する街でさんざんな目に遭います。大火事の中で、旅の途中で出会ったパン屋の娘ココを救い出します。でも、そのためにエネルギーを使い果たし、横たわって息が切れる直前、ココの頬にふれながら

 ♩ ぱんつくりより、もっとすてきなものを、ぼくは見つけた ♩

と、息絶え絶えに歌います。

 ♩ テトォ! おまえ、ロボットなんだろ、死んだりなんかしないんだろ ♩

とココが悲しみをこらえて歌います。悲しみをこらえ、強がって歌うその歌が心にしみて、涙がこぼれてしまいました。

 ♩ テト、おまえが眠りから覚めるまで、私はパンを作りながら待つよ。おばあさんになっても、ずっと待ってるよ ♩

 新しい明日に向けて、希望を歌うオペラでした。

 

 このオペラは日本各地を回り、海外公演までやったあと、もうやらないことになっていました。こんにゃく座はどんどん新しいオペラを作っているのです。

 それでも再演はないのか、と何度も問い合わせしていました。それが来年の5月から7月にかけて再演するというのです。やったぁ!って感じでした。

 今、パン屋はぷかぷか3軒長屋にたくさんのお金を使って、もうけがほとんどないのですが、地域にたくさんの知り合いが出来たので、仲間を募ってやってみようかなとひそかに思っています。

 1ステージ80万円だそうです。ずいぶんいい値段ですが、やる価値はあると思っています。一緒に、子どもたちに楽しい夢のあるオペラをプレゼントしてみたい方、新しい元気をプレゼントしたい方、連絡ください。

      takasakiaki@a09.itscom.net  高崎

  

 

 

 

発表する楽しさがだんだんわかってきて

 9月6日(土)、第4回目のワークショップがあり、みんなずいぶん自由になった話を先日書きました。自由にはなった感じですが、お話作りはまだ慣れていないせいか、いろいろ仕掛けをしても、ぴりっとした物語が出てきません。

 わがままな女王のわがままさ加減をみんなで共有しようと,季節ごとのグループでわがままを出し合ってみたのですが、ケーキがほしいの、肉まんがほしいのと、発表はそれなりにおもしろかったのですが「わがままがちいせーな」という感じがしました。スケールのでかい、突拍子もないわがままが出てくれば,もっともっとおもしろくなるのになぁと思いました。

 季節ごとの得意技でわがままな女王を懲らしめるお話作りも、発表のパフォーマンスはおもしろかったのですが、物語の中身がまだまだ薄い感じがしました。

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  それでもみんなの前で発表する楽しさがだんだんわかってきたようでした。写真を見るとみんなの心と体のはずみ具合がよく見えます。みんなの心と体がはずんできて、ワークショップらしい雰囲気が出てきたように思います。このはずみ具合の中で、どれだけ新しいものを見つけられるか、これからが楽しみです。

 

 デフパペットのメンバー,エノさん、マッキーによる手話のレッスンがありました。12月(つき)の歌の最後のフレーズ

 ♪ もえろ もえろ  あかるくもえろ

   消えないように どんどんもえろ

の部分を手話でやりました。「きえないように どんどんもえろ」と気持ちが膨らんでいくのをデフパペのエノさんは身振りで実にうまく表現していて、ろうの人たちの表現の豊かさにぞくぞくしました。右手前のおじさんがエノさん。なんともかっこいいのです。

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 たき火の周りに神さまたちが集まっているシーンは手話のレッスンで体が熱くなっていたこともあって、ものすごい盛り上がりでした。

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 冬の森の表現は、デフパペのマッキー,エノさんのアドバイスが効いて、びしっと決まった気がしました。舞台に出てくるときの歩き方、立ち位置を決めたあとのポーズの決め方のアドバイスは、さすがプロ!という感じでした。みんなの体の動きがとてもしなやかになりました。全体の立ち位置のバランスはエノさんがアドバイスをし、さらっとアドバイスしただけなのに全体がみるみる引き締まった感じになりました。

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 本番まであと2回。かなり追い込まれた感じで,みんなちょっと不安に思っているようです。でも、人間、追い込まれたときこそ、すばらしい力が出てくるもので、どんなものができあがるかわくわくしています。とにかくこんなにもみんなの心と体がはずんでいるのですから、すばらしい舞台が期待できそうです。

 

 

社会を彼らに合わせる

 障がいのある子どもたちの放課後支援をやっている方の話を聞く機会がありました。社会に適応できるように支援するのだそうで、とても熱心に取り組んでおられるようでした。ただ熱心に語れば語るほど、支援されている子どもたちは大変だろうな、という感じがしました。

 知的障害のある子どもたちは、みんなとても自由です。私たちを縛っている「規範」というものがないんじゃないかと思うくらいです。そんな子どもたちが社会に適応できるようになる、ということは、相当我慢の上なんじゃないかと思います。

 自分を押さえつけないと社会に適応できないとすれば、社会に適応できることをよしとする論理そのものが、本当に正しいのかどうかという問題が出てきます。あるいは社会そのものはどうなんだろう、という問題もあります。

 私たちみんなが息苦しさを覚えるような社会であれば、その社会に障がいのある子どもたちを適合させることがすばらしい「支援」である、という論理は、やっぱりどうなんだろうと思います。むしろ社会を彼らに合わせた方が、お互いが生きやすくなるのではないかと思います。

 社会を彼らに合わせる、というのは、そんな風にしてみんなが生きやすい社会に変えていく、ということです。

 ぷかぷかで働いているtuji-kunはとてもおしゃべりです。パン屋のレジの側で、ずっとひとりでおしゃべりしています。一緒に山に登ったとき、苦しい上り坂でもずっとおしゃべりしていました。彼にとっておしゃべりは、いわば呼吸のようなものではないかと思います。

 以前、彼のおしゃべりをやめさせようとしたスタッフがいました。彼は一言も文句を言わず、おしゃべりを我慢しました。ところが、しばらくして「疲れた」という言葉が頻繁に出るようになり、元気がなくなりました。家でも調子が悪いとお母さんはおっしゃってましたが、原因がなかなかわかりませんでした。そんな中で、おしゃべりをやめさせたことが原因じゃないか、という意見があり、おしゃべりを今まで通り自由にさせたとたん、元のtuji-kunに戻り、元気を取り戻しました。

 障がいのある人たちを社会に適応させる、というのは、一見聞こえがいいのですが、当の本人にとっては私たちには想像できないくらいの負担を強いていることが、この例からはよくわかります。

 tuji-kunはパン屋のレジの側でずっと独り言を言っています。よく通る大きな声なので、初めて来たお客さんはびっくりします。でもだんだんそのにぎやかさ、うるささにも慣れ、ぷかぷからしいBGMとしてtuji-kunnのおしゃべりを楽しんでいます。

 いつだったかパン屋で打ち合わせをしていた営業マンが、

「この人のおしゃべりって、よく聞くとすごいことしゃべってるんですね」

と感心したことがあります。tuji-kunはいろんなことに興味があり、世界中の都市の名前、公園の名前、クラシック音楽の作曲家の名前、紅白歌合戦に出た歌手の名前、車の名前等々、エンドレスでお話が続きます。ですから丁寧に聞くと、私たちの知らないことがいっぱい出てきて、たまたま聞いていた営業マンもびっくりした、というわけです。

 お客さんも含めたパン屋という小さな社会がtuji-kunにあわせて変わったということです。彼に合わせたことで、パン屋がとても居心地のいい場所になった気がします。

 

 

絵コンテ

  2年前、メイシネマ映画祭の招待作品としてツンさんの映画が上映されました。そのときは「観客を喜ばせよう」といった思いのないところがいい,とか、自分の表現したいことだけやっているところがいい、という評価がたくさんありました。そういった評価が最近は裏目に出たのか、今年できあがった旅行の記録映画は、自分の表現したいものばかりで、旅行の記録映画としては、とてもわかりにくいものになっていました。見る人を別に喜ばせなくてもいいと思いますが、何を伝えようとしたのかさっぱりわからない、というのも困ったものです。すっかり自分の世界に閉じこもってしまった感がありました。そこで思いついたのが、人に伝わる動画の制作の提案です。 

 で、先日、ツンさんにぷかぷかの動画を依頼しました。

「ぷかぷかのパンのおいしさを伝える動画を作ってほしいのですが、どうですか?」

「誰にでもわかるようなものは作れません」

 旅行の記録映画の作りから見て、そう言うだろうなと思っていました。

 「あの、自分で好きなように作るのではなくて、人に伝わる作品を作ってほしい、という仕事の依頼です。」

「むつかしいです」

「そう言い張ってしまうと、これからもずっと人に向かって心を開くことができなくなると思います。。ツンさんが社会に出て行こうとするとき、いちばん引っかかるのは、この、人に向かって心を開く、という問題でしょ。」

 ツンさんはコミュニケーションを取ることがとてもむつかしい方です。いっとき映像を通して気持ちが人に向かったことがあって、いい傾向だと思っていたのですが、最近はそういう気持ちがだんだん見えなくなっていました。もう一度そういうふうに人に向かう気持ちを取り戻してほしいと、人に伝わる、わかりやすい動画の制作を依頼したのでした。

 でも、あまり伝わってない気がして、少し攻め口を変えました。

「YouTubeにアップするので、著作権フリーの音楽を使って下さい」

「映画に使えるほどのいい音楽がありません」

「だったら音楽なしの、映像だけの動画はどうですか?」

「いつも音楽が先にあって、それに映像を合わせる形なので、音楽なしの映像は考えられません。」

「ツンさんは無声映画が好きですよね。自分の映画の中にも昔の無声映画を使ったりしてますよね。音楽に頼らず、映像だけで勝負するというのはどうですか?」

「………」

「余計な情報を捨てて、映像だけで勝負するのです。

「むつかしいです」

「シナリオさえしっかりしていれば、映像だけでお客さんを引っ張っていけると思います。」

「う〜ん、むつかしいです」

「ツンさんほどの映像の才能があれば大丈夫ですよ」

 最初、1分程度の動画を依頼したのですが、1分では無理だというので、昔ツンさんが作った3分間の映画を提案しました。

「3分なら3秒のコマが60コマ。60コマあれば、ちょっとした物語ができると思います。」

「3分ですか…」

 少し心が動いた気がしました。

「とりあえず絵コンテを描いてみませんか?」

「………」

「パン屋の宣伝動画の絵コンテです。」

「う〜ん」

「紙を用意しましょうか?」

「いや、それだったら絵コンテのテンプレートを探します」

という話になって、ようやくツンさんは前向きに動き始めたのでした。ここまで1時間かかりました。

 ネットで自分の気に入ったテンプレートを探し出し、プリントアウトして絵を描き始めました。ものすごく集中して描いていました。そうして4時間ぐらいかけてできあがった絵コンテがこれ。まだ完成じゃなくて,まだ先があるそうですが、それでもなんだかすごい動画ができあがりそうです。コマの秒数が10分の1秒単位で書かれていて、やる気満々!と見ました。

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ピンチに感謝

 今朝の朝日新聞にソーシャルビジネスの観点から見たぷかぷかを紹介する記事が載りました。

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 県内のソーシャルビジネスの代表みたいに紹介され、なんだか気恥ずかしい限りです。

 障がいのある人たちの社会的生きにくさ、という社会的な課題を解決すべきスタートした「NPO法人ぷかぷか」でしたが、始まった当初は、今にもこけそうな「ぷかぷか」の、日々の経営に追われ、社会的な課題の解決どころではありませんでした。その頃を思い出すと、5年目にして、よくここまで来たな、というのが実感です。

 新聞記者に「ビジネスとしてこの仕事をするメリットは?」と聞かれたとき、割と自信を持って答えることができたのですが、始まった当初であれば、多分、こんなふうには答えられなかったと思います。それくらい「ぷかぷか」は当初のピンチ状態によって鍛えられたんだろうと思います。今にもこけそうなあのピンチがあったからこそ、今の「ぷかぷか」があるんだと思います。ピンチに感謝しなければ、と思っています。

★ぷかぷかのやっているソーシャルビジネスについては、8月のぷかぷか日記に書いています。

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2014/08/06/191927

http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2014/08/27/213257

 

 

お店の簡単動画

 iphoneのRoadMovieを使って簡単動画を作りました。画質はいまいちですが、写真よりも伝わるものがある感じです。

 パン屋の外回りです。

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パン屋の中です。

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おひさまの台所です。

 

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ぷかぷかカフェです。

 

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ずいぶん自由になってきて

 第4回目のワークショップ。最初にいつも自己紹介をするのですが、ぷかぷかのメンバーさんがずいぶん自由になってきたなぁという感じがしました。

 ワークショップの自己紹介は自分が呼んでほしい名前と何か一つアクションをやり、それをみんながまねます。腕を回すとか、首をひねるとか、一歩前へ出るとか、簡単なアクションでいいのですが、最初の頃はその簡単なアクションがなかなか出てきませんでした。それが今回はアクションを楽しみながらやっている人がずいぶん増えてきた感じがしました。

 簡単なアクションであっても、自分の心と体が自由になっていないと、なかなか出てきません。ワークショップがすばらしいと思うのは、この心と体が自由になる、ということです。

 昔、竹内敏晴演劇研究所のワークショップを2年ほど続けたことがあります。週に3回も夜、東京は中野のスタジオまで横浜から通っていました。若かったですね。「心と体が自由になる」ってこういうことか、ってそのワークショップの中で実感しました。ガチガチだった心と体がワークショップの中で自然にほぐれ、生きることがすごく楽になった気がしました。

 ちょうどその頃養護学校に勤めたばかりで、子どもたちとのはちゃめちゃな毎日が始まっていました。世の中にはこんな素敵な人たちがいたんだ、と感動の日々でした。こんなすてきな人たちを養護学校に囲って思うのはもったいないと、せっせと外に連れ出していました。公園でみんなで遊んだり、「あおぞら市」で手作りのうどん屋をやったり,まぁいろいろやりました。

 一方でワークショップとの出会いがあり、彼らといっしょにワークショップやれば、何かとんでもないものが飛び出すのではないか、と考えたのです。

 日常よりもお互いが自由になれる場であれば、彼らともっといい出会いがあるのではないか、彼らといっしょに芝居作れば、今までにないおもしろいものができるのではないか、と、その頃おつきあいのあった黒テントの稽古場(東京は練馬区の端の方で、今から思うと、よくあんな遠いところまで行ったなという感じです。若いというのはすごいことだとあらためて思います。)までワークショップの相談に行きました。最初は「なんで障がいのある人たちと一緒にワークショップやるの?」という雰囲気でしたが、とにかくしつこく稽古場まで通って説得。ここから養護学校の生徒たちと地域の人たちとのワークショップが始まったのでした。

 お互いが自由になった場での彼らとの出会いは、予想をはるかに超えるすばらしいものがありました。ワークショップの場では、彼らはなくてはならない存在になっていました。今ぷかぷかで発信している「一緒に生きていった方がいいよ」というメッセージは、ワークショップという創造的な場で、なくてはならない存在として確信を持ったところから生まれたのでした。

 話がずいぶん外れました。とにかくワークショップ4回目にしてようやくメンバーさんたちの心と体がほぐれてきたなって思ったのでした。昔瀬谷でワークショップやっていた頃、あおぞら市でござ敷いて人形劇をやったことがあります。台所で使うスポンジのたわしを使って人形を作り、ほとんど即興の人形劇をやりました。養護学校の生徒たちと地域の子どもたちだけで作ったのですが、ワークショップを何年か続けているとこんなことができてしまうのか、と感心したことがあります。(昔書いた『街角のパフォーマンス』にそのときの写真が載っています。太郎次郎社エディタス

http://www.tarojiro.co.jp に在庫があります。)

 また話がそれました。自由になった彼らのパフォーマンスを見て下さい。

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コスプレの格好で舞台に立ってみたら

 ガイさんとパンとお弁当の配達に行きました。車で1時間くらい走り回ったので、久しぶりにいろいろお話ししました。

 実習に来たときは上履きに「男気全快」なんて大きく書いたりして、ぎんぎんに突っ張ってる感じでしたが、今日は素直な、本当にいい子だなぁ、という印象でした。男気全快はどこへ行ってしまったんでしょうね。素直になったのはいいのですが、ちょっと寂しい気もします。

 先日の旅行には、コスプレの格好で来るとか言っていたので、期待していたのですが、普通の格好で来たので、ちょっとがっかり。

 「コスプレって、何でするの?」(と、おじさんの間の抜けた質問)

 「キャラクターになりきるのがおもしろいって思うから」

 「あれだけ手間ひまかけて衣装に凝ったり、メイクしたりするのは、誰かに見てほしいの?」

「いや、別に」

「衣装とかメイクって、人が見るから意味があるんじゃないの」

「自分でやるだけで楽しいよ」

「人に見られると、もっと楽しいと思うよ」

「う〜ん」

「コスプレの格好で舞台に立ったらおもしろいと思うけど」

「やりたくない」

「ボーカロイドの歌うたうんだよね」

「そう、家で歌ってる。」

「コスプレの格好で舞台に立って、ボーカロイドの歌うたったらかっこいいと思うけど」

「やりたくない」

「そうだ、ワークショップに来れば、12月(つき)の神さまにボーカロイドを歌うコスプレの神さまを加えるなんて全然簡単だから、来てみない?みんなと一緒に舞台に立つなら恥ずかしくないよ」

「やりたくない」

と、とりつく島もない感じでしたが、

「そうか、でも、とにかく11月24日には舞台用意するから、ちょっと考えといて」

というと、

「うん」

とまんざらでもない様子でした。

 話が思わぬ方向に進んだのですが、ガイさんが本当にコスプレの格好して舞台に立ち、ボーカロイドの歌を歌ったりすれば、これはガイさんにとって人生が変わるくらいの出来事になるだろうなと思いました。

 

お客さんの目線

 久しぶりにカフェに来たお客さんから

「久々のランチにこころがほっこりしました」

というメッセージと一緒にランチの写真が添えられていました。スタッフが撮る写真とは全く違う雰囲気で、自分で撮る写真より、はるかにおいしそうに見えました。お客さんはこんなふうにランチを見てるんだと思いました。

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