ぷかぷか日記

「人の心」を取り戻す

 2年ほど前、朝日新聞の言論空間『論座』に投稿した記事です。大事な話なので、多少手を加えて再掲します。

 

 つい先日神奈川県立の福祉施設での虐待事件が報道されました。

・服薬用に水などに塩や砂糖が入れられた。
・利用者の肛門にナットが入っていた。
・利用者に数百回のスクワットをさせた。
・職員の粗暴行為で利用者が頭を打ち失神した。
・利用者の食事に多量のシロップをかけて食べさせた。

 いずれも気分が悪くなるような事案です。ふつう、人間はこんなことはしません。介護の現場にいるのは人間のはずですが、虐待の実態を見る限り、そこにはもう人間を感じることができません。

 厚生労働省が「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き(施設・事業所従事者向けマニュアル)」というのを出しています。人間が人間でなくなっている現場で、こんな教科書のようなマニュアルがどれだけ役に立つのだろうかと思います。現場の荒廃のレベルの認識が甘いのではないかと思います。虐待の現場になっている神奈川県でさえ、このマニュアルを県のホームページに揚げています。こんなことやって虐待がなくなると本気で思っているのでしょうか?

 重度障がいの人たちを相手にする現場がどうしてこんなにもすさんでしまったのか。そのことにきちんと向き合っていかない限り、虐待はいつまでたってもなくなりません。向き合ってないからこそ、あのやまゆり園事件以降も、一向に虐待がなくならないのだろうと思います。

 

相手を見下すところから出発している「支援」の問題性

 やまゆり園事件の直後から「支援」という上から目線こそが事件を引き起こしたのではないかと私は言い続けています。虐待の事件を受けて、あらためて、相手を見下すところから出発している「支援」という関係性の問題を思います。

 相手を見下すことは、見下す側の人間の荒廃を産みます。こいつらには何やっても許される…みたいな、そんな人間の心の荒廃。

 「利用者の肛門(こうもん)にナットが入っていた」などという事例は、その際たるものです。人間のすることではありません。これはもう「虐待」といったレベルではなく「犯罪」です。どうして「犯罪」として追求しないのでしょうか?ここにも社会の大きな問題があるように思います。

 福祉の現場で「人間を回復する」「人の心を取り戻す」、その当たり前のことをするためにはどうすればいいのか。

 いつも書いていることですが、障がいのある人達と「フラットにつきあう」「ふつうにつきあう」ことです。そうして相手と支援者としてではなく、ひとりの人としてつきあう、出会うことです。ここがむつかしいようですね。

 私が養護学校に勤めていた頃、障がいのある子どもたちに出会えたのは、教員という意識があまりなかったせいだと思います。「指導する」という、なんだかえらそうな言葉が、どうもしっくりきませんでした。いっしょにおもしろいこと、楽しいことをやると、その中で子どもたちは自然にいろんなことを学んでいきます。私も色々学ばせていただきました。いちばんの収穫は「なんて素敵な子どもたちなんだ」という気づきです。

 いっしょにいるとあたたかい気持ちになって、ずっとそばにいたいな、と思いました。教員になる前はふつうのサラリーマンをやっていたので、人の中にあってもそんな気持ちを忘れていました。障がいのある子どもたちは、あたたかな人の気持ちを思い出させてくれたのです。これが彼らとの出会いです。指導しなきゃ、という教員としての意識がほとんどなかったおかげです。

 指導とか、支援という関係をやめるとき、ようやく相手と人として出会えるのだと思います。

 

私には絶対にできない、彼らにしかできない笑顔

この写真は花巻に住んでいる青年達です。先日お母さんのFacebookにアップされていました。見ただけでキュンと幸せな気持ちになります。

     

      Facebookで公開されていた岩手・花巻に住む青年たちの写真(許可を得て転載)

 二人ともアンジェルマン症候群といって、重度障がいの青年達です。重度障がいなので、何もできないのかというと、そんなことはなくて、こんな素敵な顔をして、まわりの人たちを幸せな気持ちにさせてくれます。私たちには絶対にできないことです。彼らにしかできないことなのです。そのことを謙虚に認めるところから、彼らとの新しい関係が生まれます。

 こんな笑顔をする人は街の宝だと思います。社会の中で一番大切にしたい人たちです。

 施設にはこんな笑顔をする人はたくさんいるはずです。そんな笑顔を見つけた時、

 「あ、今日もいい笑顔だね。」

 って笑顔で言える関係を作ること。それが虐待をなくす、一番大事なことだと思います。そして楽しいことがあった時は、一緒にこんな笑顔になる。楽しいことを彼らと共有するのです。

 彼らと一緒に本心で笑えるようになった時、失った「人の心」が戻ってきます。重度障がいの人たちが、失った「人の心」を取り戻してくれるのです。

 「人の心」を失っているのは施設だけではありません。虐待、いじめは社会全体を覆っています。その社会を救うのはやっぱり障がいのある人達ではないかと思うのです。彼らのそばに謙虚に立つこと。そうすることで、私たちは「人の心」を取り戻すことができるのではないか。そんな風に思うのです。

未来に希望を持つことができます。

こんな本があります。

            

              

         

 

  この本の最後の方にこんなことが書いてあります。

 

「これまでの社会からは疎外されてきた人が働きやすい場が生まれていくなら、未来に希望を持つことができます。私たちが生きていく道の救いは,彼らといっしょに生きていくことにありそうです。」

 

 これって、ぷかぷかがやっていることじゃないか、と思いました。障がいのある人達は、なにかと働きにくい現状,社会から疎外される現状があります。そんな中で、彼らに惚れこんだ高崎は、彼らといっしょに生きていった方がトク!、とぷかぷかをはじめました。

 で、はじめてみてあらためて気づいたことは、よく言われる                      「障害者は社会にあわせなければやっていけない」                     ではなく、そのままの彼らの方が魅力があることでした。結果、             「そのままでいいじゃん」                                      と、そのままの自分で働いてもらっています。ですから彼らにとって、ぷかぷかはとても居心地がよく、働きやすい環境になっていると思います。そこに希望があると、この本はいっているのです。 

 

 希望という言葉がいいですね。生きることを前向きにしてくれます。希望があるから、私たちは前を向いて生きていけます。それをぷかぷかは創り出したのではないかと。                                                  

 そうして、いろんな意味での私たちの生きにくさや息苦しさを救うのは、彼らといっしょに生きていくことにありそうだ、と。

 いっしょに生きていくと、心が自由になります。世界が広がります。生きることが、なんだか楽しくなります。いっしょに生きていくことの意味が、グンと広がります。

 

 いっしょに生きてこそ生まれるすばらしい舞台。 

 この素晴らしさこそが、いっしょに生きていくということ。

芝居小屋

今年初めてのブログです。

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

         

 

 

 ごちゃごちゃした荷物を整理していて、きわめてレアな写真発見。養護学校で初めて芝居小屋をやったときの写真です。芝居小屋というのはプレイルームを使って役者もお客も一緒になってその場をつくっていくようなそんな場所です。

   その時の様子を書いた『街角のパフォーマンス』の目次を見ると

     

 

お客も役者もクッタクタになるような場が学校の中に出現したのです。

 

 こういった芝居小屋を何年か続けると、こんなすごい場ができました。この時は保護者の方やスクールバスの運転手さんも一緒に芝居やっちゃいました。

真ん中のおじさんはスクールバスの運転手

背景画がすばらしい

真ん中の青年はフィリピンからやってきた友人

お母さんたちも顔にしっかりメークして楽しんでいました。

タカサキはこんな感じでした。

 

 役者とお客さんが一緒になって場をつくる、という発想はフィリピンまでPETA(Philippine Educational フィリピン教育演劇連盟)のワークショップを受けに1週間ほど行った際に学びました。たまたまこどものワークショップの発表会があり、私はお客さんでしたが、子どもたちの演技に合わせて一緒に馬の鳴き声をやったり、蹄の音をやったりで、場がものすごく盛り上がりました。こういう場の作り方があったのか、ともううれしくなって、それを学校に持ち帰ったというわけです。

 おもしろかったのはフィリピンではPETAのメンバーさんの家に泊めてもらったのですが、そこはゲイのペアが暮らしている家で、最初はちょっと緊張しました。何事もなく1週間が過ぎたのですが、びっくりしたのは大晦日の日、近所の人達が大勢やってきてパーティーをやりました(フィリピンではお正月よりも大晦日にお祝いするようでした)。ごくふつうの家にやってくるような感じで、みんなすごく楽しくやっていました。ゲイとかレズビアンとか全く関係ない感じで、フィリピンて進んでいるんだなぁとしみじみ感じた夜でした。もう40年ほど前のことです。

 

 楽しい芝居小屋ではあったのですが、

「おもしろい!おれもやってみよう」とか「私ならもっとおもしろくできる」

なんて、後に続く教員はいなかったので、こういうハチャメチャ楽しい芝居小屋はこれが最後になったと思います。そういう意味でとても貴重な場だったと思います。あの空間をいっしょにつくり、いっしょに楽しんだ仲間たちに感謝!

 

★『街角のパフォーマンス』はオンデマンド版ですが、ぷかぷかのアート屋わんどに置いてありますので、興味を持った方は連絡ください。

 また『街角のパフォーマンス』はタイトルを『とがった心が丸くなる』と変えて電子本としてアマゾンで販売しています。検索すればすぐに出てきます。Kindle会員であればただで読めます。

小さな講演会

 年明けに小さな講演会をやります。内容は以下の通りです。

 

 

 エプロンみどりの方が、ぷかぷかしんぶんの8月号で私の書いた記事を読んで心に響くところがあり、これを企画したそうです。

 ぷかぷかしんぶん8月号はこちら

 

《演劇ワークショップの場では、障がいのある人達に何かやってあげる、というより、彼らにやってもらうことが多い気がします。彼らは私たちよりも発想が自由なので、思ってもみないアイデアが次々に出てきます。もう、負けた、としかいいようがありません。気がついたら彼らに引っ張ってもらっているのです。》

 

《ぷかぷかさんたちと一緒に芝居作りをするので、想定外のことが次から次に起こり、ギャハーと思いっきり笑ってしまったり、ひゃ〜どうしようどうしようとオロオロしたり、まぁ、とにかくおもしろいことの連続です。

 「あんなにも心の底から楽しい〜って思えたのは久しぶりです。」という感想が、ワークショップに参加した地域の方から届きましたが、「心の底から楽しい〜」って思える時なんて、普段の暮らしの中ではそうそうありません。》

 

 というところがすごくよかったと聞きました。

 

  また9月号のそらくんについて書いた記事もよかったと伺いました。

《 そらくんの声を気にしない人もいれば、迷惑だと感じる人もいます。そらくんのような人を社会から排除すれば、社会はすっきり気持ちよくなるのかどうか。むしろ、社会が許容できる幅が狭まり、お互いが息苦しくなるのではないか。》

 

 ぷかぷかしんぶんの記事に共感するところがあって、こういう講演会を企画する、というところがすごいですね。

 1月13日(土)、13時半〜 十日市場地域ケアプラザ多目的ホール(みどり図書館2階)です。参加費無料のようですので、都合のつく方、興味のある方はどうぞ。

第8期演劇ワークショップ4回目

 

 

一幕の練習  

ぷかぷかさんによる絵本読み聞かせ

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色・光を集めて皆に渡すシーン

食べ物を運ぶシーンをチームに分かれて練習

 

食べ物を運ぶ(バッサー・横山さん・あずみちゃん・はやちゃん・よっしー・近藤さん・寺ちゃん・せつさん・春野さん・かーくん・ゆみっち・太田さん・りえちゃん・コータくん)

 

だるまさんが転んだのように、猫が後ろを向いている間は動いて運べる。

振り向いたら止まる。猫役→ふたみん

ぷかぷかさんのストップモーションが素晴らしい!

 

色集めチーム(はるちゃん・あさちゃん・いしちゃん・ももちゃん・ますみさん・小山さんゆりちゃん)

空から色んな色の宝石が降ってくる。あさちゃんねずみがキャッチ!宝箱に入れて巣の床下にしまい、大切に保管。冬になり宝箱を取り出し、中の色んな色の宝石を皆に配る。

 

光集めチーム(しおりん・あいさん・せれんちゃん・みわっち・ちーやん・松井さん・けーこさん・こずえさん)

光を集め、おにぎりにしてみんなに配る。

あたたかい。食べてもよし!

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二幕の練習

映像を皆で見る     

・氷河が溶ける・山火事・洪水・すずめがお米を食べる

・ねずみの身体能力映像→ねずみが泳ぐ・ジャンプする

 

映像を踏まえ、東西南北のそれぞれのチームがどうやってピンチを乗り越えてきたか考える。

・ねずみ同士の関係性も考えてみる       

・各シーンで、それぞれのねずみのキャラクター・個別性が見えてくるように       力持ち・リーダータイプ・ビビり・親子関係・水が嫌いとか、状況に照らし合わせ       

て、それぞれの役割(性格?)も考えてみる 

 

発表

北チーム(バッサー・横山さん・あずみちゃん・はやちゃん・よっしー・近藤さん・寺ちゃん)

巣でごはんの話しや、家族旅行どこに行きたいかなどの話しをしている。汁物・鳥なべ・豚肉しゃぶしゃぶ・焼き鳥食べたい!南の島・京都行きたい!など…

すると氷が割れて、家族がばらばらに!南に島で落ち会おう!

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南チーム(せつさん・春野さん・かーくん・ゆみっち・太田さん・りえちゃん・コータくん)

おばあちゃんねずみ(せつさん)が孫(コータくん)にお腹空いたからお母さんを呼んできてと。家族皆でおばあちゃんねずみにごはんをあげる。すると、見張りねずみ(かーくん)が戻ってきて「火事」と!みるみる火が迫り、熱い!地下トンネルを掘り、高台へ避難!家が燃えてしまい、ショックを受ける…

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西チーム(はるちゃん・あさちゃん・いしちゃん・ももちゃん・ますみさん・小山さん・ゆりちゃん)

お母さんねずみ(ゆりちゃん)が食べ物を探しに、子どもたち&おばあちゃんねずみ(ますみさん)はお留守番。すると雨が降ってきて、巣の中にもどんどん水が入ってくる。おばあちゃんねずみは「海だね」と、とぼけた発言!このままでは沈んでしまう!そこへお母さんねずみが帰ってきて末っ子(あさちゃん)を救出!お兄ちゃんたちが妹たちを引っ張り、巣の外へ!最後は再びお母さんとお兄ちゃんでおばあちゃんねずみを助け、皆で高台まで泳ぐ。高台へ上がる際も雨で滑り、お姉ちゃんが濁流に落っこちたり、お兄ちゃんが高台にうまく登れないなどのハプニングを乗り越え、なんとか全員高台へ。でも雨がすごい。そこにおばあちゃんがちょうどいい木の穴を見つけ、皆で避難し、雨が止むのを待つ。最後に水に沈んだ街を見ておばあちゃんが「いい眺めだね、海いいね」「おばあちゃん!海じゃないよ!」

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東チーム(しおりん・あいさん・せれんちゃん・みわっち・ちーやん・松井さん・けーこさん・こずえさん・ふたみん)    

お米がすずめに食べられる!どうやったら怖がらせられるか相談。

隠れていて、ねずみがきたところへねずみのジャンプ力で脅かす。

それでもやってくるすずめに、ふたみんねずみがパワーで追い払う。

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お昼休憩

 

二幕 冬のシーン練習

それぞれのピンチから逃れてきた皆が東の国に集結!

しかし東もすずめに食べられ、一本の小麦・一個のくるみしか食料がない!でもまだ冬は三か月ある…     

・具体的な問いかけ「どうしたら冬の○○を凌げるのか」

寒さ・空腹・退屈・暗闇チームに分かれて相談

 

寒いチーム(せつさん・あざみちゃん・コータくん・ゆりちゃん・はるとくん・あさちゃん・横山さん・寺ちゃん・ますみさん)

鳥ねずみになって空を飛び、風の民にお願いする。あたたかい太陽の光をください!

持ち帰り、皆に配る。

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空腹チーム(しおりん・ちーやん・ゆみっち・いしちゃん・ももちゃん・かーくん)

なんとしっぽが色んな味がする!フルーツなど…かじり合って空腹をしのぐ

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退屈チーム(バッサー・こずえさん・よっしー・けいこさん・あいさん・せれんちゃん・大田さん)

それぞれのここまでどうやってきたか冒険の話しをする。おもちゃのちゃちゃちゃのリズムに合わせてラップを披露!

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暗闇チーム(はるちゃん・近藤さん・春野さん・みわっち・松井さん・はやちゃん・小山さん・りえちゃん)

火起こしねずみが枯れ枝を使って火を起こす。くるみの殻など、食べられない部分を火にくべてキャンプファイヤーに。火の周りでおもしろポーズ!

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歌の練習

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振り返り・終了

 

 

●ぷかぶかさんによる「フレデリック」絵本の読み聴かせがあたたかい

せれんちゃんの人前では絶対踊らない究極のダンスが垣間みれた

歌『薔薇を植えよう』の歌詞に想いを馳せる

ばらよ ぼくらのばらよ
まだまだ 世界には
雪の嵐が 騒ぐだろう
騒ぐだろう でも
ぼくらは ばらを植えよう

来るべき年のために
ばらを植えよう
雪の嵐の中で
雪の嵐の中で
ばらを植えよう

・・・

本日初めてぷかぷか流演劇の作り方に触れることが出来た
大筋の流れが構築されているものの、その日のメンバーのこころの持ちようが自在に物語りを動かして行く兆しが覗けた
ワクワクとドキドキが同居している
これでいいんだ,四角四面の自分の感性がちよっぴりまあるくなって行く
いいなあこの世界観‼︎
ほんと1人だったら気づけない、ぷかぷかさんと一緒の時間を過ごしているからこその姿
ぷかぷかさんからの贈り物!

道のり遠いけど1月の本番はすぐそこに
どうなることかと思いつつもあり待遠しくもあり‼︎

 

●本番を来月に控えて、今日は、どんなワークショップになるのだろう、とワクワクしながら来ました。 なので、ちょっと朝の挨拶の時の動きが、控えめだったので、少し疲れが出たのかなと心配しましたが、練習を重ねて行くたびに、いつもの思い付かない様な楽しいアイデアを出し、1人1人の考え方を尊重し、想定外の事があっても、それがいつものの事なので、全く動じる事もなく、本当にありのままの姿で、淡々と進めて行くのには、やはり普段からメンバーさん達、お互いの事が分かっているからかなと感じました。 後2回の練習を残すのみになりましたが、あまり緊張しないで楽しんで本番に挑みたいと思いました。

 

●ワークショップ5回目。もう本番までこの場での練習は1回だ!そしてホールでのリハーサル、本番となります。

どうなるんだろう?というより、自分はどうするのか、という方がいいのかもしれません。

今までぷかぷかさんたちと色々な場面を想像しながら作ってきましたが、それは「演じる」のではなく、「表現」してきたのだ、ということに今日改めて気付いたような気がします。

演じるのではないんだ、表現するんだ、ということを思ったのです。

この場面はこういう状況なのだから、そういう場合はこういう展開になるはずだ、とか、こうなったらおかしいだろう、とか、こんなことをしたら恥ずかしい、とか、どう思われるだろう、とか、そんなことを考えるのではないんだ、と。その時の自分はそれをどう表現するか、なのではないかと。

ぷかぷかさんたちは、それを今までずっと当たり前にやってきているのではないだろうか。

自分のその時の気持ちや体の調子に素直に従うとこうなる、ということではないか?

せつ先生も、「失敗はないから」とおっしゃっていた。このワークショップの時間だけは、自分が何者であろうと、何をしようとまわりが全て受け入れてくれる安心感があります。

ぷかぷかさんたちは、性別も年齢も関係なく普通に接してくれ、受け入れてくれている気がします。

あ、どんな私でもいいんだ、という気持ち、なんだか頭と心のギュッと固まっている部分が少し解れたのかもしれない、と思えました。ぷかぷかさんたちと過ごすと、こうなれるのかなと心が温かくなるのを感じた回でした。

 

2024年1月28日(日)第8期表現の開催します。

 

差別を超える

先日、みどりアートパークでオペラ『あん』を見てきました。

 

 ♪どらやきぃ いかがで〜す〜か〜

の歌が、見終わってからも頭の中でいつまでも響いているようなオペラです。歌の力強さをしみじみ感じました。

 

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 冴えないどら焼き屋「どら春」を舞台に、ハンセン病の差別の問題を見せてくれます。

 徳江さんはあんこを作るのが得意で、「どら春」で働き始めてからあんこのおいしさが評判になり、大繁盛。ところが徳江さんの曲がった指を見て、ハンセン病じゃないかと噂が広がり、客足は途絶えます。

 薬が開発され、ハンセン病は治る病気になり、かつての隔離政策もなくなりました。でも、病気にかかった人達を差別する、という問題は残ったままです。説明すれば解消する、という問題ではありません。そこに差別というやっかいな問題があります。私たちの心には、論理的な思考ができない部分があるのだと思います。

 

 徳江さんは隔離された施設の中で、仲間と甘いお菓子を作り、収容された人達に味わってもらいます。ハンセン病は、手足の感覚は麻痺しても、舌の感覚だけは残っているそうです。甘いお菓子にみんなは大喜び。閉ざされた世界の中で、なおも生きる喜びを感じることのできる大事な大事なひととき。

「ありがとう」「ありがとう」

と感謝されます。

 「ありがとう」に込められた思いの深さ。それを歌い上げる歌。

 徳江さんにとって甘いお菓子を作ることは「闘いだった」といいます。社会に出られないという過酷な人生を強いられる中で、なおもみんなの感謝の言葉に支えられながら自分の人生を生き生きと生きた徳江さん。それは「闘いだった」、ハンセン病を超える徳江さんの闘いだったと。

 亡くなった徳江さんに、いっしょに甘いお菓子を作り続けた仲間が言います。

 「徳江、よく頑張ったな」

 

 頑張った、というより、よく生きた。そんな感じがします。

 社会に出られない、自分の思うことが実現できない、という八方塞がりの中で、それでもみんなのために甘いお菓子を作りながら、自分の人生を生き生きと生きた徳江さん。

 

 差別するのはよくない、といったところで差別はなくなりません。ではどうすればいいのか。そのひとつの回答がオペラ『あん』だった気がします。徳江さんの生き方だった気がするのです。

 本で読むよりも、はるかに力強く、ダイナミックにそれが伝わって来た気がします。それがオペラのいいところだな、としみじみ思いました。

 

 障がいのある人達も様々な場面で差別を受けます。社会からの排除です。ひと昔ほど露骨ではないにしても、できるできないで人をわけてしまうような価値観が社会にある限り、結果的には排除されてしまう障がいのある人達は多いと思います。

 あんなにいいものを持った彼らを排除するのはもったいない、と私は思っています。

 私たちにはないいろんな魅力を持った彼らを排除すると社会が貧しくなります。

 障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいい、その方がトク!というところでスタートしたぷかぷかは、彼らの魅力を様々な形で発信してきました。

 

  お惣菜のお店にこんな文字があります。こんな字を見ると、ふっと心が緩みます。こういう字が店頭にあること、それが社会の豊かさだと思います。

 

 ぷかぷかはこんな風にして障害者差別を乗り越えようとしています。

 

写真のチカラ

今朝の東京新聞に載っていた写真です。

 

 

 国立ハンセン病療養所「栗生(くりう)楽泉園」で1966年に撮られた写真だそうです。

 「舌読」をしているのは入所者の金夏日(きむはいる)さん。病のため視力を失い、指先の感覚もない金さんは、点字も読めない。でも、感覚の残る舌や唇を使えば読める。短歌を学んでいた金さんは師の歌集を読むという「最高の希望」をかなえるために「死に物狂い」で舌読を会得したといいます。

 

 金さんが、ここでこうやって生きている、ということがビリビリと伝わってくる写真です。人が生きる、ってこういうことなんだ、とあらためて思います。そういうことを一瞬で伝える写真のチカラというものを思いました。

 

 よく「障害者は不幸だ」という言葉を聞きます。でも、この一枚の写真はその薄っぺらい言葉を一瞬でひっくり返します。

 

 同じ朝刊のトップページに載っていた写真。

     

 内閣の要である官房長官に裏金疑惑が浮上したにも関わらず、説明も果たさない男。この男のおかげで裏金のまん延が常態化。

 金まみれの、なんという情けない、はずかしい人生かと思う。その人生を見つめている決定的写真。今、何を思っているのだろう。

 

 障がい者と健常者、という風にわけるのもおかしいのですが、障がいのある人の方がずっと懸命に自分の人生を生きてるじゃん!と思うのです。

 

美帆ちゃんの誕生日メニュー

 12月5日はやまゆり園障害者殺傷事件で亡くなった美帆ちゃんの誕生日でした。その日の給食メニューは「美帆さんの誕生日メニュー」。美帆ちゃんは唐揚げ、ハンバーグが大好きだったとお母さんがおっしゃっていました。

 

 特に事件について話し合ったりするわけではありませんが、こうやってスタッフが美帆ちゃんのこと忘れないで「美帆さんの誕生日メニュー」を作ってくれることはとてもうれしいことです。お母さんにもちゃんと声をかけたそうです。体調不良で食べに来られなかったのは残念でしたが。

 お母さんにとっても、こうやって娘のことをぷかぷかさんもスタッフも忘れないでいてくれることはとてもうれしいことだと思います。忘れられることがいちばん悲しいです。事件についてアーダコーダのむつかしい話ではなく、美帆ちゃんというひとりの人間を忘れないでいること。そのことが大事だと思うのです。

 機会があれば事件のこともみんなで話し合えたら、と思っています。重い話ではなく、みんなで前を向けるような話です。

「やっぱりいっしょに生きていった方が絶対いいよね」

ってみんなが思えるような話です。

 

 近くの創英大学の保育学科障害児保育の授業にぷかぷかさんが参加。こうやって一緒に何かやることが大事。ぷかぷかさんといると楽しいよね、って学生さん達は思ってくれてるみたいです。学生さん達は大学を卒業後、多くは保育の仕事に就きます。現場で障害児に何かやってあげるのではなく、いっしょに生きていく関係を作ってくれたら、と思っています。

第8期演劇ワークショップ第4回ぷかぷかワークショップ

2023年11月25日、第4回ぷかぷかワークショップのまとめ

 

字が小さくて読みにくいので、半分に分けます。

 

 

あいさつ(ネーム・ウィズ・アクション)     

ウォーミングアップ 新聞に何人乗れるだろう

・足場が狭くなっていく→一番大きく広げた状態から新聞紙を折って狭くしていく

4つのチームに分かれて実施。最後は片足で乗るなど皆苦戦しながらも頑張って乗っていた。

 

ものつくり

くるみと麦を作る

   

                     

              

              

             

            

 

 

お披露目

・それぞれのポイント

くるみ→ハートがついている。身が詰まっている。

               

 

小麦→穂がとんがっている。ぎっしり身がなっている。

           

           

 

歌の練習

 「バラを植えよう」しみじみいい歌です。

                  

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くるみと麦を工夫して運ぶ +フレデリックが運ばないことに対してのセリフを言ってみる     

・チームに分かれて運び方を工夫する      

ねずみにしたらくるみや麦は重い。どうやって運ぶ?

くるみ→一列になり横の人に渡していく。渡し終わったら先頭へ移動。

それを繰り替えす。

くるみ&麦→小麦は二人で、くるみは半分にして運ぶ。

麦②→二人で肩に担いで運ぶ。

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お話を読む(進行役&あみちゃんのピアノ)  

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フレデリックの続きの話の案の紹介

気候変動のお話し

東西南北のネズミに分かれて、西南北の国でピンチが起こり、命からがら逃げて、最終的に東(フレデリックたちの住んでいるところ)に集まる。

東西南北のピンチの話し

 

昼休憩

               

 

 

ぷかぷかさんタイム

   小山さんコマネチ

       

 

山火事・沈む島・大雨を紹介するビデオ鑑賞

 

東西南北チーム分け

 

北のネズミ班、南のネズミ班・西のネズミ班に分かれて、国を出るに至る状況を      シーンにする。

 

北のネズミ班(氷河が溶け、住んでいる島が沈む)

南のネズミ班(山火事)

西のネズミ班(大雨)

東のネズミ班(雀の襲来でお米が食べられ食べ物がない!)

 

発表 

北のネズミ班(氷河が溶け、住んでいる島が沈む)

…ばっさー・あずみちゃん・ハヤちゃん・横山さん・小山さん・よっしー

寝ていると、水が入ってくる。モップで水を外に出す。それでも入ってくる。

ここには住めない。引っ越す。引っ越し屋さんの車が来て、荷物を運びだし、自分たちも

乗り海に出る。横山ねずみ「流れに身を任せましょう」と一言。

車ももたなくなってきて、脱出!するとサメが!運び出した荷物でサーフィンをして切り

抜ける。

 

南のネズミ班(山火事)

…せつさん・ゆみち・りえちゃん・春野さん・大田さん・辻さん

ごはんを食べていると、見張り役の辻さんが山火事が起こっていると知らせに来る。

地面を掘って地下トンネルを作り逃げる。お家が燃えてしまい、絶望する。

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西のネズミ班(大雨)

…はるちゃん・あさちゃん・ももちゃん・いしちゃん・小山さん・ますみさん

大雨が降り、巣に水が入ってくる。バケツリレーで水を外に出すが追いつかない。

泳いで外に出て、高いところ避難する。木が流れてくる。それに捕まり移動。

さらに高いところへ。それを繰り返す。

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東のネズミ班(雀の襲来でお米が食べられ食べ物がない!)

…しおりん・けーこさん・ちーやん・みわっち・あいさん・せれんちゃん・こんさん・松井さん

お米を皆で食べているが、少ない。冬に備えて、お米を集めに外に出る。すると雀に食べ

られてしまう。カラスのたこで追い払う。

 

命からがら逃げてきて、集まった大勢のネズミたちでどうやって次の冬を越したらいいか考える。食べ物も雀に取られ無くなってしまった。      

「もしもフレデリックだったら」どうやって次の冬を乗り越えるか?

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歌の練習

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振り返り

 

終了

 

参加した人達の感想

●午前中はみんなで体動かしてゲームしたり、劇中でつかう小道具を作成したり、チームに分かれて黙々と作業するのがとても楽しい時間でした。最初から参加できたのが初めてだったので、たんだんと場があったまる感じを体験できて嬉しかったです。

息子と私は別チームで作業をしましたが、優しいお兄さんお姉さんたちと一緒に楽しそうな声も聞こえたり、途中でぷかぷかさんが「喉が渇いてお茶を飲みたがってるみたい」と私に伝えてくれたり、ぷかぷかさんの面倒見のよさに、心温まるやりとりにほっこりしました。息子は「だれがこおりをとかすの」の歌が大好きで、帰宅後もYouTubeで繰り返し聞いていたり、登校中も歌って!とリクエストしてくれます。フレデリックの絵本を借りてきたら、ねずみ!と大はしゃぎしています。

また来月も楽しみにしています。

 

●やはり高崎さんがお話しされたように、表現の動きの仕方が、観ている方に伝わりにくいとは感じておりましたが、始めての参加なので、いつもこんな感じで、本番に近づくと凄い力を発揮するのかなと単純に考えていましたが、普段の練習がとても重要ですよね。 後二カ月でどんな感じになるのかとても楽しみです。

 

●4回目ワークショップでは「想像力」と「創造力」という言葉が私の中でキーワードになりました。 今回はピンチをどうやって克服するか、という難しいテーマが与えられました。 私は「洪水」からどうやって逃れるか!を表現するグループ。 みんなで考えますが、なかなかアイデアが出てこない。私も長く生きていますが洪水被害にはあったことがありません。他のみんなも、「自分は経験した」という人がいなかったのでおそらく同じでしょう。 普通に日常生活を送る中で、どんな状況で「洪水被害」に遭うのか、野ネズミの洪水被害とはどんなものであり、どうやって逃れるのか。そしてぷかぷかさんたちはそんな状況をどんなふうに想像して表現するのか、というかこれは私が想像しても無駄なので、出てくる言葉に期待するしかないのですが。 TVの画面でしか見たことのないものを、しかも野ネズミの立場でどう表現するか。 洪水とはどんなものなのか、次回までに少し勉強しておこう。 そして想像力を働かせて、ぷかぷかさんたちの創造力に期待しよう。

 

●今回のワークショップは午前中に工作があるので早く参加したいと思いつつなかなか参加できません。途中から参加させて頂いております。 途中参加でもみんな快く迎え入れてくれます。 グループに分かれて演じる時間には、大変な困難を演じる時の表現などをもっと表情豊かにとのアドバイスがぷかぷかさんから出たりして、回を重ねるごとにみんな役者さんになっていくなあと思いました。 個人的に嬉しかったのは、お昼の休憩中にふたみさんからプライベートな相談を受けたことでした。悩み事を話してくれるまでの仲になれたのが嬉しかったです。 相変わらずあと2回ほどでおsh梅が出来上がるのか感がありますが、4歳の娘と歌詞だけはちゃんと覚えて次回に備えたいと思います。

 

進行役の感想

●「ぷかぷかさんたちと全力で楽しむためにはどうしたらいいんだろう?」って頭を使えば使うほど楽しめなくなる。進行役としての日々は、そんな感じです。
去年は一般参加者として参加し、大いに戸惑い、最後にはなんとも言えない、味わったことのない感情が芽生えて終わったぷかぷかワークショップ。
僕は参加して本当によかったと思いました。
今年も初めて参加する方が何名かいます。
その方たちは、一体どんなことを感じるんだろう?と、とても気になります。
忙しさの中で、つい合理的に、効率的に物事を考えてしまい、今の楽しみ方を忘れてしまう。
ワークショップのプログラムを考える際も、そんな葛藤を抱えながら取り組んでいる気がします。
とは言えワークショップ当日を迎えてしまえば、色々考えていることは無駄で、色々なことが起こる。失敗も成功もない。ただみんなが楽しんでいるかどうか。自分が楽しめているかどうか。
相変わらずぷかぷかワークショップでは、たくさんの気付きがあるなぁとつくづく思います。
なんだかんだで残り少なくなってきましたが、悔いのないように全力で楽しみたいと思います。

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