ぷかぷか日記

ぷかぷかさんたちの手際の良さにびっくり

福祉事業所では

「障害者が作ったものだから買ってあげる」

といった関係がよくあります。でも、そういう感じで買ってもらうって、なんか嫌だなと思っていました。何よりも、そういった関係ではいいものはできません。そうではなくて

「おいしいから買う」

という関係をこそ作りたいと思いました。

「おいしい」 

というところで勝負するのです。ほかのお店に負けないくらいおいしいものを作る。材料にこだわり、作り方にこだわり、とにかくおいしいものを作ることをぷかぷかは大事にしてきました。

 結果、おいしいから買う、という当たり前のお客さんが増えただけでなく、ぷかぷかさん自身が質の高い仕事、本物の仕事をすることで、びっくりするくらい成長していました。

 そんなことを思うのは、先日久しぶりに厨房を覗かせてもらい、ぷかぷかさんたちの手際の良さにびっくりしたからです。

 

 その日は魚のフライの仕込みをしていました。三人並び、最初の人は魚に粉をつけて次の人に渡し、次の人は溶き卵をつけ、最後の人はパン粉をつけます。

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 右側のナオコさんは魚に小麦粉をつけ、次の人のボウルに入れます。ナオコさんは、どちらかというと障がいの重い方です。でもここでは、三人並んだ仕事のペースメーカーになっていました。スタッフはそばについていません。

 ナオコさんは障がいは重いけれども、与えられた仕事をきちんとこなす方です。福祉事業所によくある単純作業ではなく、おいしいものを作る、という本物の仕事をこなしてきました。それを毎日くりかえす中で、ナオコさんはその場のペースメーカーになるほどに成長したのだと思います。

 

 準備ができたのを見計らって、ナオコさんが小麦をつけた魚を次の人のボウルに入れるところからこの三人組の仕事が始まりました。

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 次々に魚を回していきます。

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      粉をつけます。

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      溶き卵をつけます。

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      パン粉をつけます。

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 流れるような仕事ぶりにびっくりしました。三人の呼吸が合い、仕事がどんどん進みます。いつもこのメンバーでやるわけではなく、誰がやってもこんな風に仕事が流れるそうです。

 彼らをここまで持ってきたスタッフさんの働きがすごいなと思いました。そばで何にもいわなくても、ここまで仕事をやってしまうぷかぷかさんの成長にびっくりしながら、彼らを支えてきたスタッフさんの働きに頭が下がりました。スタッフさんたちに感謝!感謝!です。

 

 障がいの重い方が、仕事の現場でペースメーカーになっているなんて、痛快じゃないですか。素晴らしいのひと言です。

 おいしいもので勝負しよう、という目標が、こんなふうにみんなを成長させ、みんなが生き生きと働く現場を作り出したのだと思います。

 

 何年か前、区役所の販売でほかの福祉事業所の弁当販売と重なったことがありました。私はお互い競争すればもっとおいしい弁当ができるんじゃないかと思ったのですが、相手は「うちは福祉ですから、競争はしません」なんていい、なんか力が抜けました。区役所が調整して、その事業所とは別の日になったのですが、なんだかなぁ、という感じでした。

 「福祉だから競争しない」って、ま、競争しなくても福祉サービスの報酬が入るので事業は回るわけですが、職場の活気は生まれません。おいしい弁当も生まれません。仕事として、なんかつまらない気がします。

 やっぱり職場には活気があって、商品が売れた時はみんなで大喜びしたり、売れない時はがっかりしたり、それが仕事の面白さです。ぷかぷかに笑顔が多いのは、そういった面白さが職場にあるからだと思います。そういった中でみんな人として成長していきます。

 そういった可能性を「うちは福祉ですから、競争はしません」と最初から閉じてしまうのは、利用者さんに悪いじゃん、なんて思ってしまうのです。

こんなお弁当が届けられると、なんだかそれだけで幸せな気持ち

みっちゃんが色塗りしているのは配食サービスのメニューの絵

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 週一回一人暮らしのお年寄りにお弁当を届けているグループがあって、お年寄りの方たちにはこのメニューに描かれたぷかぷかさんの絵をとても楽しみにしているそうです。

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今までこんな絵がありました。

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 お弁当にはぷかぷかさんの描いた楽しい絵が帯として巻き付けられています。

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お弁当に巻き付けるとこんな感じになります。

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週一回、こんなお弁当が届けられると、なんだかそれだけで幸せな気持ちになります。

ぷかぷかさんたちは、こんな風にして幸せを届け、地域社会を耕しています。このお弁当は、私たちは生きる上で何が大切なのかを教えてくれます。

彼らとはやっぱりいっしょに生きていった方がいい、しみじみそう思います。

遅ればせながら「引っ越しのご挨拶」をご近所に

 友達大作戦の打ち合わせがありました。

 介護をやっている方から素晴らしい提案がありました。遅ればせながら「引っ越しのご挨拶」をご近所にやりましょう、という提案です。

 かずやさんの家には毎日介護の方が日替わりで入っています。

 「日替わりで得体の知れない介護者たちが出入りしている様子を不安に感じているかも知れません」

 とあって、なるほどなと思いました。大声とそういった様子が重なると、近所の方の目にはどんな風に写るんだろうと思いました。

 なので、遅ればせながらですが、かずやしんぶん、かずやクッキーなどを持って、ご近所にあいさつに行きましょう、というのは、今この時期に必要なとても大事な提案だと思いました。

 かずやさんもいっしょに行くことになるので、かずやさんに「いっしょに行きますか?」と聞きました。

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 かずやさんの返事は

「やめとく〜」

でした。

 「じゃあ、和尚さんだけで行ってもいい?」(丸刈りの人は、かずやさんにとってはみんな和尚さんだそうです)と聞くと、それはいい、という返事でした。

 とはいえ、介護に入っている方はなかなかゆとりがないと思いますので、ここは応援団の方で時間のゆとりがある方がいれば、ぜひお手伝いに入って欲しいですね。

 

 お米はスーパーで買うのではなく、お向かいの米屋で買うようにしましょう、という提案もありました。これは生活の中で関係を広げていく素晴らしい提案だと思いました。                                 

 お米は定期的に買います。定期的に顔を合わせる関係が自然にできます。量は少なくても、とにかく定期的に買いに行けば、お店の人は顔を覚えてくれます。そのうち、かずやさんを笑顔で迎えてくれます。お米買いながらいろんな話をしましょう。しっかり自己紹介もしましょう。顔と名前を覚えてくれます。「かずやしんぶん」も渡しましょう。「かずやしんぶん」を読んでくれれば、話の話題がグンと広がります。こんな風に買い物を通しておつきあいが自然に広がっていきます。

 

 近所のお店で「かずやしんぶん」を置いてくれるところを探す、という提案もありましたので、まずは米屋さんから始めましょう。やっぱりはじめてのお店で「かずやしんぶん」の話をするよりも、何度か買い物に行って、顔見知りになった段階で「かずやしんぶん」の話を持ち出す方が受け入れてもらえる確率が上がります。お店に「かずやしんぶん」を置いてもらえれば、ポスティングとは違う広がり方をします。何よりもお店に「かずやしんぶん」を置いてくれるというのは、多少ともこちらがやっていることに共感したからだと思います。お店の方のその思いを大事にしたいですね。地域はこういったところから少しずつ変わっていくのだと思います。

 

 街を歩けば「かずやさん元気?」って声をかけてくれる人が少しずつ増えてきます。「しんぶん、読みましたよ」って声をかけてくれる人も出てきます。

 

 地域で生活する、というのは、こうやって生活を通して関係が広がっていくこと。その関係の広がりこそが重度障害者の自立生活の一番大事なところだと思います。この関係の広がりが、かずやさんを、そして地域の人たちを豊かにしていきます。

 

堅くドアを閉じてしまった人の心を想像する

 先日、介護者の方が大声のことで苦情を言ってきている二階の部屋へあいつに行きました。かずやさんは行きたがらないので部屋で待機。ドアをノックしても、全く反応がなかったそうです。「下の部屋の尾野です」と言っても、ドアは閉まったまま。何度かトライしたものの、反応がないので、手紙、かずやしんぶん、かずやさんの作ったコーヒーカップ、かずやクッキー、植木鉢をドアの前に置いてきたそうです。

 ある程度は予想されたこととは言え、実際に閉じたドアを見てしまうと(固く閉じたドアは、そこにいる人の心そのもの)、やっぱり心が萎えてしまいます。閉じてしまった心を開いてもらうにはどうしたらいいんだろう。

 でも、ここからが本当の勝負だと思います。本気で閉じたドアと向きあう。どうしたら心を開いてもらえるのか、考えて考えて考え抜く。堅くドアを閉じてしまった人の心を想像するのです。そこからしか解決の道は見つかりません。

 

 ズームのオンラインで参加した学生さんが「共感マップ」というツールを提案してくれました。ユニバーサルデザインを勉強している方ですが、相手を理解するうえでとてもいいツールだと思いました。

 お二階さんがどんな思いでいるかを俯瞰できるようにマップ化することで解決の糸口が見つかるかも知れません。共感マップの要素は次の6つです。

 

1,お二階さんが見ているもの→

  →かずやさんの家の看板、ドアに貼りだしたかずやさんの絵

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2,お二階さんが聞いていること→

  →かずやさんの大声

 

3,お二階さんが考えていること、感じていること→

  →うるさいな、と思っている。フラストレーションがたまっている。

 

4,お二階さんが言っていること→

  →多分「かずやさんの大声がうるさい」

 

5,お二階さんの痛みやストレス→

  →夜、休みたい時間に大声が聞こえると、それは辛いこと。ストレスがたまる。

  現時点では大声を出す人がどんな人かわからないので、やっぱり怖い。 

 

6,お二階さんが得られるもの、欲しいもの→

  →大声の聞こえない静かな夜

 

 かずやさんの家の看板、ドアに貼りだしたかずやさんの絵を、お二階さんが見たらかずやさんに対し、どういうイメージを持つんだろうと想像してみましょう。大声に対してうるさいなぁ、と思っている印象はどう変わるでしょう。そこを想像してみる。こういった想像こそが問題解決に向けての具体的な手がかりを見つける気がするのです。何もないままどうしたらいいのかを漠然と考えるより、はるかに問題の解決方法が見えてきます。

 6の「大声の聞こえない静かな夜」を目標にするのは、かずやさんの大声が止められない以上、無理な目標です。でも、大声が聞こえた時、

「ったくうるせーなー」

と思いながらも、

「ま、しょうがねーか」

というあたりに落ち着くのは、多分可能です。こうなれば、大声を出すかずやさんとも、同じアパートでなんとか暮らすことができます。

 その着地点を目指すためにはこれからどうしたらいいのか、ということです。実際に動くのは現場の人たちですが、私たちも色々アイデアを提供したいと思うのです。

 

 

 この問題をテーマに大学での授業、もしくは自主セミナーが開けるといいなと思っています。

 大声に対して苦情が出た問題をどうやったら解決できるのか、それを考える授業、セミナーです。重度障害者の自立生活が生み出す地域社会との摩擦の解決方法を考えることは、重度障害者とどんな風にすればお互い気持ちよくいっしょに地域で暮らしていけるかを考えることです。これは社会全体の問題であり、社会を構成する自分自身の生き方にもふれてくる問題です。誰にとっても生きやすい社会を実現するための最初の一歩です。

 共生社会を作ろう、とかともに生きる社会を作ろう、という抽象的な話ではなく、かずやさんというおじさんとどうやったらお互い気持ちよくやっていけるのかを考えます。そのため、授業、セミナーにはかずやさんもいっしょに行き、かずやさんのことをまず知ってもらいます。かずやさんはお話ができないので、介護の方からいろいろ聞くことになりますが、それでも実際にかずやさんに会うことはすごく意味のあることだと思います。かずやさんはこんな人です。

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 可能なら大声も出してもらいましょう。その大声を聞いて、もし自分が二階に住んでいて、ときどき下の部屋から大声が聞こえたらどんな気持ちになるだろう、と想像します。あるいは介護者としてかずやさんのそばにいる時、大声を出し始めたらどんな気持ちになるか想像してみます。若い介護者の一人は、また二階に響いているのではないかとハラハラしながらもかずやさんの大声はなかなか止まらなくて、もう泣きたいくらいの気持ちだったと話してました。

 で、その大声に対し、二階の方から苦情が来ました。どうしたらこの問題が解決できるか、が授業、セミナーのテーマです。実際に大声を聞くことで、問題の深刻さをリアルに考えることができます。目の前のかずやさんを見ながら考えましょう。

 いいアイデアが出てくれば、実際にやってみます。もしそのことで少しでもいい方向に動いていけば、

「あっ、社会って、こうやって自分で変えていけるんだ」

っていう成功体験になります。若い人たちが社会に希望を持つことができます。

 

 

 

6月22日(火)、友達大作戦の打ち合わせをします。固く閉じてしまったドアを開けてもらうにはどうしたらいいかを考えます。大学の授業、セミナーの企画の話もします。

 zoomのオンライン参加もOKです。ぜひいろんなご意見お願いします。

2021年 6月 22日 (火) 午前10:30~ 午後12:00 

参加希望者はぷかぷか問い合わせ窓口から申し込んで下さい。URLとミィーティングID、パスコードをお送りします。

www.pukapuka.or.jp

 

想定外のことが起こり…

 6月8日(火)友達大作戦の打ち合わせがありました。

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 参加者は、かずやさんほか7名、マスコミの取材3名でした。

 内容はホームページのコンテンツなどの確認、早稲田大学での授業ができなくなった件など。

 

かずやさんちの看板ができました、という報告。絵はヨッシーです。

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早速かずやさんちのドアのそばに置きました。

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  このドアにかずやさんの似顔絵をパネルにして貼り付けます。どんな人がここに住んでいるのか、少しイメージできると思います。

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 この前を二階の人は毎日通ります。ほんの少し、気持ちが柔らかくなるかな、と期待しています。

 そうして今度の日曜日6月13日(日)に、いよいよあいさつ、謝罪にかずやさんと介護者が行きます。かずやさんがどんな人で、なぜここにいるかを簡単に説明します。「かずやしんぶん」もこの時渡します。 

 二階の方がかずやさんの顔を知り、どんな人かを知ること。それができれば、今回は最初の一歩達成!だと考えています。お互い顔を知れば、近所で会った時、あいさつができます…

 

 と、甘いストーリーを考えていたのですが、木曜日、想定外のことが起こり、先が見通せない状態になりました。

  発端は私の提案

高崎:「かずやしんぶん」を事前に二階の家のポストに入れておいたらどうでしょうか。読むかどうかわかりませんが、ひょっとして読んでくれれば、ラッキー!という感じです。住所を手書きで部屋番号まで入れておけば、下の部屋の人のことなんだということがすぐにわかります。

 10日木曜日、大坪さんはかずやさんと二人で行こうとしたようです。

大坪:一応今日、ポスティングを一矢さんと一緒にと試みましたが、本人やはり嫌だったらしく、大声を出されまくって挫折しました。日曜日本当に一緒に行けるのかなぁ…ちょっと気掛かりです。

高崎:そうでしたか。かずやさん、どうして嫌だったんでしょう。

大坪:やはり今日の一矢さんの反応を見て、もう少し慎重にやらないとマズいかなと思いました。 大きな声について介護者が二階に響くのではないかとハラハラしていて、本人も声を出さないように努力をしていると思いますが、それがなかなかできない。 その辺の葛藤、ストレスもかなりギリギリの所に今いると感じます。  そうした中で「謝罪」に行くというのは、本人にとって、かなりツライ経験である事は間違いないと思います。  先日の会議のように皆さんが一矢さんに好意的な場面であれば、様子を見て「一本橋」も出て来るけど、本人に部が悪い場面である事は肌身で感じ取っているのだと思います。  そこで本人が、納得して二階に行くという手続きを取るのはかなり難しい…本人にそれをどう伝えるか。 「障害」を、自己責任論で本人が克服しなければならない問題とするのではなく、環境や関係を変えて行く事で解決して行こうというのが、「社会モデル」の考え方だと思いますが、やはり今、そのギリギリの所が問われているのだと思います。  なので、とりあえず日曜日は、慎重に様子を見ながら二階に行くかどうかを判断したいと思います。

 

 二階にあいさつに行く時、かずやさんは大坪さんに素直についていくものとばかり思っていました。かずやさんの気持ちを丁寧に想像してなかった、ということです。

 《そうした中で「謝罪」に行くというのは、本人にとって、かなりツライ経験である事は間違いないと思います。 》

 という大坪さんの言葉で、かずやさんの気持ちに初めて気がつきました。情けない限りです。

 「大声に対する苦情」という問題を、《環境や関係を変えて行く事で解決して行こう》としたのですが、肝心なかずやさんの気持ちを取りこぼしていたのです。

 本人が納得して二階に行くという手続きを取るにはどうしたらいいのか、またまた難題を抱えることになりました。

 

 6月15日(火)の友達大作戦はその「どうしたらいいのか」を考える集まりになります。大学での自主セミナーの企画も。

 zoomのオンライン参加もOKです。ぜひいろんなご意見お願いします。

2021年 6月 15日 (火) 午前10:30~ 午後12:00 

参加希望者はぷかぷか問い合わせ窓口から申し込んで下さい。URLとミィーティングID、パスコードをお送りします。

www.pukapuka.or.jp

 

 

 早稲田大学でやる予定だった「友達大作戦」に関する授業は、外部講師の依頼は半期に一度だけ、という規則に引っかかって(担当教員がすでに一人申請していたので)不許可になりました。映画「道草」の続編の撮影も予定していたのですが、それも不許可。

 ちょっとがっかりしましたが、授業でなければいい、ということなので、自主的なセミナーみたいな形でやろうかなと考えています。会場は早稲田大学です。大学の枠も超えてたくさんの人に呼びかけ、友達大作戦を展開していこうと考えています。

 どういう言葉で呼びかければ学生さんたちが集まってくるのか思案中です。小難しい話ではなく、

「あっ、これ、なんだかおもしろそう」

って軽い気持ちで乗ってきてくれるような言葉を探しています。

 友達大作戦に、軽いノリで

「こうやったらおもしろいんじゃない」

という提案をしてもらい、その提案で

「あ、おもしろい、おもしろい」

と、人が動き始めるかも知れません。その動きの中で、かずやさんと様々な形で出会う人も増えます。

「かずやさんのような大声出すような人もいていいか」

っていう人が地域に増えれば、地域社会は受け入れる人の幅が増えることになります。

かずやさんの周りの小さな社会が、ほんの少し居心地がよくなります。みんなにとって居心地のいい社会が、こうやって実現するのです。

 「自分の手で社会が変えられる!」

若い人たちがこんな風に思える体験をすれば、社会に希望が持てるようになります。

 大学で若い学生さんたちを相手に「友達大作戦」の授業をやるのは、そんな思いがあるからです。今までにない新しい提案が出てくるかも知れないし、学生さんたちも変わります。

 重度障害者の自立生活は、社会を豊かに変えていくのだと思います。

 

 

 「友達大作戦」はこちら

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酢のいもの

ん? 酢のいもの? 

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一瞬、間があって、笑っちゃいました。そうか、これ、新商品なのね、

商品名を考えてくれたのは、みっちゃん。

 

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お客さんも喜んで買ってくれたそうです。こういう楽しさをお客さんも共有。

「共生社会を作ろう」なんて言葉よりも、「酢のいもの」の方が確実に社会を変えていくチカラがあります。だって、お客さんが一瞬で納得し、喜んで買ってくれたんだから。こういう人は社会に必要、いっしょに生きていった方がいい。いっしょに生きていくから、こんな楽しい商品が生まれる。

 昨日はこんな商品もありました。

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そういえば昔、「お弁当」と書くところに「御飲当弁」と書いてあって、感動したことがありました。みっちゃんて、センスがいい!

かずやさんが大学で授業やります。

 知り合いの大学の先生が「ボランティアとNPO・NGO」という授業をやっていて、先日の入管法改悪の動きと市民による阻止行動など、社会運動についていろいろ話をしているようです。

 その中で学生さんから、署名運動をいくらやっても社会はなかなか変わらない、といった社会に希望が持てないような感想がFacebookで紹介されていました。こりゃいかんなと思い、書き込みをしました。

「議論も大事ですが、まずは具体的に動いてみてはどうでしょうか。いろんなことが見えてくること間違いなしです。」
「抽象的な議論ではなく、具体的な問題に対し、どうしたらいいかをみんなで考え、それをとにかく実際にやってみる。たとえそれがうまくいかなくても、抽象的な議論よりははるかに収穫があるはず。」
 この書き込みがきっかけで実際に大学で授業をやることになりました。かずやさんも参加し、友達大作戦をテーマにした授業をします。
 
 かずやさんは昨年夏、施設を出て、アパートで自立生活を始めました。かずやさんはときどき大声を出します。二階に住んでいる方から、その大声に対して苦情が来ました。
 介護者を派遣している事業所の方でとりあえず謝ったそうですが、かずやさんは
「大声を出さないで下さい」
といっても、
「はい、わかりました」
と聞いてくれる人ではありません。これからも大声を出します。
 ならば大声と共存する方法を考えないと、この先、お互いが辛いことになります。そこでスタートしたのが「友達大作戦」。要は、ただ謝るだけでなく、
「友達になっちゃおう」
というわけです。
 大声が聞こえて、
「うるさい!」
と怒鳴り込むのではなく、
「ったくしょーがねーなー」
とブツブツ言いながらも、なんとかそこで踏みとどまれる関係。
 街で会えば
「よう、元気?」
って声をかけられるような関係。
 「かずやんちカフェ」を開く時は、一緒においしいコーヒー飲みながら、いろんな話ができる関係。
 餅つきをやる時は、かずやさんと一緒に餅つきを楽しんだりする関係。
 そんな関係になるにはどうしたらいいかを考えるのが「友達大作戦」。
 
 授業では実際にかずやさんの大声を聞いてもらい、どうしたらいいかを学生さんに考えてもらいます。そこで出てきたアイデアは、実際に現場で試してみます。うまくいくかどうかはやってみないとわかりません。
 この「実際に現場で試す」というところが大事です。あーだこーだ言うだけで終わらないところが今回の授業。ほんの思いつきのアイデアであっても、それがおもしろいものであれば社会は反応します。
「自分の手で、社会が変えられるんだ」
って、そんなことに気づくかも知れません。
 その気づきは、これから長い人生を生きていく上で大きな自信になります。社会に希望が持てます。若い人たちが社会に希望が持てるって、なんかすごいじゃないですか。
 
 「友達大作戦」の対象は二階の人だけでなく、地域社会全体の人です。地域の人たちみんなといい関係を作ること、それが地域に暮らすことの意味だと思います。
 街を歩くと、
「こんにちは」「元気?」
って、いろんな人から声をかけられる関係があることは、とても大事なことです。こういった関係がお互いを豊かにします。重度障害者の自立生活が地域社会を豊かにしていくのです。
 
 問題は授業の時にかずやさんが大声を出してくれるかどうかわからない、ということです。先日もかずやさんの陶芸教室をテレビが取材に来たのですが、その日はかずやさん陶芸に全く乗ってこなくて、本当に困りました。そういうことが十分に予想されるのです。なので、アパートで大声出した時に映像で記録していただいて、一応それを持っていく予定でいます。
 いずれにしても、そういうかずやさんのわからなさと、頭抱えながらつきあっていくところにこそ、かずやさんとのおつきあいの奥深さというか、面白さがあるような気がします。
 
 6月14日(月)早稲田大学で授業をやります。どうなりますか。また報告します。
 
 機嫌がいいと下の写真のような感じですが、授業の日、こんな顔をしてくれるかどうかは全くわかりません。そのわからなさの中での授業です。

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友達大作戦はこちら

街には、そこにいる人たちの物語がある

増築を繰り返す例の違法建築、よく見ると小さな街には小さな物語がたくさんちりばめられていることに気がつきました。

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       ここにどんな物語があるのか想像してみて下さい。

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 こういう物語があるから、違法建築がどんどん膨らんでいくのですね。

 当たり前のことですが、街には、そこにいる人たちの物語がある。だからこの違法建築が生き生きとしているのだと思いました。

 

 にしても、ヨッシーの想像力のすごさ、とても追いつけません。にもかかわらず、彼らを「支援」するという関係があちこちで幅をきかせています。そんな中にあって、たまたま今日、当事者のFacebookにこんな言葉がありました。

 

「僕が何故就労継続支援を打ち切って僧侶になるって決めたのか、今の就労支援の在り方が、支援してやっているんだからとか就職させてやったんだからって言う態度が、その態度が支援してる側が、失礼じゃないですか?だから就労は、諦めて優しいお坊さんになろうと決めました。」

 

 優しいお坊さんになるなんて、素敵じゃないですか。

 私たちが追いつけないところで、彼らは自分の人生をしっかり生きている気がします。

よってけ かずやんち

 友達大作戦の打ち合わせをやりました。参加したのは一矢さん、介護者3人、応援団2人の計5名。Eテレが取材していました。

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 かずやしんぶんの版下をオオツボさんに渡しました。近々地域配布分、7月31日のぷかぷか上映会配布分併せて300〜400部印刷します。

 そのしんぶんを持ってなるべく早い時期にかずやさんと一緒に大声の迷惑をかけている二階の方に、あいさつ、謝罪に行きます。色々準備して行っても、会いたくないと拒否される可能性もあるので、油断は禁物。なんかドキドキします。でも、たとえうまくいかなくても、そこで撤退してしまうのではなく、なんとか大声と共存できるうまい方法をしつこく、楽しく模索します。

 かずやクッキーは同じアパートの住人4人に配る予定で、注文しましたので、来週にはあいさつ、謝罪に行きます。花の植わった植木鉢、コーヒーカップも持っていきます。さて、どうなりますか。

 

 かずやんちの看板を玄関のドアに飾ろうと思っています。

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 写真を見ると、二階の方はいつもかずやさんちのドアの前を通るようです。ならばそこに「かずやんち」と書いたほっこりあたたかな気持ちになるような絵が掛かっていれば、気持ちが和みます。たとえばこんな絵。「かずやんち」の文字はもちろんぷかぷかさん。暖簾もいいんじゃない、という意見もあります。

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 ホームページを作ります。まだ正式ではありませんが、「よってけ かずやんち」みたいなタイトルはどうかなと思っています。「かずやんち」に寄り道してみたら、思ってもみないものがいっぱい詰まっていて、なんだかトクした気分になったり、心がちょっと豊かになったり、そんなイメージです。

 コンテンツは「かずやさんのプロフィール」「介護者の日記」「かずやさんの日々」「お知らせ」などですが、そのままのタイトルではおもしろくないので、ちょっと覗いてみようかなって思うようなタイトルをこれからみんなで考えます。何かいいアイデアがありましたらメールでお知らせ下さい。

 「かずやんてどんな人」と書いたこんなアイコンをクリックすると、

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Q&Aの形式でかずやさんがどんな人かわかるようになっているとか…

 

「○○ぼちぼち日記」と書いたアイコンをクリックすると、

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介護している人の日々の様々な気づきを書き込んだ日記が出てきます。かずやさんのそばにいるとくつろげる、というオオツボさんの「くつろぐコツのヒミツ」もシリーズで書いていただく予定です。若いカワタさんは、初めて介護に入った日は、おばあちゃんちに遊びに行った時のようなゆるっとした時間を過ごしたそうで、そのあたりの話も書いてもらう予定です。かずやさんの周りにゆるっとした空気が流れているのはどうしてなんでしょうね。そういうことにホームページ見た人が気がついて

「そっかー、今度遊びに行ってみようかな」

って思ってくれれば、ホームページは大成功。

 

 「かずやんのまったりの日々」と書いたアイコンをクリックすると、

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 今日はこんなことしました、こんなもの食べました、ソファーでぼーっとして過ごしました、というかずやさんのまったりした日々の記録が出てきます。 

 

 ま、こんな感じの楽しいホームページができるといいなと思っています。

 ホームページを担当する方も会議に出ていましたので、多分近いうちにでき上がると思います。

 

 午後、かずやさんの陶芸教室やりました。全く乗ってこなくて困りました。かずやさんの目を見て下さい。「こいつ、うるせーな」みたいな目です。

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    お皿を作る時だけ、ちょっとやりました。       

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 でも、最後に笑顔

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 Eテレが取材していたのですが、陶芸をやっている絵はほとんどとれなかったようです。ま、こんなもんですね。

 予定していたことが予定どおりに行かなかったり、かずやさんが何を考えてるのかさっぱりわからなかったりでしたが、だからこそかずやさんとのつきあいは奥が深くておもしろいのだと思います。いつも私たちが試されているというか…

 

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打ちひしがれることもあるけどさ、また花を見たら、やっぱり水をあげよう、頑張ろうって思っちゃうわけ

 先日ぷかぷかに取材に来たEテレのディレクター坂川さんの書かれた本。

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 あゆちゃんは坂川さんの妹。やまゆり園事件の犯人が発した

「障害者は不幸を作ることしかできません」

という言葉に猛烈な怒りを覚え、あゆちゃんの介護をしながら家族にカメラを向けたセルフドキュメンタリー「亜由未が教えてくれたこと」を作ることになったという。

 あゆちゃんを前にした坂川さんの介護の悪戦苦闘ぶりがすごくいい。重度の身体障害者とあまりおつきあいのない私のような人間にとっては、変な話ですが、この悪戦苦闘ぶりに、なんだかちょっとほっとしたりしたのでした。

 私が養護学校の教員になって、初めて接する重度の知的障害の子どもたちを相手に悪戦苦闘したときのことを思い出しました。その悪戦苦闘があったからこそ、坂川さんもあゆちゃんと、そして家族とあらためて出会えたのだと思います。この本はその記録。そして何よりもあゆちゃんがいることによる家族の幸せが見えます。

 

 お母さんの言葉がすごくいい。

「亜由未が花だとするでしょ。私はその花を愛しているのよ。その花を守るためには、たとえば暴風雨の日にでも外に出て、倒れていないか気にかけてやらなくてはいけない。日照りが続けば遠い川から水を汲んできて、あげたりとかね。もちろん手間はかかるよ。辛い時は多少げんなりするすることがあるかも知れない。人はその姿を見て、私のことを『不幸そうだ』と思うかも知れないけどさ、それは花のせいじゃないよね。つまり亜由未のせいじゃない」

「私は亜由未に咲いていて欲しいのよ。ずっと。亜由未を咲かせるためには、何度でも遠くの川まで歩いて水をくみに行ったり、悪天候でも体を張って守ったりしたくなるの。たとえその姿が“大変でかわいそう”に見えようと、私は花を守れたらそれでいい。嵐のあとに、お日様の光に照らされて咲いている花を見ることが、無上の喜びというか、何ものにも代えがたいのよ。亜由未といっしょにいることで見えたこと、出会えたことがいっぱいある。もちろんいいことばかりじゃないけどね。辛いこと、嫌なことも人生を豊かにしてくれた。何もない平板な人生じゃなくてね。山あり谷ありで楽しかった。それを見せてくれたのは亜由未なんだよ。打ちひしがれることもあるけどさ、また花を見たら、やっぱり水をあげよう、頑張ろうって思っちゃうわけ。花を見るだけでいいの。花はそんなつもりもなく、ただ咲いている。それを見て勝手にこっちが幸せになっちゃう。必死でやる分、そこで穏やかに咲いている花を見るのが本当にうれしいんだよ」

 

 なんて深い言葉なんだろう。障がいのある人と生きるって、こういうことなんだと思う。

 ぷかぷかは「障がいのある人たちは社会を耕し、豊かにする存在」という風に言っていますが、お母さんの言葉を見ていると、あらためてそう思う。あゆちゃんに耕され、豊かになったんだと。

 多分悪戦苦闘の人生だったのだと思います。でも、それ故にこそ生まれたこの豊かさ。深い言葉。そして幸せ。

 

 共生社会を作ろう、だの、ともに生きる社会を作ろう、だのの言葉がどこか胡散臭い理由が、お母さんの言葉にふれて、あらためてわかりました。

 そして「支援」という上から目線の関係が、豊かさを生まない理由もよくわかりました。

「障害者は不幸を作ることしかできません」

は、事件の犯人が日々相手にしていた重度障害者といかに薄っぺらな関係しか作っていなかったかがよくわかる言葉だとあらためて思いました。

 

 明日からぷかぷかさんとの日々が、更に輝くような気がしました。坂川さん、いい本をありがとう!

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