ぷかぷか日記

「できないこと」に人間の本質がある。

11月1日朝日新聞の社説余滴「助けなしでは生きていけぬ」はなかなかおもしろい話でした。

 

《…もし人工知能(AI)等の進化によってやることがなくなったら、人間はどうやって尊厳を保つのか。京都大学の出口さんはそんな問いを立てて、こう考えている。

 人間を「できること」(機能)の束ととらえると、自動化の進展につれて人間のかけがえのなさは失われてしまう。むしろ人間の本質は「できないこと」にあり、ひとりでは何もできないのが人間なんだととらえ直してはどうだろう、と。…》

 

 なるほど、と思いました。

《「できないこと」に人間の本質がある。》

 深い言葉ですね。

 「できること」を追いかけていくと、どこかでAIに追いつかれ、人間であることの意味が見えなくなります。だから「できないこと」にこそ、人間の本質がある、と。

 

   障がいのある人のまわりには人が集まってきます。その真ん中に「できないこと」があります。困っている人がいれば、人は助けたくなります。それが人のいいところです。人のいいところが出る。だから、誰かを助けることで、人は人になれるのだと思います。誰かを助けることで、自分も、実は助けられる。双方向の関係です。「できないこと」のまわりに集まった人たちがこんなふうにして豊かになります。だから障がいのある人たちは社会に必要なんだと思います。大事なことはそこで生まれる関係が、助け、助けられる、という双方向であること。

 昔、養護学校の教員になって最初に受け持ったのは重度障害の子どもたちでした。一人で食事ができない、着替えができない、うんこの始末もできない、と「できないこと」だらけでした。助けることばかりでしたが、でも、彼らと毎日つきあっていると、人間のあたたかさを感じ、ずっとそばにいたいと思うようになりました。それまでふつうの会社勤めだった私にとっては新鮮な発見でした。人間を思い出した、という感じです。月並みですが「人間ていいな」ってしみじみ思いました。

 彼らを助けることで、私自身が助けられたのです。人間を取り戻した、というか、そんな感じです。

 

 ぷかぷかはいろんなことが「できない」と言われている人たち=ぷかぷかさんたちに助けられています。彼らの助けなしにはぷかぷかはやっていけないのです。私たちに「できない」ことを彼らはやってくれるから。

 こんな素敵な絵は、私たちには描けません。

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  こんな絵を描ける人たちと描けない人たちが集まって「ぷかぷか」をやっているのです。お互い「できないこと」を助けあっているのが、ぷかぷかです。みんなを幸せにするような物語をたくさん生み出したのも、ここにその理由があるような気がします。

 

 「できないこと」に人間の本質がある。深い言葉だとしみじみ思います。

 

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 「できないこと」にどう向き合うのか。それによって、やまゆり園では悲惨な事件を生み、ぷかぷかではみんながハッピーになるようなものをたくさん生み出しました。向き合い方一つで、こんなにもちがうものが生まれます。上の写真、別れでこんな涙を流せるのはハッピーそのものです。

 11月14日(土)の上映会では、こんな話もしていきたいと思っています。

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私たちの手の届くところで何ができるのか

  11月29日(日)橋本駅前の会議室で、やまゆり園事件について考える集まりがあります。毎日新聞で「やまゆり園事件は終わったのか」と挑戦的なタイトルで記事を書き続けている上東さんがお話をします。

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  あーだこーだの話し合いで終わるのではなく、具体的に何をすればいいのか、が提案できるような集まりになるといいなと思います。私たちの手の届くところで何ができるのか、ということです。そこをやっていかない限り、事件を超える社会はいつまでたっても実現しません。

 

 11月14日(土)新横浜駅横浜ラポールでの上映会は、映画を手がかりに事件を超えるための戦略を考えるような集まりです。ロビーではでんぱたで採れた新米を使ったおにぎりも販売しています。そのおにぎり食べて、しっかりと戦略を立てましょう。米つきチケットもあります。

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「楽しい!」と言って、こんないい顔

やまゆり園事件で重傷を負い、この9月からやまゆり園を出て自立生活を始めた尾野一矢さんがマイカップとソーサーを作りに来ました。粘土はほとんどさわったことがない感じで、介護の人に手伝ってもらいながらなんとか形を作りました。

 ウォーミングアップでお地蔵さんを作りました。

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一矢さんがヘラで目をあけると、味のあるお地蔵さんができました。

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 マイカップを作るところは残念ながら写真が撮れなくて、気がついたら形ができあがっていました。ちょっとうまくできすぎた感じなので、次回はもう少し味のあるマイカップを目指して一矢さん自身に作ってもらおうと思っています。

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 このあとソーサーを作りました。マイカップやソーサーは自立生活に彩りを添えます。朝、飲むお茶がおいしくなります。

 次回は自立生活に使うお皿や鉢も作ってもらおうと思っています。お皿や鉢には絵付けもします。花を飾る花瓶や一輪挿しも作ってもらう予定です。一矢さんがくつろぐ部屋に、一輪の花があると、それだけで一矢さんの自立生活がちょっと華やぎます。そういったお手伝いをぷかぷかはやります。

 

 一矢さんの似顔絵をぷかぷかさんたちが描きました。すごく楽しい似顔絵です。

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顔を少しアップにしたもの

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顔を少しアップ

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お父さん、お母さん、一矢さん、介護の人で、絵と文字のデザインを選びました。

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そうやって決まったのがこの2種類。マスコミなどの取材が多いので、2種類200枚を注文。

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似顔絵Tシャツもできました。肩書き、名前も入ります。

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似顔絵作者のアヤさんがTシャツの絵の説明

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 自立生活を応援する人たちはこれを着て街を歩くと楽しいですね。「みんなで楽しく自立生活始めようぜ」なんていいながら。

 

 一矢さん、ぷかぷかがとっても楽しかったようで、帰りがけ、「楽しい!」と言って、こんないい顔しました。

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  前回来た時は緊張してか、ご飯も食べられなかったのですが、今回は陶芸をやったり、ご飯食べたり、できあがった似顔絵Tシャツ着たり、名刺を注文したり、何よりもぷかぷかの楽しい雰囲気をいっぱい感じ取って「楽しい!」って言ってくれたのだと思います。

 マイカップ、ソーサーの素焼きができあがったら絵付けに来てもらう予定です。こうやって世界がどんどん広がるといいなと思います。

 

 11月14日(土)の上映会にも来る予定です。名刺を持っていきますので、名刺交換する人はぜひおいで下さい。Tシャツも着ていきます。ひょっとしたら販売もするかも。

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ぷかぷかさんの発想は、自分には思いつかないことばかりで刺激的でした。

 先日、創英の学生さんたちとぷかぷかさんで簡単な演劇ワークショップをやりました。表現活動を通しての出会いです。笑い顔を少しずつ膨らませて次の人に送ったり、デライラというすっごい美人になってみたり、ムンクの叫びをやってみたり、ある朝、平野先生が大学の門のところでムンクの叫びをやっていました、どうしたんでしょう、というお話をグループで四コマ漫画のような感じでまとめたり、といったことをやりました。表現というのはそれぞれが出てすごく楽しい時間でした。

 

 「ムンクの叫び」

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 この顔をやりました。

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 普段、こんな顔はできません。でも、演劇ワークショップの場では、こんな顔もできてしまうのです。それが、「自由になる」ということです。そして「自由になる」中で、いつもとちがう出会いがあります。それが今回の演劇ワークショップで目指したものでした。その結果、こんな素敵な感想が出てきました。

 

・ぷかぷかさんの発想は、想像の斜め上をゆくくらい豊かで、私では考えつかない内容を思いつくので、こんな考えもあるんだと驚きました。すごく楽しかったです。

・一人で作るのではなく、4,5人で物語を作るというのは難しかったですが、様々な考えや発想があって驚くばかりでした。

・どんなことにもキラキラ笑顔。

・すべての人を笑顔にできる力を持っていて、とってもあったかい空間に癒やされました。

 

 泣きの顔を送る

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・ぷかぷかさんの発想力はすごいなと思いました。自分には思いつかないことばかりで刺激的でした。ぷかぷかさんの思いついたことに意見を加えたりして、一緒に劇を作りました。自分の意見や気持ちをしっかり持っていて、なかなか曲げなかったため、どのように意見をまとめたらよいか、難しかったです。

・ぷかぷかさんと関わると、自然と笑顔になれて、すごいなと思いました。終始明るい雰囲気で授業をすることができて、これがぷかぷかさんの力なのだと思いました。

・一つの活動をいっしょにやることで、みんな笑顔になれる。表現力豊かなぷかぷかさん。

 

デライラというすっごい美人をやってみる

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・とても楽しい時間を過ごせました。表現力がすごくて驚きました。じゃんけんゲームの「サムソンとデライラ」の時は「これをこう!」と言ってみんなに教えてくれたり、グループで3連勝することができてうれしかったです。

・物語作りでは、文にあわせた顔のマークを描いてくれたり、漢字を見ながら用紙に書いてくれたり、ポーズを一緒に考えてくれたり、楽しい時間でした。

・ぷかぷかのみなさんと楽しい物語作り。ニコニコマーク、悲しいマークを描いてくれて、ニコニコ、泣き泣きの表現がたくさんのムンクストーリーの完成。とっても楽しい表現の時間が過ごせました。

 

モナリザをやってみる

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・一緒に体を動かして、前回(すごろくワークショップ)よりも距離が縮まったように感じた。発想力がとても豊かで、学ぶことがたくさんあると思った。この社会には、障がいのある人は重要で、人の考えを変える力があると思った。こんな考えや、こんな表現があるんだと学ぶことができて、本当によい経験ができたと思う。

・表現力、発想力が豊かなぷかぷかさん

 いっしょにいるだけで心がぽかぽか

 笑顔がいっぱいあふれる空間

・距離感の縮め方が上手で、会うのは2回目なのに、こんなに素直に感情を表現してくれたり、ハグしてくれたり、とてもうれしかったです。

・距離感の縮め方がナチュラルで、超上級者。

 

 ぷかぷかさんは物語の絵をどんどん描いていき、発想の豊かさにちょっとびっくり。学生さんたちはちょっと手が出ない。

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 ここをこうすればいいんだよ、とアドバイス。学生さんはタジタジ。

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 芝居もぷかぷかさんが仕切る。すっごく楽しい!

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 わずか30分くらいで、こんなにいい出会いがありました。ぷかぷかさんたちの持っているチカラに学生さんたち、ちょっと驚いたようでした。フラットに向き合う、というのはこういうことです。

 「何かやってあげる」とか、「できないことをできるようにしてあげる」とかではなく、「一緒に何かをする」「一緒に何かを作り出す」という関係の中で、いろんな新しい気づきが生まれます。学生さんたちの感想を見ればそれがよくわかります。

 こういった気づきは、彼らとの関係の中で豊かなものを生み出します。 

 感想に「ぷかぷかさんの発想力はすごいなと思いました。自分には思いつかないことばかりで刺激的でした」というのがありましたが、だからこそ、彼らと一緒に何かをすると、そこから生まれるものは、私達の想像を超える面白いものです。それは今までにない新しい価値といっていいと思います。新しい価値は社会を豊かにします。

 この「社会が豊かになる」ということ、それが彼らと一緒に生きる意味です。

 

 11月14日(土)の上映会には学生さんたちも参加します。授業の中での気づきも発表してもらおうと思っています。学生さんたちの気づきこそが事件を超え、社会を豊かにしていくものだと思います。

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実際に会って、ぷかぷかさんのこと、いっぱいわかった気がする。

10月15日、創英大学でぷかぷかさんと学生さんですごろくワークショップ。

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 サイコロを転がして、目の数だけ進み、そこの問いにひとりひとりが答えるだけで、自然に笑顔が生まれ、関係ができていきます。

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 すごろくワークショップを40分くらいやって、その時の気づきを5行くらいの詩に書き、発表してもらいました。ごちゃごちゃ書くのではなく、5行くらいの詩にまとめるところがポイントです。自分の内面に集中できます。

 みんなの前で発表してもらったのは、それぞれの気づきをみんなで共有したかったからです。人の気づきを聞くことで、気づきの幅が広がります。

 それぞれのぷかぷかさんとの新鮮な出会いが感じられました。授業後に書いてもらった感想と併せて学生さんたちの素敵な言葉たちを紹介します。

 

・素直なキモチは伝えづらいけど、スラスラ言えるって 素晴らしいな。

・映像(前回の授業で『Secret of Pukapuka』と共生社会をテーマにしたEテレの映像を見た)だけだとわからなかったことが、実際に会って、ぷかぷかさんのこと、いっぱいわかった気がする。

・いっぱいいっぱい笑えたよ。

・質問の中で自分の性格や家族について思うことなど、答えることが難しかったり、恥ずかしいなと思ってしまうことも、はっきり、しっかり教えてくれた。カッコいい。

・目を見て話しを聞いてくれて、とてもうれしい気持ち。

・自分自身を強く持っていてかっこいい。

・じぶんの好きなこと、好きなものを笑顔いっぱいで話してくれて、キラキラしていて

 素敵。

・映像だけではなく 、実際に会って話してみると、やさしさなどの気持ちの面だけででなく、笑顔などの姿を見ることができて、すごい学び。

・自分の得意なことや好きなことなど笑顔で話してくれて、こっちまで笑顔に。

・新しい出会い 新しいつながり 一つの空間に明るい風が吹いてきた

 ぷかぷかの人の不思議な力 いつの間にか明るい気持ちになっていた。

・自分自身をわかっているのもすごいし、かっこよかった。

 

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・どの話も聞いていてわくわく、どきどき。

・素敵な笑顔と優しさでもっとたくさん話していたいな。人柄に惚れます。来週も話せると思うととても楽しみ。

・話を聞いていると自然と笑いが出て、みんな笑顔になっている。

 ・手作りの心のこもったすごろく

・サイコロコロコロ 心はドキドキ

・いつの間にか 会話も心もはずんでる。

・お話し上手な利用者さんや、一生懸命話しているところ、楽しそうに話す姿を見て もっと知りたくなりました。

・一生懸命話してくれたり、友達の分をフォローして伝えてくれたり、本当の話か、妄想の話かわからないけど、おもしろい話を聞かせてくれて、想像力も豊かになれた気がしました。

・たくさんの笑顔を見ることができて、とても心があたたかくなった。

・初めてちゃんと関わってみて、知らなかった面を見ることができて、とてもうれしかった。

・自分のことを一生懸命話す姿や、楽しそうに話す姿を見て、聞いている側も笑顔になれた。

 

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・すごろくが終わったあとには、何人も寄ってきてくれて、いろいろな話をしてくれて、とてもうれしかった。

・好きな歌のグループが同じでびっくり。グループの中でも好きな人が一緒でうれしかった。

・初めてで恥ずかしがっている友達のことも教えてくれるやさしさを見ることができました。

・ロサンゼルスにダンスをしに行ったこと、ブラックコーヒーが飲め、楽しい休日を過ごしていること、鹿児島県に行ってみたいことなど、ひとりひとりとたくさんお話ができて、とてもよい経験ができました。

・話してみると、すごく気さくで、お話し上手で聞き上手

・いっしょにいると自然に笑顔になるようなパワーを持った人たち。

・自分の話をたくさんしてくれて、性格が少しおっちょこちょいだったり、好きなアーティストの話をしたり、少しずつぷかぷかさんの魅力がわかってきました。

・ひとりひとり、思い考え異なり 人の個性ができあがる。

 みんなちがってみんないい とはこういうことだろうか。

・私たちに一生懸命自分の気持ちを伝えようとする姿に心動かされた。

・楽しかったこと、悲しかったこと、自分の思い出を話するのが楽しそう。話を聞いて応答することでまたまたどんどん話ができて止まらない。

 

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 たかがすごろくのゲーム。でも、そのすごろくを通してのぷかぷかさんたちとの出会いが学生さんたちからこんなにも豊かな言葉を紡ぎ出します。そしてこの言葉たちこそが、障がいのある人たちといっしょに生きていく居心地のいい社会を作っていくのだと思います。

 やまゆり園事件を超える、などというと、すごく大変なイメージがありますが、すごろくワークショップをやって、楽しい時間を一緒に過ごすだけで、事件を超える関係ができるのです。感想の中に「たくさんの笑顔を見ることができて、とても心があたたかくなった。」というのがあります。ぷかぷかさんたちの笑顔を見て、ただそれだけでとても心があたたかくなった、というのです。なんて素敵な関係だろうと思います。

 やまゆり園で、障がいのある人たちとこんな関係ができていれば、事件は起きませんでした。どうしてそんな関係がなかったのだろうと思います。

 

 11月14日(土)横浜ラポールで、映画を手がかりにやまゆり園事件を超える社会を作って行くにはどうしたらいいのかの話し合いをします。創英の学生さんたちからぷかぷかさんたちとの出会いの話も聞きます。彼らとはやっぱり出会った方がトク!です。おつきあいした方がトク!です。トクすることが事件を超えることです。トクして事件を超えるなんて、なんだか一石二鳥。こりゃもう上映会に来るしかないです。

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こういう言葉が少しずつ社会を変えていく

 毎日新聞の上東さん、頑張ってまたやまゆり園事件を問う連載記事を始めました。

mainichi.jp

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 書いても書いてもやまゆり園自体は何も変わらなくて、読んでてむなしくなります。それでもあえて書き続ける上東さん、尊敬します。

 ほかの新聞社がやらない中では、書き続けること自体に素晴らしい意味があり、価値があります。

 裁判が終わってしまい、何もしなければ、事件はどんどん忘れられていきます。そういった中でのこの連載記事は、多分歴史に残るほどの価値ある記事になると思います。

 福祉の現場にいる者として、やまゆり園事件に関するメッセージを発信し続けねば、とあらためて思いました。

 事件を問うことは、社会のありよう、私たちひとりひとりのありようを問うことでもあります。障がいのある人たちと、この社会の中でどんな風につきあっていくのか、どんな風にいっしょに生きていくのか、と問い続けること、それが「障害者はいない方がいい」「障害者は不幸しか生まない」というメッセージを発信した事件を超えることだと思います。

 事件を問うだけでなく、事件をどうやって超えていくのか、を実際にやってみること。考えるだけ、あーだこーだ言うだけでは社会はちっとも変わりません。大事なことは、やまゆり園事件を引き起こすような社会を本気で変えることを実際にやってみることです。

 

 つい三日ほど前、ぷかぷかの近くにある創英大学でぷかぷかさんと一緒にすごろくワークショップを通して新しい出会いを作る授業をやってきました。サイコロを転がしてすごろくゲームをやり、お互いのことを知る授業です。

 すごろくには「旅行に行きたいのはどこ?」「自分てどんな人?」「好きな歌手は誰?」といった問いがあり、それにひとりひとりが答えていくます。たったそれだけのことなのに、普段障がいのある人たちとのおつきあいのない学生さんたちにとってはとても新鮮な体験だったようです。

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 その時に出てきた学生さんの気づきのひとつがこれ。

 

   新しい出会い 新しいつながり

   一つの空間に明るい風が吹いてきた。

   ぷかぷかの人の不思議な力

   いつの間にか明るい気持ちになっていた。

 

 ぷかぷかさんと一緒にちょっと動けば、こんな素敵な言葉が学生さんから出てくるのです。こういう言葉が少しずつ社会を変えていくのだと思います。

 私たちがとにかく社会に出て行き、ちょっとアクション起こせば、こういった反応が出てきます。そういうことをやるのかどうかだけです。やらなければ、社会は変わりません。

 福祉事業所には魅力ある方がたくさんいます。そういう人は社会に出していかないともったいないです。

 

 11月14日(土)、横浜ラポールで映画を手がかりに事件を考える集まりをやります。でんぱたで先日稲刈りをしたのですが、そのお米を使ったおにぎりが出ます。これはもう来ないとソン!です。創英大学の学生さんも参加します。ぷかぷかさんとの出会いの話もしてもらう予定です。

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いっしょにいたいなぁって思うこと

11月14日(土)横浜ラポールで映画を手がかりに、やまゆり園事件をどうやって超えていけばいいのかを考える集まりをやります。と書くと、なんだか重い雰囲気の集まりを想像してしまうのですが、チラシにもあるように、

 《 いつもの月夜に 米の飯 みんなで一緒に こめまつり 》

なんて、でんぱたで採れたお米の握り飯ほおばって、ま、楽しく行きましょう。

 考える手がかりになる映画として、第6期演劇ワークショップ記録映画『どんぐりと山猫ーぷかぷか版』を上映します。演劇ワークショップの記録映画はぷかぷかさんと地域の人たちが一緒になって6ヶ月かけて芝居作りをした記録です。それを1時間程度の映像にまとめています。

 障がいのある人たちに「こうしなさい、ああしなさい」といろいろ教えながら作った芝居ではなく、彼らに支えられながら芝居を作った記録です。彼らがいることで、ワークショップの場が、とても楽しく、自由になります。彼らに助けられているのです。そういう場で、とんでもなくおもしろい芝居ができあがります。

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 彼らがいるからこそ、こんなにも楽しい、ダイナミックな舞台ができます。

 事件の時、社会にばらまかれた「障害者はいない方がいい」とか「障害者は不幸しか生まない」といった言葉を、あーだこーだ理屈を言わずに、ひょいと乗り越えてしまう舞台です。それって、すごいことじゃないかと思うのです。これが彼らがいっしょにいることで生まれるチカラです。ひょいと乗り越えてしまうチカラ。

 

 事件を乗り越える、障がいのある人たちを排除しない社会を作る、というのは、こんな風に障がいのある人たちと一緒に楽しいことをやり、新しいものを創り出し、彼らといっしょにいたいなぁって思うことです。彼らを社会から排除するなんて、もったいないことです。社会の損失です。

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稲刈りをやって、幸せな気持ちをたくさんもらえた。

今日の田畑の稲刈りのお手伝いをしていただいた地域の方のFacebookにうれしい感想が載っていました。
 
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今日は、でんぱたさんの稲刈り❗️
メンバーさんにも
田植え以来お顔合わせ🤗
彼らと居ると
自然と笑顔になれる😊
障がい者は、必要ないとか
やまゆり園の事件の
当事者は、言うが…
必要であると、一緒に
稲刈りの作業をしていて
感じた✨
だって、幸せな気持ち
たくさんたくさん貰えた
もの🥰
ひた向きに作業に取り組み
自然の中で、キラキラした
顔をされてた
でんぱたメンバーさんに
金メダル🥇💕
一緒に居ると(生きて行くと)
幸せになれるよ💕

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●●●
 
 「稲刈りをしながら、幸せな気持ちをたくさんもらえた。」
 
 うれしいですね。こんな言葉をもらえて。
 何か特別なことをやったわけではありません。いつものようにぷかぷかさんたちと一緒に仕事をやってただけです。
 
 「彼らといて、幸せな気持ちをたくさんもらえた。」
 
 障がいのある人たちを排除しがちな社会にあって、この言葉は、本当に光っています。
 やはりそこにあった彼らとの関係性の問題だろうと思います。ぷかぷかがこの10年、ずっとやってきた「いっしょに生きていく」という関係。「いい一日だったね」ってお互い言える関係。
 
「いっしょにいると(生きていくと)、幸せになれる」
 
そんな言葉が地域の人から生まれてきたのです。ここから社会が変わっていきます。

でんぱた  稲刈りをしました。

でんぱたの稲刈りがありました。6月に田植えをしたのですが、わずか4ヶ月で収穫です。

www.pukapuka.or.jp

 あの時に植えた苗がこんなに育っています。

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 これを鎌で刈るのかと思っていたら機械で刈るので、ぷかぷかさんたちの仕事は刈り取られた稲の束をはさにかけます。

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 地域の方も何人かお手伝いにきていただき、稲刈りを楽しみました。こういうおつきあいを続けていこうと思っています。

 2週間ほど天日干ししたあと、脱穀、精米して11月14日(土)横浜ラポールのシアター前のホワイエで11時半からの「こめまつり」で販売します。

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午後1時からは上映会とトークイベントです。

www.pukapuka.or.jp

重度障害の人たちといっしょに生きる

先日ぷかぷかに遊びに来た尾野一矢さんの介護の方からの情報です。ぜひ録画予約しておいて下さい。 

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 NHK Eテレ 「ハートネットTV」で《特集・相模原事件から4年 ”施設”vs”地域”を超えて》というのがあります。

●10/6(火) 第1回 “パーソナル”な暮らしをつくる

●10/7(水) 第2回 ”ともに暮らす”は実現できるか

いずれも午後8時~8時29分 

※第1回はドキュメンタリー。事件被害者の一人・尾野一矢さんが津久井やまゆり園を退所し、アパートでの一人暮らしに移行する様子を中心に、日本の障害者福祉の歴史・制度、専門家の話なども交えながら、重い障害のある人たちの「暮らしの選択肢」全般について考える。

※第2回はスタジオ生放送。第1回の内容の一部を振り返りながら、視聴者からの感想、重い障害のある人の家族・支援者からのご意見・体験談なども紹介しつつ、識者や障害当事者がスタジオでトーク。【ゲスト】宍戸大裕(映画監督)海老原宏美(自立生活センター東大和 理事長)荒井裕樹(二松学舎大学専任講師)

ご意見は以下で募集中

https://www.nhk.or.jp/heart-net/new-voice/32/

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 サイトに寄せられた意見を見ると重度障害の人たちの置かれた状況の厳しさがびりびりと伝わってきます。この厳しい状況を変えるには行政などへの働きかけも必要ですが、私たち自身の発想を大胆に変えることも必要な気がします。

 重度障害の人たちに限らず、障がいのある人たちには「何かやってあげる」という

関係が多いのですが、そういう発想で考えている限り、彼ら自身が社会の中で活躍する、大事な役割を果たす、といったことはなかなかないのではないかと思います。

 ぷかぷかは、「何かやってあげる」のではなく、「いっしょに生きていく」関係を作ることで、障がいのある人たち=ぷかぷかさんたちが大活躍しています。ぷかぷかが生み出したたくさんの物語は彼らの活躍そのものです。『ぷかぷかな物語』は彼らが生み出した物語の本です。(お求めはぷかぷかのホームページhttps://www.pukapuka.or.jp、もしくはアマゾンで)

 障がいのある人たちに対しては「マイナスの価値」(あれができないこれができない、生産性がない、等)という評価が圧倒的に多いのですが、ぷかぷかにあっては「プラスの価値」を生みだす人たちと位置づけています。

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 彼らとどういう関係を作るかで、彼らの生み出す価値が変わってくるのです。ぷかぷかにあっては、彼らは社会の邪魔者とか重荷ではなく、「社会を耕し、豊かにする人たち」なのです。

 

 5年前の「世界がhana基準になったら」という花岡さんのブログは、何かやってあげる関係ではなくて、重度障害の人の生き方に謙虚に向き合うと、ひょっとしたら社会が変わることになるかも、という目から鱗のような問題提起だったように思います。hanaちゃんは重度障害児です。でも彼女には熱烈なファンが多いです。それはお母さんのhanaちゃんへの向き合い方のおかげです。

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世界がhana基準になったら
何が起こるだろう
 
人をことばで傷つけることもない
人に嫉妬したり、恨んだり、
悪口だって言わない
人と比較して見下したり、
卑下したりすることもない
 
あるのは
ただそこに存在することで
ありのままで完全な自分、人生。
 
あるのは
楽しい毎日
喜怒哀楽を自由表現すること
 
誰からどう思われるからとか考えない
誰がどうしていても気にならない
 
hanaは
ただ自分がそうしたいからそうする
 
そして自分が
そのままで完全であり、
愛されていることを
深いところで理解してる。
 
 
世界がhana基準になったら…
 
 
もしかしたら
すへての悩み、争いごと
いじめや不登校、
戦争もですら
なくなるかもしれないね。
 
 (hanaちゃんとお母さん)

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 彼らの存在の意味がここでは全く違ったものになっています。

 人をことばで傷つけ、人に嫉妬し、恨んだり、悪口を言ったり、相手を見下したり、卑下したり…といったことからなかなか抜けられない私たち。hanaちゃんは「人をことばで傷つけることもない。人に嫉妬したり、恨んだり、悪口だって言わない。人と比較して見下したり、卑下したりすることもない。」どうしてそんな生き方が私たちにはできないんだろうと思います。情けない限りです。

 nahaちゃんは「人の生きる姿勢」の基本を教えてくれている気がします。hana基準こそ、この閉塞状態にある社会を救うのではないか、そんなことを思ったりするのです。

 重度障害の人たちをそんなふうに見ていくなら、社会はもっと豊かになっていくような気がするのです。彼らの有り様を、彼らの生き方とみるかどうか、ということです。

  「こんなところで寝るなんて、hanaちゃんて、なんて自由なんだ」って思うのは、ここにhanaちゃんの生き方を見るから。(演劇ワークショップの会場入り口)

 

 5月に始まった「でんぱた」は生活介護の事業所ですが、重度障害の人たちとどんな風にいっしょに生きていくか、ともに暮らしていくか、の試みでもあります。障がいのある人たちといっしょに生きていくことはぷかぷかで10年やってきたので、重度障害の人たちとも「いい一日だったね」ってお互い言える日々を一緒に作っていけば、それがそのまま「いっしょに生きていく」「ともに暮らしていく」ことになるのだろうと思っています。

 「でんぱた」は地域の人たちの手を借りながら田んぼや畑の仕事をします。

 6月には地域のたくさんの人に手伝ってもらいながら田植えをしました。

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そして今日は地域のたくさんの人たちに手伝ってもらって稲刈りをしました。

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 田んぼや畑仕事のほかに、一緒にミソを仕込んだり、時には一緒に絵を描いたりして、一緒に人生を楽しみ、お互いの人生を豊かなものにしていきます。「いっしょに生きていく社会」「ともに暮らす社会」はこんな風にして、みんなで楽しみながらできていくのだと思います。社会を救う「でんぱた基準」もできるかも。

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