ぷかぷか日記

心あたたまる絵

 朝、カフェに寄ったらこんなかわいい絵がありました。

 

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  楽しいなぁ、ってしみじみ思います。こんな人たちがカフェで一生懸命働いています。ぜひ会いに来てください。

 先週土曜日から ケンさんがパン屋で今日のお天気を描いています。パン屋に来るとケンさんのなんとも心あたたまるお天気の絵が見られます。

 

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川野さんの甘夏

 20年ほど前、友人が発行しているガリ版刷りの通信紙「あめつうしん」に川野みわさんという方が天草で甘夏を作っている話を書いていていました。甘夏作りに込めた思いが天草のミカン畑の風景の話といっしょにじんわり伝わってきて、ミカン作りながらこんな生き方をしている人がいるんだと、新鮮な思いで読んだことを今も覚えています。ぜひお会いしたいと思い、天草まで出かけました。

 年末に子ども二人連れて行ったのですが、一人はまだ8ヶ月になったばかりで、川野さんの家に着くなりうんこを漏らしてしまいました。川野さんは横浜にある「土と愛子どもの家保育園」(40年ほど前、障がいのある子どもたちも普通の子どもたちといっしょに育てていこう、というところでスタートしました。当時はそんな保育園はなく、全国から設立のカンパが集まったそうです)を創設したグループの一人で、子どもがうんこを漏らしたぐらいで慌てるような人ではなく、すぐにお風呂場を貸してくれ、子どものおしりを洗わせてもらいました。

 お会いしてあいさつもしないうちにそんなハプニングもあって、川野さんとすぐに打ち解け、ミカンの話から保育園、障がいのある子どもたちの話まで大いに盛り上がりました。その間、子どもたちは山盛りにおいてあったミカンをとにかく食べまくっていました。以来、子どもたちは「ミカンは食い放題」だと思い込んでいるようで、10キロ入りの箱単位で買う川野さんのミカンが届くと、ミカンが山ほどあった川野さんの家にいるような気分で食べまくっています。川野さんのミカンはこくがあって本当においしいです。ミカンを育てる川野さんの思いが凝縮しているようです。あの「こく」は川野さんの思いそのものなんだと思います。

 自然食のお店をやっている友人の話だと「川野さんのミカン」はひとつのブランドになっていて、それだけでほかのミカンより高く売れるそうです。温州ミカンだけでなく、ネーブルや河内晩柑、甘夏もおいしいです。

 牛も飼っていました。ちょうど獣医が来ていて、何をするのかと思っていたら、突然牛が「ムギャ!」と短い叫び声を上げました。獣医が側にいた犬に向かって卵よりやや小さい丸い球を投げました。犬は待っていたように、その球をしっかり口で受け止め、ガッガッと三口くらいで食べてしまいました。牛はちょっと痛そうに足踏みしていましたが、それもすぐに収まり、何事もなかったかのように元ののどかな風景に変わりました。あっけない牛の去勢でしたが、私にとってはそのあっけなさが未だに強烈な印象として残っています。麻酔もしなかったので牛は痛かっただろうなと思います。足踏みしていた牛の姿を今でも思い出します。

 牛は肉牛で、ときどき保育園の仲間と一頭買いをしていたのですが、本当においしいお肉でした。牛といっしょに、「この牛は目がかわいい牛でした」とか「おっとりした牛でした」とか、ちょっとしたエピソードを書いた紙が入っていて、かわいがっていた牛を出荷するときは辛かったんだろうな、と思いました。その分食べるときも時々ちょっと辛い気がしました。

 川野さんの甘夏は全くの無農薬なので、皮も安心して使えます。ぷかぷかの甘夏パン、甘夏ジャムは、こんな人のつながりの中で作っています。「あの人が作るから安心」「あの人が食べるから安心できる、おいしいものを作ろう」そんなおつきあいを大切にしたいと思っています。

 

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この人、なんかすごいこと言ってますね

 厨房機器メーカーの営業マンと打ち合わせ中、営業マンが

「あの〜、この人、なんかすごいこと言ってますね」

と、パン屋のレジの側でずっとべちゃくちゃ一人でしゃべっていたtujiさんをさしていいました。

「よ〜く聞いてると、世界中の都市の名前をいってるじゃないですか。私なんかほとんど知らない都市の名前ですよ。どこでこんな勉強したんですか?」

「tujiさん、どこで勉強したんですか?」

「カレンダー」

「カレンダー? カレンダーで、どうやって勉強したんですか?」

「カレンダーの隅に書いてあった」

「へ〜、それをどうやって覚えたんですか?」

「この人は記憶力が普通じゃないんですよ。年代別に紅白歌合戦に出た歌手の名前を全部覚えてたりします。」

「え〜っ!どうしてそんなことができるんですか?」

「だから、記憶力が普通じゃないんです。今、確か28歳ですが、1年ほど前のワークショップで、小学校2年生で習った「ふきのとう」というお話を、テキストを見ないで正確に朗読しました。」

  「20年ほど前に習った教科書ですか?」

「そうです。しかも芝居の中で使ったので、途中で何度も止めたりしたのですが、途中で止めても、正確にまた始めることができました。普通、こういうのはひとまとまりで覚えているので、途中で止めると、その先が思い出せなくなってしまうのですが、この人は何度止めても正確に“再生”できました。」

「暗算もすごいです。お客さんがトレイにのせてきたパンをちらちらっと見てさっと合計をいいます。私が計算機でポチポチと計算するよりも5倍は速いです。しかも正確です。」

「1ヶ月のスケジュールも全部頭に入っていて、私みたいに手帳で確認しなくても、すらすら言えます。営業マンの秘書で使えますよ。どうですか?ちょっと考えてみませんか?」

 「そうですねぇ、課長と相談してみますよ」

なんていながら帰って行きました。

 昼休み、給食食べながらtujiさんに

「厨房機器メーカーの営業マンがtujiさんのすばらしい力に感動して、自分の助手にしようかなっていってたよ」

「え?営業マンやるの?」

「そう、計算とかスケジュール管理とか、tujiさんの力を生かせると思うよ。給料もぷかぷかよりずっといいと思うし、どうですか?」

 「営業マンか…」

と、しばらく考えていましたが、

「えーと、営業マン、やっぱりいやだ、ぷかぷかがいい!」

といいました。うれしいこと言ってくれます。

 

 

 

絵と出会えたことに…

 東急東横線大倉山にある「アートかれん」(横浜市港北区大倉山1丁目11-4      電話543-3577)で「伸吾さんとその仲間展」を見てきました。

  そのときそのときを、自分の好きなものに向かって一生懸命生きてきたんだなぁ、としみじみ感じる絵が並んでいました。絵というのは、そのときそのときの思いのリアリティをきっちりと伝えてくれるんだと思いました。

 トンネルから外へ向かって延びていくレールの絵は不思議な世界でした。レールはどこへ延びていくのでしょう?今、自分はトンネルの中。でも、これから未知なる世界へ向けて飛び出していくぞ、といったしんごっちの熱い思いを感じました。トンネルの外に広がる青い空間がいいですね。

 どの絵にもしんごっちの豊かな世界を感じます。しんごっちの絵と出会えたことを幸せに思います。

 こんな絵に出会うと、あらためて「障がい者」ってなんなの?という思いがします。障がい者は何かやってあげる対象だとか、支援する対象だとか、なんてつまらない優越感に浸っている間に、どんどん取り残されていることに、この絵は気づかせてくれます。

 絵画展は10日(土)までです。ぜひお出かけください。

 機会を見つけて「ぷかぷか」でもやりたいと思っています。

  

 

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一度始めたことを途中でやめることは

 「ぷかぷか1年目で、経営が苦しくなったとき、どうしてやめようと思わなかったんですか?」

と、昨日陶芸をやりに来た知人に突然聞かれ、どうしてだったかなぁ、とあらためて考えました。

「まだ、なんとかなる」「もうちょっとだけがんばってみよう」

とかいろいろ考えながら、何とかがんばっていたような気がするのですが、昔、アラスカのマッキンリーに登ったときのことをふと思い出しました。

 

 頂上直下(標高6000メートルくらい)、すさまじい地吹雪で、全く前へ進めない状況でした。3人で非常用テントをひっかぶり、がたがた震えながら、先へ進むか、戻るか、考えていました。がたがた震えていたのは、寒さだけでなく(日中でマイナス30度くらい)、精神的に追い込まれていたことが大きかったと思います。そのときの状況は自分の山の経験をはるかに超えていて、これ以上先へ進むことは、どうなってしまうかわからない怖さがありました。といってここで引き返してしまうと、ここまで来るために費やした膨大な準備とエネルギーを考えると、たぶん二度と来られないだろうこともわかっていました。どっちを取るか、3人とも黙りこくったまま長い時間が過ぎました。

 誰からともなく

 「行こう!」

とひとこと声がかかり、

 「よし、行こう!」

と、3人で少し収まった地吹雪の中、高ぶった気持ちで出発したのを覚えています。そこから更に2時間ほど登り、1975年8月2日の午後8時、マッキンリーの頂上(標高6190メートル)に立ったのでした。午後8時、白夜のアラスカの空は凍り付いたような青空が広がっていました。

 

 こんな話と比べてもしょうがないのですが、一度始めたことを途中でやめることは、どんなことであっても、ものすごく大変なことだと思います。中身の濃いものであればあるほど。

 やめること自体は簡単です。でも、そこに至るまでに費やした膨大な準備やエネルギーを考えると、二度と同じことはできないし、そう簡単にものごとをやめることはできないと思います。何よりも準備がスタートした頃の爆発的なエネルギーや勢いは、そうそう生まれてくるものではありません。

 そういったことを考えると、経営的に苦しい状況というのは、まだまだなんとか超えられる気がするのです。

 

 ぷかぷかは幸い、今順調ですが、あのときの苦しい状況を何とか超えることができたからだと思います。

 

至福の時

 久しぶりに陶芸をやりました。お総菜屋で使う大皿、カフェで使うコーヒーカップ、角皿、シチューカップ、パン皿などを作りました。

 久しぶりなので電動ろくろを回しながら粘土を伸ばしていく指の感覚を取り戻すのに少し時間がかかり、思うようなものがなかなかできません。それでも30分くらい作っては壊し、作っては壊しをしていると、だんだん感覚がよみがえってきて、ああ、指がちゃんと覚えていてくれたんだ、とうれしくなりました。

 何も考えず、ひたすら粘土に集中し、しばらくは至福の時でした。こういう時間がもっとふだんからあれば、と思いました。

 定年後はこういう好きなことを思う存分できるものと思っていましたが、ぷかぷかを立ち上げてしまったために、全くそういう時間がとれません。それでもなんとか時間を見つけては、こつこつ作ってきたお皿やコーヒーカップが、ぷかぷかカフェのお客さんに好評で、とてもうれしいです。

 たまにしかできないから、好きなことをやる時間が「至福の時」になるのでしょう。毎日やっていたら、こんな気持ちにはなれないのだろうと思います。このあたりの加減がなんともむつかしいですね。

みんなでワークショップ参加者募集

  障がいのある人たちと地域の人たちで、いっしょにお芝居作りのワークショップをやります。ワークショップという共同作業を通して、お互いの新しい出会い、今までにない新しい作品作りに挑戦したいと思っています。

 

  ワークショップは一緒にゲームをやったり、歌を歌ったり、音楽に合わせて体を動かしたり、というところから出発し、気持ちをほぐし、お互いの関係を作るところから始まります。そのあと、誰かと一緒にものを作ったり、体を動かしながら何かを表現したり、といったことに進んでいきます。

 いろいろ楽しんでいるうちに、自然にお芝居ができあがってくるところが、ワークショップのおもしろいところです。

 

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 今回は『森は生きている』というロシアのお話を、ワークショップを進めていくときの手がかりとして持ってきます。作品に登場する12(つき)の神さまの人形を作るところから、今回のワークショップは始まります。人形作りは「デフパペットシアターひとみ」(聾者〈耳の聞こえない人〉と聴者〈耳の聞こえる人〉が共に作るプロの人形劇団)の人たちが指導してくれます。

 できあがった人形を元にみんなでお話を少しずつ作っていきます。ワークショップは6月から月一回のペースで6ヶ月続けますので、人形はそのお話をつなげていく手がかりになります。

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 障がいのある人たちと一緒にワークショップをやるのは、彼らの存在感、発想のすばらしさが、ワークショップという、お互いがふだんより少し自由になれる空間では、よく見え、それを生かすことができるからです。私たちと少し違う人たちがいた方が、より豊かなものが生み出せる、ということがワークショップを通してみんなで共有できれば、と思っています。

 

 6月から月一回やって、最後にホールの舞台で、作品の発表会(表現の市場)をやります。障がいのある人といっしょだからこそできる作品をたくさんの人たちの前で発表します。「いっしょにやった方がいいんだね」「いっしょに生きていった方がいいんだね」、そんなふうにお互い思えたら、と思っています。

 

講師 花崎攝(進行役)演劇ギルド 元黒テントの役者

   やなせけいこ(進行役) デフパペットシアターで音作り、役者

   吉村安見子(ピアニスト) オペラシアターこんにゃく座や黒テントなど 

               のピアノ演奏を行っている。

   成沢富雄(舞台監督、進行役)演劇ギルド、元黒テントの役者

 

日程:67()75()816()96()1019()1123()   毎回 午前915分〜午後4

発表会:1124(月、祝) リハーサル 午前915分〜12時 

              発表会(表現の市場)  午後2時〜午後4

場所:ワークショップ (みどりアートパーク リハーサル室)

   発表会 (みどりアートパーク ホール)

参加費  500(保険料など)

参加条件 ・障がいのある人たちと一緒にワークショップをやってみたい方。

     ・なるべくすべての日程に参加できる方

     ・ビデオ、スチール写真の記録をとります。後日、記録をまとめ、 

      DVD作品、記録写真集になります。ホームページにも紹介しま

      す。ビデオ、写真を撮られても差し支えない方。

参加希望の方は参加したい理由を書いて主催者(NPO法人ぷかぷか)までメールもしくは郵送でお申し込みください。参加の可否は追って連絡させていただきます。

  メールアドレス:pukapuka@ked.biglobe.ne.jp

    送り先:横浜市緑区霧ヶ丘4丁目17-3 NPO法人ぷかぷか  高崎

募集:30名 53()24()  発表 531()

問い合わせ:NPO法人ぷかぷか 高崎  045−453−8511

主催:NPO法人ぷかぷか

共催:みどりアートパーク

協力 デフ・パペットシアター・ひとみ(ろう者と聴者が共につくる人形劇団)

   演劇デザインギルド、オペラシアターこんにゃく座

   生き活き市民基金

鯉のぼり

 気がつくと、こんなかわいい鯉のぼりが、作業場の雨樋に貼り付けてありました。こういうことをスタッフに言われてやるのではなく、気がつくとこんなふうになっていた、というところがいいなと思いました。アイデアがすばらしいですね。兜をかぶった子どもの絵が添えてあるところが、なんとも気配りのある方だと思いました。

 どこまでも平和な鯉のぼりの絵です。

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長津田農場

 横浜市緑区長津田みなみ台にある長津田農場でランチにぷかぷかのパンがついてきます。その写真を撮ってきました。

  菜園プレート 1390円

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農場プレート 1730円

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ぷかぷかのパン おかわりできます。

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  野菜たっぷりのおいしいランチでした。ぜひお出かけください。

 

第一期みんなでワークショップ企画書

1,社会的な課題 

 口にはしないものの、障がいのある人たちのことを「何となくいやだな」
と思っている人は多い。障害者施設を建てようとすると、地元市民から反対運動が起きることさえある。とても悲しいことだが、これが障がいのある人たちの置かれた状況だ。

 これは障がいのある人たちに問題があるのではなく、彼らのことを知らないことによって生じる問題だと思う。何となく怖いとか、不気味、といった印象は、彼らのことを知らないことから生まれる。“知らない”ということが、彼らを地域から排除してしまう。

 彼らの生きにくい社会、異質なものを排除してしまう社会、他人の痛みを想像できない社会は、誰にとっても生きにくい社会だろうと思う。誰かを排除する意識は、許容できる人間の巾を減らすことにつながる。社会の中で許容できる人間の巾が減ると、お互い、生きることが窮屈になる。これは同じ地域に暮らす人たちにとって、とても不幸なことだと思う。

 逆に、彼らが生きやすい社会、社会的弱者が生きやすい社会は、誰にとっても生きやすい社会になる。

 そういう社会はどうやったらできるのか。それへ向けてのひとつの提案が「ぷかぷか」が地域でやってきたことであり、今回の企画はその提案を更に膨らますものとして位置づけられる。

2,「ぷかぷか」が地域でやってきたこと 

 上記の社会的な課題の解決の一歩は、障がいのある人たちを「知る」機会を作ることだと考える。障がいのある人たちを「知る」ことで、彼らが本当に「怖い」のか、「不気味」なのか、確かめてもらうことが必要だと思う。

 4年前、この霧が丘の地に「カフェベーカリーぷかぷか」(パン屋)と「ぷかぷかカフェ」を立ち上げた。「ぷかぷか」は、障がいのある人たちの働く場なのだが、パンを買いに来たついでに、あるいはカフェに食事をしに来たついでに、彼らに出会って欲しいと思った。

 ふつうの人がふつうにできることが、彼らにはむつかしいことが多い。といって、彼らは私たちより人として劣るのかというと、決してそんなことはなく、ていねいにおつきあいすると、私たちにはない素敵な魅力をたくさん持ち合わせている。

 パンを買いに来たときに、彼らのそんな魅力に触れる機会があるなら、パンと一緒に、なにかあたたかいものを一緒に持ち帰ることができる。食事をしに来た折に、彼らの魅力にふれることができるなら、食事の味がいつもより美味しくなる。

 そんな魅力が口コミで広がったのか、カフェはこのところ満席の状態が続いている。毎週行くパンの外販先では売上げがこの4年で10倍に伸びたところもある。パンが美味しいこともあるが、毎週外販の日に彼らと会うのを楽しみにしている人が多いことを考えると、やはり彼らのなんともいえない「魅力」が売上げを伸ばしているのだと思う。
 
 「ぷかぷか」は「ホームページ」「ぷかぷかしんぶん」などのメディアを使って「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ」というメッセージを発信し続けている。

 ホームページ(http://pukapuka-pan.xsrv.jp/ 「ぷかぷかパン」で「検索」)は「ぷかぷか」の活動、メッセージをリアルタイムで伝え、ほとんど毎日情報を更新している。ホームページを立ち上げて3年になるが、アクセス数は4万を超えている。

 「ぷかぷかしんぶん」は毎月発行している手作りのしんぶんで、5,000部印刷し、お店の周辺の住宅に配布している。内容はお店の宣伝だけでなく、メンバー(ぷかぷかの利用者)さんの描いた絵、ちょっとしたエピソードなども入れている。巻頭にはいつも「お元気ですか?」「寒くなりましたが、お変わりありませんか?」と読み手に語りかける言葉を入れ、読み手との関係を親しみのあるものにしている。そういったこともあって、毎月「しんぶん」が家のポストに配布されるのを楽しみにしている人が多い。

 冒頭に掲げた「社会的な課題」は、少なくとも「ぷかぷか」の周辺では、少しずつではあるが、解決できつつあるように思う。

3,みんなでワークショップ

① 演劇ワークショップの場では、さまざまな表現方法(身体表現、声とことば、美術、音楽、など)を用いて物語を作ったりする。その過程の中で、私たち自身の思考回路や、ものを見る目、価値観などが揺すぶられる。また、からだ丸ごと使って表現することで、私たちは日常より少し自由になれる。

 そういった空間では、障がいのある人たちの存在感、発想の豊かさが、ふだんよりよく見える。彼らのことがよく見えてくると、ワークショップの場には彼らのような、私たちとは違う発想をする人たちがいたほうがより豊かなもの、おもしろいものが創り出せる、ということが自然にわかってくる。

 私たちとは違うもの、異質なものを排除してしまうのではなく、異質なものを取り込んでこそ、私たちの集団は許容する幅が広がり、豊かになっていく。
そのことを、ワークショップの場でみんなで体験できれば、これは地域社会を変えていく、ささやかな出発点になる。

 「いっしょに生きていった方がいいね」という思いが、ワークショップという創造的な共同作業から生まれることは、彼らといっしょに生きていく中で、そこから更に新しい文化が生まれる可能性をも示唆している。これは今「ぷかぷか」が発信しているメッセージより、更に踏み込んだものになるだろう。
 
② ワークショップは月一回のペースで、6ヶ月続け(6月スタート)、最後に作り上げた作品の発表会をホールの舞台で行う。お客さんはたくさんの地域の人たち。これはワークショップの中で作り上げた、障がいのある人たちと地域の人たちの新しい関係性とそこから生まれる「新しい文化」とも呼べる作品の発表会でもある。これはぷかぷかが発信してきたメッセージ(「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ」というメッセージ)を、更に具体的に、中身を濃くしたものになるだろう。

 会場はみどりアートパーク(http://www.m-artpark.com) のリハーサル室、発表会はホール。
  ワークショップ:6月7日(土)、7月5日(土)、8月16日(土)、
          9月6日(土)、10月19日(日)、11月23日(日)
  発表会:11月24日(月、祝)
 
 ワークショップ参加者は、「ぷかぷか」の利用者さん、スタッフ、地域の人たち。口コミ、ホームページなどで集める。参加人数は30〜40名。進行役2〜3名、音楽担当1名、発表会舞台監督1名。

③ ワークショップでどういうものが創り出せるか、やってみないとわからないのだが、話の切り口として「森は生きている」というロシアの民話を持ってこようと思っている。自然のサイクルを無視して人間の欲するままにやっていると手痛いしっぺ返しが来る、というお話は、「ぷかぷか」のミッションのひとつ「健康な命を未来に引き継ぐ」ことと重なる。

  作品に登場する12月(つき)の神様を参加者の想像力と創造力で作ることからワークショップを始めたい。
  オペラシアターこんにゃく座のオペラ「森は生きている」で歌われる林光さん作曲の「森は生きている」の力強い歌をワークショップのテーマソングにしたいと思っている。

   ♩ 森は生きている/風だって雲だって/小川のせせらぎだって
    生きている
    森は生きている/ 氷に閉ざされた/まつゆきそうだって
    生きている
    森と空を/ 私は見た/ 生きているものたちの笑う声
    話すことば/ 燃えている火よ/あふれる力よ
    森は生きている / 森は生きている 

④せっかくの機会なので、ワークショップの発表会だけでなく、「表現の市場」として、障がいのある人たちの様々な「表現」を持ち寄って、おもしろい「市場」ができれば、と思っている。舞台ではパフォーマンスが、ロビーでは絵画などアート作品の展示、販売などができれば賑やかな「市場」の出現になる。奇想天外で、エネルギッシュな「市場」の出現は、街に何をもたらすか、とても楽しみだ。

⑤貴重な試みになるので、写真と動画で記録をまとめ、より多くの人たちと私
たちの体験を共有したいと考えている。

主催 NPO法人 ぷかぷか

共催 みどりアートパーク http://www.m-artpark.com

協力 デフ・パペットシアター・ひとみ http://deaf.puppet.or.jp
     (ろう者と聴者が共につくる人形劇団)
   演劇デザインギルド http://www.edg.or.jp
 オペラシアターこんにゃく座  http://www.konnyakuza.com/index.aspx

問い合わせ:「ぷかぷか」高崎  045-453-8511


みんなでワークショップ(要約) 

企画内容 演劇ワークショップと発表会の実施(「森は生きている」より)
     ★発表会は障がいのある人たちの「表現の市場

企画目的 
・ 障がいのある人たちを「知る」機会を作り、社会的弱者が生きやすい地域、つまり誰にとっても生きやすい地域をつくりだす一歩とする。
 ・障がいのある人たちとともにつくり出す新しい文化を発信する。

参加者 カフェベーカリーぷかぷかの利用者(知的障がい者)、スタッフ、
    地域在住、在勤の一般参加者(子どもを含む)30〜40名

進行スタッフ 演劇ワークショップ進行役2名、音楽家1名、舞台監督1名

実施時期 2014年6月〜11月  9:00〜16:00
     ワークショップ:6月7日(土)、7月5日(土)、8月16日(土)、
             9月6日(土)、10月18日(土)、11月23日(日)
     発表会:11月24日(月)

実施会場 みどりアートパークリハーサル室、ホール(発表会)

記録方法  写真とビデオによりプロセスと発表会を記録し、記録冊子、
      ビデオ記録を作成

* 予算については現在、助成申請中

主催 NPO法人 ぷかぷか

共催 みどりアートパーク http://www.m-artpark.com

協力 デフ・パペットシアター・ひとみ http://deaf.puppet.or.jp
     (ろう者と聴者が共につくる人形劇団)
   演劇デザインギルド  http://www.edg.or.jp
   オペラシアターこんにゃく座http://www.konnyakuza.com/index.aspx

問い合わせ 「ぷかぷか」高崎  045-453-8511

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