ぷかぷか日記

相模原障害者殺傷事件を超えるために

  • たかがしんぶん、されどしんぶん(相模原障害者殺傷事件5年目に思うこと-②)
     昨日NHK「おはよう日本」で相模原事件5年目の関連でかずやさんの自立生活が紹介されました。昨年の映像との違いは、地域社会とのつながりができはじめたこと。施設を出て地域で暮らす、というのは、ただ単にアパートで好きに暮らすのではなく、地域社会との様々な関わりの中で暮らすことです。その関わりがほんの少し見えたかな、という映像でした。  「かずやしんぶん」が、いい働きをしていましたね。「かずやしんぶん」は、かずやさんの大声に近所の方から寄せられた苦情に対し、ただ謝罪しただけで終わるのではなく、これを機会に地域の人たちといい関係を作っていこうとスタートした「友達大作戦」の中の1つです。  A5版6ページの小さなしんぶんです。          www.pukapuka.or.jp  その小さなしんぶんが映像を見ていると、かずやさんの周りでとてもいい働きをしていました。  いつも買い物に行くスーパーに持っていって店員さんに渡すと こんな関係が生まれました。ただ買い物をするだけでなく、しんぶんを渡すことで、ちょっとだけ前に進んだ会話ができたのです。ここから今までと少し違う関係が始まります。 かずやさんのすぐ近所の自転車屋さんに持っていくと   後日、介護の方から「先日しんぶんを渡した隣の自転車屋さんの若いスタッフの男性が、チョコレートとコーヒーを差し入れに来てくれました。お子さんが、やはり障害をお持ちとの事で、ハートネットTVなども見て感心していたとの話をしてくれました。地域関係少しずつ前進中!」と連絡が入りました。  「かずやしんぶん」は小さなしんぶんです。でもこうやって、人を動かすチカラを持っています。 「たかがしんぶん、されどしんぶん」 なのです。しんぶんがなければ、こういった関係は、多分生まれなかったと思います。小さいながらも、いい働きをしてくれているのです。  「かずやしんぶん」がこれからもっと地域に広がっていけば、もっといろんなおもしろい反応が出てくると思います。  重度障害者の自立生活が地域社会を豊かにすることが目に見えるかも知れません。  苦情が来たというピンチが、地域社会が変わるチャンスになるかも知れません。  相模原障害者殺傷事件から5年、あの時「障害者はいない方がいい」「障害者は不幸しか生まない」などと排除された重度障害者が、今、地域のアパートで自立生活を送る中で、地域社会を豊かに変えていこうとしているのです。あの忌まわしい事件を、こんな風にして超えようとしているのです。
  • 「かずやしんぶん」の反応が早くも
    かずやさんの介護をやっている方からうれしいお知らせ。  ●●●  先程アパートに、先日しんぶんを渡したお店の若いスタッフの男性が、チョコレートとコーヒーを差し入れに来てくれました。お子さんが、やはり障害をお持ちとの事で、動画なども見て感心していたとの話をしてくれました。地域関係少しずつ前進中! ●●●  「かずやしんぶん」の反応が早くも現れたようです。しんぶんがもっと広がっていくと、もっといろんな反応が出てくるだろうなと思います。楽しみです。  そのうち 「かずやしんぶんを楽しみにしています」 っていう人も出てくるといいなと思います。  ぷかぷかしんぶんを発行し始めて1年目くらいだったか、配布している時にすれ違った人が 「お店には行かないんだけど、しんぶんはいつも楽しみにしていますよ」 と声をかけてくれたことがあります。すんごくうれしかったですね。  かずやさんが街を歩く時、そんな風に声をかけてくれる人が出てきたら、友達大作戦は大成功です。        7月15日(木)NHK「おはよう日本」(午前7時〜8時)でかずやさんと介護の方がお店に「かずやしんぶん」を届けるところが紹介されます。  7月15日(木)NHK「ニュースウオッチ9」で昨年5月に開所した生活介護の事業所「でんぱた」の活動が紹介されます。地域の人たちとのいろんな関わりが紹介されるようです。         いずれも相模原事件5年目の関連です。ぜひ見て下さい。
  • 相模原障害者殺傷事件5年目に思うことー①
     相模原障害者殺傷事件が起きて5年になります。あれだけ衝撃的な事件だったので、社会は本当に変わるのではないかと思っていましたが、5年目の今、結局は何も変わってないな、というのが実感です。そのモヤモヤした気持ちを少しずつ書いていこうと思います。  神奈川県では当事者目線により福祉に切り替えるそうですね。これも事件を受けて出てきたそうです。ようやくここまで来た、と評価する声もたくさんあります。 www.pref.kanagawa.jp  議事録も載っていましたが、私にとってはなんだかむつかしそうな話で、とても読む気になれません。大事な話だとは思いますが、こういう話をやって社会は変わるのだろうかとも思います。それよりも、目の前の当事者の方とどんなおつきあいをしていくのか、そこから何を生み出していくのか、というところこそ現場の人間としては大事にしたいと思うのです。  昨日たまたまイクミンが素晴らしい絵を描いているのを見つけました。 「え?これが猫?」 「そうです」 「なんでこれが猫なの?」 「なんでって、これ、猫ですよ」  右側の猫の写真を見て描いたそうですが、イクミンの頭を通り抜けると、左のようなカラフルな猫に変わるみたいです。 「こんなの猫じゃないじゃん」 というのが、多分一般的です。「指導」とか「支援」はそういう方向性を持っています。以前教員をやっていた私もそうでした。猫はこうやって描くのが正しいなんてことを「指導」していたのです。でも、子どもたちと関わる中で、子どもたちの作り出すものの方がはるかに楽しいことに気がつきました。その気づきは、自分の中にある「正しさ」を問い直すことでもありました。  以前も書いたことですが、養護学校の教員をやっていた頃、こんなことがありました。クラスのみんなで一抱えくらいある大きな犬を紙粘土で作ったときのことです。小学部の6年生です。何日もかかって作り上げ、ようやく完成という頃、けんちゃんにちょっと質問してみました。 「ところでけんちゃん、今、みんなでつくっているこれは、なんだっけ」 「あのね、あのね、あの……あのね…、え〜と、あのね…」 と、一生懸命考えていました。なかなか答えが出てきません。 「うん、さぁよく見て、これはなんだっけ」 と、大きな犬をけんちゃんの前に差し出しました。けんちゃんはそれを見て更に一生懸命考え、 「そうだ、わかった!」 と、もう飛び上がらんばかりの顔つきで、 「おさかな!」 と、思いっきり大きな声で答えたのでした。  一瞬カクッときましたが、なんともいえないおかしさがワァ〜ンと体中を駆け巡り、思わず 「カンカンカン、あたりぃ! 座布団5枚!」 って、大きな声で叫んだのでした。  それを聞いて 「やった!」 と言わんばかりのけんちゃんの嬉しそうな顔。こっちまで幸せになってしまうような笑顔。こういう人とはいっしょに生きていった方が絶対トク!、と理屈抜きに思いました。  もちろんその時、 「けんちゃん。これはおさかなではありません。犬です。いいですか、犬ですよ。よく覚えておいてくださいね。い、ぬ、です。わかりましたか?」 と、正しい答をけんちゃんに教える方法もあったでしょう。むしろこっちの方が一般的であり、正しいと思います。まじめな、指導に熱心な教員なら多分こうしたと思います。  でも、けんちゃんのあのときの答は、そういう正しい世界を、もう超えてしまっているように思いました。あの時、あの場をガサッとゆすった「おさかな!」という言葉は、正しい答よりもはるかに光っています。  事件の犯人が、障がいのある人たちとこんな出会いをしていれば、あんな惨劇は絶対におきなかったと思います。  「おさかな!」という言葉に出会った時、なんかもううれしくてうれしくて私はけんちゃんを抱きしめたいくらいでした。養護学校の教員になって1年目。重度障害の子どもたちを相手に毎日のように想定外のことが起こり、私の頭はもうどうしていいかわからず混乱していました。そんな中で「おさかな!」という言葉は目が覚めるほどの輝きを持っていました。  犯人は毎日障害のある人たちとおつきあいしながら、どうしてそんな出会いをすることができなかったのかと思います。そこを考えることはとても大事なことです。このことについては、また別の機会に書きます。  今日紹介したイクミンの絵は、社会を覆う「正しさ」について、とても大事な問題提起をしていると思います。あのカラフルな猫の絵を見てあなたはどう思いますか?
  • 「ともに生きる社会」って、彼らに対して、素直にそう思える社会
    先日Facebookに載っていた写真。   なんて気持ちよさそうに寝てるんだろう。見ているこちらまで幸せな気持ちになります。  パン屋に来て、幸せな気持ちになれるって、なんだかトクした気分。こういうお店は、日本広しといえども、そうそうありません。  ぷかぷかさんがいてこそ、生まれてくる雰囲気です。私たちだけでは、絶対に生まれない雰囲気。そういう意味では、彼らには感謝しかありません。  「いっしょに生きててよかったなぁ」しみじみそう思います。そして何よりも思うのは「あなたにいて欲しい」ということ。  「ともに生きる社会」って、彼らに対して、素直にそう思える社会だと思います。そう思える関係が作り出す社会です。  そう思える関係をどうやって作るか。  ぷかぷかは、彼らに惚れ込み、彼らといっしょに生きていきたいと思って始めたところです。その結果、ぷかぷかは小さいながらも「ともに生きる社会」を生み出しました。なんとも心地のいい社会です。その「心地よさ」をぜひぷかぷかまで味わいに来てみて下さい。  相模原障害者殺傷事件をどう超えていくのかは、小難しい話をけんけんガクガクやるのではなく、この「心地よさ」を彼らと一緒に作っていくことだと思います。毎日笑い声を響かせながら。
  • 7月6日(火)午後8時からEテレのハートネットTVでぷかぷかの活動と尾野一矢さんの自立生活を紹介
    7月6日(火)午後8時〜8時30分 EテレのハートネットTVでぷかぷかの活動と尾野一矢さんの自立生活が紹介されます。再放送は翌週13日(火)午後1:05~です。 www.nhk.or.jp  相模原障害者殺傷事件から5年たちましたが、障害のある人たちを取り巻く社会はそれほど変わったとは思えません。  障害のある人たちのためのグループホームを建てようとすると、多くの場所で建設反対運動が起こります。自分の住んでいるところに「障害者はいない方がいい」と言っているわけで、犯人と同じ発想です。  社会にはいろんな人がいた方が、社会の幅が広がり、豊かになります。社会から障害者を締め出してしまうと、その分、社会の幅が狭まり、私たち自身が息苦しくなります。  ぷかぷかは  「障害のある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ」「その方がトク!」 と言い続けています。彼らといっしょに生きていくと毎日が楽しいからです。心がゆるっとします。とがった心が丸くなります。生きることが楽になります。ぷかぷかに来るとそのことを肌で感じることができます。  今度のハートネットTVでも、そのことが少しでも伝わるといいなと思っています。  Eテレの取材風景です。ノリノリのディレクターの姿がすごくいい! www.youtube.com
  • 遅ればせながら「引っ越しのご挨拶」をご近所に
     友達大作戦の打ち合わせがありました。  介護をやっている方から素晴らしい提案がありました。遅ればせながら「引っ越しのご挨拶」をご近所にやりましょう、という提案です。  かずやさんの家には毎日介護の方が日替わりで入っています。  「日替わりで得体の知れない介護者たちが出入りしている様子を不安に感じているかも知れません」  とあって、なるほどなと思いました。大声とそういった様子が重なると、近所の方の目にはどんな風に写るんだろうと思いました。  なので、遅ればせながらですが、かずやしんぶん、かずやクッキーなどを持って、ご近所にあいさつに行きましょう、というのは、今この時期に必要なとても大事な提案だと思いました。  かずやさんもいっしょに行くことになるので、かずやさんに「いっしょに行きますか?」と聞きました。  かずやさんの返事は 「やめとく〜」 でした。  「じゃあ、和尚さんだけで行ってもいい?」(丸刈りの人は、かずやさんにとってはみんな和尚さんだそうです)と聞くと、それはいい、という返事でした。  とはいえ、介護に入っている方はなかなかゆとりがないと思いますので、ここは応援団の方で時間のゆとりがある方がいれば、ぜひお手伝いに入って欲しいですね。  お米はスーパーで買うのではなく、お向かいの米屋で買うようにしましょう、という提案もありました。これは生活の中で関係を広げていく素晴らしい提案だと思いました。                                   お米は定期的に買います。定期的に顔を合わせる関係が自然にできます。量は少なくても、とにかく定期的に買いに行けば、お店の人は顔を覚えてくれます。そのうち、かずやさんを笑顔で迎えてくれます。お米買いながらいろんな話をしましょう。しっかり自己紹介もしましょう。顔と名前を覚えてくれます。「かずやしんぶん」も渡しましょう。「かずやしんぶん」を読んでくれれば、話の話題がグンと広がります。こんな風に買い物を通しておつきあいが自然に広がっていきます。  近所のお店で「かずやしんぶん」を置いてくれるところを探す、という提案もありましたので、まずは米屋さんから始めましょう。やっぱりはじめてのお店で「かずやしんぶん」の話をするよりも、何度か買い物に行って、顔見知りになった段階で「かずやしんぶん」の話を持ち出す方が受け入れてもらえる確率が上がります。お店に「かずやしんぶん」を置いてもらえれば、ポスティングとは違う広がり方をします。何よりもお店に「かずやしんぶん」を置いてくれるというのは、多少ともこちらがやっていることに共感したからだと思います。お店の方のその思いを大事にしたいですね。地域はこういったところから少しずつ変わっていくのだと思います。  街を歩けば「かずやさん元気?」って声をかけてくれる人が少しずつ増えてきます。「しんぶん、読みましたよ」って声をかけてくれる人も出てきます。  地域で生活する、というのは、こうやって生活を通して関係が広がっていくこと。その関係の広がりこそが重度障害者の自立生活の一番大事なところだと思います。この関係の広がりが、かずやさんを、そして地域の人たちを豊かにしていきます。
  • 堅くドアを閉じてしまった人の心を想像する
     先日、介護者の方が大声のことで苦情を言ってきている二階の部屋へあいつに行きました。かずやさんは行きたがらないので部屋で待機。ドアをノックしても、全く反応がなかったそうです。「下の部屋の尾野です」と言っても、ドアは閉まったまま。何度かトライしたものの、反応がないので、手紙、かずやしんぶん、かずやさんの作ったコーヒーカップ、かずやクッキー、植木鉢をドアの前に置いてきたそうです。  ある程度は予想されたこととは言え、実際に閉じたドアを見てしまうと(固く閉じたドアは、そこにいる人の心そのもの)、やっぱり心が萎えてしまいます。閉じてしまった心を開いてもらうにはどうしたらいいんだろう。  でも、ここからが本当の勝負だと思います。本気で閉じたドアと向きあう。どうしたら心を開いてもらえるのか、考えて考えて考え抜く。堅くドアを閉じてしまった人の心を想像するのです。そこからしか解決の道は見つかりません。  ズームのオンラインで参加した学生さんが「共感マップ」というツールを提案してくれました。ユニバーサルデザインを勉強している方ですが、相手を理解するうえでとてもいいツールだと思いました。  お二階さんがどんな思いでいるかを俯瞰できるようにマップ化することで解決の糸口が見つかるかも知れません。共感マップの要素は次の6つです。 1,お二階さんが見ているもの→   →かずやさんの家の看板、ドアに貼りだしたかずやさんの絵     2,お二階さんが聞いていること→   →かずやさんの大声 3,お二階さんが考えていること、感じていること→   →うるさいな、と思っている。フラストレーションがたまっている。 4,お二階さんが言っていること→   →多分「かずやさんの大声がうるさい」 5,お二階さんの痛みやストレス→   →夜、休みたい時間に大声が聞こえると、それは辛いこと。ストレスがたまる。   現時点では大声を出す人がどんな人かわからないので、やっぱり怖い。  6,お二階さんが得られるもの、欲しいもの→   →大声の聞こえない静かな夜  かずやさんの家の看板、ドアに貼りだしたかずやさんの絵を、お二階さんが見たらかずやさんに対し、どういうイメージを持つんだろうと想像してみましょう。大声に対してうるさいなぁ、と思っている印象はどう変わるでしょう。そこを想像してみる。こういった想像こそが問題解決に向けての具体的な手がかりを見つける気がするのです。何もないままどうしたらいいのかを漠然と考えるより、はるかに問題の解決方法が見えてきます。  6の「大声の聞こえない静かな夜」を目標にするのは、かずやさんの大声が止められない以上、無理な目標です。でも、大声が聞こえた時、 「ったくうるせーなー」 と思いながらも、 「ま、しょうがねーか」 というあたりに落ち着くのは、多分可能です。こうなれば、大声を出すかずやさんとも、同じアパートでなんとか暮らすことができます。  その着地点を目指すためにはこれからどうしたらいいのか、ということです。実際に動くのは現場の人たちですが、私たちも色々アイデアを提供したいと思うのです。  この問題をテーマに大学での授業、もしくは自主セミナーが開けるといいなと思っています。  大声に対して苦情が出た問題をどうやったら解決できるのか、それを考える授業、セミナーです。重度障害者の自立生活が生み出す地域社会との摩擦の解決方法を考えることは、重度障害者とどんな風にすればお互い気持ちよくいっしょに地域で暮らしていけるかを考えることです。これは社会全体の問題であり、社会を構成する自分自身の生き方にもふれてくる問題です。誰にとっても生きやすい社会を実現するための最初の一歩です。  共生社会を作ろう、とかともに生きる社会を作ろう、という抽象的な話ではなく、かずやさんというおじさんとどうやったらお互い気持ちよくやっていけるのかを考えます。そのため、授業、セミナーにはかずやさんもいっしょに行き、かずやさんのことをまず知ってもらいます。かずやさんはお話ができないので、介護の方からいろいろ聞くことになりますが、それでも実際にかずやさんに会うことはすごく意味のあることだと思います。かずやさんはこんな人です。         可能なら大声も出してもらいましょう。その大声を聞いて、もし自分が二階に住んでいて、ときどき下の部屋から大声が聞こえたらどんな気持ちになるだろう、と想像します。あるいは介護者としてかずやさんのそばにいる時、大声を出し始めたらどんな気持ちになるか想像してみます。若い介護者の一人は、また二階に響いているのではないかとハラハラしながらもかずやさんの大声はなかなか止まらなくて、もう泣きたいくらいの気持ちだったと話してました。  で、その大声に対し、二階の方から苦情が来ました。どうしたらこの問題が解決できるか、が授業、セミナーのテーマです。実際に大声を聞くことで、問題の深刻さをリアルに考えることができます。目の前のかずやさんを見ながら考えましょう。  いいアイデアが出てくれば、実際にやってみます。もしそのことで少しでもいい方向に動いていけば、 「あっ、社会って、こうやって自分で変えていけるんだ」 っていう成功体験になります。若い人たちが社会に希望を持つことができます。 6月22日(火)、友達大作戦の打ち合わせをします。固く閉じてしまったドアを開けてもらうにはどうしたらいいかを考えます。大学の授業、セミナーの企画の話もします。  zoomのオンライン参加もOKです。ぜひいろんなご意見お願いします。 2021年 6月 22日 (火) 午前10:30~ 午後12:00  参加希望者はぷかぷか問い合わせ窓口から申し込んで下さい。URLとミィーティングID、パスコードをお送りします。 www.pukapuka.or.jp
  • 想定外のことが起こり…
     6月8日(火)友達大作戦の打ち合わせがありました。      参加者は、かずやさんほか7名、マスコミの取材3名でした。  内容はホームページのコンテンツなどの確認、早稲田大学での授業ができなくなった件など。 かずやさんちの看板ができました、という報告。絵はヨッシーです。                        早速かずやさんちのドアのそばに置きました。         このドアにかずやさんの似顔絵をパネルにして貼り付けます。どんな人がここに住んでいるのか、少しイメージできると思います。           この前を二階の人は毎日通ります。ほんの少し、気持ちが柔らかくなるかな、と期待しています。  そうして今度の日曜日6月13日(日)に、いよいよあいさつ、謝罪にかずやさんと介護者が行きます。かずやさんがどんな人で、なぜここにいるかを簡単に説明します。「かずやしんぶん」もこの時渡します。   二階の方がかずやさんの顔を知り、どんな人かを知ること。それができれば、今回は最初の一歩達成!だと考えています。お互い顔を知れば、近所で会った時、あいさつができます…  と、甘いストーリーを考えていたのですが、木曜日、想定外のことが起こり、先が見通せない状態になりました。   発端は私の提案 高崎:「かずやしんぶん」を事前に二階の家のポストに入れておいたらどうでしょうか。読むかどうかわかりませんが、ひょっとして読んでくれれば、ラッキー!という感じです。住所を手書きで部屋番号まで入れておけば、下の部屋の人のことなんだということがすぐにわかります。  10日木曜日、大坪さんはかずやさんと二人で行こうとしたようです。 大坪:一応今日、ポスティングを一矢さんと一緒にと試みましたが、本人やはり嫌だったらしく、大声を出されまくって挫折しました。日曜日本当に一緒に行けるのかなぁ…ちょっと気掛かりです。 高崎:そうでしたか。かずやさん、どうして嫌だったんでしょう。 大坪:やはり今日の一矢さんの反応を見て、もう少し慎重にやらないとマズいかなと思いました。 大きな声について介護者が二階に響くのではないかとハラハラしていて、本人も声を出さないように努力をしていると思いますが、それがなかなかできない。 その辺の葛藤、ストレスもかなりギリギリの所に今いると感じます。  そうした中で「謝罪」に行くというのは、本人にとって、かなりツライ経験である事は間違いないと思います。  先日の会議のように皆さんが一矢さんに好意的な場面であれば、様子を見て「一本橋」も出て来るけど、本人に部が悪い場面である事は肌身で感じ取っているのだと思います。  そこで本人が、納得して二階に行くという手続きを取るのはかなり難しい…本人にそれをどう伝えるか。 「障害」を、自己責任論で本人が克服しなければならない問題とするのではなく、環境や関係を変えて行く事で解決して行こうというのが、「社会モデル」の考え方だと思いますが、やはり今、そのギリギリの所が問われているのだと思います。  なので、とりあえず日曜日は、慎重に様子を見ながら二階に行くかどうかを判断したいと思います。  二階にあいさつに行く時、かずやさんは大坪さんに素直についていくものとばかり思っていました。かずやさんの気持ちを丁寧に想像してなかった、ということです。  《そうした中で「謝罪」に行くというのは、本人にとって、かなりツライ経験である事は間違いないと思います。 》  という大坪さんの言葉で、かずやさんの気持ちに初めて気がつきました。情けない限りです。  「大声に対する苦情」という問題を、《環境や関係を変えて行く事で解決して行こう》としたのですが、肝心なかずやさんの気持ちを取りこぼしていたのです。  本人が納得して二階に行くという手続きを取るにはどうしたらいいのか、またまた難題を抱えることになりました。  6月15日(火)の友達大作戦はその「どうしたらいいのか」を考える集まりになります。大学での自主セミナーの企画も。  zoomのオンライン参加もOKです。ぜひいろんなご意見お願いします。 2021年 6月 15日 (火) 午前10:30~ 午後12:00  参加希望者はぷかぷか問い合わせ窓口から申し込んで下さい。URLとミィーティングID、パスコードをお送りします。 www.pukapuka.or.jp  早稲田大学でやる予定だった「友達大作戦」に関する授業は、外部講師の依頼は半期に一度だけ、という規則に引っかかって(担当教員がすでに一人申請していたので)不許可になりました。映画「道草」の続編の撮影も予定していたのですが、それも不許可。  ちょっとがっかりしましたが、授業でなければいい、ということなので、自主的なセミナーみたいな形でやろうかなと考えています。会場は早稲田大学です。大学の枠も超えてたくさんの人に呼びかけ、友達大作戦を展開していこうと考えています。  どういう言葉で呼びかければ学生さんたちが集まってくるのか思案中です。小難しい話ではなく、 「あっ、これ、なんだかおもしろそう」 って軽い気持ちで乗ってきてくれるような言葉を探しています。  友達大作戦に、軽いノリで 「こうやったらおもしろいんじゃない」 という提案をしてもらい、その提案で 「あ、おもしろい、おもしろい」 と、人が動き始めるかも知れません。その動きの中で、かずやさんと様々な形で出会う人も増えます。 「かずやさんのような大声出すような人もいていいか」 っていう人が地域に増えれば、地域社会は受け入れる人の幅が増えることになります。 かずやさんの周りの小さな社会が、ほんの少し居心地がよくなります。みんなにとって居心地のいい社会が、こうやって実現するのです。  「自分の手で社会が変えられる!」 若い人たちがこんな風に思える体験をすれば、社会に希望が持てるようになります。  大学で若い学生さんたちを相手に「友達大作戦」の授業をやるのは、そんな思いがあるからです。今までにない新しい提案が出てくるかも知れないし、学生さんたちも変わります。  重度障害者の自立生活は、社会を豊かに変えていくのだと思います。  「友達大作戦」はこちら www.pukapuka.or.jp
  • かずやさんが大学で授業やります。
     知り合いの大学の先生が「ボランティアとNPO・NGO」という授業をやっていて、先日の入管法改悪の動きと市民による阻止行動など、社会運動についていろいろ話をしているようです。  その中で学生さんから、署名運動をいくらやっても社会はなかなか変わらない、といった社会に希望が持てないような感想がFacebookで紹介されていました。こりゃいかんなと思い、書き込みをしました。 「議論も大事ですが、まずは具体的に動いてみてはどうでしょうか。いろんなことが見えてくること間違いなしです。」 「抽象的な議論ではなく、具体的な問題に対し、どうしたらいいかをみんなで考え、それをとにかく実際にやってみる。たとえそれがうまくいかなくても、抽象的な議論よりははるかに収穫があるはず。」  この書き込みがきっかけで実際に大学で授業をやることになりました。かずやさんも参加し、友達大作戦をテーマにした授業をします。    かずやさんは昨年夏、施設を出て、アパートで自立生活を始めました。かずやさんはときどき大声を出します。二階に住んでいる方から、その大声に対して苦情が来ました。  介護者を派遣している事業所の方でとりあえず謝ったそうですが、かずやさんは 「大声を出さないで下さい」 といっても、 「はい、わかりました」 と聞いてくれる人ではありません。これからも大声を出します。  ならば大声と共存する方法を考えないと、この先、お互いが辛いことになります。そこでスタートしたのが「友達大作戦」。要は、ただ謝るだけでなく、 「友達になっちゃおう」 というわけです。  大声が聞こえて、 「うるさい!」 と怒鳴り込むのではなく、 「ったくしょーがねーなー」 とブツブツ言いながらも、なんとかそこで踏みとどまれる関係。  街で会えば 「よう、元気?」 って声をかけられるような関係。  「かずやんちカフェ」を開く時は、一緒においしいコーヒー飲みながら、いろんな話ができる関係。  餅つきをやる時は、かずやさんと一緒に餅つきを楽しんだりする関係。  そんな関係になるにはどうしたらいいかを考えるのが「友達大作戦」。    授業では実際にかずやさんの大声を聞いてもらい、どうしたらいいかを学生さんに考えてもらいます。そこで出てきたアイデアは、実際に現場で試してみます。うまくいくかどうかはやってみないとわかりません。  この「実際に現場で試す」というところが大事です。あーだこーだ言うだけで終わらないところが今回の授業。ほんの思いつきのアイデアであっても、それがおもしろいものであれば社会は反応します。 「自分の手で、社会が変えられるんだ」 って、そんなことに気づくかも知れません。  その気づきは、これから長い人生を生きていく上で大きな自信になります。社会に希望が持てます。若い人たちが社会に希望が持てるって、なんかすごいじゃないですか。    「友達大作戦」の対象は二階の人だけでなく、地域社会全体の人です。地域の人たちみんなといい関係を作ること、それが地域に暮らすことの意味だと思います。  街を歩くと、 「こんにちは」「元気?」 って、いろんな人から声をかけられる関係があることは、とても大事なことです。こういった関係がお互いを豊かにします。重度障害者の自立生活が地域社会を豊かにしていくのです。    問題は授業の時にかずやさんが大声を出してくれるかどうかわからない、ということです。先日もかずやさんの陶芸教室をテレビが取材に来たのですが、その日はかずやさん陶芸に全く乗ってこなくて、本当に困りました。そういうことが十分に予想されるのです。なので、アパートで大声出した時に映像で記録していただいて、一応それを持っていく予定でいます。  いずれにしても、そういうかずやさんのわからなさと、頭抱えながらつきあっていくところにこそ、かずやさんとのおつきあいの奥深さというか、面白さがあるような気がします。    6月14日(月)早稲田大学で授業をやります。どうなりますか。また報告します。    機嫌がいいと下の写真のような感じですが、授業の日、こんな顔をしてくれるかどうかは全くわかりません。そのわからなさの中での授業です。           友達大作戦はこちら www.pukapuka.or.jp
  • よってけ かずやんち
     友達大作戦の打ち合わせをやりました。参加したのは一矢さん、介護者3人、応援団2人の計5名。Eテレが取材していました。  かずやしんぶんの版下をオオツボさんに渡しました。近々地域配布分、7月31日のぷかぷか上映会配布分併せて300〜400部印刷します。  そのしんぶんを持ってなるべく早い時期にかずやさんと一緒に大声の迷惑をかけている二階の方に、あいさつ、謝罪に行きます。色々準備して行っても、会いたくないと拒否される可能性もあるので、油断は禁物。なんかドキドキします。でも、たとえうまくいかなくても、そこで撤退してしまうのではなく、なんとか大声と共存できるうまい方法をしつこく、楽しく模索します。  かずやクッキーは同じアパートの住人4人に配る予定で、注文しましたので、来週にはあいさつ、謝罪に行きます。花の植わった植木鉢、コーヒーカップも持っていきます。さて、どうなりますか。  かずやんちの看板を玄関のドアに飾ろうと思っています。        写真を見ると、二階の方はいつもかずやさんちのドアの前を通るようです。ならばそこに「かずやんち」と書いたほっこりあたたかな気持ちになるような絵が掛かっていれば、気持ちが和みます。たとえばこんな絵。「かずやんち」の文字はもちろんぷかぷかさん。暖簾もいいんじゃない、という意見もあります。              ホームページを作ります。まだ正式ではありませんが、「よってけ かずやんち」みたいなタイトルはどうかなと思っています。「かずやんち」に寄り道してみたら、思ってもみないものがいっぱい詰まっていて、なんだかトクした気分になったり、心がちょっと豊かになったり、そんなイメージです。  コンテンツは「かずやさんのプロフィール」「介護者の日記」「かずやさんの日々」「お知らせ」などですが、そのままのタイトルではおもしろくないので、ちょっと覗いてみようかなって思うようなタイトルをこれからみんなで考えます。何かいいアイデアがありましたらメールでお知らせ下さい。  「かずやんてどんな人」と書いたこんなアイコンをクリックすると、                          Q&Aの形式でかずやさんがどんな人かわかるようになっているとか… 「○○ぼちぼち日記」と書いたアイコンをクリックすると、        介護している人の日々の様々な気づきを書き込んだ日記が出てきます。かずやさんのそばにいるとくつろげる、というオオツボさんの「くつろぐコツのヒミツ」もシリーズで書いていただく予定です。若いカワタさんは、初めて介護に入った日は、おばあちゃんちに遊びに行った時のようなゆるっとした時間を過ごしたそうで、そのあたりの話も書いてもらう予定です。かずやさんの周りにゆるっとした空気が流れているのはどうしてなんでしょうね。そういうことにホームページ見た人が気がついて 「そっかー、今度遊びに行ってみようかな」 って思ってくれれば、ホームページは大成功。  「かずやんのまったりの日々」と書いたアイコンをクリックすると、              今日はこんなことしました、こんなもの食べました、ソファーでぼーっとして過ごしました、というかずやさんのまったりした日々の記録が出てきます。   ま、こんな感じの楽しいホームページができるといいなと思っています。  ホームページを担当する方も会議に出ていましたので、多分近いうちにでき上がると思います。  午後、かずやさんの陶芸教室やりました。全く乗ってこなくて困りました。かずやさんの目を見て下さい。「こいつ、うるせーな」みたいな目です。           お皿を作る時だけ、ちょっとやりました。                      でも、最後に笑顔      Eテレが取材していたのですが、陶芸をやっている絵はほとんどとれなかったようです。ま、こんなもんですね。  予定していたことが予定どおりに行かなかったり、かずやさんが何を考えてるのかさっぱりわからなかったりでしたが、だからこそかずやさんとのつきあいは奥が深くておもしろいのだと思います。いつも私たちが試されているというか… 「友達大作戦」はこちら www.pukapuka.or.jp
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