ぷかぷか日記

「お母さん、幸せだったよ」

「お母さん、幸せだったよ」

 津久井やまゆり園事件の法廷に響いた言葉です。人が生きていることの意味、誰かといっしょに生きることの意味が、このひとことにはあります。

 このひとことに込めたお母さんの思いをしっかり受け止めたいと思うのです。

 そしてそういう思いを共有できるような関係を、障がいのある人たちと作っていきたいと思っています。だから「支援」ではだめなのです。そこからは、お母さんの思いを共有できるような関係はできません。

 「あなたといると、幸せ」と思える関係です。それこそが「共に生きる」関係です。

 津久井やまゆり園、愛名やまゆり園で、また虐待がおこなわれた、と昨日神奈川県が発表しました。「支援」の行き着く先を見た思いです。そして、そういう環境で事件は起きました。

 現場の人たちが、お母さんの思いを共有できるような関係を日々おつきあいしている障がいのある人たちと作っていれば、あの事件は起こりませんでした。

 「お母さん、幸せだったよ」何度も何度も噛みしめたい言葉です。

www3.nhk.or.jp

「表現の市場」は、社会全体で支えて欲しい。

今度の日曜日1月26日(日)はいよいよ第6回目の「表現の市場」。

 

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 準備は着々と進んでいるのですが、気がかりはやはりお金のこと。半年かけて芝居を作り、その発表の場として「表現の市場」をやると、講師、舞台監督などの人件費、会場費を合わせると230万円ほどのお金がかかります。ヨコハマアートサイトから100万円の助成金をゲットしましたが、ほかの助成金申請はすべて没。結局残り130万円ほどはぷかぷかで負担することになります。

 ぷかぷかは貧乏なので、130万円というのは大変な負担です。とりあえず今年は払っていくにしても、この状態が続けば、「表現の市場」の存続は、かなり難しくなります。

 ぷかぷかは収益を増やす工夫をいろいろやっていますが、残念ながら「表現の市場」を支えるだけの収益は得られていないのです。ですからぷかぷかだけで「表現の市場」を存続させることは、もう限界に来ています。

 「表現の市場」の社会的な意味を考え、これを存続させるためにはどうしたらいいのかを考えるとき、ぷかぷかだけが四苦八苦するのではなく、やはり社会全体で支えていく仕組みを作っていかないとだめだろうと思います。

 

 もう一つ大事なこと。3年前の津久井やまゆり園事件は「障害者はいない方がいい」というメッセージを社会にばらまきました。全国で起こっている障害者グループホーム建設反対運動は、自分の地域に「障害者はいない方がいい」という運動です。頭の中では「共に生きる社会を作った方がいい」と思いながらも、自分の家のすぐ隣に障害者のグループホームが建つことになったら、やっぱり不安に思う、という人はたくさんいます。

 そういった社会の中で

 「障がいのある人とはいっしょに生きていった方がいい」

というメッセージを、言葉だけでいうのではなく、舞台というストレートに見える形で表現する「表現の市場」は、とても大事だと思います。「共に生きる社会」がどういうものか、いっしょに生きていくと何が生まれるか、といったことがひと目でわかります。

 事件を超える社会が、ここから生まれます。だからこそ、社会全体で支えて欲しいと思うのです。

 

 どういう仕組みがいいかは追々考えるとして、1月26日には会場費、付帯設備などの支払い、その後、人件費、舞台装飾の支払いがあります。ぷかぷかにとっては、一番厳しい局面です。

 「表現の市場」を支えるための寄付を、ぜひお願いします。

 ぷかぷかは「横浜夢ファンド」の登録団体になっています。夢ファンドに寄付をしていただくとぷかぷかにお金が入ります(寄付の申込書の希望する団体の欄に「NPO法人ぷかぷか」とお書きください)。税制上の優遇措置があります。詳しくは下記サイトをご覧下さい。

 

横浜夢ファンド

www.city.yokohama.lg.jp

archive.city.yokohama.lg.jp

 

★寄付の申込書の希望する団体の欄に「NPO法人ぷかぷか」とお書きください。

 

横浜市 基金の活用

 

横浜市 税制上の優遇措置

 

障がいのある人もない人も、お互いが気持ちよく暮らせる社会を目指します。

どうか応援して下さい。 

★1月26日(日)「表現の市場」当日にも、寄付箱を用意します。

「表現の市場」は、津久井やまゆり園事件に対する、私たちの体を張ったメッセージ

津久井やまゆり園での虐待が、また明らかになりました。

www3.nhk.or.jp

 虐待というのは、相手を人として見ていない、ということだと思います。だからこういうひどいことができる。事件はこういう環境の中で起こったのではないか、というのは以前にも指摘したことです。

 昨年7月のNHKスペシャルでは13時間も拘束された女性の話が出てきました。

www.pukapuka.or.jp

 

 第三者委員会の調査結果を見て、あらためて津久井やまゆり園の現場のひどさを思いました。障がいのある人たちとどういう関係を築くのかというところでは、ぷかぷかと全く正反対です。

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 1月26日(日)の「表現の市場」では

「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいい」

のメッセージが舞台で全開します。彼らといっしょに生きていくと、こんなに素晴らしい舞台ができるのです。社会が豊かになるのです。

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 「表現の市場」の舞台は「障害者はいない方がいい」と暴力的に排除した事件に対し

「それはちがう」

という私たちの「体を張ったメッセ−ジ」です。ぜひ見に来てください。

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ちょっとした気づきが自分の中で何倍もふくらみます。

 区役所の課長、係長クラスの人権研修会をやることになりました。

 ぷかぷかを見学して、ぷかぷかの映画を見て、私の話を聞く、というのが、一般的ですが、それだけでは何かつまらない感じがしたので、詩のワークショップをやりませんか、という提案をしました。

 見学と映画を見るだけでは、それほど人は変わりません。でも、見学と映画を見ることで気づいたことを元に詩のワークショップをやると、ふだん味わえない発見があって、多分人は少し変わります。

 気づきを5行くらいの詩にまとめ、それを集団の詩としてまとめ上げ、最後にそれを誰かに向かって朗読します。ちょっとした気づきが自分の中で何倍もふくらみます。こういったことが自分を豊かにします。

 

 詩を朗読することは、ただそれだけで自分を少し解放します。びっくりするような新鮮な発見があります。それは少しだけ自分を自由にします。新鮮な発見の分、世界が広がるのですから。

 詩のワークショップをすると、ちょっとした気づきが、自分の中で,思いもよらない形で豊かに広がっていくのです。

 

 考えても見てください。課長、係長の立場の人が、誰かに向かって,自分たちの作った詩を朗読するのです。ふだんあり得ないことをやるのです。

 言葉に丁寧にふれる、相手のことを思う。ドキドキしながら、詩を、朗読する。

 なんだか、考えただけで、わくわくします。ひょっとしたら、予想もしない大発見があるかも知れません。

 

 これがぷかぷか流人権研修会です。

 

 誰かに向かって詩を朗読する。

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ぷかぷかさんの発言に、一瞬その場にいたみんながうろたえた。

 第6期演劇ワークショップ6回目。来週には本番の舞台。できあがった台本を使って通し稽古をしました。ようやく全体の構成が見えてきて,本番舞台へ向けての緊張感が出て来ました。

 ある日一郎の家に山ねこからおかしなはがきが来ます。

「あした、めんどなさいばんしますから、おいでんなさい。」

 どんぐり達がだれが一番えらいかでもめていて、もう三日も続いています。困り果てた山ねこが、一郎に助けを呼び、一郎のアドバイスで解決するというお話です。

 

 2回目の通し稽古のほぼ終わるころ、それまで黙っていてショーヘーさんが突然、

「お肌つるつるどんぐりが一番!」

と主張していたどんぐりグループに向かって

「ケンカはやめましょう。みんな勝手なことをいわないで、お互い仲良くするにはどうしたらいいかを考えましょう。」

と、極めて当たり前のことを言い出しました。いつも物事を深いところで考え、時々哲学的な発言をするショーヘーさんらしい発言でした。

 いわれてみれば、全くその通りで、一瞬みんなうろたえましたね。

 「え? ま、そうだけど…」

と、言葉が出てきません。

 お肌つるつるどんぐりチームに,どうしますか?と聞いてみたものの、予想もしなかった発言だけに、

「え?どうしよう」

と、うろたえるばかり。

 「ショーヘーさんの一言には胸をつかれました。彼の中では、現実の世界もお芝居の世界もそう簡単に割り切れるものなんかではなく、どんな世界にいてもショーヘーさんはショーヘーさんなんだなと、平和を願う魂の輝きに触れた気がしました」

と、あとで感想を送ってくれました。

 で、

「どうする?どうする?」

と、またごちゃごちゃとうるさくなります。そこへ山ねこの

「やかましい!」

の怒鳴り声。結局、どんぐり達が前向きに考え始めたのに、それを山ねこは潰してしまいます。時間をかければ、ひょっとしたら平和的に解決できたかも知れないものを、よく話を聞かないまま力任せに「やかましい!」と潰してしまったのです。

 その後一郎に解決方法を聞き、今回は台本通りにやりましたが、ショーヘーさんの発言が生かせるような解決方法を一郎の意見として提案できれば、今までにない『どんぐりと山猫』になるかも知れません。

  ぷかぷかさんの発言に、一瞬その場にいたみんながうろたえたこと、それが今回のワークショップで一番よかったところです。ぷかぷかさん達との関係性がよく見えます。フラットなおつきあいだからこそ、みんなうろたえたのだと思います。そのうろたえをどんな風に生かせるか、一つの勝負所になりそうな気がします。

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 昨年やった『ほらクマ学校を卒業した三人』では、「何でもいいから一番になれ」という考え方が、悲惨な結末を迎える芝居でした。今年は「自分たちこそ一番」という主張がぶつかり合うものです。『どんぐりと山猫』の主題ではありませんが、ショーヘーさんの発言が出てきたことで、そういった主張へのぷかぷからしいメッセージが出せるかも知れません。

 『どんぐりと山猫』は一郎の家に山ねこからおかしなはがきが届くところからはじまるひとときの夢のお話です。ひとときの夢のお話が、ぷかぷかさん達といっしょにやることで、今までとは少しちがう『どんぐりと山猫』ができあがるかも,と思っています。

 いずれにしてもあと一週間。進行役と相談して、ぷかぷかさんの発言を生かすような解決方法を考えようと思っています。

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山ねこ

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馬車別当

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リスの尻尾

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社会にあわせないぷかぷかさん達が作り出した「価値」

 2月2日(日)シェアリーカフェで「社会にあわせなくったってやっていけるよ」セミナーやります。

 

 先日カメラを持ってぷかぷかに撮影に来た人がいました。初対面のあいさつもなく、いきなりテラちゃんがピターッとからだを寄せてきて、

「え?」

っていってる間に手を握られ、

「おう?これはどうしたらいいんだ? おう?」

と、その時のドギマギした様子をブログに書いていました。

 ドギマギしながらも、なんだかうれしくて、笑ってしまって、気がつくとテラちゃんと仲良くなっていて、気持ちよく写真撮ったりしていました。何よりも一気に体の力が抜け、心が自由になったようでした。 

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 NHKの記者が来たときも、こんな最初の一撃で、記者は参ってしまいました。テラちゃんが醸し出すぷかぷかの雰囲気が気に入って、なんと4回も番組で取り上げてもらいました。番組に取り上げる、というのは、番組で紹介するだけの「価値」をぷかぷかで見つけた、ということです。

 社会にあわせないぷかぷかさん達が作り出した「価値」です。その「価値」が、社会をよりよくする、と判断したからテレビで取り上げてくれたのだと思います。

 2月2日(日)のセミナーでは社会にあわせないぷかぷかさん達が作り出した「価値」ってなんだろう、といったことをみんなで話し合えたら、と思っています。

 

 絶対に間違いをさせない、と利用者さんのすぐそばにスタッフがピタッとくっついているパン屋があります。そこへ買い物に行ったお客さん、

 「やっぱりぷかぷかに来るとホッとしますよ」

なんていってましたが、この

「ホッとする」

ということが、今の社会にあっては、ものすごく大きな「価値」だと思います。

 ホッとする空間というのは、物理的にできるものではありません。やっぱり人がいて、その人達が醸し出す空気感の中で、ホッとする空間ができるのだと思います。

 社会にあわせないぷかぷかさん達が作り出す「価値」です。

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シェアリーカフェ・アクセス

shairly.com

「いっしょに生きていくと私たち自身が,そして社会全体が豊かになる」それを感じる上映会をやります。

 2月11日(火・祝)東京都東久留米で『Secret of Pukapuka』『第5期演劇ワークショップの記録映画』の2本を上映します。主宰するロゴスフィルムサイトウさんのブログです。

logosfilm.jugem.jp

 

 サイトウさんは以前『Secret of Puapuka』を見たとき、

「これって、いいとこばかりをつなげたんじゃないの」

と、いかにも映画制作の同業者の感想を言い、上映会の後、すぐにぷかぷかにやってきました。で、ぷかぷかを見て、ぷかぷかの雰囲気を味わった後、

「そのまんまですね」

といい、以来ぷかぷかに惚れ込み、ぷかぷかの映画を何本か作ってもらいました。

 2月11日に上映するのは『Secret of Puapuka』とサイトウさんが編集した第5期演劇ワークショップの記録映画です。

 第5期も、ぷかぷかさんと地域の人たちが一緒になって6ヶ月かけて演劇ワークショップの手法を使って芝居を創りました。演出家が決めた台本をやるのではなく、みんなでアーダコーダいいながら作り上げた芝居です。

 そこでは障がいのある人たちと地域の人たちがフラットなおつきあいをしています。「フラットな関係」、言い換えれば「いっしょに生きていく関係」を作ると、どんなものがそこから創り出せるか、記録映画からはそれが見えてきます。

 障がいのある人たちが作り出す価値を1,障がいのない人たちの作り出す価値を1とすると、支援という上から目線の関係だと、そこから生まれるのは、どこまでも支援する側の幅のものしか生まれないので、1+1=1です。でもフラットな関係だと1+1=5くらいの価値が生まれます。そういったものが記録映画から見えてきます。

 フラットな関係、というのはいっしょに生きていく関係です。映画は1+1=5、つまり、いっしょに生きていくと私たち自身が,そして社会全体が豊かになる、ということをストレートに伝えてきます、

 

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 より鮮明なチラシはこちら

pukapuka-pan.xsrv.jp

 

 

 以前、福祉事業所の集まりで上映会と私の話をしました。

 上映会のあとの話し合いで思ったのは、「支援」を仕事にしている人たちの発想の狭さです。「支援」という関係は、支援する側の幅の狭さを生むのだと思います。どうしてそうなるのか。それは1+1がどこまでいっても1の価値しか生まないからではないかと思います。1の幅のものしか考えられなくなります。

 演劇ワークショップで創るような芝居は「支援」という関係では絶対にできません。それは映画を見ればすぐにわかります。「支援」という関係から自由になること。そのことがすごく大事な気がします。 

 

 その時の参加者の感想

・お話を聞いて,感動、感心、頭をガツンガツンと…

・今まで、いかに考えが狭かったか。もっともっと、上の上を行かれている。

・相模原障害者殺傷事件、自分の中で消化できていなかったが、こんなに自分たちのことと話題にしてくれ、考えている。サスマタじゃない。やはり「守り」ではなくて「攻め」

・彼らが人の心を、その町を耕している。笑顔あふれる町になる。

これが素敵な時間じゃないはずがないではないか。

 パンを袋に入れる、その手つきがとても丁寧なんだよ。
 クサイこと言うと、僕が買ったのは「パン」という商品だけではなくて       「やさしさ」とか「まごころ」などの想いも一緒に買ってるんだろうな。
 おいしくて優しい味のパンを食べながら、かわいらしいカードを眺める。
 これが素敵な時間じゃないはずがないではないか。

 

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note.com

「きれいな声をしているねって言われてうれしかったです」 人間はこれだけのことでその日がいい一日になるということを僕は完全に忘れていた。

 パン屋の前のベンチでPCを開く。ぷかぷかさんの気配を感じながら書くってカッコイイ。気配どころか、背後からじいっと見つめるぷかぷかさんも。それでも、彼らのストレートな行動を見せつけられると胸の中に清々しい風が吹く。

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 帰りの会はまるでカオス。全員が好き勝手にしゃべっている。

 「いい一日でしたか?」

 「きれいな声をしているねって言われてうれしかったです」

 人間はこれだけのことでその日がいい一日になるということを僕は完全に忘れていた。

 

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