ぷかぷか日記

やまゆり園が「ぷかぷか」みたいな雰囲気だったら

 今夜のNHKクローズアップ現代は、津久井やまゆり園事件の犯人が手紙の中で、やまゆり園で勤務していたときに「障がい者は不幸を生む元だ」と確信したと書いていたことを取り上げていました。

 やまゆり園のスタッフが、そこで生活する障がいのある人たちとどんなおつきあいをしているのか、私は知りません。でも、犯人の「障がい者は不幸を生む元だ」と確信したのは、やまゆり園で勤務していたときです、と手紙に書いていたと知って、私はちょっとびっくりしました。

 そういうことを確信するような職場の雰囲気を想像してしまったからです。

 犯人特有の思考回路があったにせよ、職場の雰囲気というのは、犯人の思考に大きな影響を与えていたと思います。

 

 ぷかぷかは、私が養護学校の教員をしているときに、障がいのある子ども達に惚れ込んだところからはじまっています。私は彼らとおつきあいすることが楽しくてしょうがないです。そしてそういう雰囲気が「ぷかぷか」にはみなぎっています。

 スタッフみんながぷかぷかさん達とのおつきあいを楽しんでいます。Facebookを見れば、その楽しんでいる様子が目に浮かびます。Facebookはスタッフがそれぞれ楽しいと思ったことを勝手にアップしています。ぷかぷかのFacebookの楽しい雰囲気は、そのままスタッフとぷかぷかさん達とのおつきあいです。

 それが私の中では当たり前だったので、今日のクローズアップ現代で、《犯人が「障がい者は不幸を生む元だ」と確信したのは、やまゆり園で勤務していたとき》と知って、

 「え〜!、何、それ!」

って思いました。やまゆり園が「ぷかぷか」みたいな雰囲気だったら、犯人は「障がい者は不幸を生む元だ」なんてことは、多分思わなかったと思います。

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朝日新聞に「ぷかぷか」の取り組みが紹介されました。

今朝の朝日新聞に、「やまゆり園事件が残したもの」という特集の中で「ぷかぷか」の取り組みが紹介されました。とてもいい感じの紹介です。

digital.asahi.com

 「一見、パン職人風のユースケさん(35)は、注目されると「見るなよ」と照れて隠れるシャイな性格。でも、子どもたちが大好きだったり、店の前に並ぶ花の手入れを毎日したり。ぶっきらぼうだが、心優しい。」と紹介されたユースケさん、去年はNHKのカメラマンを怒鳴りつけたりしていましたが、根は優しい、シャイな青年で、朝日新聞の若い女性記者は、そこをしっかり見抜いていました。「一見、パン職人風」もいいところみてるなぁ、と思いました。

 

 帰りがけ、ユースケさんに

「朝日新聞にいい男の写真載ったし、街を歩くと、え?あの人新聞に載ってた人だよね、きっと有名人よ、なんてひそひそ噂されて、ひょっとしたらサイン求められるかも」

っていうと、うるさい!とかいいながら、うれしそうにニタニタして、まんざらでもない様子でした。こういう人とおつきあいできるって、本当に幸せなことだと思います。

 

 

 やまゆり園事件はなんの罪もない重い障がいのある人たちが犯人の身勝手な論理で19人も殺される、という悲惨極まりない事件でした。ここからどう抜け出せばいいのか、本当に気の重くなる事件でした。

 事件直後は事件への批判がたくさん出ました。事件への批判は大事です。一つ一つうなずきながらも、批判だけでは、私たちは前に進めません。

 黙っていても、新しい朝はやって来ます。どんなに悲惨なことがあろうとも、すがすがしい朝の光りの中で、私たちは前に進みます。

 前に進むこと、それが、生きている、ということだと思います。

 その、前に進む手がかりを昨日、今日の記事は提供していると思います。

 あの事件の1年後にこういう記事が出たことに、私は希望を感じることができます。

 

 私の古くからの友人〈ずっと障がいのある人たちにかかわってきた人です〉は、何かにつけ、障がいのある人の側について、ひとこと言いたい人ですが、珍しく今日の記事は絶賛していました。いい感覚で書いてるって。どこかで希望を感じたのだと思います。

 

明日の朝日新聞にやまゆり園事件に関連して《ぷかぷか》の取り組みが紹介されます。

 今朝の朝日新聞に津久井やまゆり園事件に関連して、各地で取り組んでいることの紹介が載っていました。一つは施設がこの事件をきっかけに作った絵本を保育園や小学校で子ども達に朗読しているお話、もう一つは大学での連続講座の話です。

digital.asahi.com

 大きな話の言いっぱなし、聞きっぱなしではなく、こういう聞き手にちゃんと届くような具体的な取り組みこそが社会を少しずつ確実に変えていくのだと思います。子ども達と学生さんが今後どのような人生を歩むのか、楽しみです。こんなふうに未来に希望の持てる取り組みがいいですね。

 

 明日はこの欄で《ぷかぷか》の取り組みが紹介されます。若い女性記者が書きます。ぷかぷかをどんな風に受け止めてくれたのかなぁ、とすごく楽しみにしています。

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ブルーベリー狩りに行ってきました。

 久しぶりにブルーベリー狩りに行きました。

 入り口から入ってすぐのこの道が好きです。いつもは木洩れ日がきれいなのですが、今日は残念ながら薄曇り。

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右側にゆるやかな谷が広がったこのあたりの風景もすばらしいです。

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トーテムポールのおじさん、今日も元気に立っていました。

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この渋い顔がいい!

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峠を超えたこのあたりの森がすごくいいです。

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道を下っていくと右側にブルーベリーの畑。

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ブル-ベリーを使ったパンです。

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え?100円払うと、ぷかぷかさんと一緒に食器洗えるんだって?ラッキー!

 ぷかぷかは「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ」というメッセージを日々発信しています。なぜいいのか。それは、一緒に生きていった方が、人生トクすると思うからです。一緒に生きていった方が、私たち自身の人生が豊かになるからです。楽しくなるからです。

 7月25日にオープンする「ぷかぷかさんのおひるごはん」は、「750円払うと、ぷかぷかさん達といっしょにお昼ごはん食べられるよ」というお店です。750円は、お昼ごはんの値段ではなく、ぷかぷかさん達といっしょにお昼ごはんを食べることの値段です。ぷかぷかさん達といっしょにごはんを食べることに、価値を見いだしているのです。

 言い換えれば、ぷかぷかさん達と一緒に生きることに価値を見いだし、そこを今まで以上に積極的に評価していこうというわけです。

 ぷかぷかのパン教室が、すっごく楽しいのは、ぷかぷかさん達と一緒にパンを作るからです。パンを作る楽しさに、彼らと一緒に作る楽しさが加わって、こんなに楽しいパン教室は、多分ほかにないと思います。

  生地の発酵を待っている間に下の写真のように突然「人間知恵の輪」がはじまったりします。ぷかぷかさん達がいるからこそできることです。そのことの意味をもっともっと私たちは考えていいように思います。彼らといっしょにいること自体に価値を見いだそう、というのはこういうことのたくさんの経験の上に出てきたものです。

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  ぷかぷかの演劇ワークショップも、芝居作りの楽しさに、ぷかぷかさん達と一緒に作る楽しさが加わって、もう本当にやみつきになります。ぷかぷかさん達と一緒にやる演劇ワークショップは今までにない新しい芝居を創り出します。ぷかぷかさん達が一緒だからこそ創り出せる新しい「文化」といっていいほどのものです。いっしょにいると豊かなものが創り出せるということが、誰の目にも見えます。

 一緒に生きた方がいい理由を、ワークショップに参加した人は体全部で感じとることができます。芝居を見に来た人も目と耳と、体の全部で感じとることができます。「一緒に生きると、こんなに楽しいことができるんだ」「一緒に生きていった方がいいね」って、理屈抜きに思えるのです。

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 話を「ぷかぷかさんのおひるごはん」に戻しましょう。

 「ぷかぷかさんのおひるごはん」には様々なおいしいティを用意しています。

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 ぷかぷかさんと一緒に食べるお昼ごはんのお金750円に250円追加すると、このおいしいティが飲めます。250円はおいしいティの価値です。

 まだタカサキの頭の中だけの構想ですが、厨房がもう少し落ち着いたら、お客さんも自分が使った食器をぷかぷかさんと一緒に洗えるような仕組みができたらいいなと思っています。ぷかぷかさんと、ほんのちょっとですが、一緒に仕事をするのです。

 少し前は、自分の使った食器を自分で洗えば10円引きにしようかなと思っていました。でも今は、100円追加料金払うとぷかぷかさんと一緒に食器が洗える、というふうにしようかなと考えています。つまり、ぷかぷかさんと一緒に仕事をすること自体が、一つのかけがえのない価値を持っている、と考えるのです。

「え?100円払うと、ぷかぷかさんと一緒に食器洗えるんだって?ラッキー!」

なんて受け止め方をしてもらうといいなと思っているのです。

 「あれができない」とか「これができない」とか「社会の負担」とか「社会のお荷物」とか「効率が落ちる」とか「いない方がいい」とか「生きてる意味がない」とか、とにかくマイナス方向での評価が圧倒的に多い社会にあって、

「彼らと一緒に生きること自体に価値がある」

という考え方は、障がいのある人たちの受け止め方、彼らとの関係に大きな変化をもたらす気がします。

 「ぷかぷかさんのおひるごはん」は、そういう考え方の具体的な試みでもあるのです。

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「いっしょにいるといいよね」と自然に思える関係

 NHKが取材に来ました。相模原障害者殺傷事件の犯人が「障がい者はいない方がいい」といったことに対して、「障がい者はいた方がいい」という映像を作ります、とブログに書いたことがきっかけで何度か取材に来ました。今日はお店の雰囲気を撮りに来ました。

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セノーさん、今日はちゃんと仕事をやっていました。

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ユースケさんは花の手入れをしているところを撮られていました。記者の笑顔がいいですね。

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お客さんにもインタビュー

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 相模原障害者殺傷事件からそろそろ1年がたちます。事件に対して私たちは何をしてきたのか、障がいのある人たちを排除してしまう社会はどれだけ変わったのか、が問われていると思います。

 ぷかぷかは事件前も、事件後も「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ」というメッセージを日々発信し続けてきました。Facebookを見るお客さんがずいぶん増えました。お店に来るお客さんも増えました。ここに来ると癒やされる、と言うお客さんもずいぶんいます。カオスのような帰りの会に参加するお客さんもいます。

 

 パン教室に来ていた小さな子どもが小学校に上がり、人に優しい言葉は《ふかふかことば》と習い、家に帰ってお母さんに

「人に優しい言葉は《ぷかぷかことば》っていうんだって」

と報告したそうです。ちょっとまちがえたとはいえ、《人に優しい》と《ぷかぷか》を結びつけたことが、私はすごくうれしかったです。

 子ども達がそんなふうにぷかぷかを受け止めてくれていたこと、未来に希望が持てると思いました。

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 事件に対して優生思想云々の話も必要です。でもそれを語ったからって、「そうだそうだ、あれはナンセンスだ、けしからん」といって社会が変わるかといえば、多分変わりません。

 そういった大きな話よりもぷかぷかに出入りしていた子どもが《人に優しい言葉》は《ぷかぷかことば》っていってくれた変わり様の方が未来に希望が持てます。子どもがそんなふうに変わっていく環境を作ることが大事だと思います。

 

 地域の方が、わんどの染め物ワークショップに参加して、そのとき染めた布でバンダナやスカートを作ってきました。

「見て見て」

っていう感じできたのがすごくいいと思いました。福祉事業所を応援するとかではなく、ぷかぷかさん達といっしょに染めた布でこんなの作りました!って、来るような関係です。こういうふつうの関係が広がっていくことが社会を変えていくのだと思います。

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 NHKの記者さんは帰りがけ、テラちゃんとリエさんにつかまりました。記者さんの取材ノートに自分の連絡先を書き、暑中見舞い下さいとか、Facebookやってお友達になりましょう、とかいっぱい書き込んでいました。そのやりとりが記者さんの心をなごませたようでした。

 相模原障害者殺傷事件を超えるのは、障がいのある人たちと、こういう心がなごむような関係をどれくらい私たちが作り出せるか、ということだと思います。「いっしょにいるといいよね」と自然に思える関係です。こういう関係はぷかぷかに来るとすぐに作れます。

 全国の福祉事業所が地域に対してもっとオープンな環境になれば、こんな関係が全国で広がっていきます。そうなると社会はどんどん変わっていくと思います。

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 緑区役所は人権研修会でぷかぷかさん達の話を聞き、そのあとプロモーションビデオを見て私の話を聞くという企画を立てています。ぷかぷかさん達の話を聞く人権研修会は一昨年の12月にやったのですが、とても好評で、ぜひまた、ということで来年1月にやることになりました。

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 こういう企画をあちこちの区役所や市役所などでやっていただけるとうれしいです。 

プロモーションビデオ第2弾(15分)

www.youtube.com

 

NHKの放送は来週26日前後の「おはよう日本」だそうです。ぜひ見てください。

高崎さんの「支援しない」姿勢がとても好きです。

 第4期演劇ワークショップの参加者を募集したところ、うれしくなってしまうような申し込みがありました。

 

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ご縁があって高崎さんのブログに辿り着きまして、
楽しく温かく、そしていつも「そうそう!」と
思わず膝を叩きたくなるような気持ちで、
高崎さんの綴られることばに触れさせて頂いています。
 
ぷかぷかさんたちの生き生きとした躍動をことばや写真で感じるたびに、
ベーカリーやイベントで実際にぷかぷかさんたちと触れ合いたい。
図々しくも…友達になってみたい、とそんな思いを抱えておりました。
 
スケジュール的になかなか都合がつかなかったり、
なかなか実現できずに残念な気持ちで過ごしていたところに
この演劇ワークショップ参加者募集の告知。
 
第4期演劇ワークショップ、
ぜひ参加させて頂きたい!と思い立ち、ご連絡させて頂きました。
 
障がい者と健常者。
大人と子ども、男と女、外国人と自国民。
 
弱者へ手を差し伸べる。という社会的に認知されている構図。
 
子どもの頃から、
″境界″があること、と、″弱者″というポジションを作り上げてそこに囲い込む、
システマティックなコミュニケーションに違和感を感じ続けてきました。
 
高崎さんの「支援しない」姿勢がとても好きです。
共にお互いの表現を楽しむ仲間。
困ったことも嬉しいことも、どちらも同じように愛おしむ。
という空気がそこには流れているのを感じ、とても嬉しくなってしまうのです。
社会的な位置づけや枠組みから自由になって存在そのものに触れていたい。
 
この演劇ワークショップでは、
″境界を溶かすこと″
″存在そのもので触れ合うことの喜び″
そういったことをぷかぷかさんやぷかぷかさんを愛するひとびとと
共に感じてみたい。そんな気持ちを胸に抱いています。
 
そして、その舞台を観た方のこころの深い部分に何かを残せるような、
そこから各々の新しい世界がまた拡がっていくような時間になれば
最高なことだとおもいます。
 
実は中学校時代に演劇部だったこともあり。
その経験もフル動員して、みなさんと創り上げる時間と空間を楽しみたい!
そんな思いで手をあげさせて頂きました。
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 演劇ワークショップは障がいのある人たちを支援するためにやっているのではありません。どこまでも彼らといっしょに、彼らとフェアな関係の中で、新しいものをわくわくしながら作っていく、ただそれだけです。
 支援どころか、ワークショップの場は、彼らに支えられています。あれができない、これができないと蔑まされている障がいのある人たちに私たちは支えられているのです。こういう関係がおもしろいなと私は思います。今までにない新しいものというのは、こういうところから生まれます。
 どうして彼らがワークショップの場を支えているのか。それは彼らが私たちの何倍も自由だからです。その自由さがワークショップという表現の場では何よりも大事です。その自由さをワークショップの場では存分に生かすことができます。
 だからこそ、彼らに向かって「あなたにここにいて欲しい」「ここではあなたが必要」と素直にいえるようになります。障がいのある人たちに向かってそんなふうに素直に思える場って、多分なかなかないと思います。
 理屈で障がいのある人たちと共に生きていこう、ではないのです。いっしょにワークショップをやっているうちに、自然にそう思ってしまうのです。そうして何よりも、この人たちとは一緒に生きていった方が絶対にトク!って自然に思ってしまいます。そこがワークショップという場のすごいところだと思います。
 
 
 真ん中でダンスを踊っているイクちゃんは、リハーサルの時、彼が勝手に踊り出し、いい感じだったので、本番もそれで行こうと、こういう舞台になりました。そういう自由さがワークショップの舞台では生きるのです。そういう自由さがワークショップの舞台を支えているのです。

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 相模原障害者殺傷事件の植松被告が、もしワークショップに参加し、そこで障がいのある人たちに出会っていたら、事件は絶対に起こらなかったと思います。彼は「支援」の現場にいた経験がありました。そこではどういう関係を障がいのある人たちと作っていたのかと思います。ここのところこそ、もっともっと掘り下げて考えていく必要があると思っています。
 

ぷかぷかさんに「救われた」

 以前ぷかぷかさん達に「生きるってどういうことか」を教わった、とステキな話 (http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2017/06/18/213251

を書いてくれた金子美香さんが、今度はぷかぷかさんに「救われた」話を書いてくれました。

 障がいのある人たちは「支援」が必要だと、多くの人たちが考える世の中にあって、障がいのある人たちに「救われた」と考える人がいたことは、ちょっとびっくりです。「一緒に生きていった方がいいよ」の更に先へ進んでいるような気がします。彼らとの新しいおつきあいの仕方が見えてきます。彼らとのおつきあいの中で「救われた」人のお話です。

 

 

 

 

私はぷかぷかの「おわりの会」が大好きです。
一日の仕事が終わるというのに、みんな疲れた感じも見せず、ガヤガヤおしゃべりしながら、パン屋、総菜屋、畑、アート、などなど、それぞれのセクションの代表の人がその日のことを話していきます。
 
とにかく、代表の人がスピーチしているにもかかわらず、なんかガヤガヤしていて、カオスなんですよ。(笑)
あれで「会」として成立しているのが、スゴいです!
成立しているというか、「成立しているということにしよう」という前向きさがある気がします。
 
そのエネルギーが好きで、育児で孤独だったころは、おわりの会に時々お邪魔していました。20分参加するだけで一日分のコミュニケーションが出来る気がするので、効率的なエネルギー補給になります。参加した日は、ほどよい疲労感とともに帰路につきました。
 
そんな「おわりの会」に、娘の1歳の誕生日に家族でお邪魔しました。
 
日ごろお世話になっているスタッフさんやぷかぷかさんに、誕生日当日に「1歳になりました~!」って言いたくて、ぷかぷかに寄ったんです。
せっかくなら、大好きな「おわりの会」の時間にしよう!と思いました。
 
そうしたら、私たち家族の存在に気付いてくれた高崎さんが、会の最後に
「金子さん、なにか一言どうぞ」と言ってくださったので、
「今日、娘の1歳の誕生日で~す!」と言ったんです。
 
そうしたら、「まなかちゃん、1歳の誕生日だそうです!では歌いましょう、せ~の」の掛け声で、ハッピーバースデーの大合唱が始まりました!
 
うちの娘、1歳の誕生日を40~50人の人に歌をうたってお祝いしてもらうなんて、すごいです!
 
私だって、そんな大人数に歌ってもらったことあるか分からない。(笑)
 
旦那は、その温かさに号泣して、撮っていたムービーがガタガタでした。
 
あぁ、温かいなぁ。
 
「では、歌いましょう!せ~の」で大合唱できるということは、誰かの誕生日をいつも祝うということを日常的にやっていて、習慣になっているんだと思いました。
 
お誕生日を祝うって、その人の存在を認め、祝福しているということですよね。
 
以前、ぷかぷかに取材に来ている新聞記者の方に
 
「私たち夫婦は、ぷかぷかに救われたんです」という話をしていると
 
「ぷかぷかさんたちにあって、金子さんに無いものってなんだと思いますか?」
 
と聞かれました。
 
私はふと
 
「ぷかぷかさんたちが持っているもの、私もきっと持っているんだと思うんです。
 
でも、私は他にいろいろと余計な荷物を持ちすぎて、それを持っていることを忘れているんだと思います」
 
と答えました。
 
この「本当は私たちもきっと持っているはずのもの」って何だろうって思っていたのですが、
 
それは「生きている」っていうことなのかなと思いました。
 
普段、人と会っても、わざわざその人が「生きている」とか「存在している」とかいうことって、当たり前すぎて意識しないんですよね。
病気を克服したとかいう事情があれば別ですけれども。
 
ぷかぷかさんたちには、私が背負っている「余計な荷物」、それってたぶん常識だとか「ふつうはこうだ」みたいなのとか、人から評価されるにはこうした方がいいとか、こういうことをすると変な目で見られるとかなんですけど、そういうのが無い。
 
だから、純粋だし、そこに生きているっていう「いのち感」みたいなのが前面に出ている。
 
普段、社会的にふつうに生きていると、人の前面に出ているのって「どこの会社の」とか「どういう肩書きの」とかそういうのが表に見えて、その人の「いのち感」ってあまり感じないです。
 
それが悪いっていうわけじゃないんです。そうした方が伝わりやすいこともあると思います。
 
でも、じゃあ、ふつうの人たちがみんな ぷかぷかさんを見て救われるかっていうと、そうじゃないんじゃないかと思います。
 
私たち夫婦がぷかぷかさんたちを見て救われた理由は、本音では「純粋に生きたい」っていう思いがあったからだと思います。
 
純粋性を求める気持ちが心の奥にあったから、ぷかぷかさんと共鳴した。
 
自分たちで言うのもなんですが、「純粋に生きたい」っていう自分の気持ちを、「そうだよね」って認めてあげられる感受性があったから、涙が出たし、感動した。
 
「あぁ、私って、僕って、純粋に生きたいんだな」
 
「純粋に生きていいんだな」
 
ぷかぷかさんたちを見て、そういう自分の本音に「それでOKだよ」「そうやって生きようよ」って許可を出せた気がしたんです。
 
「本当は純粋に生きたいよ」と叫んでいた自分の心を、救ってあげられた。
 
だからぷかぷかさんに「救われた」っていう言葉になったんだと思います。

カナダで上映会決定!

 9月30日、カナダのバンクーバーでぷかぷかのプロモーションビデオ2本の上映が決まったと昨日pvプロボノの中島さんから連絡が入りました。

 カナダのバンクーバーを拠点に世界規模で展開している自閉症(Autism)の方たちの活動を応援している団体があるのですが、その団体が主催する大きなフェスティバルで上映されます。下に貼り付けたのがそのフェスティバルのサイトです。英語なので、よくわからないのですが、映像、ダンス、空手などのパフォーマンス、詩、アート、発明、社会活動などなど、すごい種類のカテゴリーを設けて盛大に開催している ようです。

https://www.naturallyautistic.com/2017-8th-annual-world-autism-festival/

 

Facebookはこちら

 

https://www.facebook.com/worldautismfestival/

 

 映画のタイトルは「The secret of PukaPuka」で検討中だそうです。「ぷかぷかのヒミツ」ということになるのでしょうか。「ぷかぷか」の空気感がどうして生まれたのかのヒミツに迫る、ということだと思います。「いっしょにいると心ぷかぷか」のメッセージが、こんなふうにして世界に広がっていくのですね。なんだかわくわくします。

 今回の件は福祉関係者ではなく、プロモーションビデオを見た映像関係者が繋いでくれました。そこがすごく面白いと思います。福祉の世界からのメッセージの発信を、全く福祉に関係していない人が受け止めてくれ、ここまでやってくれたことはすごいことだと思います。メッセージの普遍性とチカラを思います。これからの広がりが楽しみです。

 上映会をするフェスティバルのホームページにプロモーションビデオのバナーを貼り付けるそうで、ここからどれくらいの広がりがあるのかすごく楽しみです。フェスティバルの主催団体は世界規模で活動しているそうなので、多分いろんな国の人が見ることになると思います。

 今回、翻訳前の映像を見て上映を決めています。 プロモーションビデオは「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ」というメッセージを映像にしたものです。そのメッセージが言葉を超えて届いたことがすごくうれしかったです。これがpvプロボノのいう「映像のチカラ」なのかと思いました。「映像のチカラ」と映像を受け止める側のセンスがうまく重なって、今回の企画が実現したのだと思います。

 カナダでの上映会のためにプロモーションビデオの翻訳をします。通訳の仕事をやっている辻さんのお母さんにお願いする予定です。

 

 上映後にQ&Aコーナーも設けるそうで、スカイプでの参加も可能と連絡がありましたが、私はやっぱり現地まで出かけて行こうと思います。上映後、「いっしょにいると心ぷかぷか」のメッセージがどんな風にカナダの人たちに伝わったのか、ぜひ自分の目と耳で確かめたいと思っています。それはカナダの人たちが障がいのある人たちをどんな風に受け止め、どんな関係を作っているのかを見ることでもあります。映画で語りきれなかった「ぷかぷかのヒミツ」も話してこようと思っています。

 プロモーションビデオ第2弾も上映するので、当然、相模原障害者殺傷事件にもふれることになります。事件はカナダの人たちにとっても大変なショックだったと思います。そんな人たちを前に、犯人を生み出した日本の社会をどんな風に語ればいいのか、頭が痛いところです。

 

 今回カナダで上映するプロモーションビデオはYouTubeで見られます。ただこういうのは一人で見るより、みんなで大きなスクリーンで見て、上映後お互い感想を言い合ったりする方が、得るものが多いと思います。前に進む手がかりがつかめるかも知れません。必要なら高崎も呼んで下さい。

   問合せは045ー453−8511 もしくは pukapuka@ked.biglobe.ne.jp

プロモーションビデオ第1弾(5分)

www.youtube.com

 プロモーションビデオ第2弾(15分)

www.youtube.com

 

かずまくんが家出!

かずまくんが家出した、とお母さんから連絡が入りました。かずま君は自閉症で多動の傾向があります。目を離すと、どこへ行くかわからない怖さがあります。

 

土曜日におじいちゃんのお家へ行きました。
久しぶりに来たのにお兄ちゃんのゲームがやりたくて、「おやつもいらない!ゲームやりたい!」とひつこく言うので、少し強く怒ったらスネてしまいました。
しばらく放っておいたら自分のリュックを背負って来て

「ぼく いえでしようと思って」

はぁ…  家出ですか。

「家出したいの?もうお母さんと会えなくなるけど、いいの?」

「うん」

「お外暑いよ。お茶もないよ」

「うん」

意思はかたく、すでに靴を履いています。
仕方ない。
行ってらっしゃいませ と見送り、心配した長男とすぐにコッソリ追跡することにしました。

歩き方に迷いは無く、ズンズン歩いて行きます。
私と長男は探偵さながら電柱や車のかげに隠れ、汗だくになりながら、見失わないように追いかけました。

コンビニ前の赤信号で止まり、「ちゃんと信号で止まってるわー」と感心していると、突如クルッとひるがえし、バッチリかずまに見つかってしまいました。
かずまは、あちゃー‼︎と慌てた私に近づき

「ぼく、いえでやめようと思って。お母さんとなかなおりしたいんだよ」

「帰ってきてくれるの?よかった。かずまがいないとみんなさみしいから。じゃあ 仲直りだね」

「うん。いえでして ごめんなさい」

帰り道、心配で見にきたおじいちゃんが「おかえり」と言ってくれ、手を繋いで帰りました。

帰るとおばあちゃんが何事もなかったように「かずま君おかえりなさい」と出迎えてくれ、いつの間にか先に戻っていた長男が「冷たい水飲む?」と声をかけてくれたりして。
これまた普通に「ただいまー」と答えるかずまにトホホとなりつつ、みんなの優しさに少しジーンとしました。

時間にしてわずか15分
かずまの大冒険でした。

それにしても、家出なんかどこで覚えたのか。

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 お母さんからメールが来て、え〜っ!ってちょっとびっくりしたのですが、お母さんのうまい対応で、心あたたまる物語に収まりました。こういう物語に収まるかどうかは、お母さんのセンスひとつだと思います。

 かずま君とお母さん、ステキな物語をありがとう!

 

 

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