ぷかぷか日記

木とアートする

 ケヤキの中を流れる水を描きました。

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その絵をケヤキに飾ります。

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こういう感じになりました。

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顔を出したらおもしろいじゃん!

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なんとなく木と一体に

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あんちゃんも

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 明日のワークショップはこんな感じで行きます。明日は地域の方も十数名参加予定なので、もっとおもしろくなりそうです。地域の人たちと、こういうことを楽しめる関係が、すごく大切な気がします。地域の豊かさがこういうところから生まれます。

そのとき、オウちゃんは何を思うのかな

3年前、こんな赤ちゃんだったオウちゃんが、

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こんなに大きくなって先日パン教室に参加しました。

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 お母さんと時々ぷかぷかに来ていて、すっかり顔なじみです。

 ぷかぷかさん達は当たり前のようにオウちゃんのまわりにいます。オウちゃんの中には「障害者」という言葉は、多分まだありません。小学生くらいになって、どこかでその言葉を耳にします。オウちゃんはどんな風にその言葉を受け止めるのかな、と思います。

 社会の中の「障害者」のイメージと、オウちゃんの中のイメージは多分ずいぶんちがいます。オウちゃんにとっては優しいお兄さんだったり、楽しいお姉さんだったり、パン作りを教えてくれたお兄さんだったりします。社会にある否定的なイメージはありません。否定的である理由が、オウちゃんは多分わかりません。

 善意ある先生が「障がいのある人たちとは仲良くしましょう」なんて言うかも知れません。でも「それって、なんかちがうよな」って、多分思います。気がついたら、まわりにぷかぷかさん達がいて、ふつうにつきあっていただけで、「仲良くしましょう」なんて気色悪いじゃん、なんて思うかも知れません。

 これから長い人生です。オウちゃんは何を思いながら生きていくのだろうと思います。

 

 20年後、結婚して奥さんがいたら、ぜひいっしょにパンを買いに来て欲しいな。そして子どもができたら、こんなふうにぷかぷかの前で抱っこして欲しいな。

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少し大きくなったらパン教室にも連れてきて欲しいな。こんな顔して食べてくれたらすごくうれしいよ。

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 いのちが、ぷかぷかのまわりを、ぐるぐるまわります。

ガジュマルの木とキジムナー

 古いパソコンの中に養護学校にいるときに作った芝居の台本が見つかりました。高等部2年の時のものです。高等部2年生は沖縄に修学旅行に行きます。それで沖縄をテーマにした芝居をやりたいと思っていました。

 1年前に沖縄に修学旅行の下見に行きました。旅行の下見と同時に、芝居の手がかりも探しました。読谷村の名もない小さな公園で、すばらしいガジュマルの木を見つけました。惚れ惚れするほどの枝振りで、ここから芝居を始めようと、そのとき思いました。

 ガジュマルの木の唄とそのガジュマルの木にすんでいるキジムナーの唄から芝居がはじまります。

 沖縄がテーマですから、当然沖縄で戦争があったことも入ります。どんな風にそのことを入れるかは、かなり悩みました。ガジュマルの木はその戦争を見ています。キジムナーといっしょに何らかの形で戦争に絡みます。

 悩みながら作った台本です。今、読んでもいい台本だと思います。養護学校でも、その気になればこれくらいの芝居ができたのです。

 芝居の最後の方で兵隊が出てきます。なんともいえないおかしい兵隊でした。軍隊調でにピシッと歩くはずだったのですが、彼らがやると、なんともおかしい雰囲気になるのです。でも彼らのその雰囲気が、ヘタするとすごく重い雰囲気になってしまう場面を救ってくれました。これは演出では絶対できないことでした。そこにこそ、彼らがやることの意味があったように思います。あの兵隊達のおかげで、いい芝居になったと思っています。

 ちょっと長いですが、台本ですからすぐに読めます。

 

 

 ガジュマルの木とキジムナー

           2008年学習発表会 高等部二年台本

 

 

  舞台左下からガジュマルの木たちがケチャをたたきながら舞台に上がる。

 

♪ わしは ガジュマルの木

  おじいさんの おじいさんの

  そのまたおじいさんが まだわかかったころから

  わしは ずっと ここに こうやって 

  えだをひろげてたっている

  あめのひも かぜのひも もちろんはれのひも

  ここにこうやって たっている

  そして えだのかげには きじむなー

 

   ガジュマルの木たちは舞台左袖へ引っ込む。

 

キジムナーたち、鈴を鳴らしながら舞台右下から元気よく登場。

   踊りながら…

 

♪ おれは きじむなー

 ふるい おおきな がじゅまるのきが

 おれの すみか

 あかるいうちは いちにちじゅう ひるね

 よるになると ひゅわ~んと どこかへ とんでゆく

 ひゅわ~ん ひゅわ~んと かぜにのって とんでゆく

 さあ こんやは どこへいこうか なぁ ひゅわ~~ん

 

キジムナー① 「さぁ、こんやはどこへいこうか。」

キジムナー② 「おれたちの友達の小さな魚達をとっていったヤツがいるぞ。」

キジムナー③ 「読谷村のモモコとヨシコだ。」

キジムナー④ 「よし、しかえしにいこう。」

キジムナー⑤ 「病気のお母さんに魚を食べさせたらしいぞ。」

キジムナー⑥ 「でもおれたちの友達をくっちまったんだからしかえしだ!」

キジムナーたち「そうだ、そうだ」

キジムナー⑦ 「ハブを持っていって放り込んでやろうぜ。」

キジムナー⑧ 「よし、いこう!」

キジムナーたち  ♪ひゅわ〜ん ひゅわ〜ん ひゅわ〜ん

          ひゅわ〜ん ひゅわ〜ん ひゅわ〜ん

 

  ひゅわ~んと飛びながら舞台を一周した後、上手に引っ込む。

 

  暗転

 

  舞台下手側にモモコとヨシコの家。

  病気の母が横になっている。

 

モモコ    「お母さん、これを食べて早く元気になって。」

母      「ああ、このさかな、おいしいね、」

ヨシコ    「母さんがよろこんでくれて、すごくうれしい。」

 

  観客のほうを向いて

 

モモコ    「私のとうさんは 五年前、おおしけの日に 海に出たまま 

        帰ってこなかった。」

ヨシコ    「それ以来、村の人たちの仕事を手伝って食べ物をもらい、

        母さんをやしなってきた。」

 

  上手側からキジムナー、ハブを持って登場。壁越しに歌を聴く。

   

モモコ、ヨシコ  ♪ かあさんがうえて とうさんがそだてた ちいさなき

           しろいはなをさかせたよ

           かあさんにだかれて とうさんにうたってもらった 

           あのうたを わたしたちはおぼえているよ

 

キジムナー⑨  「う〜、あの歌を聴いたら、なんだか胸がしくしくするなぁ。」

キジムナー⑩  「俺は胸がきゅ〜んとなっちゃったよ。」

キジムナー①  「でも、ここまで来たんだから、とにかくハブを投げ込もう。」

キジムナーたち 「せーの そら!」

 

    ハブを投げ込んだとたん、花に変わる。

 

キジムナー②  「やや、どうしたんだ」

キジムナー③  「ハブが花に変わったぞ!」

キジムナー④  「えー!どうして?」

 

  ガジュマルの木の精たち、下手袖から登場し、舞台の前へ並んで歌う。

        

 ♪ キジムナーは やさしいこころを もっている

   やさしいこころを もっている

  それが はぶを 花に かえた

  花に か え た

 

暗転

  キジムナーたち、舞台右下へ。

  モモコとヨシコの家、撤去。

  ガジュマルの木の精たち、舞台の真中に立つ。

 

ガジュマルの木の精① 「六十年前、沖縄は戦争に巻き込まれた。」

ガジュマルの木の精② 「私たちは、それを見た。」

ガジュマルの木の精③ 「たくさんの人たちが殺された。」

ガジュマルの木の精④ 「子どもたちも殺された。」

ガジュマルの木の精⑤ 「頭が吹き飛び、」

ガジュマルの木の精⑥ 「手が引きちぎれ」、

ガジュマルの木の精⑦ 「足がもぎ取られた。」

 

  ガジュマルの木の精たち、下手、袖に引っ込む。

 

  大砲、上手に設置。

兵士たち、音楽に乗って上手より登場、舞台を一周。大砲の前に立つ。

 

隊長      「よし、明日の朝、明るくなったら敵の村に向かって   

         大砲を撃つぞ。夜が明けるまで仮眠だ。」 

兵士たち    「さぁ、寝よう寝よう」

    音楽に乗って上手に退場。

   

暗転

 

    タローとジローの家を下手側に設置。

大砲が向いている村では子どもたちがお母さんとお話ししている。

 

タロー      「ねぇ、お母さん。明日の朝、明るくなったら虫を

            とりに行こうよ。」

ジロー      「いや、ザリガニがいい。明日は絶対にザリガニだ!」

タロー      「虫がいい!」

ジロー      「ザリガニ!」

お母さん     「わかりましたよ。じゃあ、両方行きましょう。」

タロー      「やったー!じゃあ、お母さんおやすみ!」

ジロー      「明日の朝、楽しみだなぁ。おやすみ!」

お母さん     「おやすみ!」

 

暗転

家、撤去。

 

ガジュマルの木の精たち、舞台中央に立っている。

 

ガジュマルの木の精① 「まずいぞ」

ガジュマルの木の精② 「あの大砲は村の方を向いている。」

ガジュマルの木の精③ 「ということは、夜が明けると大砲の弾が飛んできて、」

ガジュマルの木の精④ 「あの幸せな親子は吹き飛ばされてしまうぞ。」

ガジュマルの木の精⑤ 「ええ!? どうすればいいんだ!」

ガジュマルの木の精⑥ 「ああ、困った。」

ガジュマルの木の精⑦ 「ああ、困った。」

 

    う〜ん、とみんな考え込む。

 

ガジュマルの木の精⑧ 「そうだ、おれたちの木に住んでいるキジムナーに

           頼んでみよう。」

ガジュマルの木の精⑨ 「キジムナーたち。ちょっと集まってくれ。」

 

    キジムナーたち、舞台下から駆け上がる。

 

ガジュマルの木の精⑩ 「相談だがなあ。」

 

  キジムナーたち、ガジュマルの木の精のまわりに集まり、話を聞いてうなずく。

  ひゅわ~んとどこかへ飛んでいく。

  ガジュマルの木の精たちは、それを見送った後下手に退場。

 

   暗転

 

   大砲、舞台中央に設置。

 

  ひゅわ~んとキジムナーたち飛びながら登場し、

  大砲のまわりを、おまじないをかけるようにまわる。  

  ガジュマルの木の精たち、下手より登場。

  キジムナーたちを囲むように歌う。

 

    ♪ キジムナーは やさしいこころを もっている

     やさしいこころを もっている

     それが はぶを 花に かえた

     花に か え た

 

   暗転

   夜が明けて、兵隊たちが上手より出てくる。

 

隊長     「よし、あの村に向かって撃つぞ。構え」、

 

    兵士たち、おおげさに耳をふさぐ。

 

隊長      「撃て!」

 

    丸い弾がゆっくりと飛び出し、それが花に変わる

    バックで花が一斉に開く。5個、6個、7個…花、花、花で埋まる。

 

    歌が始まる。

 

それに合わせて、周りから花たちが舞台に集まってくる。

       

  ♪  キジムナーは やさしいこころを もっている

    やさしいこころを もっている

    それが 武器を 花に かえた

    花に か え た

 

 花が咲きそろったところで全員で歌。

 

  ♪ キジムナーは やさしいこころを もっている

    やさしいこころを もっている

    それが 武器を 花に かえた

    花に か え た

 

   一瞬暗転

   フィナーレ

   楽しく、思いっきり元気に踊りながら 

   

 ♪ おれは きじむなー

  ふるい おおきな がじゅまるのきが

  おれの すみか

  あかるいうちは いちにちじゅう ひるね

  よるになると ひゅわ~んと どこかへ とんでゆく

  ひゅわ~ん ひゅわ~んと かぜにのって とんでゆく

  さあ こんやは どこへいこうか なぁ ひゅわ~~ん

 

 

 

おしまい!

 

ダイちゃん、辻さんとコラボ

 日本フィルハーモニーのチェロ奏者江原望さんは昨年の演劇ワークショップにチェロ奏者として招かれたことがきっかけで、ぷかぷかさん達に惚れ込み、ダイちゃんとコラボを組んで何度か舞台に立ちました。

  日本フィルのリレーコンサートでの舞台。

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 この舞台、ダイちゃんはしっかりギャラを日本フィルからもらったようです。言い換えれば、江原さんはそういうおつきあい、真剣勝負ができるようなおつきあいをダイちゃんとしたというわけです。

 その江原さんが今度は、辻さんも入れてコラボをしたいと言ってきました。辻さんに絵本の朗読をしてもらい、その朗読の合間にダイちゃんとのコラボの演奏を入れるそうです。本は『さかなはおよぐ』というパレスチナの絵本です。

 

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 パレスチナの絵本なので、ダイちゃんには和太鼓ではない、エキゾチックな音の出る打楽器を持たせる予定、と江原さんは話していました。音楽もアラブの曲を何曲か入れるそうです。

 魚が死ぬ場面ではレクイエムを演奏したいと話していました。

 

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 絵本をプロカメラマンに撮ってもらって、三方向から光を当てるスライドショーをやりたいと話していました。かなり豪華なスライドショーになりそうです。

 

 朗読コンサートは8月13日(日)午後2時からです。みどりアートパークリハーサル室です。

 朗読コンサートのあと、プロモーションビデオ第二弾の上映をします。上映のあと、プロモーションビデオを作った信田さんに映像に込めた相模原障害者殺傷事件へのメッセージについてお話をお伺いする予定です。お話のあと、相模原障害者殺傷事件で犠牲になった方々を思いながら江原さんとダイちゃんによる「レクイエム」の演奏を聴きます。

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 「レクイエム」を聞いたあと、集まったみなさんで相模原障害者殺傷事件のことを少し話し合えれば、と思っています。あの事件は私たちにとってなんだったのか、優生思想云々の大きな話ではなく、日々の暮らしの中で、あの事件はなんだったのか、といったことが話し合えれば、と思っています。

 江原さんには「ダイちゃんと辻さんとのコラボをやりたい」と思ったのはどういうところからなのか、といったお話も聞く予定です。江原さんのやろうとしていることは、相模原障害者殺傷事件の被告の言う「障害者はいない方がいい」とは全く逆の提案です。「障害者はいた方がいい」どころか、彼らと新しいことをいっしょにやろう、という極めて前向きな提案です。事件から1年がたとうとする今、福祉の業界の人でもなく、関係者でもない江原さんがこういう提案をすることにこそ、すごく意味があると思います。そのあたりの話をじっくり聞きたいと思っています。

 

 江原さんはこのユニットの出前公演も考えています。日本のあちこちでこの朗読コンサートが実現できれば、なんだかすごくいいと思います。

 

 8月13日まで、江原さんは何度かぷかぷかに来てダイちゃん、辻さんと練習します。オープンでやりますので、見に来られる方はぜひ見に来て下さい。場所はぷかぷかのアート屋わんどです。練習する日が決まりましたらFacebookでお知らせします。

 

 

 朗読コンサートと上映会のチケットは2000円です。今回は経費がいろいろかかるので少し高めです。申込、お問い合わせはぷかぷか高崎までお願いします。会場が狭い(定員60名)ので、必ず予約して下さい。

   045-453-8511 もしくはメールで  pukapuka@ked.biglobe.ne.jp  

 

  江原さん、すごく張り切っています。朗読のあと江原さんのソロ演奏もあります。江原さんは日本フィルハーモニーのチェロ奏者です。これはもう聞かないと絶対損!です。

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★準備不足のため、公演は延期します。 11月か12月頃になると思います。日時、場所が決まりましたらまたお知らせします。

★9月30日、カナダのバンクーバーで公演します。 

 

もったいないけど、街の人に貸してあげるよ

 すばらしい映像見つけました。障がいのある人が街を歩くと街の人たちが少しずつ変わっていく、ということがよくわかる映像です。

 次郎くんは言葉がしゃべれません。でもどんどん街へ出て行きます。言葉がしゃべれなくても、いろんなところで人に話しかけ、うまい具合にコミュニケーションが生まれます。相手の人たちは最初は多分いろいろ戸惑ったのだろうと思います。それでも何度か次郎くんとおつきあいするうちに、次郎くんの言いたいことがだんだんわかってきます。そして今は次郎くんがいて当たり前の街になっているようです。これを《次郎は「次郎という仕事」をしている》と話すお母さんの発想がすばらしいと思いました。

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 《次郎は「次郎という仕事」をしている》という考え方は、ちょっと目からうろこでした。仕事というものについての今までにない新しい発想だと思いました。こんなふうに見ていくと、障がいのある人たちのする仕事の幅が、人の数だけ広がります。

 たとえば毎日郵便局に行っているセノーさんは、「セノーさんという仕事」をしている、と考えると、セノーさんはただ入金の仕事だけでなく、「あああああ…」といいながら、郵便局のお姉さんたちや郵便局に来るお客さん、中でもインド人の人たちの心を癒やしている、という大事な仕事もしていることが見えてきます。何よりも「セノーさんという仕事」はセノーさんしかできないので、地域社会の中で、セノーさんはかけがえのない、とても大切な存在になります。

 「ミズキさんという仕事」「タカノブさんという仕事」「ツジさんという仕事」等々を、それぞれがしている、と考えると、それぞれの仕事がその人しかできないオリジナルな仕事になり、今まで以上にかけがえのない、大切な存在になります。

 体が動かなくて、寝たきりであっても、「○○さんという仕事」をしている、と考えると、仕事ができない人、という概念はなくなります。「何かができない」というのは、できないことをフォローするために、そばにいる人との新しい関係を生み出します。新しい関係は相手の人生を広げます。人を手助けすることでちょっといい気持ちになれます。そんなふうにその新しい関係が社会をよくする方向へ広がっていくとき、寝たきりの「○○さんという仕事」は、ただ寝てるだけで大きな仕事をしていることになります。

 

 仕事の意味をこうやって今までと全く違う発想で考え直していくと、相模原障害者殺傷事件の植松被告のいう「障害者はいない方がいい」あるいは「不幸しか生まない」ではなく、「障がい者は社会にとってかけがえのない大切な存在」ということが見えてきます。

 

 

 映像の最後の方で、「なんかもったいないんだけど、次郎を街の人に貸してあげるよ、ぐらいな感じですかね」というお母さんのこのいい方がすごくいい!と思いました。迷惑かけて申し訳ない、といった感覚のお母さんが多い中で、「もったいないけど、街の人に貸してあげるよ」なんて感覚で街に出しているのですから、もう座布団10枚でも足りないくらいです。次郎くんの存在価値をそれくらい認めているのだと思います。

 次郎くんはお母さんの人生をグッと広げてくれたといいます。次郎くんのおかげで、幸せも価値観もいろいろ教えてくれたといいます。私は次郎に出会って本当によかったといいます。だから時々街の人たちに貸して、街の人たちにも同じように

次郎とおつきあいして「いい思いしてよ」「いい時間過ごしてよ」

って思ってるみたいでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

てっちゃんがいない八百屋なんてあり得ない

昨夜二ツ橋大学講座「障がい者が働くということ〜」に参加してきました。

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 いろんな話が出ておもしろい集まりでしたが、「障がい者雇用率」の話題については、もう少し話題を掘り下げてもよかった気がします。

 

障害者雇用率制度とは(厚生労働省)

身体障害者及び知的障害者について、一般労働者と同じ水準 において常用労働者となり得る機会を与えることとし、常用労 働者の数に対する割合(障害者雇用率)を設定し、事業主等に 障害者雇用率達成義務を課すことにより、それを保障するもの である。

 

 一般企業においては2%、国、地方公共団体においては2.3%の障がい者雇用率が求められています。

 

 この制度の致命的欠陥は、なぜ障害者を雇用するのか、という根本的な理由の説明がないことです。説明がないので、ただ雇用率を達成するために大きな企業は「特例子会社」といういびつな形で障害者を雇用し、ペナルティを免れています。

 「特例子会社」は親会社とは別の会社なので、本当は障害者を雇用していることにはなりません。でも制度的に、「特例子会社」での障害者雇用数を親会社のものとしてカウントしていい、となっているので、こんないびつな形が通ってしまうのです。

 これは親会社にとっても、せっかくの障害者雇用の機会を逃して、すごく損をしているのではないかと私は思います。もったいないです、これは。

 障害者を雇用するとどうなるか。企業の現場がそのことで豊かになります。いろいろできないこともあるので、いろんなトラブルもあります。でも、そのトラブルを現場が抱え込むことで、現場はトラブルが起こる前よりも豊かになります。

 なによりも様々なトラブルを超える、予想だにしなかった豊かさを障がいのある人たちは現場にもたらします。

 

 昨日の集まりを主催した杉浦さんは昔八百屋で働いていました。その八百屋に養護学校の生徒を送り込んだことがあります。

「いろいろできんことが多いけど、絶対にいいことがあるから」

と、ほとんど無理矢理卒業生を送り込みました。「絶対にいいことがあるから」といわれても杉浦さんは「いいことがある」の意味が、最初はよくわからなかったようです。

 でもてっちゃん(養護学校の卒業生)を雇用して、しばらくたってから、「いいことがある」の意味が納得できたといいます。

 てっちゃんがいると毎日がすごく楽しいのです。笑いが絶えません。心が安らぎます。お客さんにもファンができます。だんだんてっちゃんがいない八百屋なんてあり得ない、というふうにまでなったようです。

 

 これが障害者を雇用する理由です。現場を豊かにするのです。もちろん杉浦さん達はいろいろ苦労をしたと思います。計量をまちがえたり、仕事がゆっくりだったり、全くのマイペースだったり、そのためにスタッフ達はイライラしたり…。でも、そういったトラブルこそが、現場に障害者がいることの意味であり、それが現場の人たちに新しい気づきをもたらし、豊かにするのです。

 「てっちゃんがいない八百屋なんてあり得ない」という感覚は、それまでの様々な苦労があってようやく手にした感覚だと思います。てっちゃんを雇用してすぐにそんな感覚になることはあり得ないのです。

 ぷかぷかで以前、メンバーさんがいなくてもお店を開けていた時期がありました。しんと静まりかえったお店は、なんか嘘みたいでした。お客さんも

「なんだか淋しいわね」「彼らがいないと、ほかのお店に来たみたい」

とおっしゃっていました。

 ぷかぷかさんがいない「ぷかぷか」はあり得ない、のです。

 

 障害者雇用率を義務づける前に、なぜ障害者を雇用するのか、その理由を丁寧に説明すべきだと思います。国、地方公共団体においては2.3%の障がい者雇用率が求められています。ならば実際に障害者を雇用してどうなのか、をしっかり語るべきだと思います。

 

 

 

映像の中の幸せいっぱいの顔が、みんないい

相模原障害者殺傷事件へのすばらしい、元気いっぱいのメッセージです。 

 

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ベイビィぼくには 大事な夢がある

………

 しあわせになるため 生まれてきたんだ

生きていることが 大好きなのさ

 

 

 映像の中の幸せいっぱいの顔が、みんないい。「生きてる」って、こういうことだと思います。

 相模原障害者殺傷事件の植松被告は福祉施設で働きながら、障がいのある人たちとこういう幸せいっぱいの顔をお互いがし合う関係を作ってなかったのじゃないかと思います。障がいのある人たちと、お互い幸せいっぱいに笑い合える関係を作っていれば、事件は起こらなかったと思います。彼が働いていた福祉施設で、どうしてそういう関係ができなかったのか、そここそきっちり検証する必要があると思います。

 先日朝日新聞の方が取材に来たとき、「ぷかぷかで働いてどうですか?」と聞かれたスタッフが「毎日楽しくて楽しくて、もうお金をもらうのが申し訳ないくらいです」と答えていたのが印象的でした。

 このスタッフはこんな写真をFacebookに投稿しています。こんな笑顔を見て、うれしくて、幸せな気持ちになって、みんなにこの幸せ感を分けてあげたくて投稿したんだろうと思います。

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 植松被告が障がいのある人たちの笑顔を見て、自分も笑顔になるような関係を作っていれば、あんな事件は絶対に起こらなかったと思うのです。 

描くことへの情熱

6月30日、わんどの巨匠 ノボさんがぷかぷかを卒業しました。

就職に向け、次のステップに進むことを自ら決めたのです。

 

力強いタッチで描く人物画がとても印象的で、たくさんの素敵な作品を残してくれました。

毎日スケッチブックに向かう姿、日々生まれ変わっていく表現からは描くことへの情熱を感じました。

 

映画や洋楽が大好きで、特にマリリン・モンロービートルズは、よく作品の題材に使われていました。

最終日のお別れ会では、ビートルズのCDジャケット風の寄せ書きをプレゼントしました。

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七夕の今日は、実はノボさんのお誕生日。

新しい場所でも充実した日々を送れるよう祈っています。

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みんなの日常が詰まったクッキーセット

工房では沢山の種類のクッキーなどの焼き菓子を作っています。今日はお客様からプレゼント用としての詰め合わせのご注文をいただきました!

 

折り紙作家、モモちゃんがいとも簡単に作ったバラ🌹。

 

えりんぎさんがペンタブで描いたオリジナルの絵。

 

字を書く事が実は好きなアライさんの味のある“ぷかぷか”の文字。

 

そして‥    美味しいクッキー!

このクッキーの魅力は美味しさだけではありません!

 

なかなか上手く出来なくて泣きたくて悔しい気持ちが入ったクッキー

 

最初うまくできなかったけど上達して褒められ、嬉しい気持ちが入ったクッキー

 

落ち込んでいたけど、がんばって気持ちを切り変えて取り組められた、という満足感が入ったクッキー

 

毎日みんなと一緒に作っている いちスタッフとしては、“みんなの日常が詰まったクッキー”に見えて愛おしいのです。

 

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取材に来て、テラちゃんとFacebookのお友達になったようでした。

 朝日新聞の方が相模原障害者殺傷事件1年の節目で特集を組むので、その取材に来ました。相模原障害者殺傷事件のことだけで取材されるのもなぁ、という思いもあって、まず6月17日(土)のワークショップの記録映画とプロモーションビデオの上映会に来てもらいました。第一期演劇ワークショップと第3期演劇ワークショップの記録映画、それにプロモーションビデオ第1弾、第2弾と1日がかりで見てくれました。

 見終わったあと、すごくおもしろかったです、といい顔して話していたので、ぷかぷかの空気感が映像を通して伝わったかなと思いました。

 その次は先日のパン教室です。この日はパンの成形もいっしょにやったりして、ぷかぷかの空気感に一日浸った感じでした。

 そして今日、給食を一緒に食べるところから始まり、あのだらだらした締まりのない帰りの会までしっかり取材。帰り際にはテラちゃんとFacebookのお友達になったようでした。

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画伯に似顔絵も描いてもらいました。

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 これで名刺を作って、配りまくるそうです。

 

 相模原障害者殺傷事件の特集はあまり関心のない方にこそ読んで欲しいので、そういう人も読んでみたくなるような切り口を考えている、とおっしゃっていました。

 事件の原因とか、差別の構造とか、社会状況の分析とか、考えなければならない問題はたくさんあると思います。でも、最終的にはこの社会の中で、障がいのある人たちと一緒にどう生きていくのか、ということだと思います。そこのところをぷかぷかはお店の運営、パン教室、演劇ワークショップ、アートワークショップなど、様々な形で表現してきました。そして毎日「今日はいい一日だったね」ってお互いがいえるような一日を彼らと一緒に作っています。

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  どんな記事になるのか楽しみです。

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